「キミと空とネコと」
やさしいkissをして

☆新連載☆ やさしいkissをして1

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救急車のサイレンの音がする。

目の前では手術中の赤いランプが燈っている。

「…先輩。…ごめん…。先輩。…オレ先輩のために何でもするから…。だから…ごめん…。」

点灯する赤ランプの前の椅子に1人の少年がうなだれて頭を抱えて泣きながら呟いていた。


*   *   *


「凪。これからバイト?」

「ああ。じゃあな。」

「相変わらずそっけない奴。そんな事じゃお前友達出来ないぞ。」

達樹の言葉に返す事もないのか凪は後ろでに手を振るとさっさと門を出て行く。

「川原 凪(カワハラ ナギ)」20歳。K大経済学部2年生。

さっき声を掛けてきたのは「小野田 達樹(オノダ タツキ)」同じ学部の3年。専攻している授業が同じであいつから声を掛けてきたがオレは友達のつもりはない。オレは1人でいたいから正直ウザイ。

オレは1人でいるのが好きだ。特定の友達というものを作らない。人に合わせるのは気をつかうし、とても疲れる事を身を持って知ってしまい、大学では1人で居る時間を一番に大切にしている。

大学は高校と違ってそれぞれのカリキュラムで学んでいくので、たとえ1人でも困る事はそうはない。高校の時のように集団でとか、部活に入ってみんなで…という事がないのが嬉しい。もちろんサークルなんて入るつもりもなく…。

地元から電車で4時間かかるため、地元の奴もこの学校を受けた奴は少なく、めったに会う事もない。1人暮らしだからバイトで生活費を稼がないといけなくて大変だけど、人に気を使う事を思えばバイトの方がマシ。学費は親が出してくれているけど、生活費までは頼りたくは無い。ましてや高校3年にして急遽この学校に志望校を変え親を心配させた身だ。これ以上の世話にはなれない。

「凪くんお疲れっ。大学はどう?」

「お疲れ様です。変わり無いですよ。これから休憩ですか?」

「そうんなんだ。厨房頼んだよ。」

軽くウインクしていくこの人はバイト先のオーナーの「長谷川 亜樹(ハセガワ アキ)」さん。オーナーといってもアキさんは25歳。ここ『Calda casa』っていうイタリアンレストランの看板娘(といっても男なんだけど)なんだ。すごく可愛い人でこの人目当てにくるお客さんも多い。男、女にかかわらずよく口説かれているらしいが、アキさんには恋人がいるらしい。まだ会った事はないけど…。

フロアはアキさんとバイト1人、厨房はシェフともう一人って感じの小さいお店。もちろん「リストランテ」ではない。『Calda casa』って名前の通り「あたたかい家」にふさわしいお店なんだ。アットホームなのに出てくる料理は一流。でも気取ってない。値段だってリーズナブルなんだ。一度来るとリピーターになる人が多くていつも繁盛している。アキさんの笑顔とおいしい料理でちまたでは有名だ。オレもこの味に惚れて、丁度バイトを募集していたので雇ってもらった。ただしフロアには絶対出ないって我儘な条件出したけど。それでも「そんなにここの味を気にいってくれたなら」とアキさんは採用してくれた。だからオレは週6で大学が終ってから最後まで入っている。

「凪、早速で悪いけど、玉葱の皮剥いてくれるか?そのダンボールいっぱいな。あとポルチーニもきれいにしといて。今日のメインパスタはタリアレッテのいいのが入ったからボロネーゼにする。」

「はい。了解です。」

この人は「志水 隆耶(シミズ リュウヤ)」ここの看板シェフ。イタリアの三ツ星の名店で修行して、そこの誘いを断ってここで働いている少し変わり者。女房子持ちの35歳。男盛りって感じのたくましい身体は羨ましい限りだ。イタリアに居たためか表現が熱烈なのが困るのだけど、オレにしては頑張って受け入れていると思う。だってこの人の作る料理は見た目と違って(隆耶さんごめん…)繊細で、奥行きのある味なんだ。一度食べたら忘れられない。

