キミと空とネコと

キミと空とネコと86

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「病院なんてオレは行かないっ!!」

海人は頑なに病院へ行く事を拒む。

「でもカイくん・・・。」

「行かないってばっ!!」

地団駄を踏み出した海人を響夜が優しく抱きしめる。

「・・・っ!!」

海人の身体が強張るが響夜は優しく抱いたまま海人に静かに話しかける。

「いいよ。海人が行きたくないなら行かなくてもいい。」

その言葉に安心したように海人の身体は弛緩し抱きしめている響夜の腕を掴む。

「響夜さん、そんなこと言っちゃってダメですよ。病院に行かないと。これからどうすればいいのか先生に相談しなくちゃ。」

「こんなに海人が嫌がってんだ。病院に行ったところで海人は話さないと思うぜ。それより今は海人が心穏やかに過ごせるようにしてやるほうがいいとオレは思う。なっ。海人。」

響夜に目を見つめられて、急に恥ずかしくなる海人だけど、響夜の言葉が嬉しくて

「響夜さんの言うようにゆっくりしたい。」

響夜の腕をぎゅっと掴んで海人は言う。この人はオレの事を考えてくれるんだな。安心出来るなぁ。と思いつつ響夜の青みがかった黒い瞳を見る。「あれっ。この目をオレは知っている。」と思い考えるが思い出せない。

「仕方ないな。じゃ、今日は家でのんびりしようか。」

「じゃ、ボクは病院の時間だからこれで失礼するよ。カイくん、お粥が食べたかったら遠慮なく言ってね。じゃ、行ってきます。」

雪夜が出て行って3人になるとふいに会話が途切れる。

ユウがそうだっと思いついた顔をする。

「カイくん、昨日はお風呂に入ってないから今から入る?入浴剤も入れてゆっくりしない?」

海人の香りに包まれたら海人の意識へ刺激になるかもしれないとユウは思ったのだ。

「うん。そうしようかな。」

「じゃ、お風呂の用意するね。」

ユウがお風呂場に行ってしまい2人きりになると海人は居心地悪そうにキョロキョロと辺りを見渡す。

「海人、オレの事が怖いか?」

「えっ。・・・そんな・・・こと・・・ない。」

そう言いながらも響夜との距離を取ろうとする海人の行動に響夜は切なくなる。

「いいんだ。知らない人間は怖いよな。でも海人、オレは海人の味方だぞ。海人を守ってやるから。」

「味方・・・?何からオレを守ろうとしてるんだ?」

「海人を苦しめる全てからだ。」

「そんなの無理だよ。オレの事を何も知らないクセにそんなこと言うなんて自意識過剰なんじゃないの?」

海人は響夜を胡散臭そうに見ながら、こんな言葉は信じないといった感じだ。

「信じられなくても、オレはそのつもりだから。海人が嫌じゃなかったら傍にいることを許して欲しいんだ。」

「オレあんまり人と関わりたくないんだよね。一人でいたい。」

「でも、一人が寂しい時もあるだろ。買い物したら荷物持ちでも何でもするし、用心棒にもなるぜ。話相手にもなるし、車で好きなところにも連れて行ってやる。」

海人が人と関わりあいを持ちたくないのは本心なのだが、響夜の言葉にこの人が傍にいれば楽しそうだと思う自分もいる。心の中で「いいよ」と言う自分と「ダメだ」と言う自分がいて葛藤する。

「ダメだ」と言おうとして響夜の目を見たとたん、トクンと心臓が跳ねた。そして口は「わかった。いいよ。」と言ってしまっていた。海人自身、どうしてそんな事を言ってしまったのかわからない。呆然と自分の発した言葉が頭の中でリフレインする。海人は自分の唇を押さえる。「どうして、いいよなんて言っちゃったんだ?この人はオレの心を乱す人だ。だけど、それが嫌じゃない。何で?」

「いいよ」と言われた響夜は嬉しくて海人に抱き付き「そうか。ありがとう。海人。」と嬉しそうに笑う。そんな響夜の笑顔に海人は顔が赤くなってくる。

(オレの言葉でこんなに喜んでるこの人は何なんだ?オレの方が恥ずかしくなる。でもすごく嬉しそうなのは何でだろう。オレと一緒に居ることが嬉しいなんてかわった人だな。)

「カイくん、お風呂わいたよ。」

ユウに促され脱衣所で服を脱ぐと風呂場に入る。真っ先に見えたのは鏡に映る自分の姿。身体のいたるところに赤いしるしがついている。

「・・・くっ・・・。」

海人の目からは涙が次々と溢れてくる。

「オレは汚い。男なのにこんな姿。まるで女みたいだ・・・。コウキの傍に居る限りこの呪縛が解ける事は無いような気がする。でも、コウキをほったらかしには出来ない。オレはどうすれば・・・」

シャワーに打たれながら、身体をゴシゴシと洗う。そんなことでこの跡を消すことは出来ないとわかってても、消したくて身体が真っ赤になるまでこする。海人の大きな目からは大粒の涙が止め処もなく溢れてくる。

あまりにも海人が風呂場から出て来ないので響夜が風呂場にやってきた。

「海人大丈夫なのか?開けるぞ。」

「イヤッ。見ないで下さい。」

「バカっ。何してるんだ海人。身体中真っ赤じゃないかっ!!」

「いいんです。オレの身体は汚いからこうでもしないとキレイにならない。これでもダメなんだ。オレは汚れている。・・・っく・・・。うっ・・・。」

「バカだな海人は・・・。」

優しい響夜の声に下を向いていた海人が顔を上げる。

「うっ・・・。だって・・・っぅぅ・・・。」

「海人はこんなにキレイじゃないか。鏡を見てご覧。赤いしるしはいつかは消えるよ。海人はどこも汚れちゃいない。オレはキレイだと思うよ。さあ、そのスポンジを貸して。オレが洗ってやるよ。オレがキレイにしてやる。」

「ほんとに?オレは汚れてない?汚いと響夜さんは思わないの?」

「思わない。だから安心しろ。誰がどう言おうともオレは海人はキレイだって思うぞ。」

そして海人の手からスポンジを取ると身体中を丁寧に洗う。性的なものは一切なく、清めるように海人の身体を洗う。

「この入浴剤は良い香りだな。海人のイメージだ。清廉なバラの香り。」

「そうだよ。聖夜さんとユウがオレの為に作ってくれた。」

「ほれ、洗い終わったから湯船に浸かれ。」

ジャブンと浴槽に浸かる。

「何も考えずに今日はゆっくりしたらいい。たまにはそんな日があってもいいと思うぜ。じゃ、オレは外に出るから、海人はちゃんと温まって来いよ。」

響夜が出て行ってから海人は響夜の言葉に救われている自分に気が付く。

「何なんだろうあの人は・・・。でも、あの人の事はオレを救ってくれる。」

頭までジャブンと浸かりバラの香りの中で考え続ける海人だが答えは出て来ない。

ただ、嫌な人ではない。傍にいると安心できて気持ちが楽になる人のようだと思っている自分に、頭を傾げる海人だった。どうしてなんだろう・・・。




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ご訪問くださいました皆様ありがとうございます。ちっとも話が進まなくてごめんなさい。今日は夕方の更新になりましたが、明日は0時に更新できそうですので、起きてらっしゃったら覗きに来てくだされば嬉しいです。勝手して申し訳ありません。ではでは・・・(*'ω`*)ゞ

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