キミと空とネコと

キミと空とネコと81

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夜になって社長室には重苦しい雰囲気が漂っていた。

社長室にいるのは聖夜、雪夜、麗華、彰人、ユウ、そして響夜。

ソファーに座っている海人の目はどこをみているのか・・・。



響夜は海人を見て驚愕し、しばらく声も出せずにいた。今の海人の状態を信じたくない気持ちでいっぱいで。どうしてこんな事になってしまったのかわからずにショックを受けていた。おそるおそる海人の目の前に目線を合わせて「カイト。」と声をかけても海人は反応しない。海人の目は響夜を映していなかった。瞳に響夜は映っているのに、「カイト。」と呼ぶ声も聞こえているはずなのに、カイトはこちら側へと戻って来ない。

カイトの細くなった身体を響夜はぎゅっと抱きしめ「カイト。」と声をかけると身体が一瞬ビクンと動くも、響夜と認識したわけではなく、海人から出てきた言葉は

「コウキ、今日もするの?」

だった。響夜は思わず海人の目をみるが、海人の目は虚空を彷徨うかのように揺れていた。身体を離すとホッとしたように海人の身体の緊張はとける。

「カイくんボクのことはわかる?」

「ユウでしょ。わかるよ。変なユウ。」

海人が自分を認識していることにホッとするユウ。その後、そこにいる一人一人が海人に声をかけると、ちゃんと認識はしている。響夜以外は・・・。

そう海人は響夜だけは声をかけても響夜がわからなかった。口元だけ少し微笑んで

「貴方は誰?」

響夜に返って来たのはそんな言葉だった。

聖夜が響夜の事を話しても、他の誰もが話しても、響夜の記憶だけがすっぽりと抜け落ちたように響夜の事が海人にはわからなかった。

響夜は何故自分の事だけが海人の記憶の中からなくなっているのかわからずに焦っていた。

「カイトっ。オレがわからないのかっ!!」と海人を揺するように腕を掴むと海人の身体は強張りおびえる。

「コウキ。ごめんなさい。嫌がらないから。何でもコウキの好きなようにしていいから怒らないで。」

おびえて言う海人。

「オレはコウキじゃない・・・。」

海人から手を離し、響夜は小さな声で呟く。酷くショックを受けている響夜に周りの誰も何と言っていいのかわからずに声もかけられない。


「コウキじゃない?そうだ。コウキの帰ってくる時間だ。麗華さん、もう帰らないと。コウキが怒りますからオレを会社に戻してください。携帯も忘れてて・・・。きっとコウキは何度も電話してきてると思うし。」

「大丈夫だよ。カイくん。今日はボクの所に泊まるってコウキさんに連絡してるから。カイくんの都合も聞かずに勝手に決めてごめんね。ボクやっと休み取れたからカイくんと過ごしたくて・・・。」

思わずユウは海人にそう言っていた。

「そうなの?ユウ仕事忙しくないの?今日は帰らなくていいの?」

海人は子供のように言う。以前の海人とは全く違う。ユウは海人をコウキに渡すつもりはなく、海人に危ぶまれないように嘘をついた。その嘘に海人は心底安堵している。

「そうか。今日はコウキに会わないでいいんだ。ちゃんと眠れるんだ。武蔵と・・・。」

呟いた海人の言葉に社長室にいる人みんなが心を痛めた。その部屋にいる誰もが、海人がこうなってしまったのはコウキと一緒に過ごしているからなのだと理解する。もう海人をコウキに会わせてはいけない。海人からコウキを離さなければ二度と海人は戻って来ないのだと思う。

こうなってしまっている海人に執拗に身体を求めているコウキは今の海人の状態をわかっているはず。それでも手放さず身体を求めるという状態に、コウキが海人に執着していることを強く感じる。今頃、コウキは海人を探し回っているだろう。

「カイくんの携帯はここにはないんですね。カイくんGPS付けられていて自由がなかったんです。ボクの所はコウキさんも知っているので、カイくんがマンションにいる時はボクの所にいると思われてて大丈夫だったんです。コンビニに行ってた時でさえ『今どこだ』って電話がかかってくるって言ってましたカイくん。」