早速オレは言われた仕事を始める。二人で厨房を回さなければならないから、下準備は早く済ませないといけない。今日も予約のお客さんがめいっぱい入っている。それ以外にも並んででも食べたいお客さんでいっぱいになるのだ。今はランチとディナーの合間の時間でお店は休憩中。

「隆耶さん休憩取ったんですか?」

「いや、まだだ。さっきまで大変だったからな。」

「じゃあ、今のうちに休憩してください。オレ片付けとかやっときますから。」

「そうか、じゃあ頼む。オレももう歳だな。腰が痛くて。」

そういいながら腰のストレッチをする隆耶さん。そんな歳だなんて身体を見たら思えませんけど…。でも言わない。そんな事を言うと喜んで過剰なスキンシップをしてくるから。この人は…。過去の失敗から学んだ事の一つだ。

スタッフルームに消えた隆耶さんを見送ると、玉葱の皮剥きやポルチーニの下準備(キレイに布で汚れを取るんだ)、鍋や、皿などを一度洗って食洗機にかける。そういえばメインパスタはボロネーゼって言ってたからトマトの湯剥きをしとこう。カットトマトも作っておくか。チーズも削っといてっと。ミモザサラダ用のゆで卵はストックがあるから大丈夫だな。

色々としているうちに隆耶さんが休憩を終えて出てくる。

「おおっ。さっすが凪ちゃんだねえ。言わなくてもしてくれる。んーーーんこんないい嫁さんをもらう男は幸せだよなあ。」

「ちょいまち。隆耶さん?オレ男なんスけど。嫁には行きません。嫁をもらうんです。」

「そう?凪ちゃんはきっと抱かれるほうが似合ってると思うぜ。」

「はぁ?抱かれるほうがって女に?」

「バーカ男に決まってるだろ。」

「ちょー、待ってくださいよ。なんで男なんスか。オレはバリッバリに女の子が好きっスから。女の子としか付き合った事もHした事もないです。男とだなんて考えた事もない。まあ今は誰ともそんな気にはならないけど…。」

「案外いいぜ。男とSEXするの。」

「ええっ。隆耶さん経験あるんですか?」

「まあな。外国はな日本と違って性におおらかな国が多いからな。まあ、男と女じゃないと出来ないってことはないってことさ。ってこんな話してる場合じゃなかった。今日は予約が多いから早目に下準備しとかないと。ほら凪、ちゃっちゃとラビオリ作れ。」

「話振ったの隆耶さんじゃないスか。仕事となると呼び捨てで口調まで変わるんだから。」

当の隆耶さんは真剣な表情でコースのイメージを膨らませている。この人は頭の中でその日の食材でコースを描き決めている。感性の鋭い豊かな人なんだ。それがこの店の味を支えている。

さあ、夜のディナーの始まりだ。

アキさんとバイトのシキ「櫻田 志希 (サクラダ シキ)」くんの「いらっしゃいませ。」の声が明るく響く。

店中のいたるところに暖かな幸せな光景が広がる。オレは1人が好きだけど、ここではお客様のかもし出す温かな雰囲気と、気心しれたスタッフに愛されていい時間を過ごしている。それが嫌ではないのだ。ここに限ってはだけど。

今日もみんなに幸せが訪れますように…。

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いつも読んで下さってありがとうございます。今日から新連載がはじまりました。今回は現代劇です。『Calda casa』とアキくんの名前でピンと来た方スゴイです!!そうこのお店とアキくんは「キミ空」で登場したお店と人物です。スピンオフになるかもしれないです。ちょこちょこ知り合いが出てくると思いますが、「キミ空」を読んでなくても大丈夫ですから(。◠‿◠。✿)ぅんぅん「キミ空」に出てきた人達は出て来たがりの人達ばかりですもの…。「出してー」って騒いでます(笑)
ではまた楽しんでいただけたらいいなって思います☆



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