キミと空とネコと

キミと空とネコと97

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夜になり買い物袋を抱えた聖夜と雪夜がやってきた。

「雪夜はオレの事を兄とは思っていないらしい。」

たくさんの荷物を抱えた聖夜が不満げに漏らす。

「何を言ってるんだよ。兄さんだと思ってますよ。だからこそ荷物を持ってくれって頼んだんです。身内と思ってるから甘えられるんですよ、聖夜兄さん。」

ニコニコしながら雪夜が言うと

「こんなにたくさんだとは聞いていない。ものは言いようだな。雪夜。オマエの笑顔にはいつも騙されてきた。笑顔の裏に何かあるからな雪夜は。」

「酷い言われようですね。今日は海人くんのためにおいしいものを作るために必要な荷物なんですから兄さんも手伝ってくれても罰は当たらないはずです。兄さんも海人くんのためなら苦とも思わないはずです。」

「まあカイくんのためなら致しかたが無い。」

とたんにニコニコしだす聖夜に(オレ達兄弟はどんだけ海人に甘いんだ?てか海人ってやっぱり魔性か?兄貴達を手玉にとってねぇ?)心の声は出さずに兄貴達を招き入れる。

海人はリビングで武蔵にご飯の用意をしていたが、オレ以外の人の気配を感じて寝室に逃げてしまう。

「おーーい。海人聖夜と雪夜が来たぞ。大丈夫だから出て来い。」

しーーんとした空気に聖夜と雪夜が顔を見合わせる。

「すまん。海人は聖夜と雪夜の事を忘れてる。会えば思い出すと思うから。あと海人はしゃべらない。いやしゃべれないのか。よくわかんねぇけど。話ている事はわかるようなんだけどしゃべらない。表情で読み解くしかないんだ。」

「わかった。今のカイくんを受け入れるから大丈夫だ。」

「そうだね。あせることはないんだ。海人くんの受けた心の傷を思えば仕方の無いことだよ。」

「聖夜、雪夜ありがとう。じゃオレ海人を連れてくるから。」

寝室にいくと布団をかぶり丸まっている海人の傍に行く。

「海人怖いのか?大丈夫だ。オレの兄貴だし、今日は海人に会いたくてたくさんのお土産を持って来てくれたんだぞ。おいしいご飯も雪夜が作ってくれる。」

それでも布団から出てこようとはしない。

「無理ならいいんだ。海人が嫌がる事をしたくないし。ただ、オレは寂しいかな。オレの兄貴だからさ。海人に会って欲しいって思ったんだ。会えば海人も知ってる人だと思うんだけどな。」

オレの「寂しい」と言う言葉に海人はピクンと身体を揺らし、顔だけ布団から覗かせる。

「海人の顔、兄貴達に見せてやってくれないかな。あの2人も海人の事心配してるんだ。安心させてやって欲しい。海人がそうしてくれたらオレはすごく嬉しいんだけどな。」

海人はしばらく考え込んでいたけど、布団からもそもそと出てきてオレの手を握りリビングへ行こうと引っ張る。

「海人、ありがとな。」

頭をぽんぽんと叩くと嬉しそうに目を細める。

オレの後に引っ付いてくる海人と一緒にリビングに戻ると聖夜は雪夜が入れたのであろうコーヒーを飲み、雪夜は夕飯の支度をしていた。

「海人を連れてきたぜ。」

オレの後に隠れていた海人だが、顔だけをだし聖夜と雪夜を見る。しばらくいぶかしげに2人を見ていたが、うんうんと頷きオレを見る。

「海人。思い出したか?なっ。知ってる人だっただろ。」

「カイくんこんばんは。お邪魔してるよ。」

「海人くん。身体の調子はどう?今日はおいしいご飯を作るからね。」

二人の言葉に嬉しそうに笑顔を見せる海人に聖夜も雪夜も安心したようだ。

「後で傷を見せてね海人くん。響夜はちゃんと手当てをしているだろうけど塗り薬を変えたほうがいいかもしれない。今塗っている薬はきついからね。傷に合わせた薬をつかわないとね。」

「カイくんこっちにおいで。」

聖夜の言葉に素直に傍に行く。

「目が覚めて本当によかったよ。みんな心配したんだよ。カイくんの周りには心配症ばっかりなんだよ。」

海人を抱きしめて離さない聖夜に響夜の苦々しげな表情を見た雪夜は苦笑する。

「聖夜、いつまで海人を抱きしめてるんだよ。海人もいつまでも引っ付いてるんじゃない。こっちに来い。」

響夜が怒ってると思ったのかあわてて海人は聖夜を押しのけて響夜の所へ戻り響夜を見る。その目がいじらしくて可愛くて響夜はぎゅっと海人を抱きしめる。

「海人を怒ってるんじゃないぞ。聖夜に怒ってるんだ。オレが海人を怒るわけないだろ。でもな海人。オレ以外の人間に抱きついたり抱きつかれるのはやめてくれ。オレの身が持たないから。わかったな。」