「うん。カイくんの荷物は置いたまま連れてきたから・・・。荷物持たずに来て正解だったな。」

「とにかくまずはカイくんをどうしたらいいのか考えないといけないんじゃないか?。」

「カイくんの通っている心療内科にまず連れて行かないと。ボク、一緒に行った事があるので病院も先生のことも知ってます。」

「今日の診察時間はもう終わってるから、明日、水野クンが連れていってくれるかな?」

「もちろんです。でもコウキさんも知ってるから病院に電話してきたり、病院に来たりするかもしれない・・・。」

「オレもついて行く。」

静かに響夜が言う。

「でも響夜さんのことカイくんは覚えてないのに響夜さん辛くないですか?」

「辛いよ。なんでオレの事だけ忘れてるのか・・・。でもオレのそんな気持ちより、カイトの心の方が心配だ。」

「そうですか。響夜さんが一緒ならボクは安心です。それにカイくんは響夜さんと一緒にいることで思い出すかもしれないですもんね。」

まずは病院で診てもらってからどうするのか考えることにする。

その時、ユウの携帯にコウキから電話がかかってきた。

「どうしよう。コウキさんだ。一緒にいるとは言えないし・・・。」

「知らないって言っとけよ。そいつが必死に探そうが関係ねぇ。そいつに二度とカイトを会わせるつもりねぇから。」

響夜が静かに言う。静かに言うからこそ響夜が真剣にコウキに対して憤りを感じている事がわかる。何とかその憤りを押さえようとしているのだ。海人を怖がらせないために。

「はい。どうしたんですか?はい。ボクはまだ会社で仕事してますけど。ええ。そうなんですか?いえ、今日会う約束はしてません。ボク仕事が忙しくてカイくんと2週間会ってないの知ってるでしょ。昼休みにボクのマンションに?ああ、鍵渡してるんです。会社で昼休憩とるより、ボクのマンションで過ごしたいってカイくんが言うから。そうですよ。はい、じゃ仕事残ってるので。ええ、連絡が有ればお知らせしますね。じゃ。」

海人以外のみんながユウを見ている。

「やっぱりコウキさんはカイくんを探しているようです。会社にいるみたいなのに会社に電話してもカイくんはいないって言われる。家に帰ってもいないからボクに電話してきたみたいです。」

「彰人、会社に帰ったら海人くんの携帯の電源はOFFにしてカイくんのマンションに持っていって頂戴。GPSまで付けてるなんて粘着質な男ねっ!!信じられないわ。」

麗華の怒りは膨らんで行くばかり。それはそこにいる誰もがそうなのだが・・・。

「今日はボクがカイくんのマンションに泊まります。社長、明日はボク会社休みます。仕事の方は一段落しているので明日1日休んでも支障はありませんから。」

「わかった。ぜひそうしてくれ。病院に行ったらどうすればいいのか聞いて教えて欲しい。ここにいるみんなが知りたいと思っていることだから。明日、又集まろう。水野くんはカイくんと一緒にいてくれたらいい。」

「オレも一緒はダメか?ユウ。」

「響夜さん、今日はボクと二人にしてくれませんか?きっとその方がカイくんは落ち着いていられると思うので。」

「そうか。わかった。でも病院はオレも付いて行くから、行く時は連絡してくれ。車で迎えに行くから。」

「はい。すいません響夜さん。明日はお願いします。」

「今日もオレがマンションまで送るよ。車で来てるから。」

「はい。響夜さんお願いします。」

「カイくん。帰るよ。今日は響夜さんがマンションまで車で送ってくれるって。良かったね。」

「車で帰るの?響夜さん?オレ荷物会社に置いたままだよ。」

「海人くんの荷物はボクがマンションまで持っていくから先に帰っていいよ。」

「店長、すいません。ありがとうございます。」

会話は普通に出来ている。ただ、海人の話す言葉に感情は見えない。

とにかく、 病院で診察を受けてから対策を練る事にし、今日は解散となる。

海人とユウと響夜は3人で車に乗り込む。

車はマンションに向けて静かに走り出した。




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昨日は更新出来ませんでした。ゴメンなさい。仕事から帰ってご飯食べていつの間にか寝てて起きたら朝でした!!!▄█▀█●ガーン

「薄桜鬼」のゲームにハマリ、4作も買ってしまい、その上「二世の契り」2作「非色の欠片」3作「学園ヘヴン」とゲームばかりを購入しているこの頃なのです。「薄桜鬼」「二世の契り」はキャラの声が最高に好きです。特に「薄桜鬼」はどのキャラの声も好きです。「非色の欠片」は真弘先輩の声が・・・。「薄桜鬼」はBGMもいいんですよね。繰り返し聞いててもうるさくないと思う。「薄桜鬼」はたくさんゲームが出てるけど、やっぱ一番最初のが面白かった。クリアしたけど、もう一回したいと思うもん。ゲームにはまりすぎの† Rin †でした。


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