キミと空とネコと

キミと空とネコと63

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響夜はイライラしていた。

パーティの日以来カイトと連絡が取れない。

時間を作ろうにも小田切が次々と仕事を入れ、嫌だと断ろうとすると「もっと作家としての自覚を持ってください。」とますます時間を取れないようにする。

食事の時間と風呂に入る時間、寝る時間さえスケジュールを小田切が管理しており響夜の時間などどこにもないのだ。電話をする時間さえ取れない。携帯さえ小田切が持ち、かかってきた相手を見て小田切が必要とあれば話が出来るという馬鹿げた事態に響夜はなっていたのだ。

聖夜や雪夜とさえ電話をさせてくれない。

マンションも場所が良くない、集中できないとホテルに缶詰状態にされていた。

そんな状態で良い物がかけるわけもなく、執筆は遅れていく。締め切りは近づく。

小田切は響夜の状態をよく見ている。

爆発しそうになる前に一息つかせる。

聖夜や雪夜と外食させたりする。

響夜が欲しいのはカイトの情報で聖夜も雪夜もそれに関しては何もわからない。

仕事は辞めてはいないが今は体調を崩して休んでいると聖夜からの情報があったくらいだ。

あの日何があったのか?考えても響夜にはわからない。

「響夜、オレは小田切に気をつけろと忠告したよな。」

聖夜に言われ、確かにそう言われたが、何をどう気をつければよかったのかわからない。

「カイくんとは連絡がつかなくなったよ。聖夜もボクも。」

「今はどうしようもない。麗華に聞いたら、カイくんは仕事を辞めたわけではないから仕事に復帰したら聞けばいい。オレはあの小田切とかいう男が何かしたと思うぞ。アイツは作家をベストセラーにするためならいらないと判断したものは排除するらしいからな。」

「そうなのか?」

「響夜、オマエ自分の編集者の事を何も知らずにいたのか?信じられない。そこが甘いっていうんだ。」

「兄さん、響夜を責めても仕方ないよ。」

「カイくんに何かあったらと思うといたたまれないんだ。あの子は儚すぎる。人を責めることなく自分を殺していくだろう。心を・・・。」

「確かにそうだね。響夜はわかってたはずだよね。海人くんに再び逢えてからの響夜はちゃんと海人くんを見れてたのか?ボクは響夜が本気だと思ったから海人くんの事をちゃんと守れると思ったから、本気になる前に諦めたんだよ。響夜にもそう言ったよね。今の響夜には海人くんをまかせられないな。」

挑発的な目で雪夜に見られる。

聖夜はそんな二人を静かに見比べている。

「オレはカイトじゃなきゃダメなんだ。確かにカイトに逢えて浮かれすぎてた。小田切にも何の疑いも持ってなかった。甘いと言われても仕方ない。今からじゃ遅いのか?」

聖夜と雪夜は視線を合わせて冷酷な笑みを浮かべる。

「響夜。オレ達は『杉野3兄弟』だぜ。あなどるなよ。小田切の事はオレと雪夜で調べる。お前は取り合えず仕事をこなして自由に動ける時間を作れ。」

「わかった。聖夜、雪夜頼む。」

「響夜に頭を下げられるなんて初めてじゃないか?」

苦笑する聖夜に雪夜も笑い出し、3人で声を出して笑う。

まだ終わったわけじゃない。これからだ。

響夜の中で闘志が燃え上がる。

聖夜と雪夜という頼もしい兄がいることに感謝する。

小田切は響夜を爆発させまいと聖夜や雪夜にあわせたのだが、それが自分の首を締める事となるなんて思いもしていないだろう。さすがに杉野3兄弟のリサーチまではしていなかったようだ。

カイトに逢うために響夜は鬼のように仕事をこなしていく。

小田切はこの前の息抜きが功を奏したのだと自分の采配にうぬぼれる。

カイトを排除出来たと思っていることも小田切の心を躍らせていた。

やっぱりオレは優秀な編集者だ。オレ以上の編集者なんていないと自惚れていた。

「カイト、もう少し待っててくれ。ちゃんと迎えに行くから。その時は二度と離しはしない。何があっても。」

前にも同じように言ったことを思い出し苦笑する。カイトが消えた時そう誓ったはずなのに自分の甘さでカイトを苦しめている。もう苦しませることはしない。前以上の更なる気持ちが沸々と湧き上がる。

