キミと空とネコと

キミと空とネコと69

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どのくらいそうしていたのだろう。

聖夜さんと雪夜さんはオレの傍には寄らないものの、見守り、心配してくれていたように思う。

確信でないのは、オレはずっと俯いてユウの名前を繰り返して泣いていたから・・・。

響夜を諦める事はずっと前から決めていたのにいざそうなってしまうと、心の仮面がポロポロと崩れて自分でもどうしていいのかわからないほど心が悲鳴をあげている。安心出来る温もりに包まれたい。自分勝手さにほとほとあきれつつも、心がユウを呼んでいるのだからどうしようもない。

「ハァ・・・ハァ・・・カイ・・・く・・・。」

ユウは全速力で走ってオレの傍に来てくれた。

ユウの声に顔をあげ、心のダムが決壊したようにユウに取りすがって大泣きを始める。

完全防音の社長室なのにオレの声は外に聞こえるのではないかというほど・・・。

ユウは何も聞かずオレの身体を抱きしめて背中をさすってくれる。むずかる子供をあやすが如く。

それが気持ちよくて安心できた。今まで緊張していた心が緩み、ユウの前では仮面を外したオレでいられる。

「カイくん、辛かったね。頑張ったね。ボクが傍にいるよ。安心して。」

ユウの言葉に少し心が落ち着くと、さんざん泣いたせいとユウが傍にいることで安心して眠たくなってくる。心も磨耗しちゃって限界だったのかも知れない。

「ユウ。ほんとに傍にいてくれる?オレの心の中聞いてくれる?じゃないとオレ壊れちゃいそうだ・・・。でも・・・。今は・・・ねむ・・・い。」

「いいよ。このまま眠りなよ。起きたら話聞くよ。心と身体をを休ませてあげようね。」

優しいユウの声色にオレはいつの間にか安心してスースーと寝息をたてて、ユウの腕の中で眠ってしまった。

オレが寝てしまった後も聖夜さんと雪夜さんはそこに居たわけで、ユウが来てからのオレの様子を静かに見守っていた二人の矛先はユウに向かっていた。

「さて、どういうことなのかオレ達に詳しく説明してもらおうかな。水野くん。」

「そうだね、この件に関してはユウくんしかわからないようだからね。」

杉野兄弟に睨まれるユウだが、その二人を前にしてもおじける様子は全く見られない。

「すいませんが、まずカイくんをソファーに横にならせてあげてくれませんか?ついでに毛布もかけてください。風邪でもひいたら大変ですから・・・。その間にボクはハーブティーでも用意しましょう。」

ユウがひるむ事もなく、次々と指示を飛ばすことにいつもなら人に指図されても動かない杉野兄弟も自然と言われた通りにしてしまっていた。


ユウの入れた温かいハーブティを飲みながら、少しの間が流れる。

「で、お二人は何を聞きたいのですか?カイくんをどうしようとしてるの?響夜さんとくっつけたいの?おせっかいしたい?興味本位?」

辛らつな言葉を次々と可愛い笑顔を振りまきながら並べ立てる。

「響夜はカイくんの事をホントに愛してる。心の底から。初めての愛だ。オレたちはカイくんも少なからず、響夜に好意を持っていると思ってる。だから結ばせてやりたいんだ。それだけなんだよ。」

「響夜は海人くんに逢うためだけに必死で仕事をこなしてきたんだ。寝食を削るほどにね・・・。」

「響夜さんはカイくんに『愛してる』『好きだ』と繰り返しいいますけど、どこまで信用できるんですか?それより、みなさん、カイくんの気持ちをちゃんと考えていますか?何故硬くなに響夜さんに対しては近づこうとしないのか。逃げようとするのか。」

「「・・・。」」

「カイくんは人を傷つける事を極端に恐れています。他の人が傷つくなら自分が傷つけばいいと思っちゃうんです。自分の存在が今まで誰からも必要とされず、必要とされても一事的なもので、カイくんの望む愛は得られなかったから。コウキさんとの事でもそうでした。だからカイくんは死ぬ事を選んだ。だけど、なんの因果か響夜さんに助けられてしまい、考えてもいなかった未来を歩かなければならなくなった。そこで武蔵といる事で救われていたのに、環境の変化でどんどん知り合いができ、カイくんの中では嬉しさと共に不安や恐怖が芽生えたんです。一人で生きるのではなく、他人とも合わせて生きる。これはカイくんには高いハードルなんです。

みなさんは何気なく出来る事でも、愛されることを知らないカイくんは戸惑う。どこまで甘えていいのかわからない。響夜さんは人気作家だとわかってからは尚更です。響夜さんに迷惑になる。傍にいてはいけない。心の弱ってるカイくんにそう仕向けた小田切さんもスゴイ人ですが、そこは響夜さんサイドで小田切さんを防がないとダメなんじゃないですか?カイくんは頑張ってましたよ。それに対して響夜さんや、あなた方は何をしたと言うのです?

