「キミと空とネコと」
やさしいkissをして

やさしいKissをして16

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次の日、達樹に水曜日はダメだと変更してもらおうと思ったのに、そんな日に限って達樹に会えない。いつもはウザイくらいに引っ付いてくるのに。

仕方なく、電話するが電源が入っていないとつながらない。

「まったく、必要じゃない時には傍に来るくせに、こっちが用事のある時はいないってどういう事だよ。」

ブツブツ言いながら一応メールを入れておく。

「まったくめんどくさい奴だ。店に来られるのも嫌なのになあ。でも足の事で世話になってるし、この間の気分悪くなった時もアイツに助けてもらったし、その時のノートも借りてくれたしなー。」

オレは何か達樹には無碍には出来ないんだよな。アイツの人懐っこい笑顔見ると誰でもそうなるんだろうな。だからアイツは友達が多いんだ。

結局その日は達樹と連絡が取れなかった。もちろんメールの返事も来なくて…。明日は水曜日なのに…。




次の日も大学で達樹に会う事はなかった。電話も『電波の届かない…』を繰り返すだけ…。

まあ、店の場所も教えてないし、メールで今日はダメだって昨日も、今日も送ってるし大丈夫だろう。連絡の取れないアイツが悪い。オレから何度も連絡してるのに。

今日の講義を終え、オレはバイトに向かう。もう一度念のために達樹に電話したが『電波の…』を繰り返すだけだた。アイツ2日もどこに消えてるんだ?

いつもウザイくらい引っ付いてくる奴がいないと、こうも静かなものなんだと思う。少し寂しい気がするのは人恋しいから?いやいや、そんな事はない。達樹と知り合う前はずっと1人で過ごしてたのだから。

さて、気持ちを切り替えてバイトしなくちゃな。

「おはようございます。」

「おはよう。」

「おはようございます。」

ギクッと身体が一瞬強張る。だってそこにはアキさんと黎がいたから。

「りゅ、隆耶さんは?」

「相変わらず寝てるよ。」

「オ、オレ着替えてきます。」

「じゃ、コーヒー入れておくね。」

「はい。」

ビビッた。そうだ。今日は水曜日だから黎の来る日だった。達樹の事ばかり気にしてて忘れてた。ああ心臓に悪いったらありゃしない。

着替え終ると、鏡で服装を確認して頬を2回ペシペシと叩いて気合を入れる。

「何があってもミスしない。仕事に集中、集中。オレは大丈夫。出来る。ちゃんとミスなく出来る。」

ブツブツと口の中で暗示をかける。

スタッフルームに行くとアキさんがオレにコーヒーを入れてくれてた。

「今日はスペシャルマウンテンにしたよ。気合入れないとなんでしょ。」

「うっ。はい。そうです。」

「無理しないでね。火傷でもしたら大変だから。」

「はい。ミスのないように集中します。で、志希はやっぱり…。」

「のようですね。」

「ほんとにギリギリなんだ。もう3分前ですよ。」

「黎くん、これがいつもの志希くんなの。困ったもんだよ。でもフロアでの仕事すごいからね彼は。バイトじゃもったいないくらいだよ。」

「そうなんだ。」

「遅刻ギリギリの彼はダメだけど、フロアでの彼は見習った方がいいよ。彼を見ていると動きが分かるようになるから。」

「はい。そうします。」

「…っ…ハッ…は…よござ…い…ます…っ。」

「志希くん毎回言わせないで下さい。もっと余裕を持って。」

「み…水…。」

黎がすかさず水を手渡すとゴクゴクと一気に飲んでしまう。

「オレ着替えてきます。」

あわただしい奴だ。

「オレも隆耶さん起こして厨房入りますね。」

「ヨロシクね。じゃ、黎くんもフロアの準備をしましょう。」

「はい。」

それからいつものバイトが始まる。フロアも厨房もそれなりに忙しく動き回っている。

もうすぐ、オーダーストップのかかる9時半前に1人のお客が入って来た。

「お客様もうすぐ9時半でオーダーストップとなり、当店は10時に閉店となりますがよろしいでしょうか?」

黎が一声掛ける。

「いいよ。30分あれば食べれると思うし。で今日のディナーにしてもらおうかな。」

お客が少なかったので片付けを始めていたため、そのやり取りが厨房まで聞こえていた。

あの声…。厨房からフロアを覗くとやっぱり達樹だった。

なんでアイツ来るかな。メール見なかったのかよ。てか、何で店知ってるんだ?教えてないぞ。

料理が運ばれてくるたびに嬉しそうに食べている。あんな顔をされれば作ったかいがあると嬉しくなる自分もいる。

「ほんとにどれもおいしい。」

達樹が独り言のように呟く。

「さすがに凪がバイトしたがった訳だ。」

「え?凪?失礼ですがお客様は凪くんのお知り合いですか?」

「そう。凪はここの厨房でバイトしてるんですよね。オレ大学の友達です。」

「ああ、貴方が凪くんに引っ付いてくる、あ、失礼しました。お友達ですか。」

「ええ、確かに凪に引っ付いてます。」

恥ずかしげもなく言う達樹に我慢できずにフロアに出てしまった。

「達樹、余計な事言うな。ってかメール見なかったのか?今日はダメだと書いてただろう。」

「ん。でも覗いて見たら空いてたしお腹空いたんだから仕方ないじゃん。おおっ、凪前髪あげてるんだ。かわいいなあ。でもその前髪止めてるピン普通のじゃん。可愛くない…。」

「達樹っ!!前髪上げてるのは当たり前。料理に髪の毛が入っちゃったらダメだろ。それにこの上にコック帽かぶってんだ。ピン止めがどんなでもかまわないし、男だからいいだろ別に。」

「んーーー。でも凪には可愛いのが似合うと思うんだよな。男だからとか関係なくさ。でさっ、うまいよ。ここの料理。凪も作ってるんだろ。凪の手料理を食べれるなんて幸せだー。」

「花をバックに散らばせながら言うな。作ってるのは殆どシェフだ。恥かしい奴め。」

「いや、マジうまい。おいしい料理ありがとな。」

達樹はいつものようにポンポンと頭を叩く。

「ちょ、達樹、ここ大学じゃないんだから、そういう事するな。」

「あ、ごめん。つい…くせみたいなもん?ていうか凪、厨房だろ。ここにいていいの?オレは嬉しいけど。」

「あああ、もうっ!!達樹がいきなり来るからだっ!!それ全部食べたらさっさと帰れよ。」

「ああ。わかってるって。今日のところは大人しく帰る。」

「いつも大人しく帰れっ!!」

達樹とオレのやり取りを黎がじっと見ていた事をオレは知らなかった。




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