「キミと空とネコと」
やさしいkissをして
やさしいKissをして8
「おはようございます。」
オレは笑顔でスタッフルームに顔を出す。今は開店前でたいていみんなここでくつろいでいる。
「おお。はよっ凪。今日は良い顔?ん?凪、お前今日寝不足だろ。」
ギクッやっぱ隆耶さんはめざとい。
「ほんとだ。おまけにちゃんとご飯食べてないね凪くん。」
うわっアキさんも良く見てる。
「わかります?」
「わかるよ。肌のツヤが違うし、目の下にうっすらとクマが出来てる。」
「んー。実は昨日寝れなくて。朝ご飯食べるにも頭痛くて無理で…。ああ、でも大学で3時間ガッツリ寝て、昼食しっかり食って元気ですから。今日は。はいっ。」
「ならいいけど。今日のまかないちゃんと全部食べないとバイト代なしだからね。」
「おし、オレが腕によりをかけてまかないメシ作ってやるからな。」
「うわっ。腕によりかけなくていいです。陵耶さんのまかないメシただでさえ量が多いんですから。バイト代なくなっちゃう。」
「凪が小食すぎるんだ。アキくんだってもっと食うぞ。」
「ウソッ。」
「ボクこんなだけど、大食漢なんだ。でも大きくならないし太らないんだよ。」
「今更大きくは無理だと思うけど…。」
「何?凪くん何か言った?」
「何も言ってないです。オレ着替えてきます。」
ヤバイヤバイ。アキくんに身長のことは禁句だった。アキくんは可愛いし、恋人だっているし身長も今のアキくんに見合ってるから良いと思うんだけど、本人はすごくコンプレックスならしい。
コック服に着替えて出てくるとハーブティのいい香りがした。
「凪くんハーブティ飲める?」
「オレ好きですよ。買ってまでは飲まないけど。家にポットもないし…。でも好きです。」
「よかった。じゃ、凪くんのも入れるね。」
「ありがとうございます。」
「このハーブティはちゃんとハーブを厳選してるから上手い。特にローズヒップなんかはいろんな所が出してるから混じり物の多いのとか多いけどここのはこだわってるからな。特にこの天使シリーズはオレも好きだ。一押し。オレの家にも買って置いてあるくらいだ。」
「隆耶さんがそこまで言うなんてめずらしいですね。どこのハーブティなんですか?」
「『Garden Of The Angel』だよ。天使シリーズはいろいろとハーブをMIXさせてあるんだ。今日は美容効果とリラックス効果のあるものにしたよ。凪くんのためにね。いくらフロアに出ないからって言っても『Calda casa』の一員なんだからね。自分の健康管理もしっかりしてね。」
「はい。すいませんアキさん。うわぁ。すごくいい香り。ほんとだ。香りだけじゃなくて味もスッキリしててでもハーブが芳醇でおいしい。」
「ありがと。今度、凪くんにも分けてあげるね。」
「いいですよ。オレ自分で買いますから。どこにお店あるんですか?」
「いいんだよ。凪、もらっとけ。どうせアキくんもただでもらってるんだ。」
「え?」
「ふふっ。お店は駅のショッピングモールの中にあるけど。そんなに気に入ってくれたならきっと喜んで凪くんにたくさん持って来てくれると思うよ。もちろんポットもね。」
「?」
ますます訳がわからなくて?な顔のオレをみて笑いながら陵耶さんが教えてくれた。
「『Garden Of The Angei』の社長さんがアキくんの恋人でアキくんにぞっこんに惚れてるんだよ。」
「もう隆耶さんからかわないで下さい。」
って言うアキさんは、少し顔を赤くして幸せそうにはにかんでいた。アキさんてこんな顔もするんだ。こんな顔をさせる恋人ってどんな人なんだろう。
「あ、そうだ凪。今度の土曜日、仕事終ったらアキくん家で飲み会するからな。何か予定あるか?」
「飲み会ですか?予定はないですけど…。」
黎とかも来るのかな。歓迎会とかなのかな?だったら嫌だな…。
そう思って黙ってたのが伝わったのかアキくんが大丈夫だよって顔をする。
「飲み会って言ってもメンバーはこの3人だけ。久し振りに飲みたいなって話してて昨日2人で決めたの。志希くんとか黎くんも誘ったら、凪くんは気を使って動き回って飲まないだろうからメンバーはこの3人ね。だから志希と黎くんには絶対に秘密だよ。黎くんの歓迎会は黎くんがちゃんとこのバイトが出来るようになるめどがついたらするからね。」
アキさんの言葉にホッとする。3人でなら楽しく飲めそうだ。
「つまみは店のもんじゃ食べ慣れてるから違うもんがいいよな。まあ、チーズとかは店のでもいいか。」
「あっ、じゃオレジャンクなピザ作ってもいいですか?」
「何だジャンクなピザって?」
「それは土曜日のお楽しみです。でも案外うまいんですよ。ビールにも合うし。」
