「キミと空とネコと」
夕陽と紺碧の刹那

夕陽と紺碧の刹那~雪夜とユウの場合8~

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それは偶然だった。

アキの店からの帰り道、電車に乗ろうと横断歩道を渡ろうとしている時に車のクラクションが鳴らされる。思わず振り返ると、車の窓から身を乗り出した雪夜さんがこっちに向かって手を振っていた。

「雪夜さん…。」

往来の真ん中でそんな目立つ行為をされて無視する事なんて出来ない。ほんとなら今、会いたくないんだけど…。

「ユウくん今帰り?送るから車に乗って。」

雪夜さんはボクのいる方へ車を寄せるとハザードを出して止まる。ちょうど信号が青に変わって一斉に車が流れ出した。

「どうしたの?疲れてる?」

雪夜さん、貴方の事を考えててこうなってるんです…。

心の中で小さく呟く。

せっかく車を寄せてくれたのに「いいです」とも言えず、他の車の邪魔になっているのも確かでボクは何も言わずに助手席に座った。

「よかった。ユウくんに会えて。ご飯を作りに行った時以来だよね。」

「ええ。そうですね。」

だって、ボクが雪夜さんを避けてたんだもの…。

「ちょっと元気ないみたい。電話なかったし、毎日残業してるの?少し痩せたね。」

「はい。新しい企画を考えててそれを作るのに残業です。」

「忙しいんだな。ユウくんは。今日はご飯食べたの?」

「はい。さっき。社長が残業ばかりしてってアキの店に連れて行ってくれて食べました。」

「ならいいんだ。毎日残業してたらちゃんとしたもの食べれないだろ。」

「適当に食べてますよ。心配しなくても大丈夫です。大人ですから、自分の体調の管理くらいしないと。それにカイくんと知り合うまでは、もっと食生活は乱れてましたから。」

「カイくんの食事はバランスよく考えてくれるからね。響夜も体調がいいみたいだ。髪の毛にまでツヤが出てきたって言ってたよ。」

「響夜さんは髪の毛長いですもんね。そう言えば、前はバサバサって感じだったけど、今はキレイな黒髪ですね。キューティクルで天使の輪が出来てますもんね。」

「だろ。」

「そう言えば、どうして雪夜さんも髪の毛のばしてるんですか?今じゃくくれる程伸びてますよね。」

雪夜さんの髪は響夜さんと違って少しふんわりとウエーブがついて茶色がかっている。

「ああ、これ?願掛けしてるんだ。」

「願掛け?」

「そう。願いが叶ったら切るよ。」

「そうなんですか。早く願いが叶ったらいいですね。」

そう言って何気に窓の外を見た。ネオンが次々と流れていく。

「あれ、ボクの家、こっちじゃないですよ。」

「ユウくん明日日曜日だから休みでしょ。ボクも休みなんだ。少しドライブに付き合ってよ。」

「付き合ってよって、雪夜さんもう高速に乗ってるし、降りられないじゃないですか。」

「あはは。ごめん。ちょっとユウくんとデートしたくなってさ。」

「デートなんて女の人として下さい。何でボクなんですか。たまたま会っただけでしょう。」

何だかからかわれて入るような気がして少し腹が立った。ボクは雪夜さんが好きなのに、雪夜さんは恋愛対象としてでなくボクとデートだなんて軽々しく言うことに…。心が傷ついてグサッって何かが刺さった気がする。

「怒らないでユウくん。デートって言ったのは冗談なんかじゃないんだけどな…。」

雪夜さんの言葉はボクが窓を開けたせいで聞こえなかった。

「何か言いました?」

「ううん。もうすぐ着くからね。」

窓をあけておると潮の香りがしてきた。ザザーンという波の音が聞こえる。

雪夜さんは駐車場に車を止める。

「さあ、到着。ユウくん外に出よう。」

「雪夜さんは何かカバンに荷物をたくさん入れたものを持っている。

外にでると暗い海が広がっていた。車道の所々の外灯が足元を照らしている。

「うわー。海だ。海なんて久し振りだ。」

暗い真っ暗な海だけど、空にはキレイな月と星が瞬いている。

波の音しか聞こえなくて、いつもの街の喧騒もなくボクと雪夜さんしかそこにはいなくて、まるで世界に2人しかいないような気になる。

「喜んでもらえた?ユウくん元気ないみたいだったから。」

「はい。ありがとうございます。夜の海って初めてです。夜の海って怖いケド月や星の明かりでキレイですね。」

「静かだしね。波の音が心を癒してくれるから、ボクはたまにここに1人でくるんだ。」

「じゃ、雪夜さんの秘密の場所?」

「そう。誰にも教えてないからユウくんだけだな。知ってるの。」

「いいんですか?そんな大事な場所をボクに教えちゃって。」

「いいんだ。」

「ほんとはカイくんと来たかった場所じゃないんですか?」

ボクはとうとう言ってしまった。もうとても心が我慢出来なかった。聞くしかどうにもならない。諦めるにしても何も言わないで遠くから見ているだけなんて、そのうち辛すぎて逃げてしまうと思ったから…。

