貴方の腕の中で1

ヤバイ･･･。マジでヤバイよ･･･。どうしよう･･･。


ボクは少し肌寒くなった秋の日に公園のベンチでヤバイ状態に陥っていた。


冷や汗が止まんない・・・。


肌寒いのにボクの顔にはいく筋もの汗が流れていた。




ボクの名前は　蒼井　蓮（あおい　れん）２２歳。


特別擁護老人施設で介護士として働いている。


今日は夜勤明けで予約していた専門書がやっと入荷したので取りに電車に揺られて隣町の大型書店に来ていた。


昨日は夜間に急変があり、仮眠する間もなく家族や施設長への連絡や対応でかなり疲労していた。


なのに、早く本が読みたくて、ヤバイかなーって思ってたのに来てしまった。


やっぱり、一度家に戻って休んでから来ればよかった･･･。





ボクの母親は身体が弱く、ボクは母親の体質をそのまま受け継いだようで、身体が丈夫とは言えない。


普段の生活には支障はないが、年に何回かは今日みたいなことが起こる。


病院で検査しても原因不明。


職場での毎年の健康診断では何もひっかからない。





うっ。頭の中が冷たくなってきた。


血圧が落ちて来てるのがわかる。


「誰か･･･。誰か助けて･･･。」


携帯で電話しようにも身体が動かない。動けない･･･。


意識が朦朧としてきた。






「おい。大丈夫か？顔色ひでぇぞ。」


目の前に白いニッカポッカの幅広のズボンが見えた。


そういえば近くに工事現場があったなぁ。




「おいっ。返事できねぇのか？大丈夫か？」


乱暴な口調だけど、心から心配してくれる声。


なんだか、安心できる声だなぁ･･･。


「あっ。だ･･･だい･･じょ･･･。」


ちっとも大丈夫じゃなかった。


ボクはそのまま前に崩れるようにブラックアウトしていった。







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