たとえこの世の終りが来ようとも

たとえこの世の終りが来ようとも4

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聖蓮は家に帰ると風呂を沸かし、ビショビショに濡れた服を脱いで洗濯機に入れる。全裸のまま風呂場へ直行し、濡れて冷えた身体に熱いシャワーをかける。

聖蓮の身体は熱いシャワーを浴びた事で白い肌が桜色に染まる。しかし桜色に染まらない部分がある。傷をおっている場所。背中の大きな傷はもとより、キレイな身体のラインにそぐわない傷跡が無数にある。

「オレの身体って傷だらけで気持ち悪いよね。まあ人に見せる事はないからいいけど、自分でも醜いと思う。」ポツリと漏らす聖蓮の言葉に反応した久遠が出てくる。

「聖蓮はキレイだと思うよ。傷は闘って出来た傷だ。ホントなら聖蓮は1人で闘うはずじゃなかったのに。パートナーがいたのに。あの時に失ってしまった。聖蓮はそれ以来1人であいつの分も闘ってきた。」

「1人じゃないよ。久遠がいてくれた。」

「ボクが聖蓮を守るのは当たり前の事。アイツが忘れちゃったから悪いんだ。全部、聖蓮のせいにして逃げた。今も逃げてる。」

「悪く言わないで。仕方がないよ。相手が強すぎてオレ達じゃチカラの差がありすぎたんだ。今生きてるだけでもありがたい事だよ。死んでても不思議はなかった。あの時、お婆様が助けてくれなかったら死んでた。でもオレ達を助けたからお婆様は死んでしまった。お爺様オレのことを嫌うのもお婆様を死なせてしまったのがオレだからだ。だから1人で闘うのはオレの咎なんだよ。オレが弱かったから悪い。」

「子供だった聖蓮に異界の者を導くようにさせたオマエのお婆様とお爺様が悪いと思うよ。ボクもあの頃はうまく聖蓮の闘いにシンクロ出来なくてあまり役に立たなかった。聖蓮のお母さんの闘い方が身についてしまってて、違う闘いかたにシンクロ出来なかったし、今みたいに意志の疎通が出来なかったもんな。」

「久遠のせいじゃない。お爺様の責任でもお婆様の責任でもない。誰かがやらなくちゃいけない事でたまたまオレだっただけだよ。パートナーを失ったのもオレが弱かったから。かなわない相手だと思ったのにオレがチカラを使っちゃったから。オレよりもチカラの強かったアイツに本気出させて、オレの変わりにチカラを使いすぎて暴走させて、あの時の記憶も、チカラを持ってることも、一緒に闘った事も忘れちゃったんだから仕方がないよ。あの時のオレを見る目が忘れられない。オレを怖がってた。オレの紅色の瞳を怖がってた。」

「他のパートナーを探せば良かったのに。」

「オレは他のパートナーなんて考えられない。アイツじゃなきゃ無理だと思う。」

「みんな2人で組んで退治するのに・・・。」

「オレには久遠がいるからいい。」

「聖蓮は頑固でバカだ。」

そういうと久遠は聖蓮の影に消えてしまう。呼んでも出て来てくれない。

久遠も頑固で何度呼んでも出て来ない時は絶対に出て来ない。

聖蓮はふうっと大きな溜め息をつき身体を洗い始める。

腕にも足にも胸にも背中にもあらゆる所に傷跡がある。古い傷から新しいものまで。

聖蓮はもともと体毛が薄いので傷跡が目立つ。

「誰に見せるわけでもない・・・。」

呟く聖蓮。聖蓮は誰も好きにならないと決めている。

聖蓮は人を好きになった事がない。

もちろん人の営みのやり方は知っている。思春期を迎えて自然現象で朝に自分の雄が朝立ちする事も経験してるし、自慰行為も知っているがその行為をしたのは数える程しかない。同じ家の中にお爺様がいると思うとそんな行為は出来なかったし、夜は異界の者が出やすいのでそれに時間を取る事が多くて、疲れて帰ってする力もない。性にはあまり興味をもたなかった。
それに好きな人が出来て一つに繋がる時にはこの醜い身体を晒す事になる。相手はなんて思うだろう。多少の傷なら理由がつくだろうが数えられないほどの傷の言い訳なんてありはしない。今の時代、虐待されていたのだろうなんて思われる。お爺様はほんとは優しい人。お爺様に受けた傷でもないのにそんな事を言われたらと思うと恋愛する気にもなれなかった。それにいつ死ぬかわからない。異界の者を相手にしているのだ。

それに聖蓮は恋愛をしてる時間などない。いつ異界の者が現れるかわからないし、神社の仕事もある。勉強もしなければならないし、家の事もしなければならない。聖蓮はいつも追われる様に生活しているのだ。

