キミと空とネコと

キミと空とネコと3

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それからはオレは偽の笑顔を見せ、ご飯は適当に処分し努めて明るく振るまい「もう大丈夫だな」と回りに思わせるように「フリ」を続けた。


幼い頃からの身についている習慣は怖いもので、オレが意識しなくても無意識に「フリ」が出来ていた。


オレの偽の笑顔にDrも看護士も「フリ」だとは思わなかった。


もともと食が細く、痩せていたオレは点滴の栄養と水分で体重を維持していた。

食事は摂れているのに(実際は処分していたのだけど・・・。)体重は変わらないオレ。傷はふさがりつつあり、するのは消毒だけなので、いつまでも病院に入院させておくことは出来ないのだろう。

まぁ、そうして欲しいオレは退院を告げる言葉に安堵したのだ。

「フリ」を止めれる事を心の中で喜んだ。



「高瀬さん、もう大丈夫ですね。明日、退院ですよ。ご飯はちゃんと食べてくださいね。」


そうDrに言われオレは笑顔で「ありがとうございました。」と答える。


これで、笑顔を作る必要もなくなり、一人になれると思うとホッとした。



誰がオレを助けたのかは、相手のコトは教えられないと言われ、わからずじまいだったが、どうせ関わりになることももうない、人と関わりを持ちたくないと思っていたオレは深く確かめようとは思わなかった。





オレの退院の日は朝から雨が降っていた。


「高瀬さん、生きていればきっといいコトがあるから、あきらめちゃだめだよ。」とDrに言われ



「そうですね。もうバカなはコトしません。お世話になりました。」と笑顔を見せ、病院を後にする。



病院が見えなくなると、ホッとため息をもらす。


そして、オレは無表情になっていった。フリをする必要はないから・・・。


もうどうでもよかった。


いつの間にか持っていたはずの傘も持っていなかった。


全身びしょぬれになりながら歩いていた。


マンションの近くの公園を通り過ぎようとしたとき、どこからか「ミャー」と声が聞こえた気がした。


キョロキョロとあたりを見渡すが、それらしきものは見えない。


気のせいかと歩き出そうとした時、「ミャー」とかぼそくなく声が確かに聞こえた。


いつもなら知らん振りして通り過ぎるのに、なぜだかほっておいてはいけない気がして、その声の主を探す。


すると、低い植え込みの中にダンボールに捨てられた子猫がびしょぬれになってガタガタふるえて鳴いていた。


「オマエも捨てられたの?一人ぼっち?オレと同じだね」声をかけ抱き上げようとすると、「シャッッ!!」と威嚇してオレの手を引っ掻いた。


「イタッ」オレの手から赤い血が流れる。


子猫はオレの手からおびえたように逃げようとする。


オレは子猫を優しく抱いて胸に抱え「大丈夫だよ。オレはオマエと同じ。傷つけたりしないよ。オマエの気持ちがわかるから。だから安心して・・・。」


子猫はオレの言ってることがわかったのか、「ミャ」と鳴くとオレを見上げる。


「ふふっ。オレたちびしょぬれだね。寒いね。でも、ひっついてたらあったかいね。」それに答えるように「ミャー」とネコが鳴いてオレの腕の中で丸まった。


オレはそのネコを抱いてマンションへと帰った。







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