キミと空とネコと

キミと空とネコと80

 ←キミと空とネコと79 →キミと空とネコと81



「ちょっと、聖夜っ!!どういうことなのかちゃんと説明しなさいっ!!!」

『Garden Of The Angel』の社長室に怒鳴り込んできた麗華の剣幕に、聖夜は持っていた書類を床にバラまく。

さっき、麗華から

「今、どこにいるのっ?会社ねっ。いいこと、20分で行くからそこにいなさいよっ!!」

って有無を言わせぬ電話が入り、返事を待つことなく切れた電話からきっちり20分で受付から、

「麗華さんがお見えなのですが・・・あっ・・・」

と聞こえたと思ったら、麗華がもう社長室に入ってきていきなり怒鳴られたのだ。

聖夜にしてみれば何の事かわからず、頭に???な状態で唖然と麗華を見ていたのが余計に麗華を怒らせてしまったらしい。

「落ち着け。麗華。何の事だか話がわからない。」

「よくもまぁ、抜けぬけとそんな事が言えるわねっ!!アンタの弟のせいよっ!!響夜のせいでっ!!」

そう言うなり麗華の目からはポロポロと涙が溢れだし、聖夜の胸をバンバンと叩く。

「返してよっ!!返してっ!!元の海人くんを返してよっ!!」

えっ?海人くん?カイくん?

「どういうことだ!!麗華っ。カイくんがどうしたんだっ!!泣いてないで、ちゃんと話を聞かせてくれ。」

それでも、麗華の涙は止まらず嗚咽が溢れている。

聖夜は麗華を落ち着かせるように麗華を抱きしめ背中をなでる。まるで子供をなだめるように・・・。

麗華の嗚咽の声だけがしばらくしていた社長室に静寂が訪れる。

麗華は聖夜から離れると涙を拭き、聖夜を睨むように見る。

「私、出張に行ってたわ。アメリカに2週間。行く前はあんなじゃなかった。苦しそうだったけど、ちゃんと感情を出してた。表情が海人くんにはあった。でも、さっき帰ってきて会社に行ったら海人くんは・・・。」

「カイくんがどうだったんだっ!!」

「仕事はちゃんとしてたわ。声掛けにも質問にもちゃんと答える。でもねっ、感情のないロボットみたいな海人くんになってた!!どうしてっ?この2週間に何があったのよっ!!聖夜、答えなさいよっ!!」

再び麗華の目からは大粒の涙が溢れだす。

しばらく考えて聖夜は電話の内線でユウを呼び出す。

「水野です。社長お呼びですか?」

社長室に入ってきたユウは麗華の顔と散乱した床の書類、聖夜の顔を見て驚く。

「ッ社長、麗華さん?どうしたんです?」

「水野くん、この2週間キミはカイくんと連絡を取っていないのかい?」

なんでカイくんのことでこんな事になってるんだ?といぶかしく思ったユウだったが、確かにこの2週間ほど、新しい企画の事で忙しく、武蔵の世話はしていたがカイくんとはメールのやり取りをしただけだ。そのメールではおかしな様子も見られなかった。カイくんにも会えてないのにもちろんコウキと連絡したわけじゃない。だから二人がどうなってるのかユウにはわからない。だけど昼間はマンションで休憩してるようだったから、あまり気にしていなかった。

「企画が忙しくて、この2週間ではメールのやり取りをするくらいでした。昼間はマンションで休憩してる様子でした。メールの内容も普段とあまり変わらなかった・・・。社長?カイくんどうかしたんですか?」

「ユウくんも海人くんの傍にはいなかったのね。あの子、一人だったのね。武蔵くん以外に心を開ける相手がいなかったのね。」

「そういえば、最後に電話で話した時、『今日でマンション生活も終りだ。コウキが出張で戻ってくるから』って少し沈んでた・・・。」

ユウはその時のカイトの電話の声を思い出し、嫌な予感に囚われる。

「私はそのコウキって男に会ったわ。会社まで海人くんを迎えに来てた。その次の日に私は急な出張が入っちゃって留守にしてて、海人くんの様子がこんなになってるなんて思わなかった。彰人も私の変わりに忙しくて、海人くんにまで気が回ってなかったの。聖夜を責めるのはお門違いなのはわかってる。彰人がもっと早くに気が付けなかった。私達の配慮不足なのはわかってるけど、原因は響夜にもあるでしょ。響夜は何してるのっ!!」

