たとえこの世の終りが来ようとも

たとえこの世の終りが来ようとも28

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「へぇ、こんな抜け道があったんだな。この旧校舎。」

聖蓮と共に聖蓮の秘密の場所に案内された凌駕は今日校舎の屋上から周りを見渡す。

一面の空は浅葱色でとても澄んでいた。

うーーーんと伸びをしてゴロンと横になると、聖蓮も凌駕の横に寝転び嬉しそうに笑っている。

「ここが聖蓮の秘密の場所なんだ。他には誰が知ってるんだ?」

「暁水と紫炎。」

「くそっあいつらに先越されてるじゃんかっ。」

「仕方ないよ。異界の者との話はみんなの前で出来ないもん。でも2人きりになったのは凌駕だけだよ。暁水たちはいつも行動を共にしてるから、ボクは暁水と紫炎にあてられっぱなしで泣きそうだったよ。もしかしたら、そうやってボクをけしかけてたのかな?ずっと告白しない、一人でいるって言ってたから・・・。」

「そっか。あいつらなりに考えてくれてたんだな。」

「うん。いつも相談にのってくれるお兄さんみたいだよ。あの2人は。」

「そっか。」

兄弟としか思えないんだと凌駕はホッとする。

やはり一つ屋根の下に暮らしていることに不安を隠せない凌駕なのだ。まして今は庄之助もいない。

「ところで聖蓮、オマエの爺ちゃんは何時帰ってくるんだよ。」

「あっ。忘れてた。あのね、今日帰ってくるんだって。それで凌駕も話を聞いて欲しいって言ってた。」

「今日帰ってくるのか?随分といきなりだな。」

「そうだね。今回は長かったし、連絡も殆どなかった。それが不思議なんだ。」

「話は暁水や紫炎も加わるんだろ。」

「そうだよ。暁水と紫炎と凌駕と久遠とボクの5人に話があるみたい。」

「きっと、いい話ではないよな。オレ何だか胃が痛くなってきちまったよ。」

「怖くないよ。お爺様は。でも凌駕は昔からお爺様が苦手だよね。」

「何考えてるのかわからない瞳がこえーんだよ。オマエはこわくないのか?」

「だって今までお爺様が間違った事なんて一度もないもん。」

「ま、今でもオレが聖蓮のパートナーなのかも教えてもらわないといけないし、夕方聖蓮の家に行くよ。」

「ごめんね凌駕。んで、ありがと。」

突然オレの額に聖蓮がキスした。

「へへっ。今までのお返しだもん。」

ビックリしているオレをじっと見つめて、悪戯が成功したかのような子供の表情を浮かべる。

無言の時間は数秒だったのか、それとも何分も経っていたのか。オレ達は時間も忘れてキスという行為で愛を確認しあう。

初めはおずおずと申し訳なさそうに動いていた聖蓮の唇も、妖艶な色を発し始めていた。

「いい?」

オレの言葉に聖蓮は俯いていた顔を上げ目を閉じる。聖蓮を抱きしめてから唇をノックする。聖蓮の唇が半開きになり、オレは舌を絡め摂った。

キスを繰り返している内に聖蓮が身じろぎをしてオレから離れる。

「もうダメ。ボクとろけちゃうよ。」

「そうだな。ここ学校だしな。授業始まっちゃったな。」

「だね。」

「次の授業までここでサボってようぜ。」

「凌駕ってばいけないんだ。」

「よく言う。ロクに学校に来なかった聖蓮に言われたくないね。」

「これからはちゃんと来るようにする。」

異界の者との闘い、神社の仕事。今は暁水と紫炎もいるし、聖蓮の出来る事は掃除くらいですんでいる。以前なら学校に行く時間が限られていたことを思えば、今は登校しやすいのだ。

次の授業まで時間をつぶし、オレ達は教室に戻る。一緒に戻ると何か言われるからと聖蓮が言うのでバラバラに戻ったのだが、出て行った時が出て行った時だけにオレが教室に戻るととたんにオレの周りに人が集まり囲まれた。

「ちょっと、凌駕。聖蓮とアンタって何?すごい勢いで聖蓮のこと引っ張って行ってさ。」

代表してなのか利香がオレに言ってくる。

「は?聖蓮とオレは隣同士で幼馴染なのは知ってるだろ。聖蓮に用事があったんだよ。」

「ふーん。で、授業サボってたわけ?」

「そうだよ。てか聖蓮とオレの事だ。オマエ達に関係ねーだろ。」

興味津々で聞いているほかの奴の目がわずらわしかった。聖蓮がオレと関わるなって言ったのはこういう事を避けさせたかったのかと思うと、聖蓮がオレの事をよく考えてくれていたのがわかる。