「明日はお爺様もお帰りになられる。今度は何かお話してくださるだろうか・・・。」

聖蓮は湯船に浸かりながらそんな事を考える。

「明日も学校に行かないといけないよな。凌駕に迷惑がかかる。」

湯船に頭まで沈めて出来る限り息を止める。お湯の中に沈めば静かな世界。浴槽の中でボコボコというお湯の音を耳で感じながらザバッと頭を出し、ハアハアと呼吸をむさぼる。死のうとしているわけではないが、いつの間にかしてしまう行為。息を何時まで止めていられるのか?止めたまま気を失えば死ぬのか?意味のない行為をいつからかするようになった。

風呂から上がり時計を見ると21時をさしていた。夕飯は食べる気もせず、でも寝るには早い。異界の者の気配もないから出掛ける必要はない。

外を見ると昨日と同じようにキレイな月夜だ。

「明日からしばらく竜笛は吹けないな。」

聖蓮は昨日と同じように境内の楠に登り枝に腰掛ける。

懐からおもむろに竜笛を取り出すとひとなでして「お父様・・・。」と呟くと昨日とは違うメロディーを奏でだす。

メロディーは違えども流れる音色はやはり切なく悲哀に満ちている。

静かな闇の中にその音色は染みとおるように風に乗って流れていく。

「おや、竜笛だよ暁水。いい音色だね。」

「ほんとだな。久し振りに竜笛を聞くな。しかし良い音色だが悲しい音だ。」

「あの神社から聞こえて来るね。」

「ああ、きっとアイツが吹いてるんだろ。」

「聖蓮?。」

「そうだ。ああして笛に自分の心が流れてるなんて思いもしてないんだろうな。」

「そうだね。誰かに聞かせるために吹いているんじゃなさそうだもんね。ああして笛を吹くことで悲しみや寂しさを消化させてきたのかな?」

「そうかもな。そう思うとオレは紫炎がいて良かったよ。」

「ボクも暁水がいてくれて良かった。聖蓮には何故パートナーがいないんだろうね。」

「ほんとだな。オレ達みたいに異界の者を相手にするものは2人で組むのが当たり前なのにな。一人の奴なんて初めて見たよ。紫炎は?」

「ボクも知らないな。みんな2人だったもん。もしパートナーが死んでしまってもすぐに次のパートナーを組まされるでしょ。本家に。」

「なのに本家の聖蓮は一人っておかしくねーか?」

「そうだよね。でも本家の決めた事なんだったら何か理由があるのかもね。」

「まっ、聖蓮と近しくなればわかる事だろ。それより紫炎こっちに来いよ。いいB.G.Mが流れてるんだ。オマエが欲しい。」

「暁水。ダメだよっ。」

「もう無理。止められねぇ。」

「・・・んっ・・・。」

深く熱を奪うようなキス。暁水の性格を表すかのように激しく熱く紫炎の唇を奪う。いつの間にか全裸になった2人の身体が絡み合う。

大きな背中が月光に晒され、その下で一回り小さな身体が仰け反り甘い声を響かせる。

ひときわ大きく甘い喘ぎ声が聞こえた時に聖蓮の笛は聞こえなくなった。









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~ Comment ~

 

Rinさま、こんにちは(^v^)

聖蓮がひとりで‥久遠はパートナーではなく
‥使い魔のようなもの?
傍で守るもの?

凌駕は聖蓮のパートナーとなるべき
ものではないのかな?

色っぽいふたりが暁水と紫炎ですか。
まだ人物が出てくるのでしょうか?
頑張って把握したいと思いますv-398
でもまだプロローグって感じでしょうか?

美しい名前の美しいひとばかり。
個人的には久遠‥気になります。
こういうキャラが好きなんですっv-344

ではまた参りますm(__)m

Re: タイトルなし 

ハル様こんばんは☆

そうですね。久遠はパートナーではないのです。本家だけが持っている使い魔です。聖蓮のお母さんが亡くなる時に聖蓮を守るようにと久遠に頼んで久遠は聖蓮の使い魔となりました。
もっと詳しく書かないといけないですよね。自分の頭の中でわかっているのではダメなのに・・・。うっ失策です。

凌駕も絡んできますよぉ。色々とあったんですよ。幼い頃に・・・。おいおい出てきます。

暁水と紫炎はエロイです。そういう関係なので・・・。聖蓮たちより大人なんですよ。実は・・・。本家はいろいろと小細工しています。
これ以上人物が出てくるか?実はわかりません。お話がどう広がっていくのかによるのでしょうが、今の所はこのまま進みます。

今回の名前は少しこだわりました。聖蓮は最初から決まっていて凌駕もすぐに頭に浮かんだんです。暁水と紫炎は使う属性で水と炎としてそれに見合う色の漢字を考えてて出てきたんです。でもすぐにみんなの名前が浮かんできて・・・。不思議です。でもお爺様の「庄之助」はなかなか出てこなかった((´∀`*))ヶラヶラ

キレイな名前って言っていただいて嬉しいです。名前でお話が浮かぶし受けと攻めが自然と決まってしまう(。-ܫ-。)ムフッ♥

久遠もずっと好きな名前なんです。ハル様に気にいってもらえたなら頑張って登場させますね。まあ言わなくても久遠は勝手に出てきそうです(*≧m≦*)ププッ

ではではコメありがとうございましたm(o・ω・o)m
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