「キミと空とネコと」
夕陽と紺碧の刹那

夕陽と紺碧の刹那~雪夜とユウの場合4~

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ボクが起きた時にはすでに雪夜さんは居なくて仕事に出た後だった。カイくんがボクが起きた事に気が付いてくれる。

「ユウおはよう。体調はどう?」

「おはようカイくん。寝坊してごめんね。体調はマシだよ。でも何かまだしんどいかな。」

「寝坊だなんて。当たり前だよ。体調悪いんだもの。会社は今日はお休みしないとダメだよ。病院に行こうか?」

「カイくん、今日はボクもともと休みなんだ。」

「そうなんだ。平日なのに?」

「うん。先週ボク土曜日に出勤してその代休。」

「じゃ、ちょうどよかったね。熱測っておこ。はい。体温計。」

「うん。」

「何か飲み物飲む?何がいい?」

「スポーツドリンクあったら…。」

「あるよ。持ってくるね。」

カイくんの家は何でもあるなあ。響夜さんに何があってもいいようにか、カイくんに何があってもいいようにかお互いが買ってきたりするんだろうなって思う。この2人はそれ位に相手の事を思い合っている。

「うーーん。37,3度。微熱あるね。今日ボク、仕事で打ち合わせに今から出るんだけどボクが帰ってくるまではここで寝てて。響夜は家で仕事してるから何かあったら響夜に言ったらいいよ。」

「カイくん、仕事って書道の?」

「うん、何か響夜の本の表紙を書いてからちょこちょこ依頼があって。今日は佐久間書房の本店で打ち合わせなんだ。すぐに帰ってくるからね。お土産にユウの好きなプリン買ってくるね。」

「ありがとう。気を付けてね。」

「うん。行ってきます。」

カイくんは書道5段の腕前。響夜さんは小説家(ペンネームは『杉野 狂夜』)ですごく売れっ子さんなんだ。一度、佐久間書房との契約を切ってブログで小説を書いていたんだけど、ブログの中でも有名になっちゃって本を出しちゃった。佐久間書房のたっての希望で再び契約したらしい。響夜さんに全てのスケジュールを任せる事と編集者は響夜さんが決めるって事が条件で。

カイくんは響夜さんが佐久間書房としてた契約時に響夜さんの本のタイトルの文字を書いたんだ。それが評判でタイトル文字を書く仕事がちょくちょく入る。

「ユウおはよう。海人は仕事行ったけどオレはいるから。何か食べれるか?ってオレの作れるモノは限られてるけど。海人が野菜スープ作ってるけど。それにご飯入れて雑炊にして食べるか?まだ体調よくないみたいだし。」

「カイくんと響夜さんは食べたの?」

「ああ。野菜スープとクロックムッシュとサラダ。」

「カイくんのクロックムッシュおいしいもんね。ボクも食べたかったな。」

「その体調でクロックムッシュは重いだろ。海人もそう思ってユウのは作らずに野菜スープにしたんだと思うぞ。ユウ野菜嫌いだしな。」

「そうなんだ。でもカイくんの作る料理の野菜は何でも食べれるんだよね。不思議と。」

「そうだな。海人の料理は何でも上手いからな。」

「響夜さん惚気ないでくれますか?ボクは1人なのに寂しくなるじゃないですか。でもカイくんが恋人なら仕方ないか。だれでも自慢したくなると思うもん。」

「だろ。海人はオレの最大の宝物なんだよ。」

「はいはい。じゃ、ぼく雑炊にします。」

「わかった。用意しとくから顔でも洗ってくるか?」

「うん。洗面所借ります。」

「ああ。どうぞ。」

響夜さんはボクの朝ご飯を作りにキッチンへ、ボクはタオルを出してもらい洗面所で顔を洗うとリビングへ向かった。

「もうすぐ出来るからソファーに座って。」

「うん。」

ちょっとだるい身体をソファーに沈める。そのままご飯が来るまでボーっとしていると、湯気のたった雑炊が出てきた。

「悪いな。オレ料理なんて殆ど出来ないから上手いかどうかわからないし、雑炊しか作ってないぞ。」

「十分だよ。味ってカイくんの作ったスープにご飯入れただけでしょ。ならおいしいに決まってる。」

「それオレに対して酷くないか?」

「あ、ごめん。」

「いいよ。別に。冷めないうちに食えよ。」

「うん。いただきます。」

フーフーして一口食べるとカイくんの味がする。

「わあ、やっぱりおいしい。カイくんの味がする。優しいのは昨日食べた雪夜さんの卵粥と同じだ。」

「ああ、雪夜の粥はオレの家の自慢だ。お袋より上手かったからな。オレの家では病人が出ると雪夜が粥を作ってた。両親が亡くなってからは雪夜が食事係りだったから、雪夜の料理も上手いぞ。アイツは器用だから何でも出来る。頭もいいしな。自慢の兄貴だ。」

