「キミと空とネコと」
夕陽と紺碧の刹那

夕陽と紺碧の刹那~雪夜とユウの場合5~

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お昼過ぎにカイくんが帰って来てボクの様子を見に来てくれた。ボクと武蔵が一緒に寝てるのをみてクスッって笑われた。

「武蔵きっとユウの事が心配だったんだね。武蔵ありがとう。ボクの変わりにユウの傍に居てくれたんだね。」

「にゃーん。」

ゴロゴロと喉をならして海人くんの手に頭を擦り付けている。

「やっぱり武蔵はかわいいね。癒されるよ。」

「うん。武蔵は今でもボクの味方だからね。響夜とケンカすると響夜の所には絶対に行かないんだ。響夜が近寄ると噛んだり引っ掻こうとしたりするんだよ。」

「相変わらず一番は武蔵なんだ。響夜さん負けてる。」

「そうなんだ。で、響夜が謝りにくる。」

「ふふっ。いいなカイくんは愛されてて。」

「いいでしょ。ユウも愛されるよ。ユウはいい子だから。」

「いい子だから愛されるとは限らないよ。それにボクはいい子なんかじゃないし。」

「ユウはいい子だよ。ボクも響夜も保証する。武蔵もね。」

「にゃん。」

「ほら、ねっ。ところでお昼ごはん何食べたい?体調はどう?もう一度熱測ってる間に考えといてね。」

一度、カイくんが寝室から出ていく。武蔵も一緒に出ていった。隣にいるのに一人になってしまって寂しく感じるのは体調を崩したせいかな。違うな。多分愛されているカイくんが羨ましいから。響夜さんにも武蔵にも雪夜さんにも…。そんな事を考えるボクがいい子なわけないよ。カイくん…。

ピピッ。電子音が鳴り体温計を取り出すと36,9度。ボクにしてみれば少し高い温度だけどもう熱があるとは言えない。ふぅって溜め息を吐くとベッドを降りてベランダから空を眺める。昼間なんだから当たり前なんだけど夏のそらは青く明るくて眩しかった。まるでカイくんのように…。

もう一度溜め息を吐くとボクは体温計を持ってリビングへ行く。

「カイくんもう熱下がったよ。お昼は親子どんぶりが食べたいな。」

「36,9度か。微妙だね。大丈夫?ちょっと重くない?親子どんぶり。」

「量は少しでいいんだ。何だか親子どんぶりの気分。」

「いいなあ親子どんぶり。オレもそれが食いたい。」

「2人がそう言うなら親子どんぶりにしよっか。卵って栄養価高いし。でもユウ昨日は卵粥で今日は親子どんぶりって卵ばっかりだよ。」

「ボクは卵好きだもん。いいの。ぜんぜん平気。スーパーのお惣菜やお弁当屋さんに比べたら、カイくんのご飯は比べ物にならないし、今度いつちゃんとしたご飯食べれるかわかんないもん。」

「ユウも料理覚えればいいのに。」

「1人で自分のために作るなんて寂しすぎてヤだよ。それならお弁当とかお惣菜でいい。それにボクは料理とウマが合わないんだ。何を作っても成功した試しがない。出来るのは卵かけごはんぐらいなものだけど、それだって毎回味が違うんだから。やるだけ無駄なの。ボクが料理する事はエコには繋がらないからしない。」

「そこまで言うならもう言わないけど、響夜でさえお粥は作れるよ。」

「響夜さんお粥作れるの?」

「ああ、海人が体調崩した時に毎回雪夜に頼むわけにも行かないから、雪夜に教えてもらったんだ。それに雪夜のお粥を食べさせるのも何だかムカツクしな。」

「響夜ったら。」

「海人の事はオレが何でもやりたいの。雪夜でも嫌なんだ。海人はオレのなの。」

「もう。雪夜さんはお兄さんでしょう。家族じゃないか。」

「家族でも嫌だ。」

「それは雪夜さんもカイくんの事を好きだったからそう思うの?」

「えっ?雪夜さんがボクを?」

「海人はオレのなのっ。雪夜には渡さないって言ってあるから。」

「ボクは響夜が好きなの。響夜の傍を離れないって決めてるんだから。」

「わかってる。今はわかってるけど、前まだこうして海人といられなかった時に言った事だから。昔の事。ごめん。海人の愛を確かめないであん時は言ってたな。でも例え海人が雪夜を好きだったとしてもオレは雪夜から海人を奪ってたと思う。諦められないくらい好きだったから。」