「何でそこでカイくんが出てくるの?」

「だって雪夜さんはカイくんの事が好きなんでしょう?」

「ああ、好きだよ。だってカイくんは響夜の…。」

「いいんです。もう言わないで。」

やっぱり、カイくんの事が好きなんだ。ボクの片思い…。そう思うと涙がボロボロと溢れてきてあわてて下をむいたけど、足元の砂に水後が残ってるだろう。夜で暗くて良かった。涙が落ちてる事はわからないだろう。

「カイくんの代わりにボクを連れてきたんですか?カイくんの友達だから。」

「え?そんな事思ってユウくんを誘った訳じゃないよ。ユウくんが元気なかったから。」

「いいです。ボクに優しくしないでください。勘違いしちゃいますから。」

「ユウくん…。話をちゃんと聞いて。」

「もういい。聞きたくない。」

ボクはその場から走って車道にでた。都合よくタクシーが通ったのでタクシーにのって自分の家をつげ、雪夜さんを置き去りにボクは家に向かう。

雪夜さんが何でボクに構うのかわからない。カイくんの代わりなんて嫌だ。ボクはボクなんだから。

帰りのタクシーの中でぼんやりと外を眺めながら頬に涙が伝っていた。

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読んで頂きましてありがとうございます。短編といいながら8話まで進んでおります。10話で終る予定ですが、終れるのか…。がんばります。
雪夜の気持ちがわからずグルグルしているユウと、なまじ大人なので(雪夜が30歳です)考えてしまっている雪夜。すれ違っています。じれたっくて進まずにごめんなさい。ちゃんとハピエンになりますので、じれったい恋を見守ってやって下さい。今日の『やさしいKissをして』は更新時間を間違えてて3時過ぎにUPとなりゴメンなさいです。こんなポカを時々やらかします。そんな私ですが見守ってくださるとありがたいです。今日はというか、あいたの『やさしいKissをして』はちゃんと0時更新出来るように頑張ります。いつもアリガトウ✾“ヽ(。◕‿◕。)ノ”です☆/span>

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~ Comment ~

 

こんばんは。
これって短編だったんですか?

切ないユウくん、早く幸せになって欲しいですね。

kiriさんとこの受けは綺麗系だけど、このサイトはかわいい系ですね♪

ファンタジー、苦手だけと気になるので読ませて頂きました。
おもしろかったです!!

何かよくわかないけど、最後に種あかしがあるってのが、Rinさん多いのかな~?

カイくんの両親の色々も、ありえないけどBLにはありかもって読んでたら、最後にすっきりしたし~
かなりカイくんには泣かされました(T-T)

でも、前向きなコウにも好感持てます!!
頑張って、幸せつかんでほしいな。

Re: タイトルなし 

蝶丸さまこんばんは☆

ええこれ、一応短編なのです(笑)
77,777HIT記念企画で始めました。

グルグルまわっているユウです。雪夜も積極的には動いてないので(一応大人なのでいろいろ考え込んでるようで…)

そうそうKiri様のとこの受けはキレイだけど、ウチはどうしてもかわいくというか幼くなってしまう…違う受けも書きたいのですが、気が付けばこうなっています(笑)

ま、蝶丸様ファンタジーのまで読んで下さって…。ファンタジーって好みがすごく分かれるんだなーって書いてから気が付きました。書くのもしんどかった(ノ-_-)ノ~

ありえない話なのは許してください。あくまで私の妄想と腐で出来ているお話です。
海人の両親については、どうしでもそこが引っかかったままで無くても良かったのですが無理やり(笑)ハピエンにしてしまいました。だって仲の悪い親子でそこがいつまでも海人の傷になってたら色々と辛い目に合った海人がかわいそうなんだもん。

みんなが幸せになるように書いてます。最後はきっとハピエン゚.+:。(〃ω〃)゚.+:。ですよ☆

蝶丸様コメありがとうございました☆
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