キミと空とネコと

キミと空とネコと70

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オレとユウは病院にいた。

「ユウ、オレは先生に何を話せばいいんだろう?」

「先生に聞かれた事に正直に答えれば良いだけだよ。良い先生なんでしょ?」

「うん。オレのマイノリティな性癖のことも言うのは怖かったけど、勇気を出して言って、コウキとのことも知ってる。でもコウキと再会してからは来てないから・・・。ユウも一緒に診察室に入ってくれる?一人だと怖い。」

「もちろんだよ。カイくんを守るから安心して。待ってる間にコウキさんに電話してくるね。カイくんボクがいるから今一人でも大丈夫だよね。」

「うん。ここは病院だし、怖いと思う人も知り合いもいないから大丈夫。」

「すぐ戻るからね。待ってて。」

ユウが隣からいなくなるとすごく寂しくて不安になるけど、どこかに行った訳じゃない。すぐ戻って来るんだ。
・・・オレって何でこんなに弱くなったんだろう。前のオレは一人で何でもやってきたはずなのに。前のオレにはユウみたいな友達はいなかったし、コウキのことも半分諦めもあったから?

どんどん頭の中が悪い方に傾いていきそうになる。

オレの診察まではまだ時間がかかる。ここの先生はとても評判がよくて患者さんが多い上に、先生の診察がとても丁寧なので時間がかかるんだ。
それでもこの先生がいい。先生はオレのことも偏見の目で見ない。ユウのように『人を愛せる事が大切だとボクは考えています。人を愛せない人が増えてるんですよ』って言ってくれたから。
時間が来るまで少し休もう。この病院は寝ていてもいいですよって毛布を貸し出してくれる。オレは受付で毛布を借りると長いすの壁側に頭を寄せて座り毛布をかぶる。

ここの毛布の香りは好き。いつも優しいラベンダーの香りがするから。その香りに包まれて、帰ったら武蔵と何して遊ぼうか、掃除も洗濯もしなきゃと悪い事を考えないようにする。

武蔵と遊ぶ事を考えると楽しくなってくる。そのうち浅い眠りが訪れた。ユウ早く帰って来てね・・・。





「もしもしコウキさんですか?ユウです。今電話してても大丈夫ですか?」

「ユウくん?どうしたの?大丈夫だよ。今外回りが終わって会社に戻るところだから。」

「カイくんの事なんですけど、コウキさんカイくんが心療内科に通院してるの知ってましたか?」

「ああ。知ってるよ。薬飲んでるから何の薬だって聞いて病院のことを知った。」

「カイくん最近病院に通院してなかったの気付きませんでしたか?一週間も薬飲んでないみたいで、今、すごく不安定な状態で今、ボクと病院に来てます。」

「えっ、そうなのか・・・。薬を飲んでないのも、通院してないのもオレは気がつかなかった。」

「一緒に住んでるのに・・・。コウキさんはカイくんに他に好きな人がいる事を知っていてもカイくんを手離す気はないんでしょ?響夜さんの事カイくんから聞いてますよね。」

「ああ。聞いてるよ。オレのエゴだってわかってるけど、一緒にいれば元のようになれると思っている。オレも反省してるし同じ事はしない。オレのことをカイが愛してくれるまで待つつもりだ。」

「そう。自分のエゴだってわかってるんですね。コウキさんに報告しておきます。今日、カイくんは響夜さんに『オレが好きなのはコウキだ。響夜じゃない!!』って言いました。わかりますよね。今のカイくんの心がどんなだか。」

「・・・・・そんなことを言ったのか・・・。カイを見てれば相手の事がどんなに好きなのかはオレにもわかる。嫉妬で狂いそうな時もあるからな。響夜って奴を羨ましいとさえ思ってた。なのにカイはそんな事をそいつに言ったのか。カイは大丈夫なのか?」

「大丈夫なわけないです。子供みたいに大泣きしてボクから離れようとしませんでした。今もちょっと心配なんですけど、コウキさんには報告しておかないといけないと思って。」

「ありがとう。」

「それとしばらくカイくんはボクが預かります。コウキさんの傍はカイくんも辛いと思うから。コウキさんには悪いけど、カイくんを苦しめたくないのでそうして欲しいんです。連絡はこちらから毎日報告します。だからボクに任せてくれませんか?」

