キミと空とネコと84

海人は色のない世界の中にいる。

もう自分が何なのか、どうなっているのか考えられなくなっていた。いや、考えようと思わなくなった。

心が悲鳴をあげていて防衛反応なのか心を殺していたのだ。無意識に･･･。

惰性でか何なのかわからずに毎日を生きている。

心が響夜を求め、身体はコウキに蝕まれていく。その現実から逃げ出している。

昨日が過ぎて、今日をやり過ごしても逃げようのない明日はやってくる。それの繰り返しの毎日。

その中で響夜の事は叶わない恋だと心が嘆く。

わかってた事、コウキといる限り、例えコウキと離れたとしても結ばれることのない恋。

響夜は普通の恋愛の出来る人。いつか女の人と恋をして結婚し、子供が生まれ普通の暮らしをして生きていくことの出来る人。オレと関わりを持たなければ幸せな人生を送る事の出来る人。ならば、オレと関わっちゃダメだ。オレみたいに男しか愛せないんじゃないんだから･･･。でも、心の中だけで思っている事は許して･･･。毎晩コウキに抱かれながらもそんな事を思うオレは汚いと思う。響夜を穢してるような気がする。心が麻痺したならこんなに苦しいことはないんだろうか？

オレのマンションの中にいる時はほんとのオレ。そう思っていたけど、どうなんだろう？

もうオレはおかしくなっているのかな？

何だか考えが支離滅裂だ。

どうにかしたい気持ちなんてもうない。どうでもいい。

そもそも人と関わらず一人で生きて行くと決めてたはずなのに、響夜たちと出逢って、いろんな人と関わり生活をしだしたのが間違いだったんだ。

ああ、今日もコウキに抱かれるのだと思ったら思わず叫んでしまう。

「ヤメテーーー。もう嫌だっ。」と･･･。

でもその時に聞こえた声は響夜のもので、何度も背中をさすりながら「大丈夫だ。オレが傍にいる。」と繰り返し言ってくれる。

夢の中の出来事だとわかっていたけど、それでさえ嬉しくて耳元の響夜の声に安心してしまう。

今日の夢は幸せだなって思う。

インフルエンザの時のようにお粥を食べさせてくれた。

夢の中なのか現実なのかなんて海人にはわかっていない。

ふと目を覚ますと目の前に誰かの胸がある。一瞬コウキかと思ってビクンとしたけど違う。コウキじゃない安心出来る胸。海人を包みこむように抱きしめていてくれる。

海人は視線を上にあげる。そこにはキレイな響夜の顔。月明かりに照らされて長い前髪が頬にかかっている。もっとちゃんと響夜の顔を見たくて頬にかかった前髪をのける。オレの好きな響夜だ。サラサラの黒い髪の毛はいつも通りにポニーテールでしばらくその毛先を触って遊ぶ。

くすぐったいのか身じろぎをする響夜だけど、優しくオレを抱く手は包みこんでくれていて･･･。

なんて幸せな夢なんだろう。このまま夢が覚めなければいいのにな。

そして響夜の胸にポスンと顔を埋める。

今日の夢はやけにリアルだ。響夜のトクントクンという心音まで聞こえてとても温かい。

夢の中なら遠慮することなんてないから思い切り響夜に寄り沿う。

響夜に甘えるように身体を寄せると、響夜はオレを抱きしめなおす。ギュッて･･･。

それが「もう離さない。」って言ってくれているようで嬉しい。

「響夜好き。」小さく胸の中で呟いて響夜のトクントクンという心音を聞いて安心する。

暗闇が迫ってきた。

ああ、この夢ももう終わりなんだなと思いながら暗闇の中に沈んで行く。

幸せと悲しみを運んで･･･。

それでも響夜の夢を見られた事が嬉しくて海人の寝顔は微笑んでいるようだった。




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ご訪問ありがとうございます。今日は短いです。中途半端なので切ってしまいました（汗）夢か現実かわからなくても響夜を感じられて幸せな海人を書きたかったので･･･。
「ポニーテール」と書いて『薄桜鬼』の土方さんが見たくなりゲームを始めてしまった!!私は結局一番最初の『薄桜鬼』のゲームが好きです。リプレイしてます（笑）でも「原田　左之助」が甘くて好きだったりもする。カッコイイし。みんな髪の毛長いんだよね。左之助も斉藤　一クンも･･･。今は沖田編をリプレイ中（笑）







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