「じゃ、ボクも何かおつまみ作るよ。」
「えっ。アキさんが作るんですか?」
「おいおい。アキくんの料理はうまいぜ。シェフになれるぐらいの腕もってるしな。調理師免許だって持ってんだぜ。」
「知らなかった…。」
「隆耶さんにそんな事言われたら照れくさいですよ。ボクのは趣味程度ですから。」
そんな話をしてたら志希があわてて飛び込んできた。
「おは…よ…ございま…すっ…ハァ…ハァッ。」
「相変わらず志希はぎりぎりだな。」
「…ハァッ…ハッ…。」
よっぽどあわてて走ってきたのだろう中々息が整わない志希はオレが飲んでたハーブティのカップを横取りするとゴクゴクと飲み干してしまった。
「オレのハーブティ…。」
「はぁー一息ついた。このハーブティめちゃうまいっスね。おまけに凪くんと間接キスしちゃってオレラッキーぃ。」
「志希くん、あなたはここのフロア担当ですよね。いつもギリギリでは困ります。誰が見てるかわからないんですよ。お店での貴方と普段の貴方。ちゃんとこのお店に恥ずかしく無い用に誇りを持ってくださいね。それに何ですか?『凪くんと間接キス』だなんて。ハーブティが飲みたいんなら志希くんにも入れてあげますからさっさと着替えてきなさい。」
「はい。すいませんアキさん。オレ着替えてきます。」
シュンと尻尾をたらしてうなだれた大型犬がロッカーに引っ込んで入った。
「志希はほんと大型犬だな。あんなに言われてもアキくんに刷り寄って行くしな。アキくんちゃんと恋人がいるからって釘刺しといたほうがいいぞ。マジで。んで凪もちゃんと断らないとあいつ刷り寄ってくるぞ。」
「は?刷り寄ってくるって志希が?でもオレ男だから刷り寄られてもなぁ。」
「そんな意味じゃないって。前にも話したろう。凪は抱かれるタイプなんだって。」
「はぁ?ますます?ですよ。志希は男だし、オレも男です。ないない。それに志希には彼女がいますから。」
「志希はそうは思ってないと思うぞ。あいつはキレイなものが大好きだから男とか女とか関係ないんだなぁ。彼女とかとは又、別物なんじゃないか?きれいな物を愛でるって言うのかな。」
「そうですね。志希くんの美意識は高いですからね。」
「オレにはよくわからないですけど、ま、気を付けます。」
「そうしろ、そうしろ。気が付いたら凪みたいなのはあんなのに組み敷かれてるってパターンだからな。」
「それはないでしょ。オレだって男なんだから負けませんよ。」
「はいはい。」
そう言えば志希はやたらと後から抱き付いてきたり、スキンシップが多い。これからは気を付けよう。
「着替えてきました。」
噂の本人が現れる。制服に着替えた志希は男っぷりが3倍あがる。制服を着る事で魔法でもかかったみたいにスッキリと背筋が伸びスタイルまで変わってくる。大型犬がスマートな執事にでもなった感じ?フロアは志希にうってつけの仕事だと思う。
「今日も見事に化けたな志希。その調子で売り上げ伸ばしてくれ。」
「任せておいて下さい。アキさんのためにオレ頑張りますから。」
「頑張るのはいいですが、押し付けはしないでくださいね。お客様のニーズに合ったものをチョイスして差し上げてください。はい。志希くんのハーブティです。」
「わあ。ありがとうございます。凪くん。さっきは凪くんのハーブティ飲んじゃってごめんね。」
「いいよ。アキさんお代わり入れてくれたし、志希は走ってきて喉が渇いてたんだろ。」
「やっさしー。だから凪くん大好きなんだよっ。」
「うわっ!!」
志希がいきなり抱き付いてきてビックリした。
「なっ。だから言ったろう凪。大型犬には気をつけなって。」
「ふふっ。」
「志希のバカッ!!オレはお前なんて嫌いだ。むやみにオレに引っ付くな!!」
「そんなぁーーー。」
笑いが温かな時間を運んでくれる。その日のバイトはミスをする事もなく終えた。
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読んで下さってありがとうございます☆
リンクしているブログ様の所から私のコメを読んで飛んできてくださったchie様ありがとうございます。メールでお返事お返ししています。これからもよろしくお願いします。
皆様が読んでくださっているおかげで77,777HITまであとちょっとになりました。いつもは余裕がなくて企画ものはしてなかったんですが、今回は短編(5話くらいの予定)を書こうかなって思ってます。よろしければそちらも読んで見て下さいね。ちなみに『キミ空』シリーズのカップルです(♥ó㉨ò)(♥→㉨ฺ←)ウン
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