「そうなんだ。雪夜さん料理得意なんだ。」

「一番上の兄貴が聖夜だろ。ほんで下がオレ。雪夜は小さい頃からいい子だったな。聖夜はあの通りのオレ様的なマイペースだし、オレはやりたい放題で暴れてたし、雪夜はその間に挟まれて大変だったんじゃないかと最近になって思うようになった。」

「そうだね。聖夜さんと響夜さんの間じゃ、どちらの事も気に掛けなくちゃいけなくて大変だろうな。」

「ああ。聖夜もオレも周りの事なんて気にするタイプじゃないからな。その分まで雪夜が気にしてくれてたんだと思う。小さい頃から我儘も言わないで自分の中に溜め込んでた。たまに溜め込みすぎて爆発した時なんかすげぇぜ。聖夜もオレも怖くて雪夜に近づけなかったもんな。兄弟のなかで一番キレたら怖いのは雪夜だってオレは思うよ。」

「そうなの?そんな感じ全然しないけど。」

「まあ、今は大人だしキレるなんて事ないだろうけどな。」

「雪夜さんがキレるなんて想像出来ないな。いつでも穏やかなイメージだ。最初は軽いところのある人だと思った事もあるけど。よくウインクしてたし。」

「ウインクはくせみたいなもんだな。雪夜が軽い?何で?」

「デートに誘われた事があったから。もちろんしてないよ。あの時は武蔵を病気にさせた事で落ち込んでたから雪夜さんなりにボクに気を使ってくれたのかもしれないけど…。」

「そっか。ユウ雪夜に誘われた事あるんだ。」

「そん時だけだよ。後はカイくんと響夜さんの事でよく会ったり話したりしてたけど、今は響夜さんとカイくんと4人で会うくらいだもん。昨日はたまたま雪夜さんの病院の近くの公園で夕陽を眺めてたボクに気が付いた雪夜さんが声を掛けてくれてお茶をご馳走してくれたんだけど。」

「雪夜がお茶をご馳走ね。病院の応接室で?奥の雪夜の自室?」

「え?あそこ雪夜さんの自室なの?」

「まあ、自室っていうか急患とかあったら雪夜は動物病院に泊まり込むから自室だろ。そう言えば最近は家に帰ってないって言ってたな。」

「帰ってないの?」

「ああ、着替えとか取りに帰るくらいじゃないのかな。実家に住んでたけど聖夜がアキくんと暮らしてるから自分に気を使わせたくないってマンション買ったのに帰ってないんじゃ意味ないよな。」

「マンション借りたじゃなくて買ったなの?」

「ああ、それなりにオレ達は財産もらってるし、雪夜の病院もはやってるからな。マンションくらい買えるだろ。」

「社長の家はスゴイ大きな洋館だもんね。ボク初めて行った時ビックリした。あそこで社長も雪夜さんも響夜さんも大きくなったんだね。」

「ああ。古いけどいい家だろ。聖夜が引き継いだけどな。あの家は。ていうかユウは聖夜の事いつも『社長』って言うんだな。」

「だって社長だもの。プライベートで会ってもつい社長って言っちゃうんだよ。社長だってボクの事『水野くん』って言うのと同じだよ。」

「そうだな。たしかに『水野くん』だな。」

「でしょ。」

「聖夜もオレも恋人がいるのに雪夜は作ろうとしないんだよな。雪夜、すっごいもてるんだぜ。優しいし、料理もできるし、頭もいいし。病院には雪夜目当ての客もいるのにな。」