「カイくん、どうしたんですかっ!!」

ユウの悲痛な叫びに聖夜が今のカイトの様子をユウに話す。

「そんなっ!!ボクの責任でもある。忙しさにかまけてた。メールだけで大丈夫だなんて思ってた。あの日あんなに沈んだ声をしていたのに・・・。」

いたたまれない空気が社長室に広がる。

「まずはカイくんをコウキって奴から離すことだな。」

冷静に聖夜が呟く。

「今ならまだ海人くんは会社にいるはずっ!!彰人にカイくんをここに連れてくるように言うわ。」

麗華さんは携帯で彰人に連絡する。

「彰人、すぐにここに海人くんを連れてきて。アナタがよっ。他の人に任せちゃだめよっ!!」

聖夜は雪夜と響夜に連絡する。

響夜も小田切とか言う編集者とやりあって、やっと自分がリードして仕事が出来るようになったのは今日からのはず。この2週間は誰も、カイトの様子や、何があったのかわからないのだ。

誰もしゃべることなく時間だけが過ぎて行く。

麗華が電話してから30分ほどしてカイトは彰人に連れられて来た。

そのカイトをみて4人とも何も言えず、麗華とユウは涙を流し、聖夜と彰人は苦悶の表情をするしか出来なかった。

そこにいたカイトの顔に表情はなく、何も見えてないかのような虚ろな目とその下には黒い隅が出来ており、身体は一回り小さくなり、着ている服から出ている手や首は細く、白く、赤い鬱血痕が薄いのや濃いものが見られる。左手の傷は何も隠されておらず、カイトが諦めたのだとそこにいる誰にもわかった。





「拍手&ぽちっ」(。◕‿-) ありがとう ✿励みになっております☸ヾ(。╹ω╹。)ノ☸感謝((ヾ(。・ω・)ノ☆゚


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト





もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ご挨拶
もくじ  3kaku_s_L.png 貴方の腕の中で
総もくじ  3kaku_s_L.png キミと空とネコと
もくじ  3kaku_s_L.png S.S
もくじ  3kaku_s_L.png イラスト
もくじ  3kaku_s_L.png 頂きもの☆
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 新撰組物語
  • [キミと空とネコと79]へ
  • [キミと空とネコと81]へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます 

このコメントは管理人のみ閲覧できます

 

麗華さんは海人くんを凄く大事にしてるんですよね。本当は他人なのにここまで感情的になるのは自分の弟の様に海人くんの事を本気で心配してるからでしょうね。
海人くんはまた殻に閉じこもってしまった(ノд`)外から強引にこじ開けても逆効果なのかな。ダメなんでしょうね、また海人くんが傷つきそうだし。だからといって、このままでは心だけじゃなく体まで病んでしまいそうだし。
うーん…難しいなぁ。最後にはやはり海くんが自力でフィールドを破らなきゃいけない気がするんだけど。
コウキくんもそんな気持ちの海くんと居て本当に幸せなんかなぁ。
響夜くん、早く助けに来いーっ

Re: 何もできなくて‥ごめんなさい‥ 

こんばんは☆

H様、お気遣いありがとうございます。

ちょっとまいってるかも・・・ですね。よくお気づきになられましたね。

麗華さんもイマイチ状況がわかってないけど、とにかくカイトが大事で、響夜ならこんなことになる前に動くだろうと思ってたところがこうなっちゃって・・・。矛先を響夜に向けて・・・。自分も大切にするつもりだったのに、自分がいない時にこうなってしまった事への八つ当たりですね。聖夜も響夜も可哀想かな。

でも、これからは強い味方が傍にいつもついてるので大丈夫だと思います。
見守ってくださるとありがたいです。

コメありがとうございました。

Re: タイトルなし 

音夜様こんばんは☆

麗華さんは海人が大好きですね。そう弟のように思っています。かわいい子は誰でも好きですもの女って・・・。

海人は自分の中にこもる事で自分を守っています。それさえ危ういですよねぇ。心って自分にしかわからないからなぁ。

でも、まわりには海人の心をわかろうとする味方がいます。きっとその気持ちが海人に伝われば大丈夫なんだけど、そう一番は響夜の存在と言葉、温もりですよね。

自分で殻を破るにしても、響夜に愛されている。みんなに愛されているという自信を海人が持たないと同じ事の繰り返しになりそうやし・・・。

コウキもわかりはじめてるんですけど、一度海人と離れてやっと取り戻したから、手放せないんですよね。又、コウキの気持ちも書ければいいんですけど・・・。

とにかく、まずは海人を戻さないとね。
ちょい、苦しんでまつ!!!▄█▀█●ガーン† Rin †がですけど(笑)

やっぱ文才ないなぁ・・・。でも頑張りますキラリo(`・ω´・+o) ぅぃ

コメありがとでした(*'ω`*)ゞ
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • [キミと空とネコと79]へ
  • [キミと空とネコと81]へ