ぎゅっと抱きしめ返してくれるのが海人の返事。

ポンポンと頭を叩きもう一度ぎゅっと力を込めて抱きしめる。

「・・・キョウヤ・・・」

「しゃべってるじゃないか。」

「この言葉だけだ。」

「そうか。やっぱり一度病院に行っておいたほうがいいな。Drにも現状を知っておいてもらったほうがいい。」

「そうだね。また何かあって過呼吸にならないとも限らないしね。睡眠薬もあったほうがいい。」

「そうだな。海人が嫌がらなければ行って見ようと思う。ユウがDrの事を知ってるからユウも連れて行きたいんだけど、聖夜、明日はユウの仕事はどうだ?忙しいのならオレ一人で連れていくけど。」

「どうだろう。本人に聞いてみないと何とも言えないな。連絡してみるか。」

早速ユウに連絡を取ると部屋に戻ってきているらしく、どのみち一緒に病院に行くならユウにも会っておいた方がいいだろうとこの部屋に来るように言うとユウはすぐに来た。

「カイくん元気かな?」

新しく来た人間に少し警戒したようだったが、心配そうに見つめるユウに少し微笑んでぎゅっとユウを抱きしめる海人。しかし次の瞬間、あわててユウから離れて響夜を不安げに見つめる。さっき言った「抱きついたり抱きつかれるのはやめてくれ」と言った言葉を思い出したらしい。

「いいんだ。ユウは。海人の一番の友達だからな。」

海人は安心したように響夜の傍に来て座り込む。

「カイくんはすごく響夜さんになついてるね。この前まで響夜さんの事を忘れてたのに・・・。」

「ああ。反対に今じゃ響夜の傍から離れようともしないよ。」

「響夜さんの傍が安心なんだねカイくんは。」

「そのようだ。」

響夜の傍で響夜を見上げている海人とそれを愛しむように見つめ頭をポンポンと叩いている響夜の様子に聖夜とユウは眩しいものを見るかのように目を細める。しゃべれなくても響夜には海人の気持ちがわかるし、海人も響夜には素直に甘えている。穏やかな空気が2人の間に流れている。

「さぁ、ご飯が出来たからみんなで食べよう。ユウくん手伝ってくれるかな。」

「ええ。喜んで雪夜さん。」

「おやおやこちらも何だか甘い匂いがするな。」

ひとりごちて微笑む聖夜に雪夜もユウも気が付かず・・・。響夜と海人は誰がいようとかまわずのようでいつもの2人はこんな風なのだろうと想像する。

その夜は久し振りににぎやかな夕食を楽しむ。

海人も聖夜と雪夜とユウに警戒することなく打ち解けたようだ。楽しい夕食は心地よい疲労を海人に運んできたようで、まぁ多少のアルコールも原因なのだが。眠そうにする海人を促しベッドへ寝かせるとすぐに海人は眠りの世界に落ちて行った。響夜は静かにドアを閉めリビングに戻る。

リビングでは夕飯のものは片付けられ、アルコールとつまみが並べられていた。

「響夜。頑張ってるな。安心したよ。」

「ああ。」

「海人くんはちゃんと眠れているのかい?」

「まぁ殆どはな。だがたまにうなされている事があるよ。」

「今日目が覚めたんですよね。こんなに早く寝ちゃうなんてやっぱり体力は落ちているのかな。」

「そうだな。昼寝もしたんだがまだ回復してないだろうな。数日ぶりに起きてメシ食ったり風呂入ったり、人と会ったりしたから疲れてるんだろう。」

「水野くん明日の夕方悪いけど響夜と一緒に病院に行ってくれないか?」

「悪いだなんていわないで下さい社長。ボクはカイくんのために何か出来るならこんなに嬉しい事はないんですから。もちろん仕事にも支障はないですから安心してください。」

「ごめんなユウ。頼んだ。」

「ボクからもお願いするよ。響夜だけでは心もとなくて・・・。」

「雪夜どういう意味だ?」

「そのまんまの意味だけど?」

部屋中に笑いが起こる。

「とにかく外に出るとなるとカイくんがどんな状態になるかわからないから2人とも慎重にな。」

「ボクは今の内に海人くんの傷を見て処置しておこう。」

雪夜は海人の傷を見て良くなってきている事に安心する。首の傷はもう包帯もしなくていいだろう。明日は外出するので明日までは包帯をしておくように響夜に指示する。

その後、夜遅くまで3人で飲んだ。しゃべれなくても海人の様子に安心した聖夜と雪夜とユウ。もう少し海人が落ち着いたら他のみんなにも会わせようと話をする。

倒れていた麗華も元気になったと彰人から連絡があった。こちらも海人の様子を伝える。午前をまわった頃、3人は帰って行った。

響夜は海人の横に身体を横たえると海人が擦り寄ってくる。起きているわけではなく響夜の温もりを確かめるように縋りつき寝息を立てている。

「海人、今日はいろいろあったな。疲れただろ。オレが傍にいるからな。」

海人の髪の毛に口付けし縋りつく華奢な身体を抱きしめ響夜も目を閉じる。甘い海人の香りにくすぐられながら響夜も程なく眠りの世界にいざなわれる。

「海人。おやすみ・・・。」






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