「もてるだろうんね。いい男だとボクも思うもん。女の人ならほっとかないでしょ。」

「ああ、女も男もな。雪夜は今好きな人でもいるのかな。」

多分カイくんの事が好きなんだと思うよって心の中で呟いた。胸がチクリと痛みを感じる。

「どうなんだろうね。」

「でも病院の自室に招かれるくらいだからユウの事は気に入ってるんだな。」

「え?ボク?」

「ああ。あの自室は雪夜の近しい人間しか入れないから。ホントだぜ。だからユウには雪夜も気を許してるんだと思う。」

「そうなら嬉しいな。」

雪夜さんの近しい人間の中に含まれていると響夜さんに言われて嬉しかった。

「あ、そうだ今日も仕事終ったら来るって言ってたぜ。ユウの事ちゃんと家まで送るってさ。よっぽどユウに熱を出させてしまった事を後悔してるんだな。」

「もう大丈夫だよ。カイくんが帰ってきたら1人で帰るつもりなのに。」

「ダメだ。ちゃんと雪夜が来るまでここに居てくれ。じゃないとオレが雪夜に怒られる。」

「そんな事雪夜さんも気にしなくていいのに。熱も雪夜のせいじゃないのに。」

「雪夜はそうは思ってないんだろ。雪夜の好きにさせてやってくれ。じゃないと雪夜、溜め込んで行くだろ。」

響夜さんが雪夜さんが子供の頃、自分を我慢して溜め込んでいてキレたって話してた事を思い出した。雪夜さんはボクが1人で帰ってもボクには何も言わないだろうけど、溜め込むような事は嫌だなと思う。

「わかった。じゃ、ボク雪夜さんに送ってもらうよ。それまでここにいても邪魔にならない?」

「そうしてくれ。邪魔になんかならないって。さ、海人が帰ってくるまで薬飲んで寝ててくれ。ユウを起こしたままにしてたら今度は海人に怒られちゃうからな。」

「ふふっ。響夜さんて海人くんの尻に敷かれてるんだね。」

「それが上手く行くコツだろ。」

「はいはい。ごちそうさま。ボク薬飲んで横になってる。響夜さん仕事あるんでしょ。何かあったら言うから仕事して。」

「ああ。片付けがオレがするから、ほらこれ枕元において喉渇いたらちゃんと水分摂れよ。」

響夜さんは水のペットボトルを手渡してくれた。

「ありがとう。」

ボクはベッドに横になる。このゲストルームに泊まったのは久し振りだなって思った。

響夜さんとカイくんの寝室は別にある。ここはゲストルーム。響夜さんが取材旅行で家を開ける時はボクがここに泊まりに来ている。響夜さんがカイくんを1人にするのをひどく嫌がるから。過去の事があるからなんだろうけど。
泊まりに来るのをカイくんは楽しみにしてくれているし、ボクはいいんだけどね。おいしいカイくんのご飯が食べれるし武蔵と遊べるから。普段このゲストルームは武蔵の部屋みたいになってるって言ってたけど…。と思ったら武蔵が布団の中に入ってくる。

「武蔵久し振り。元気にしてた?」

言いながら頭をなでたり喉をなでたりしていると武蔵はごろごろと喉を鳴らし始める。ボクもそんな武蔵の温もりに瞼が重くなって武蔵と一緒に眠る。今日は帰りは雪夜さんと一緒なのが嬉しくて仕方ないボクなのだった。

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~ Comment ~

連コメでゴメンナサイ! 

Rinさま、またお邪魔いたします。

響夜さんの話を聞けば聞くほど‥
これは脈あり!?
雪夜さんは大切に想うあまり慎重になってるような気がします。
大切なひとしか入れたことのない場所に
ユウくんを‥

好きでいてくれたらいいなぁ‥

とっくに両想いだったらいいなぁ‥
だってユウくんが泣いたり、苦しんだりする姿は
似合わないし、
こっちまで辛くなってしまうから。

でも簡単に結ばれる恋愛も‥違うと思うし。
やっぱ神様にお祈りです!
ふたりが‥両想いでありますように‥v-10

雪夜さんと一緒♪
私もウキウキいたします~(^v^)

連コメ失礼いたしました、
続きも楽しみにしておりますm(__)m

Re: 連コメでゴメンナサイ! 

ハル様こちらにもコメ頂きましてありがとうございます☆

響夜も雪夜の態度にもしかして?って思っているようですが、本人から聞いたわけでもないので何も言えません。雪夜の本音はどこに。本人に聞くしかありませんが黙秘しております。もしかしたら雪夜自身もまだ分かっていないのかも…。大人になればなるほど慎重になるんでしょう。雪夜も30越えですから。責任ある行動をしないとって。まあ弟が響夜で、その後始末をしてきたせいもあるのかも…。雪夜は身内だと思っている人間にはとことん甘いですから。

ユウには辛い思いはさせませんのでご安心を。一応短編ですので…お礼企画が長編では…。5話で終るのは無理になりましたが…。

ハル様連コメ゚・*:.アリガ。.ヾ(❀◕ω◕)ノ ゚・*トゥ:.。゚・*ゴザイマシタ☆
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