「キミと空とネコと」
夕陽と紺碧の刹那

夕陽と紺碧の刹那~雪夜とユウの場合6~

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えっ、雪夜さんがどうして?ボクの事が心配?責任をかんじてるのかな、やっぱり…。

ボクは迷いながらも玄関のドアを開ける。

「こんばんは。ユウくん。仕事中だった?やっぱり顔色悪いね。もう何か食べたかな?」

「寝て起きてぼーっとしてました。ご飯は食べたくない…。」

「もしかして泣いてた?目の淵が赤い。」

ボクの頬に雪夜さんの手が伸びてきて、思わずボクはその手を払いのけてしまった。

「あっ、ごめ…んなさ…。」

「ごめん。急に触ったりしてらビックリするよね。ユウくんごめん。」

「…。」

「ユウくんはボクと会うのは嫌?」

「どうして?」

「何かそんな気がしたから…。」

「嫌じゃないよ。でもどうして雪夜さんがここに来たのかわからない。響夜さんから連絡あったでしょ。」

「そうか。嫌われてるんじゃないんならいいんだ。ここに来たのはだって普通心配するだろう。」

「だから、ボクが熱を出したのは雪夜さんのせいじゃないってばっ!!責任感じなくていいんです。ボクが勝手にした事なんです。」

「そういうわけにはいかないよ。とにかく部屋に入らせてくれる?ご飯作るから。」

そう言うと雪夜さんはボクの返事も聞かずに靴を脱いで部屋に入ってキッチンに向かう。ボクのマンションはカイくんが住んでたマンションと同じ所だから、部屋は違っても間取りはわかってて、雪夜さんは迷う事なくキッチンで何か作り始める。

「ユウくんそんなとこにいたら、風邪がぶり返すからこっちに来て座って。それとも仕事が残ってるなら出来たら声かけるから。」

お料理する雪夜さんを見ていたいと思った。何だかんだ言ってもやっぱり雪夜さんの事が好きだから。だからボクは何も言わずにリビングのソファーに座りぼーっと雪夜さんを見ていた。

コトン…

どれだけぼーっとしてたのか気が付くと目の前にご飯が並んでいた。

「…親子どんぶり……。」

「もう食べたくなかったかな?カイくんにお昼にユウくんが食べたがったものだって聞いてね。」

「カイくんに聞いたんだ…。」

目の前にはおいしそうな親子どんぶりと赤出し、ほうれん草のおかか和えが並んでいて、きっとこれはボクの栄養のバランスも考えて作ってくれたんだなってわかる。

「ボクも一緒に食べてもいいかな?仕事帰りでまだ食べてないんだ。」

「どうぞ。ボクも1人で食べるより誰かと食べる方がおいしいですから。」

「ありがとう。」

2人で向かいあって食事をするのは初めてだなんて思いながら、少し何かが引っかかっているような気がしてるのを無理に考えないようにして雪夜さんとご飯を食べる。

「あ、おいしい。」

「ほんと?良かったよ。ユウくんの口に合って。たくさん食べて。」

「はい。雪夜さんは本当にお料理が得意なんですね。響夜さんに聞きました。」

「そうなんだ。だって聖夜はね、サラサラする気ないでしょ。誰かが作ってくれた物を食べるのが当たり前だし、響夜はそんな事する暇はないってそんな事するぐらいなら外で食うってタイプだからね、必然的にボクがするようになった。まあ、ボクも嫌いじゃなかったしね。みんながおいしいって嬉しそうに食べてくれるとボクも嬉しいし。そう言えばカイくんも言ってたな。料理を食べてくれてみんなが嬉しそうな顔をしてくれるから好きなんだって。」

