たとえこの世の終りが来ようとも

たとえこの世の終りが来ようとも31

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「凌駕お風呂湧いたから入ってきて。その間に夕飯作っておくから。何か食べたいものある?時間ないから簡単なものしか作れないけど・・・。」

「オレも手伝おうか?」

「ううん。いいよ。ボクが凌駕のために作りたいんだ。」

「そっか。じゃあ和食。旅館の朝ご飯みたいなの。」

「夕飯なのに旅館の朝ご飯?いいけど。面白い事言うね凌駕。」

「そっか?何か無性に和食って感じのが食べたいんだ。」

「それならお爺様の口にも合うし丁度いいかな。あっ、凌駕おばさんに電話した?泊まるなら連絡しときなよ。きっとおばさん心配するから。」

「わかったよ。連絡する。」

聖蓮は聖蓮で、凌駕は凌駕で一緒に過ごす事にドキドキしていた。小さい頃はよく一緒に寝ていたがそれから空白があり、やっとお互いを取り戻したところなのだ。どういう意味で空白の時間を取り戻せと庄之助が言ったのかわからないが、2人とも一緒に過ごせる事が嬉しかった。

聖蓮は人数分の夕飯を作ると暁水と紫炎には夕飯は用意した事を告げ、庄之助の分は部屋に運ぶ。食べてくれるかどうかはわからないが、いつも通りに部屋に運んだ。庄之助からは何の言葉もない。

