「キミと空とネコと」
夕陽と紺碧の刹那

夕陽と紺碧の刹那~雪夜とユウの場合10~

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カサブランカの香りが出来上がって、目の下のクマも消えてから2日が過ぎていた。

でもボクは雪夜さんに連絡出来ないでいた。今更なんて連絡すればいいんだろう。自分勝手すぎるよね。

一つの事に夢中になると、そのほかの事に気が回らないのはボクの悪いクセだ。後悔しても後の祭り…。

ボクは仕事用のカバンと雪夜さんへのプレゼントを入れた紙袋をずっと持っていた。もしかしたら雪夜さんが連絡してくれるかもしれない、何処かで偶然会えるかもしれないなんてわずかな期待を持って…。
2週間も無視してたから雪夜さんから連絡は来る事はなく…。当たり前だよね。

自分から告白しなきゃって雪夜さんのためだけに香りを作っている時は意気込んでたけど、いざ告白となると勇気が出なくて…。ボクはヘタレすぎるって思った。今までなら好きな子にはためらいもなく告白してたのに雪夜さんとなると全然ダメ。

「あーあ。毎日持ってるから紙袋がシワになってきちゃってるよ。今日は帰ったら紙袋を入れ替えないといけないな。」

今日は外回りをして直帰だったので、ボクは雪夜さんの病院の近くの公園でこないだのようにぼんやりと夕陽を見ていた。

「なんだか今日の夕陽はいつもより赤く感じるな。」

言葉に出すと悲しい気持ちになる。こないだここで夕陽を見ていたよりも悲しい。寂しい思いが溢れてきて涙があふれそうになった。

「バカ、何を泣きそうになってるんだ。自業自得だよ。ユウ。」

独り言を呟き、目にたまった涙を拭うけど、ボクの気持ちの表れなのか涙は溢れてくるばかり。

感情のまま、素直に泣くほうがいいかもしれないと途中からは拭う事もやめた。

涙でぼやけた視界は赤い夕陽を滲ませる。そのまま時間だけが過ぎて、いつの間にか涙は止まっていた。涙の通った跡が攣るような感じがする。

空の色は夕陽から紺碧色へと移り変わろうとしている。

「そろそろ帰ろう。ここにいても寂しいだけだもの。」

ボクは紙袋を持とうと手提げを持つ。ずっと持ち続けていたためか持ち手のところが破れて中に入っていたものが零れ落ちた。

「もう。大切なものなのに…。」

ボクは一つ一つ手に取り、汚れを拭い、傷がついてないか確認する。幸いどの商品も破損しておらずキレイなままだった。

「よかった。きれいなままで。でもこれどうやって持ち帰ろう…。」

仕事用のカバンには書類やパソコンが入っていて入れれる余地はないし…。買い物に来てるわけじゃないからエコバックを持っているわけじゃない。近くのコンビニで買い物でもすればいいのだけれど、そこに行くまでこの商品を置いて置くわけにも、抱えて行くわけにもいかない。

どうしようか途方に暮れる。

取っ手もとれた袋に商品を入れて抱えてみたけど、袋も破れているから長く持っているとまた落としそうだ。

「日ごろの行いなのかな。2週間も雪夜さんの連絡を無視してた罰なのかな。ボクの恋は実らないから告白するなっていう事なのかな。」

日ごろはポジティブに考えようと努めているボクだけど、寂しい夕陽を1人で見ていたためかネガティブな思考しか働かない。ポロンって止まったはずの涙が座ってるボクの膝を濡らす。

「タクシーつかまるかな。」

滲んだ視界をぎゅっとハンカチで拭うとボクは荷物を抱えて立ち上がった。

こんなところに1人でいるからネガティブになるんだ。家に帰ってカサブランカの入浴剤でお風呂に入ろう。家には試作品が一杯あるんだもの。毎日カサブランカのお風呂に入っている。雪夜さんに包まれていると想像しながら入れば少し幸せな気分になれた。

こぼれそうな紙袋を抱えて通りにでてタクシーを捜す。もう空は完全な紺碧の色で月と星が見える。

「こんな都会でも星はまだ見えるんだな。でも何だか切ない気分…。」

こんな日に限ってタクシーが掴まらない。ずっとこぼれそうな荷物を抱えていたので手が痺れてきて傍にあったベンチに座る。

「電話でタクシー呼ぼうかな。」

携帯でタクシー会社を探している時、あの良く通る優しいテノールの声が聞こえた。

「ユウくん?ユウくんじゃないか。」

声のほうに振り返ると雪夜さんがこっちをみて微笑んでいた。

「雪夜さん…。」

2週間も無視してたボクを怒りもせずに声を掛けてくれる雪夜さん。

ボクが動けずに雪夜さんを見つめていると、雪夜さんが傍に来て破れた紙袋を見る。

「荷物が持てなくてここにいるの?」

「はい。ずっと持ってたから持ち手の所が外れて破れちゃって。持って歩くには中の物が落ちそうだったんでタクシーで帰ろうと通りに出たんですけど掴まらなくて。あ、でも今タクシーを呼ぶので大丈夫ですよ。」