「凌駕は聖蓮の事を嫌がってたんじゃないの?聖蓮に関わるとロクな事がないって言ってたじゃない。」

「そうだな。そう言ってた。でもそれはオレの勘違いだった。聖蓮は何も悪くない。この際だから言っておくけど、オレは聖蓮を大事に思ってるから聖蓮の事を傷付ける奴はオレが許さない。」

「何それ?今までと態度違いすぎじゃない。」

「どう思われようと構わない。それでオレの事が嫌ならオレに近づかなければいいだろ。」

「そんな事言うんだ。変なの。本気で言ってる?」

「本気。」

「利香はそんな事ぐらいで凌駕から離れたりしないって。凌駕は凌駕だし。それに・・・ねっ。」

利香がオレを誘うかのようにしなだれかかってくる。「身体の関係は続けるでしょ」と言ってるのだと思うと虫唾が走る。そんな関係を続けていたオレも悪いのだが、聖蓮とずっと付き合って行くと決めた以上は聖蓮に不誠実な事はしたくなかった。

「利香ちょっと来い。」

「ふふっ。凌駕ってば。いいよ。保健室行く?」

「何でそんなとこ行かなきゃならねぇんだよ。ちげーよ。」

利香を教室から連れ出し出て行くと廊下で聖蓮と出合った。

目で「気にすんな。大丈夫だ」と話すと少し頷き聖蓮は教室に戻っていく。教室には暁水がいるから大丈夫だろう。オレは空き教室に入ると利香と向き合う。

「やだ。こんなとこでするつもり?」

オレってホントにバカだった。こんな女と関係を持ってたなんて・・・。他の女に対してもそうだ。気持ちのない関係を持っていたのだ。身体の欲を吐き出していただけなのだと思うとオレが悪い。

「ごめん利香。オレもうオマエとはそういう事出来ない。」

「何それ?別に深く考えなくてもいいじゃない。お互いにしたい時にしてきたでしょ。」

「そうだな。でももうそんな事したくないんだ。」

「私別に付き合ってとか言ってる訳じゃないよ。」

「利香とは付き合えない。欲を吐き出すだけなら利香にはオレじゃなくても他にいるだろ。」

「でも凌駕は別なの。」

オレは利香にも付き合うつもりはない事はさんざん言ってたし、利香もそれは納得してて関係を持ってたはずなのになんでオレに固執するのかわからなかった。

「もういい加減にしてくれよ。とにかくオレはもう利香とはしない。」

「・・・私、凌駕が好きなの。」

「は?」

思わずビックリして変な声が出てしまった。

「オレ達そんな関係じゃないだろ。」

「そんな関係じゃないフリをしてでも凌駕の傍にいたかった。私は欲を吐き出してたんじゃない。凌駕の事が好きだから。」

「ごめん。オレは利香を愛せない。オレの今までの態度が悪かったんだな。ほんとにごめん。」

「今は好きじゃなくてもいいの。身体から始まった関係でも好きになって利香の事。」

「ごめん。好きになれない。オレ好きな奴いるから。」

「えっ。凌駕に好きな人が出来たの?その人と付き合うから利香とはもう終りなの?」

「オレはそいつに誠実でいたいと思う。今までのオレは不誠実だったから。だから利香ごめん。オレの事殴ってもいいよ。でも利香の気持ちには答えられない。利香の気持ちに気が付かずにいてごめん。」

「バカっ!!」

利香は泣きながらオレの頬を平手打ちした。オレはそれを黙って受ける。

「凌駕に好きな人がいるの何となく感じてた。凌駕は優しかったけど、それは利香だけじゃなくて他の人と同じなのもわかってた。それでも好きだから凌駕と関係を持ってた。好きって言ったら凌駕が離れちゃうのわかってたから言えなかった。わたしもずるいんだ。だからこれで終りにする。」