「・・・。確かに。オレの傍ではカイは響夜って奴とオレと二人の事ばかり考えてしまうだろうな。本当ならオレが諦めてカイを響夜って奴の所にいかせてやらないといけないんだろうけど、オレはそんな心の広い人間じゃない。カイの事を愛してる。離したくない。ユウくん。カイのことお願いするよ。オレは仕事が忙しくて出張も増えるし、カイの傍にいてやれない事もあるし、今のカイにはオレよりもユウくんの方が必要だろう。だからすまないけどカイの事よろしく頼むよ。」

「わかりました。じゃ、病院からは直接ボクのマンションに連れて行きます。コウキさんは辛いでしょうけどカイくんが落ち着くまではカイくんに会わないでくれませんか?」

「わかった。約束する。それに明日から一週間大阪に出張なんだ。逢いたくても逢えない。だからユウくん、カイがどんな様子なんだかちゃんと連絡してくれ。頼む。」

「約束します。コウキさんは仕事に専念して、カイくんがコウキさんが仕事できなかったのは自分のせいだなんて思わないようにして下さいね。」

「わかった。」

「じゃ、カイくん一人にしておけないので戻ります。」

「ユウくん。ありがとう。じゃ、カイのこと頼むな。」

「はい。それじゃ。失礼します。」






「カイくん寝てるの?」

「・・・ん?・・・ユウ?」

「そうだよ。ごめんね一人にして。」

「大丈夫。戻って来てくれるってわかってたから。」

「コウキさんに連絡しといたよ。コウキさん明日から大阪に一週間の出張なんだって。ボクと一緒に居ていいって。カイくんが落ち着くまではボクといていいっていってくれたからね。安心して。」

「ほんとに?じゃ、武蔵とあの部屋でしばらくは過ごせるんだね。嬉しいな。コウキには悪いけど・・・。」

「大丈夫だよ。悪いけど響夜さんとのことも話してる。だからコウキさんはカイくんの心の状態を多少なりはわかってるし、心配してる。カイくんは気にしなくていいんだよ。自分の事を考えよう。」

「うん・・・。」



『高瀬さんどうぞ』

診察室に入る。ユウも一緒なので先生は驚いたようだがユウの事も話しているので「キミがユウ君なんだね。いつも話に出て来るんだよ。」そういってユウの椅子も出してくれる。

オレはつまりながら、時々何も言えなくなる事もあったけど今までのこと、今日の事を正直に先生に話す。言葉が出ない時はユウがフォローしてくれた。

「海人くんはユウくんがいて良かったね。今は辛い気持ちなのはわかる。海人くんがしたことが良かったのか悪かったのかは誰にもわからない。その答えはこれからでるんだろうからね。海人くんは自分を責めない事。自分を愛してあげる事。ユウくんや武蔵が好きだって言えるのと同じように、自分を好きだって言えるようにならなきゃね。そのためにもちゃんと薬を飲んで寝る事。寝る事はとても大事なことなんだよ。海人くんはちゃんと眠れてないから余計な事まで考えてしまう。気分を楽に出来る薬も出しておくからね。それと、ちゃんとボクのところに来る事!!ボクが心配でたまらなくなっちゃうよ。」

「はい。先生。わかりました。約束します。」

「あ、ユウくんにもう少し話を聞いてもいいかな?海人くん一人で外で待ってられる?」

「先生、オレ子供じゃありませんからっ。」少し恥ずかしくて赤くなりながらそういうとオレは先に診察室を出てさっきのところに座った。先生はユウに何を聞きたいのかな?



「ユウ君ごめんね。海人くんがいる所では聞けないからね。」

「いいえ。かまいません。先生の聞きたい事って何ですか?」

「今の海人くんをユウくんはどう思う?」

「危ないですね。ボクは専門家じゃないからわからないけど、傍で見ているかぎりカイくんは心の限界に近いような気がします。もうどうでもいいって思ってるかも・・・。」

「そうか。海人くんは自分を責めるからね。自分が我慢して他の人が幸せになるならそれでもいいと思ってる。自分の幸せなんて考えちゃあいない。今、ボクが心配してるのは又、死のうと考えないかってこと。こんなこと初めて会ったキミに言うなんてDrとしては失格なのかもしれない。けれど海人くんには安心して傍にいてくれる誰かが必要だ。「フリ」をせずにね。だからキミの存在は海人くんにとってとても重要なんだよ。死のうとするっていうのは身体のことだけじゃない、心の事だ。キミにはそれを知っていて欲しかったんだ。心が死んでしまったら生きていても辛いだけだから。」