はっきり言いますね。カイくんには誰にも言うなって強くお願いされたんですけど・・・。カイくんは響夜さんのことがすごく好きです。愛してます。

前にカイくん言ってました「オレ、壊れてきてるのかな?」って・・・。コウキさんとの生活をしながらも響夜さんを愛してるという現実の生活に・・・。

そこまで追い詰められているんです。カイくんはこのままじゃ、生きてても生きてるだけの人形になちゃうかもしれません。ボクはそうならないようにカイくんのためにいろいろと努力していますよ。一番の大切な友達です。ボクの半身じゃなかと思うほどにね。」

「オレ達は何の役にもたってないのか・・・。好き合っている二人を繋げてやる事さえできないで傍観してるだけなのか。」

「ことの発端は小田切さんがカイくんに何を言ったかにもよりますが、ボクには話そうとしてくれないのでわかりません。」

「これから海人くんをどうするつもりなんだい?」

「取り合えず、ボクのマンションに連れて行って、コウキさんに連絡をとって、心療内科に連れて行きます。」

「ユウくんはコウキって彼とも知り合いなのか?」

『「敵を騙すにはまず味方から』ですから・・・。根は良い人なんです。カイくんのことになると離したくなくて執着してしまう。それがカイくんの負担になることは最近わかってきたようです。昔のコウキに戻ってきてるってカイくんも言ってますから・・・。カイくんはコウキさんが立ち直ったら離れるつもりでいます。コウキさんにも他に好きな人はいると告げてるけど、コウキさんがカイくんを離さない状態なんです。まだ時間はかかりそうです。それまでにカイくんの心がもてばいいんですけど・・・。」

「・・・ゆ・・・う・・・どこっ。ユウどこに居るの?又オレ一人はやだよ・・・。」

「カイくん、ボクはここにいるよ。今日はもう帰ろうね。」

「やだっ。コウキのとこには行きたくない。」

「大丈夫。ボクのマンションに行こう。武蔵にも会えるよ。」

「ほんと?でもコウキが許してくれるかな?」

「大丈夫だよ。ボクに任せて。それよりカイくん最近病院いってないでしょ。今日はボクも付いて行ってあげるから帰りに病院に行こうね。」

「ユウとなら行くよ。実を言うと薬もなくなっちゃってもう1週間くらい飲んでないんだ。」

「バカッ!!だから余計な事で悩んじゃうんだよ。歩ける?彰人さんには連絡しとくから。コウキさんにもカイくんがいないとこで話ししとく。聞きたくないでしょ。ボクとコウキさんの会話。」

「うん。ユウに任せる。早く帰りたい。」

オレの視界の中にはユウしか見えてなかった。オレのことをわかってくれる唯一の天使。友達。

オレはユウの腕に支えられて立ち上がるとそのまま、仕事場を後に病院へ向かう。

聖夜さんや雪夜さんの存在なんてちっとも目に入ってなかった。


その場に残された聖夜さんと雪夜さんは声を出せずにいた。

海人がそこまで追い込まれていたとは思っていなかった。甘かった。響夜のことを甘いなんて言えた義理じゃない。

二人とも、響夜も海人も好きあってるのに結ばれない事が切なく、悲しかった。海人の精神状態も心配だ。ただでさえ、自分を責めてしまう海人。守ってやらなければと庇護欲が溢れる二人。

オレ達が出来る事は響夜の様子を見て的確なアドバイスをして二人を幸せに導くこと。そのためにはやはり小田切をなんとかせねばならない。

今までも小田切については探ってきたが、これからはもっと念入りに窮地に逢い立てるような証拠や証言を取り、佐久間書房の社長に掛け合わなければならない。

今持っている情報を駆使して早急にてを打たねば。聖夜は決断する。

「雪夜、オレは小田切を追う。お前は響夜から目を離すな。あいつはカイくんのホントの気持ちを知らないから、自暴自棄に暴走しかねない。それを何としても抑えてくれ。大変な事を頼んでるのはわかってるけど、雪夜しか任せられる人間はいないんだ。」

「わかってるよ。兄さん。ついでにコウキって人物にも探りを入れて見るよ。ホントに海人くんが彼に気持ちが傾いているなら、それを引き離すことはできないからね。」

「そうだな。雪夜は急いで響夜を追いかけてくれ。」

「オレは早速、佐久間書房と小田切を調べる。」

「わかった。何かあれば何時でもお互いに連絡し会う事。例え留守電でもメールでも逐一報告しよう。」

「わかったよ。兄さん。杉野兄弟の見せどころだ。いっさい手は抜かないよ。」

「当たり前だ。可愛い弟と。カイくんの未来のためだ。」

「水野くんとの連絡も密にしとけよ。」

「了解!!」

そして彰人に声をかけると二人はそれぞれに目的に向かって動き出した。







皆様こんばんは(๑´▿`๑)♫•*¨*•.¸¸♪✧なんとか話しが進み出しました。かなりのスロースピードでありながらも、日々読んでくださり、拍手までありがとうございます。少し暗い話の展開ですが、桜の花が満開になる頃には幸せになって欲しいと願っています。ちょいと、薬を飲んでの執筆で、読み直しはしているのですが、変な漢字や表現になっていることが多々ありまして・・・。ごめんちゃい(o*。_。)oペコッ
気がついたら秘かに直してます・・・。時折文章も加筆してたりして・・・。m(*・´ω`・*)m ごめんЙЁ
もう少しお付き合い頂けると嬉しくテンションで頑張れると思います。
思いがけず15,000HIT突破皆様ありがとうございますこれからもたくさんの方に読んでもらえるように頑張りますいつもありがとうございます(o*。_。)oペコリ




「拍手&ぽちっ」(。◕‿-) ありがとう ✿励みになっております☸ヾ(。╹ω╹。)ノ☸感謝((ヾ(。・ω・)ノ☆゚


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