たとえこの世の終りが来ようとも

たとえこの世の終りが来ようとも17

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「凌駕!!どうしたのその血・・・。」

「母さん・・・やっぱり見つかっちまったか・・・。」

「どうしたの?あなた怪我してるの?」

「怪我したのはオレじゃない聖蓮だ。オレを庇って怪我したんだ。その聖蓮を家まで運んで手当てしたらこうなった。」

「聖蓮が怪我?大丈夫なの?」

「わからないけど今は落ち着いて寝てる。オレ着替えてシャワー浴びたら聖蓮のとこに戻るから。」

「あなたを庇って聖蓮が怪我・・・。あの日と同じね・・・。」

「母さん?あの日?」

「ううん。何でもないの。凌駕その服脱いだらお風呂に置いておいてくれる?他の物と一緒には洗えないから。」

「わかった。」

なんだろう。母さんは何かを知ってるようだったけどはぐらかされた?

それより早くシャワーを浴びて聖蓮の所に戻らないと・・・。

凌駕が着替えを終えて聖蓮の所に戻ると玄関で聖蓮がうずくまっている。

「聖蓮、オマエ何してんだっ!!そんな身体で動くな。」

「・・・凌駕?」

「そうだ。覚えてるか?闘って怪我したんだ。」

「うん。覚えてる。あっ、でもボク負けちゃったんだ。なのにどうして生きてるの?」

「その話は部屋でしてやる。立てるか?」

「・・・うん。多分・・・。」

聖蓮は壁に手をついて立ち上がろうとするが足元がおぼつかずに前のめりに倒れそうになる。

「危ないっ!!」

とっさに凌駕が聖蓮を抱き止める。

「ごめん凌駕。もう大丈夫だから手、離してもいいよ。」

「バカ。なんでオレを頼らないんだ?こんな怪我してるのに。玄関まで来て動けなくなったんだろう。」

「そうだけど凌駕に迷惑はかけられないから・・・。」

「何だよ、それ。」

「もうボクは・・・凌駕を苦しめたくないんだ。」

「うるさい。話は部屋で聞く。」

凌駕は聖蓮を横抱きに抱える。

「ちょっ。凌駕降ろしてっ。ボクは歩けるし女のコじゃないからお姫様だっこはヤダ。」

「落ちちまうから大人しくしてろ。オレは部屋までオマエを降ろすつもりはない。このまま部屋まで連れて行く。」

「うっ・・・。」

聖蓮の顔は恥ずかしくて真っ赤に染まっている。凌駕はそんな聖蓮の顔を見られた事が嬉しいし、聖蓮を可愛い奴だと思う。

聖蓮の部屋へ連れて行くと布団に横にしようとして布団が血で汚れているのに気がつく。

「聖蓮、シーツの替えはどこだ?」

「押入れの下のBOXの中だけど?」

「少しここで座ってろ。」

「?」

凌駕は聖蓮を静かに床に降ろして座らせると、新しいシーツを取り出し汚れたシーツと交換する。

「血の匂いのする布団でなんかおちおち眠れないだろ。」

「凌駕は優しいね。昔とちっとも変わらない。」

「オレは優しくなんかない。今までオマエにして来た事を思い出してみろ。」

「ううん。凌駕は優しいよ。ありがとう。」

「オマエはバカだな。こんなオレを優しいとか言うか?」

そう言いながら凌駕は聖蓮を抱きあげ布団に寝かせる。

「何か欲しいもんないか?食べ物とか飲み物とか。てかじいさんいねぇのか?」

「何か飲みたい。お爺様はいない。何時戻るかわからない。」

凌駕は冷蔵庫からミネラルウォーターを持って来てキャップを開けて聖蓮に手渡す。

「ほら、凌駕は優しい。ボクがすぐ飲めるようにキャップを開けてくれた。」

「バカ。早く飲めよ。」

聖蓮がゴクゴクと水を飲む。

凌駕は水を飲む聖蓮の喉が動くのを見ていた。

(聖蓮てなんかエロいよな)

「何?」

「いや、何でもない。」

(オレは何を考えてるんだ。聖蓮は男だぞ。でも・・・唇は柔らかかったな)

「凌駕ってば顔が赤いけど大丈夫?やっぱりどっか怪我したんじゃないの?」

「してないから大丈夫だ。オレの心配よりオマエの心配をしろ。オマエの傷酷いぞ。」

「えっ。ボクの傷見たの?」

「ああ。身体の血を拭って消毒してガーゼあてて包帯巻いたのはオレだ。」

「・・・・。傷見たんだ・・・。」

「ああ。」

「ボクの身体は醜かったでしょ。嫌なもの見せちゃってごめん。」

聖蓮の瞳は今にも零れ落ちそうに涙が浮かんでいる。聖蓮は凌駕にはこの醜い傷跡を見られたくなかったのだ。

「そんな事を言うな。何だよあの傷跡は。もしかして闘って負った傷なのか?」

「うん。ボクは弱いから・・・。」

「でも身体中にあったぞ。オマエはなんであんな化け物と闘っているんだ?」

「それは異界の者が人間を食べるから。それを防ぐのがボクの役目なんだ。」

「そんな怪我して1人で闘ってきたのか?」

「1人じゃないよ。ボクには久遠がいるから。久遠がボクを助けてくれてたから1人じゃない。」

「でも人間のために闘ってる?オマエを見向きもしない人間の為に身体をはってるのか?」

「みんなを守るためにボクは生まれてきたんだ。みんなはボクが守るから大丈夫だよ。」

「聖蓮・・・。」

「それより竜王との闘いの事を教えて。どうしてボクは生きてるの?」

「オレを聖蓮が久遠に頼んで森の外に連れ出してくれてしばらくして橘と秋里が来た。竜王の事を教えると森の奥に走って行って傷だらけで意識を失ってるお前を秋里が抱いてきたんだ。秋里はオレに家に連れて帰って手当てしろって言った。その後、秋里は橘を助けないといけないからって橘の所へ戻った。それからはわからない。」