「響夜…。」

爆弾を落としてしまった。ボクの口は何て事を言っちゃったんだ。カイくんに昔とはいえ雪夜の気持ちを雪夜さんに断りもなく言ってしまった。もしかしたら今もカイくんの事を雪夜さんは思い続けているのかもしれなのに…。カイくんはボクの雪夜さんに対する気持ちを知っている。カイくんにも変な気を使わせる事になる。ボクってなんてバカなんだろう。

夕方送ってくれると言っていた雪夜さんにも合わせる顔がない。会ってもきっと何もしゃべれない。

響夜さんとカイくんは愛を確かめ合って見つめ合ってる。ボクは完全なるお邪魔虫でしかなく…。ここにいるのが何だか苦しくて…。

「カイくん。大変だ。ボク休み明けに企画書提出しなくちゃいけなかったんだ。家に帰って企画書作らなきゃいけない。お世話になったのに悪いけど、ボク帰らなくちゃ。」

「えっ?でも親子どんぶり…。」

「また今度作って。ボク急いで帰らなくちゃ。徹夜なんかになったらそれこそダウンしちゃうよ。」

「そっか。仕事なら仕方ないよね。体調は大丈夫?」

「うん。熱もないし大丈夫だから。」

「ユウ、じゃあオレ、車でマンションまで送るわ。1人で帰したなんて言ったら雪夜に何を言われるか分かったもんじゃない。」

「じゃ、お言葉に甘えてそうしてもらおうかな。」

「すぐに帰るのか?」

「うん。」

「じゃ、車を前に回してくるよ。」

「ありがとう。」

響夜さんが出ていく。

「カイくんごめんね。我儘ばっかりで。」

「いいんだ。ボクだってさんざんユウに我儘言ってるし。えと、さっきの雪夜さんの事だけど…。」

「あ、早く行かなきゃ響夜さん待たせちゃうな。じゃあカイくんちょっと響夜さん借りるね。今度お礼するから楽しみにしててね。じゃ、ありがとう。」

ボクはさっさと荷物を持ってカイくんの言葉は聞こえなかったかのようにドアを閉めた。

マンションの前には響夜さんがいて車はすぐに発車する。

「ああ、ユウのスーツ取りに行かなくちゃな。クリーニング屋に寄るぞ。ユウは寄りたい所ないか?」

「別にないよ。」

響夜さんはクリーニング屋でスーツを受け取るとマンションまで送ってくれた。

「ありがとう。雪夜さんに謝っておいてね。」

「ああ。」

「後、ごめん。カイくんの前で雪夜さんの気持ちの話をしちゃって…。」

「何でユウが辛そうな顔してるんだ?昔のことだ。気にしてないよ。じゃあ、体調に気をつけろよ。」

「うん。響夜さんも気を付けて帰ってね。」

「じゃあな。」

「バイバイ。」

企画書なんて嘘。あの場から逃げるための嘘。

ボクは誰もいない部屋に入るとそのままベッドに横になる。昼ご飯なんて食べる気はさらさらなくなっていた。

いつの間にか眠っていたようで起きたらすっかり夕陽になっていた。ボクはベッドからボーっと夕陽を見つめている。何だか泣きたいような気持ち。子供の頃、1人で公園にいた時と同じ気持ちだ。そのまま動く気にもならず、ずっと外を見ていた。




ピンポーン…

玄関のチャイムが鳴った時には夕陽から宵の帳が降りて紺碧に染まる刹那だった。

誰だろう。こんな時間に…。

「どなたですか?」

玄関のインターホンから問い掛ける。

「こんばんは。雪夜です。ユウくんが心配で来ちゃいました。」

雪夜さん!?

*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨゚・*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨゚゚*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚
いつも読んで下さってありがとうございます。初めてお越しくださいました方はじめまして。みなさんが少しでも楽しんで読んで下さってればいいのですが…。これは『キミ空』のスピンオフですが、短編で書くのも初めてに近いし、スピンオフも初めて(0時更新の『やさしいKissをして』も『キミ空』のスピンオフです(笑))なので少し心配ですが…。(短編でまとめられるのだろうか(゚m゚*)プッ)
鍵拍手コメを下さったK様ありがとうございます。それも連チャンで嬉しい✿ฺ(pq◕ฺ∀◕ฺ*)キャ♬お礼が遅れてごめんなさい。一言一言が励みになっています。長編で書いてるなら雪夜Sideからも描きたいのですが、今回は一応記念企画なので…。短編で終われるようにユウSideからしか書けないショボ─llll(。í _ ì。)llll─ンなので雪夜の事、雪夜の気持ちはユウと一緒に聞いてあげてくださいね☆いつも応援d(ŐдŐ๑)☆スペシャルサンクス☆(๑ŐдŐ)bですッ!!

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