破れた紙袋でプレゼントなんて出来ない。

相変わらず優しく態度の変わらない雪夜さん。やっぱりこの人が好きだと再認識させられる。

「病院になら紙袋あるから寄って行く?嫌かな?やっぱり…。」

雪夜さんは何でボクが嫌だと言うと思うんだろう…。

「でも、雪夜さんに迷惑はかけられません。」

「迷惑なんかじゃないよ。ボクはユウくんが来てくれたら嬉しいけどな。」

無意識なんだろうけど、その言葉は嬉しくて悲しい。でも久し振りに会えた雪夜さんともっと一緒にいたいと願う自分がいる。帰ったほうが良いというもう一つの声は一緒にいたいという思いに消えてしまっていた。

「じゃ、お言葉に甘えてもいいですか?」

「うん。そうしてくれるとボクも嬉しい。荷物持つよ。」

「ダメです。これはボクが持ちます。」

雪夜さんへののプレゼントを本人に持たせたくなくて首をブンブンと横に振る。

「じゃ、その仕事用のカバンを持たせてくれる?二人で歩いててボクだけ手ぶらだと…ね。」

確かに周りの人が見たら『持ってあげれば良いのに』と思うかもしれない。

ボクは仕事用のカバンを雪夜さんに持ってもらう。

「すいません。じゃ、こっちをお願いします。」

「いいよ。って重いカバンだね。」

「今日はパソコンも入ってるから。会社から外回りをして直帰だったんです。」

「そうなんだ。大変だね。暑い中ご苦労様。」

ねぎらいの言葉がすごく嬉しいと思った。雪夜さんの言葉は全てボクの中で優しさに変換されてインプットされていく。

会ってしまったら気持ちが押さえられない自分がいる。もうごまかすのは無理。例えこれで最後になるとしても気持ちを伝えよう。そして前に進もうと雪夜さんの背中を見ながら決意した。


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読んで下さいましてありがとうございます。
やっぱり…終れませんでした゚。・゚(つω✚ฺ`)。゚・。シクシクごめんなさい。長文になりまして1話で終れませんでした。明日で終ります。11話なんて微妙ですよね。10話で終るはずだったのに…。明日、最終話になります。記念企画と言いながら長くなってしまいまして申し訳ないです。てか、皆さんのおかげで88,888HITまでもうすぐで…。その時はもっと短く記念企画出来たらなって思っています。
誤字、脱字の多い私ですが(時々気が付いて直してたりする(゚m゚*)プッ)許してくださいませね(`-д-;)ゞ


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~ Comment ~

 

明日で終わってしまうんですね。

またゆっくりもう一度読ませてもらお~っと。

カイくんのことではあんなに勇ましいと感じたユウくんが、自分のこととなると、こんなにヘタレになるなんて~

受けちゃんたちがかわいいので、マンガにしても愛らしい感じがしますよね。
もう、頭に浮かんできそうな感じです。

スピンオフなのに、主役みたいな存在感ありますよね。

数話だったら、スピンオフも繋がりが感じられて楽しいです。

基本スピンオフ好きで、全部読みたいって思うたちなんですけど、
たまに、繋がりがある話が多すぎて、ついていけなくてフェードアウトしてしまうこともあります。

これからもちょくちょくお邪魔しま~す♪

リコメありがとうございます。

Re: タイトルなし 

蝶丸様:*:✲✿ヾ(*✪‿✪*)ノ✿✲・゚:*:こんばんわ♪

また遊びに来てくださってありがとうです。

ユウのヘタレぶりは海人もビックリでしょうね。自分の事となるとヘタレになる…。ユウにその自覚があるのかどうか…。頑張ろうと思った次にはヘタレてますからねぇ。

どうも私は受けを強いキャラに書けずで…。すんごい幼くなってしまうのです!!!▄█▀█●ガーンぜってぇこんな奴いないよって思いつつ頭の中の腐が可愛い受けを作ってしまいます。基本甘えたの子が好きなんです。

マンガかあ。最近買いすぎちゃって…。(笑)寝るところにまでマンガ本が…((´∀`*))ヶラヶラ
蝶丸様の頭の中の海人やユウはどんな子なんでしょう。考えると楽しいですね(♥ó㉨ò)(♥→㉨ฺ←)ウン >

スピンオフと言いながらも、みんなキャラが濃いのでどのカップルでも書けてしまいそうです。

なんとか10話で終われそうです。でも10話が長文なんですけど(´・ω・`;A) アセアセ

蝶丸様に又遊びに来て頂けるように私なりに頑張ります☆

コメ(✿ฺ◕‿◕ฺ)зア✿ฺリ✿ฺガ✿ฺト✿ฺウ✿ฺε(◕‿◕✿ฺ)з ございました☆
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