「カイトを幸せに出来るのはオレだけだ。カイトにだってわかってるはずだ。」どうしてそう思うのか響夜にもわからないけれど、その思いは確信している。

「カイトが苦しんでいませんように・・・。」

今は仕事を片付け、小田切の様子を見ながら休みを何としてでも取ることだ。

窓の外の三日月を見ながらカイトを思う。

「カイト、今どうしてる?オレはカイトを愛してるから。どこにいても、何をしてても・・・。」

その頃カイトもベランダから三日月を眺めていた。コウキは風呂に入っていて今は一人の時間だから。

「響夜、今日はキレイな三日月だよ。響夜、もう逢えないけど、オレは響夜のことを忘れない。愛してる。」

頬に一筋の涙が零れ落ちる。儚い響夜への恋心が溢れた。





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~ Comment ~

(>_<)えーーーーんっっっっなんとか、来れました。(-_-;) 

Rinさま、お元気にしてますか?
精神状態が心配で‥本当に心配です

私なんか頼れないと思いますが‥私は年だけは取っているので
なにか御相談に乗れることがあるかもしれませんので
割となんでもかまいませんから気楽にお話しクダさいませ。
私はRinさまのみかたですからね
とりあえず看護師だし(^-^)

昨日と、その前は悔人がほぼ強姦のようなことをされ‥
抵抗できないことが辛くて辛くて‥本当に辛くて‥‥‥逃げました。
ほんとに‥カイくんは私は可愛いし、守ってあげたいくらいなので‥‥
守ってあげられなくてテなごめんね、ごめんねって
お布団に入ってもまったく眠れず‥悶々としました。

こんなことになって‥マジで辛かったのです
すみません、私のようなものが真剣にになって言うことじゃないです夜。

ほんとうに厳しくて‥‥もう来れないのかと思いました。
今回は痛い部分が無くて‥よかったぁ‥目隠ししながらそっと見たら‥なんだか前向きで
体から力が抜けました‥
あああああああああ‥‥‥‥
ほんとにほんとにつらかったです‥‥

待ってますからね、カイくんがもどって来るのを。
とにかくカイくんを自分で救いたくなるほど好きです。
助けてくださることを信じて待っていますから(/_;)

Re: (>_<)えーーーーんっっっっなんとか、来れました。(-_-;) 

ハル様こんばんは☆
何だか、すごく心配かけてる?
生きてるよ。一応・・・。少し気鬱になってるようで、やる気が起きないから、生活が乱れてるかなぁ。先生は季節のせいもあるって言うけど違う気がする。だけど、頑張ってるよ。
詳しくは、もっと元気になったらメールで相談してもいいですか?ハル様にそんなに心配されるほど危ないですか?自分ではわかりません・・・。

ハル様はほんとに海人のことを大切に思って下さっているのですね。ありがとうございます。

愛してた人と愛のないSEXなんて辛いですよね。自分の意思を無視されてですもの・・・。コウキもコウキなりにいろんな事が海人と別れてあって、自分を見失ってるんですね。海人が好きになった人なんだから、いい人なはずなんです。だから海人はコウキを無碍に出来ない。心は響夜を求めてる。ジレンマの中で諦めようとしていますが、響夜ですもの、そんな壁ぶち破るに決まってます。

痛い思いをさせてハル様には申し訳なかったですけど、もうでてきませんので安心してください。
ハピエンに向けてユウが頑張ります。見守っててくださいね(σ◕ฺ∀◕ฺ)σ (ω→ܫ←ω)
> こんなことになって‥マジで辛かったのです
> すみません、私のようなものが真剣にになって言うことじゃないです夜。
>
> ほんとうに厳しくて‥‥もう来れないのかと思いました。
> 今回は痛い部分が無くて‥よかったぁ‥目隠ししながらそっと見たら‥なんだか前向きで
> 体から力が抜けました‥
> あああああああああ‥‥‥‥
> ほんとにほんとにつらかったです‥‥
>
> 待ってますからね、カイくんがもどって来るのを。
> とにかくカイくんを自分で救いたくなるほど好きです。
> 助けてくださることを信じて待っていますから(/_;)
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