ふぅっと溜め息をつくと、自分達の分は聖蓮の部屋に運ぶ。本当なら暁水や紫炎達と食べてもよかったのだが、聖蓮は凌駕と2人でいたかった。

「うわー。うまそうだな。」

風呂上りに濡れた頭をタオルでゴシゴシと拭きながら凌駕が部屋に入ってくる。

「凌駕ちゃんと髪乾かさないと風邪ひいちゃうよ。」

「平気平気。すぐに乾くって。」

暁水の服を貸してもらい制服を脱いだ凌駕の髪から滴る雫に聖蓮はドキッとする。なんだか凌駕に男の色気を感じて胸がズクズクする気がした。

凌駕はそんな聖蓮の様子に気がつくことなくテーブルの上の夕飯に目を奪われている。

「ホントに旅館の朝ご飯だ。卵、卵焼きにしてくれたのか?」

「だって凌駕は生卵食べられなかったでしょ。」

「覚えてくれてたんだ。」

「うん。」

「卵焼きは出し巻き?おろし大根付いてる。魚は鮭じゃなくてブリの照り焼き?」

「うん。凌駕、出し巻き好きだったでしょ。夕飯だからブリの照り焼きにした。」

「ほうれん草のお浸し、味噌汁は豚汁だ。」

「お浸しはだし汁かけてあるから。しょうゆは濃いからボク苦手なんだ。夕飯だから豚汁にした。」

「そうだったな。聖蓮はしょうゆそのものをかけた味が苦手だった。冷奴にもだし汁だったな。」

「覚えてたんだ。じゃ、食べようか。」

「そうだな。」

「「いただきます。」」

「うんめー。聖蓮マジうめぇ。どれもオレ好みの味だ。」

「良かった。凌駕の口に合って。」

「マジでうまいよ。オレの母さんああ見えて料理ダメなんだ。大味すぎて。だから聖蓮の料理うめーわ。マジでオレの嫁に来いよ。」

「何言ってんだか。ボクは男だから嫁には行けないよ。」

「バカ。オマエとオレの間じゃ男とか関係ないの。オレはオマエがいいんだから。」

「何、プロポーズしてるみたいだよ。」

「ん?そうだな。そうかもな。オレは聖蓮が好きだからもう離すつもりはないけど?聖蓮はオレと一緒じゃイヤか?」

「イヤじゃないよ。嬉しい。」

「じゃあ、聖蓮はオレの嫁に決まりだ。」

真っ赤になって俯く聖蓮が可愛くて愛しくて・・・。何で今まで放っておいたのか・・・。あの日の記憶を取り戻さなければと思う。

聖蓮は凌駕がおいしそうに食べる様子を見て微笑む。おいしいとたくさん食べてくれる凌駕の傍にいて、その凌駕の表情を近くで見れる事が嬉しかった。諦めていた自分の思いを受け入れ好きだと言ってくれた。それだけで聖蓮は十分だった。凌駕を守ると勾玉を握り締め誓う。この青い勾玉は凌駕に持ってもらう事が出来なかったけど、凌駕の勾玉は自分が6年間身を持って付けていたもの。闘いの記録を刻んだもの。それが凌駕にチカラを与えられると思うと嬉しかった。身体は傷だらけで醜いけど、勾玉は傷一つなくキレイなまま渡せた。パートナー同士は自分の者を相手と交換し、時期がくればそれを相手に返し、どちらかが死ぬまでパートナーであると誓い合うのだと暁水が教えてくれた。

暁水と紫炎はお互いの指輪を交換したのだそうだ。そういえば暁水も紫炎もゴシックな指輪を付けている。暁水は水色の石。紫炎は赤い石。お互いのチカラが弱まった時は再び交換して・・・。繰り返しそうして絆を深めて行ったんだと言っていた。今回の交換では凌駕には付けてもらえなかった聖蓮の勾玉。いつか又交換できた時はもっと絆が深くなっていればいいと思う。

「聖蓮、おかわりっ!!」

この無邪気に聖蓮の作ったご飯を食べてくれる恋人との絆を深くしたいと願う。

「凌駕ってば食べすぎだよ。」

「だって初めて食べる嫁さんの料理だぜ。食べすぎちまうってのっ。」

「嫁さんて・・・。」

嬉しすぎてぶわーって赤くなる頬。熱が上がる。頭からは湯気が出てるんじゃないかと思うくらいにのぼせている。

「聖蓮真っ赤。可愛い。」

ますます熱が上がる。

「もうそんな事いうならおかわりはあげない。」

「あ、ウソウソ。おかわり欲しい。」

悲しそうにする顔を見ると無碍には出来ない。それをわかってるのかわかってないのか・・・。

学校では見た事のない素の凌駕がいる事に幸せを感じ、茶碗におかわりを入れて手渡す。

「はい。凌駕。」

「サンキュ。」

本当に新婚の家庭ってこんな感じなのかなと想像する。でも想像するのは止めた。明日からは闘いの日々なのだ。いつこの幸せが崩れるかわからない。ならこの時間を、2人で過ごせる時間を大切にしようと思う聖蓮なのだった。









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~ Comment ~

またまた引込まれています。。 

Rinさん。こんばんわ。
夢中で読ませていただいています。。

現代版陰陽師か、もう一つの時間軸の流れの世界なのか、すぐ隣で起こっている現実なのか・・・
お話の世界観に引き込まれています☆

聖蓮・凌駕・暁水・紫炎・・・
名前も魅力的ですが、それぞれの名前の持つ意味や
闘い方とどのように繋がるのかも気になるところです。。

聖蓮と凌駕の間の空白、あの日の真実、覚醒して手に入れるものは正義の力だけなのでしょうか???

平穏な世界を守る事もふたりの宿命なのでしょうが・・
想い合うふたりの心は傷つかないで・・と願います。。

想像力と創造力が絡み合った不思議な世界観・・
さらに続きを楽しませていただきますね♪

今宵もありがとうございました☆

Mill

Re: またまた引込まれています。。 

Mill様こんばんは☆

まあ、ここまで読んでくださったのですか。嬉しい限りです。

世界観なんて、そんな凄いものはないです(`-д-;)ゞ
好きなゲームからヒントをもらい初めてファンタジーに取り組みました。

これは好き嫌いが分かれた作品で、嫌いな人には受け入れてもらえませんでした(苦笑)
私も書いててすごく悩みましたが、今となれば好きな作品です。

途中でプロットを大幅に改正しましたが、それでよかったと思っています。

名前ですが、あまり意味はなしていません。ごめんなさい。ただ、キレイな名前を付けたかったんです。名前のイメージって大切ですもの。ファンタジーでは特にそうかなって思っています。この名前はとても気に入っています。

Mill様を最後までいざなってくれるといいのですが…。

いつもいつもありがとうございます。

最終話で満足していただけたらいいなあ。

Mill様コメありがとうございました☆
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