カイくん…チリリと胸が焼ける気がする。

「カイくんもお料理得意ですもんね。カイくんのも、雪夜さんのもとってもおいしいです。」

「ユウくんは作らないんだってね。お弁当とかお惣菜とかばっかりだってカイくんが心配してた。」

「ボクには料理の才能0なんですよ。お弁当とかお惣菜の方がおいしい。卵かけご飯でさえロクに作れないんだから仕方ないんです。」

「じゃあ、だれかお料理の出来る人が傍にいないといけないね。」

「家政婦さん雇う余裕ないから…。」

「恋人とか…。」

「そんな人いないし。それにそれじゃ、お料理のために付き合ってるみたいで嫌です。」

「そうだね。ごめん、変な事言って…。」

「さ、食べちゃいましょ。雪夜さん全然減ってないでいですよ。」

「おっと冷めたらどんな料理でもおいしくなくなるね。」

その後は当たり障りの無い話をしながら食事をした。

後片付けをした雪夜さんが帰る用意をする。

「体調がまだ整って無いのに押しかけてごめんね。」

「いいえ。こちらこそおいしいご飯ありがとうございました。」

「明日は仕事?」

「はい。」

「明日何が食べたい?」

「え?」

「明日も作りに来ていいかな?このくらいの時間になるけど。」

「どうして明日も何ですか?」

「ユウくんが心配だから。」

「だからもう治ってるし、責任感じなくてもいいですってば。」

「言い方が悪かったかな?ボクがユウくんにおいしいって食べてもらいたいんだ。ボクの我儘だよ。」

雪夜さんは何を考えてるんだろう。ボクに料理を作る意味がわからない。

「カイくんもユウくんの事心配してたし。ボクも心配だよ。」

カイくんが心配してるからか…。

「雪夜さんごめんなさい。ボク明日は遅くなるから…。」

「そうか。ユウくんの都合も考えずにごめん。じゃあ、早く帰ってくる時は連絡してくれる?ボクが急患が無い時はご飯作りに来るよ。」

「わかりました。ありがとう。心配してくれて。」

「カイくんの大事な友達だからね。ボクにとっても大事だよ。」

「ありがとう。」

ありがとうと言いながら何だか胸の奥がジクジクと痛かった。

じゃあと言って雪夜さんが帰る。ボクは玄関で見送るとドアを閉める。普通の顔出来ていたかな?ツツーッと涙が流れて来た。

「あれ、なんで泣いてるんだろう。」

ボクは雪夜さんに連絡するつもりはなかった。雪夜さんに会うのが辛くなってきちゃって…。好きだけど、会うたびに片思いなんだって嫌って言うほど知らされるから。だからボクはしばらく毎日遅くまで会社に残っていた。

「水野くん、毎日残業してるの?」

「あ、社長。お疲れ様です。そんなつもりはないんですけど、新しい香りを作りたくて…。」

「ローズ系はもう充分ラインナップが揃ってるし、順調だからね。水野くんのおかげだな。そうか次か…。でも何だか疲れた顔してるよ。せっかくの可愛い天使が台無しだ。」

「社長、ボクは天使なんかじゃないですよ。天使っていうのはカイくんみたいな子の事を言うんです。」

「確かにカイくんはキレイいな天使だけどね。水野くんも可愛い天使だよ。もう仕事は終りにしなさい。食事でもしに行こう。」

「社長…。」

「アキの店で一緒にご飯を食べよう。きっと元気が出るよ。」

「アキのお店か。そうですね。」

「じゃあ、帰る用意をして。アキに電話しておこう。」

アキは社長の恋人。イタリアン料理のお店『Calda casa』を営んでいる。

「そう。わかった。じゃ、水野くんと行くから。」

「帰る用意出来ました。」

「アキに言っておいたよ。水野くんに会えるのを楽しみにしてるって。」

「ボクもアキに会うのは久し振りです。」

社長と共にアキの店に向かう。もう時刻は22時を回るかという時間でアキの店はオーダーストップがかかっていて店内は数名のお客さんが食事を終ろうとしていた。

「いいんですか?もうお店閉める時間なのに。」

「いいんだ。アキと水野くんと3人で食事をしよう。アキも用意してくれているよ。」

アキくんに案内されて店の奥のテーブルに座る。

フロアの志希くんが料理を運んでくれた。その後は最後のお客を見送り、外灯を消したアキくんがテーブルに着く。

「いいの?お店後片付けするんじゃないの?」

「うん。片付けはすぐ出来るから。もう掃除くらいだから大丈夫。じゃ、食べよっか。」

ワインで乾杯して静かに食事を始めた。

「で?何を水野くんは悩んでるの?」



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