「ごめんな利香。」

「ごめんなんて言わないでよ。利香が凌駕を振ったんだから。こんないい女振った事を後悔するわよ。」

「後悔なんてしない。」

「そんなハッキリ言わないでよね。でも凌駕ほんとにその人の事が好きなんだね。」

「ああ。好きだ。こんな気持ちは初めてだと思う。気が付かなかっただけなんだ。」

「そうなんだ。今まで凌駕と関係を持った子達が可哀想。」

「ああ。悪い事したと思ってる。」

「じゃ、これからはそんな関係を持たないでよね。」

「もうそんな事はしない。利香もちゃんと好きな奴見つけろよ。」

「わかってるわよ。そんな事。気持ちのないHなんて悲しいだけなの経験したからね。」

利香にそれはオレの事だと言われているようで少し胸が痛かった。

「ごめん。」

「もういいよ。しばらく凌駕に普通に話せないかもしれないけど、友達ではいてくれる?」

「ああ。」

「何かムカツク。もう一発殴らせて。」

「ああ。」

パシンッと反対の頬を殴られる。

「ちょっとスッキリした。じゃ私は教室に戻る。凌駕の頬真っ赤になってる。いい気味だわ。」

そう言った利香の顔は泣きそうだったがそのまま部屋を出て行った。

オレの事を好きでいてくれた事に気が付かなかった。自分と同じ気持ちだろうと勝手に都合のいい考えをしていたのだと思う。どこかで正面を向いていなかったのかもしれない。周りの人の気持ちを考えないといけないんだと思った。聖蓮はそれをちゃんとしていたんだと思う。

オレは聖蓮に恥ずかしくない人間でいたいと思う。今までの中途半端で適当な人間から脱却しようと思う。一度には無理かもしれないけど、少しずつでも変わりたい。こう思わせた聖蓮ってやっぱりスゴイと思う。

殴られた頬の痛みは今までのオレと決別した証。オレはさっきまで聖蓮といた屋上に戻りそんな事を考えていた。
しばらく今までのオレを猛反しこれからの事を考える。

「そういえば今日の夕方オレも呼ばれたけど何でオレもなんだろう?」

考えても何も思い浮かばない。

「まあ行って見ればわかるからいっか。」

風が気持ち良くて昼食の時間に聖蓮に起こされるまで寝てしまって聖蓮に笑われたのだった。



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ごめんなさい。やっちゃいました。書きかけで寝てました。中途半端なの読んでしまった方がもう一度読んでくださればいいのですが・・・。こんな事のないように気をつけます。疲れてるのかしら・・・。


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~ Comment ~

ヽ(≧Д≦)ノあああ‥殴っちゃ、やーよ 

Rinさま、こんにちは(^-^)

聖蓮を好きな気持ちに目覚めたのはよいけれど‥
凌駕は‥オンナの整理が待ってましたね(笑)

でも聖蓮が本気で好きであれば絶対に
切らないと、オバサンは許しませんっ!(笑)

でもこういうことってオトコだけ悪いわけじゃないのです。
いつもオトコだけ悪モノだけどオンナも悪いの。
だってひとりじゃ行為はできませんから。
レイ●でないかぎりオンナもその気でいたのだから
フィフティフィフティってことで。

でもねえ殴るのは‥よくないです。

なににせよ、聖蓮への気持が加速して行って
今までのキスだけの関係では我慢できなくなりそう‥
いや、もう限界?(^_^;)

聖蓮‥泣いちゃうかも。
それが目下の心配事です(笑)

ではまた参りますm(__)m

Re: ヽ(≧Д≦)ノあああ‥殴っちゃ、やーよ 

ハル様こんばんは☆

はい。凌駕は女のコを愛してもいないのに関係を持っていたバカ者ですから・・・。聖蓮は純粋な子なので向き合うために身をキレイにしなければと思ったのです。ケジメです。
聖蓮の愛に答えるには誠実でないと。身体も清くないとね。

利香も悪いんですよ。確かに。ちゃんと好きだって告白してれば凌駕だって考えたはずです。凌駕は利香の事を身体だけの関係でいいと思ってると考えてましたから・・・。

殴られたのはそうする事で利香の気が済むならそれでいいと思ったんです。利香の気持ちに気付けなかった自分も悪いと。男はやるだけで満足だけど、女のコには妊娠とかのリスクがあるし、負担が大きいとおもったのでしょう。凌駕も実は優しい子なのですよ。

聖蓮と凌駕はキスばかりしてますねぇ。なにせ聖蓮がそういう事を受け入れられるのかというと・・・。キスだけでギブですもん。少しずつ勉強していかなくちゃね。でも凌駕が可哀想かも・・・。凌駕は耐えられるのか・・・。まさしく拷問ですな。聖蓮を泣かせないように頑張りますシャキ─(。ì ‿​‿ í。)─ン!

ハル様コメありがとでした☆
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