「先生のお話はわかりました。ボクもできるだけカイくんの傍にいようと思ってますし、しばらくはカイくんのマンションでコウキさんにはカイくんに会わないように話をして了解を取ってますので。何かあればここに連れてきます。」

「そうか。じゃ、何かあればすぐに連れて来て下さい。それと薬はちゃんと飲むように言っといてね。まずは睡眠をしっかり取らないといけない。」

「わかりました。ありがとうございました。じゃ、失礼します。」

カイくんは虚ろな目で何も見えてないように座っている。良く見ると長い睫毛が光ってる。眦には大きな今にも溢れて落ちそうな透明な雫が見えた。

「カイくん?」

あわてて手の甲で涙を拭うカイくんを毛布ごと抱きしめる。

「何も考えないでっていうのは無理だろうけど、今はボクが傍にいるよ。だれもカイくんを傷つけたりしない。安心して。」

コクンと頷くとカイくんはボクの身体に身を寄せる。温もりがあることを確認するかのように。

会計を済ませ、薬をもらうとボクとカイくんはマンションに戻った。武蔵のいる部屋へと・・・。





*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨゚・*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨゚゚*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨
いつも読んで下さってる皆様、今日初めて訪問して下さった皆様。読んで下さいましてありがとうございます。いつも感謝致しております(=゚ω゚=)b (音夜様パクリました。顔文字(笑))

病院での中での会話はあくまで私の頭の中で組み立てたものです。専門家ではありませんので「こんなことしないよ」って思っても、間違っててもお話なので許してくださいませ。



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~ Comment ~

(=゚ω゚=)b 

どーぞパクってくださいw
カイくんとユウくんは友情というより、なんだろ兄弟よりに近いというか、それ以上の何かを感じますよね。
響夜くんの兄弟、聖夜さんと雪夜さんも凄く二人を思ってますよね。
うーん…コウキくんはyはりエゴですよね。結局カイくんよりも自分の事が大事な様な気がします。
響夜くん、辛いですよね。けど、カイくんにあそこまで言われてしまうとどうする事も出来ないですよね。先が見えないですw 響夜くんとカイくんは愛し合ってるけどユウくんとカイくんの間にも愛がある気がするし…。
早くカイくんの心を救ってあげて欲しいです。

Re: (=゚ω゚=)b 

音夜様返コメおそくなってごめんなさい。(ノД<)ノほんまごめぇーん!!

ちょういと気分e-30でてか今も少しe-30してるけど、やっと浮上してきますたe-75病院の先生にも春先は気分が落ちやすいんだって言われてたんだけどどうも・・・。うまく付き合っていくしかありませぬ(。◠‿◠。✿)ぅんぅん

そういえば顔文字パクリOKありがとです。どんどんぱくっていきまっせ(笑)

さてさて、海人とユウについてですけど、まあ、「キミ空」72と73をよんで頂けたらわかっていただけるかなぁって思います。音夜様のコメ見てやっぱそう思う人もいるよねぇとは、かねがね私も思ってたんです。海人はユウにだけしっかり甘えてますからね。でも、そういう相手がいないと海人はダメになってしまうので必要なエンジェルさんなんですね。ユウは

あと、兄弟が仲がいいのは私の理想で願いです。私も兄弟いるけど長女で甘えさせてもらえず、厳しくしつけられて壊れている(笑)人間なので・・・。兄弟仲も家族仲もどうなんだろうな。って感じ。私は全然平気なんですけど。かまってほしくないので。ほんとなら一人暮らししやいのだけど、今のお給料では無理で・・・。過去にやらかしたことで一人暮らしのお許しはもらえないし・・・。

ああ、脱線しました。

コウキは自分のエゴがわかっていてもカイから離れることが出来ません。一度失ってから気がついたので執着しちゃってます。自分の事しか見えてないんです。なんとかせねば!!っておいっ(笑)

響夜はそらすんごい落ち込みまくりです。でも響夜は弱いキャラにはしてません。海人の言葉をそのまま受け止めてしまってますが、そこは杉野兄弟やユウ、麗華さん達がいますもの。響夜を無敵のヒーローにしてくれることでしょう。ってキャラまかせな私(笑)

海人を救うにはまず周りからなので、もう少しお待ち下さいませ。

コメ(。◕‿-) ありがとう ✿
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