「そう。暁水と紫炎が助けてくれたんだ・・・。」

「橘と秋里はここに住んでるのか?」

「うん。お爺様の許しを得てボクの傍にいてくれてる。」

「そうか。じゃ聖蓮は1人じゃないんだな。」

「うん。凌駕、久遠の手当てもしてくれたんだね。ありがとう。」

「ああ。そいつ『久遠』っていうんだな。オレにしか見えてないと思ってたけど橘も秋里も見えてるんだな。」

「うん。あの2人はボクと似たようなチカラがあるから・・・。」

「チカラ?」

「・・・うん・・・凌駕・・・ボク眠くなってきた。もっと凌駕と話したいのに・・・。」

「ああ。おしゃべりはここまでだ。少し寝ろ。また後で話は出来る。今は身体を休めないとな。」

「凌駕・・・。帰っちゃう?」

「オレのせいで怪我させたのに帰れるわけないだろ。母さんにも聖蓮のとこに行ってくるって言ったし、オマエの傍にいるよ。だから安心して眠れ。」

「ほんとに?」

「ああほんとだ。」

顔いっぱいに花がほころぶような笑顔を見せ喜ぶ聖蓮に目を奪われる。聖蓮はこんな顔して笑ってたっけ?聖蓮の笑顔なんてもう随分と前の事で覚えてない。

「聖蓮、その顔反則だろ。」

「何が反則なの?」

何が反則なのかわからないと小首を傾げる聖蓮も可愛く見えて凌駕は焦る。

(何なんだよ。この感情。聖蓮は男だっつーの。)

「何でもないから早く寝ろ。眠いんだろ。」

「うん。じゃ凌駕悪いけどボクの傍にいてね。」

「ああ。ちゃんと傍にいるからもう寝ろ。」

「うん。おやすみ凌駕・・・。」

「ああ。」

程なくスースーと穏やかな寝息が聞こえてくる。

「聖蓮、気がついてたか?オマエ自分のこと『ボク』って言ってるぞ。昔みたいに。聖蓮は何も変わってない。いや、変わったのか。表情をなくしてたもんな。でも本質的なものは変わってない。子供の頃の聖蓮とな。オレは何を意地になってオマエを遠ざけてたんだろうな。」

聖蓮の頭をなでてやると聖蓮が凌駕に手を伸ばして凌駕の服をしっかと掴む。

「おいっ。そんなに強く掴んだらバランス崩しちまうって!!」

凌駕は聖蓮の上に落ちそうになる身体をなんとか手でふんばり耐える。

「おい聖蓮。これじゃオレ動けねぇっつーの。」

仕方なく聖蓮の横に寝ると聖蓮が凌駕の胸にスリスリと甘えるように縋りついてくる。

「聖蓮、オマエはネコか。ちょマジそれって反則じゃねぇか。」

安心したように凌駕に縋ってくる聖蓮をどうしていいものか悩む凌駕だがすっぽりと凌駕の腕の中に収まる聖蓮の華奢な身体が愛しいと思う自分もいる。女の身体じゃないから柔らかさや丸みはない。胸だって当たり前だけど平らだ。異界の者と闘っているだけにそれなりに筋肉もついている。どう見ても男なのに聖蓮を抱きしめたい衝動に駆られる。さっきの聖蓮の唇の感触もまだ残っている。

「オレはどうしたってんだ。聖蓮は男だぞ。ああ、きっと異界の者との闘いや聖蓮の傷を見た事でオレ動揺してるんだ。だからだな。」

違うと言う気持ちを無視して結論付ける。男の聖蓮を抱きしめたいなんておかしいとしか思えない。いろいろと考えてるうちに何もかも面倒くさくなる。

「オレも疲れたな。何か眠い・・・。」

凌駕も聖蓮の横で目を閉じる。あれから橘と秋里はどうしたのだろう・・・。その考えも散漫になりいつの間にか凌駕も眠りについていた。


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いつも読んで下さってありがとうございます。いろんな方に可愛がっていただいて4万カウントを超える事が出来ました。拙い文章なのに嬉しい限りですヾ( 〃ω〃)ッ キャーーーッ♪
ファンタジー物はあまり好まれないかと不安でしたが読んで下さる方がいてくださるので頑張って書き上げます。よろしければ最後までお付き合いくださいませm(o・ω・o)m今日は4万HIT記念で長編になってます。ていうかなっちゃいました。あっ、でも昨日も長かったか・・・。読みにくかったらごめんなさいです(o*。_。)oペコッ



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