「キミと空とネコと」
夕陽と紺碧の刹那

夕陽と紺碧の刹那~雪夜とユウの場合11(最終話)~

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雪夜さんの背中を見ながら、いつ言おうか、いつ言おうかと考える。でもプレゼントはこんなだし、今日は止めといた方が…。でも次にいつ会えるかわからないし、告白するチャンスもないかもしれない…。

考えながら下を向いて歩いていたので雪夜さんが信号で止まったのに気が付かず背中にドンとぶつかってしまった。

「ごめんなさい。」

「ボクはいいけどユウくん大丈夫?」

「ボクは大丈夫です。考え事してて下を向いて歩いてて気が付きませんでした。ごめんなさい。」

「ユウくん何でボクの後を歩いているの?横に並ぶのが嫌なのかな?」

「そんな事ないです。考え事してたから後になっちゃっただけですよ。」

「ならいいんだけど、あんまりおしゃべりもしてくれないし、今日はどうしたの?ボクが何かユウくんに失礼な事をしちゃったかな?」

「いいえ。それはないです。ほんとに。あはっ。歩きながらって考え事がまとまりませんね。」

「そうだね。危ないし、前を向いて歩いてくれる?」

「はい。」

もう雪夜さんの動物病院はすぐそこだった。この間と同じ部屋に通される。

「響夜さんに聞いたんですけど、ここは雪夜さんの自室なんですか?」

「そうだよ。ユウくんカフェオレでいいかな?」

「はい。」

ボクのカフェオレと自分のコーヒーを入れて戻ってきた雪夜さんはボクの前に座った。

「アイスの方がよかったかな?」

「いいえ。温かいほうがカフェオレは好きなんです。甘くて温かくて幸せに思えるでしょ。」

「確かにそうかもしれないな。牛乳がたくさん入ってるからかな。」

2週間も無視した事を責めないで優しくボクを見てくれる雪夜さんを見ていると心が痛んだ。

「雪夜さんごめんなさい。」

「何?いきなりどうしたのユウくん。」

「だってボク、雪夜さんが連絡くれてたのにずっと連絡しなかったから。今更だけど謝らせてください。本当にごめんなさい。」

「いいんだよ。ボクが勝手にしてた事だから。まあ、今日ユウくんに会うまではちょっと凹んでたんだけどね。」

雪夜さんはウインクして言う。

「ボクは一つの事に夢中になると他の事を放ったらかしにしちゃう悪い癖があるんです。だからって言い訳するわけじゃないけど、でもごめんなさい。」

「いいんだ。こうして会って話が出来たから。」

「雪夜さん…。そう言えばこの自室には親しい人しか入れないって本当ですか?響夜さんが教えてくれたんですけど」

「うん。そうだよ。ここに入ったのは響夜とカイくんと聖夜ぐらいじゃないかな。」

「カイくんも入った事あるんだ…。」

「そう言えばユウくんこないだからやけにカイくんにこだわってない?」

「そ、そうかな?ねぇ、雪夜さん、ボクもこの部屋に入れてくれるって事はボクも雪夜さんの親しい人にいれてくれるって事?」

「どうしてそんな風に思うのかな?ボクはユウくんと親しくしてるつもりなんだけどな。」

「そうなんだ。嬉しいな。」

カイくんの友達としてしか見てもらえなくても親しい人の中に入れてもらえてる事が嬉しかった。

「そうだ、紙袋だったね。ちょっと待って。」

雪夜さんは棚の中から紙袋を取り出して渡してくれた。でも本人の目の前で入れたら意味ないよね。

「雪夜さん、ごめんなさいだけど袋を移し替える間、後向いててもらえますか?」

「企業秘密なのかな?わかった。じゃ後向いてるから入れ終ったら教えてくれる?」

「はい。」

ボクは新しい髪袋に入れ替える。

「もういいですよ。雪夜さんありがとう。」

雪夜さんがボクの正面に座りなおし目が合う。とたんにドキンと跳ねるボクの心臓。不意打ちのように優しい笑顔にボクはクラクラする。やっぱりボクは雪夜さんの事が好きだ。例えカイくんの友達としてしか見てくれなくても…。

「雪夜さんはどうしてボクに優しくしてくれるの?カイくんの友達だから?」

「どうしてカイくんの友達だから優しくすると思うの?ユウくんだから優しくしてるとは思わない?」

「だって雪夜さんはカイくんの事が好きなんでしょう?響夜さんと張り合おうとしたぐらいに…。」

「そりゃあね、正直に言うとちょっと心が揺れた事もあったよ。響夜の態度が煮え切らなかったからカイくんの事が心配だったしね。でも今は違うよ。」

「でも雪夜さん、いつもカイくんの事優しい目で見てる…。ボク知ってるもの。」

「それは響夜の恋人だからだよ。響夜の恋人ってことはボクの弟になるわけでしょう。家族だよ。それに響夜と一緒のカイくんを見てると幸せそうで嬉しくなっちゃうんだよ。辛い事を乗り越えて結ばれた2人だからね。」

「家族として好き…そうなの?」

「ああ。それにボクにはちゃんと好きな人がいるよ。」

ドクンと心臓が大きな音を立てる。

雪夜さんに好きな人がいる…。カイくんじゃない好きな人…。そんな事想定してなかった。雪夜さんはモテる。言い寄ってくる人なんてたくさんいるだろう。その中に好きな人がいたって不思議じゃない。ボクは告白する前に玉砕したの?

ボクの目から涙が持っていたカフェオレのカップに落ちる。ポトンと一粒落ちた後は堰を切ったようにポトポトと流れてきて言葉が出なかった。

「え?ユウくんが何で泣いてるの?」

あわてた雪夜さんがタオルを持ってボクの隣に座り涙を拭いてくれるけど、一度あふれ出した涙は止まらない。

「ユウくん、とりあえずそのカップを置こう。」

そう言って雪夜さんはボクの手からカップを外すとテーブルに置いてボクを抱きしめた。

「泣かないで。ユウくん泣かないで。ユウくんに泣かれるとどうしていいのかわからないよ。」

雪夜さんが優しく抱いてくれてるのに涙は止まってくれない。

「どうしてユウくんが泣くの?」

「ゆ、雪夜さんに…っ…好きな…う…人が…うっ…。」

ボクは子供のようにたどたどしくしか言えない。嗚咽が止まらなかった。

「ボクに好きな人がいるからユウくんは泣いてるの?悲しくて?」

コクンと頷く。

「ユウくん、それってボクの事をユウくんは好きって事?ボクは良い様に取っちゃうよ。」

「…好き…ボクは雪夜さんの事が好き。」

言った後で又涙が溢れる。とうとう告白しちゃった。雪夜さんの声が優しいから、腕の中が温かいから、自然に好きって言えた。これが最後だとしても好きな人にちゃんと『好き』って言えて胸に抱きしめてもらえた事で胸のつかえが少し取れた気がした。

ちゃんと言えたボクは次に進めるって思った。

「ユウくん、顔上げて。」

涙でグショグショの顔なんて見られたくなくてイヤイヤと首を横に振るけど、雪夜さんはボクの顎を上に向かせる。

「ユウくんボクの目を見て。」

雪夜さんの目を見ようとしても涙で滲んで見えない。

「泣き虫だな。ユウくんは。」

雪夜さんが頬に伝う涙を唇で拭う。瞼にも目尻にもたまった涙を全て吸い取るようにキスする。

「ごめん。ユウくんを苦しめてたんだな。ボクは…。」

ふぅっと息をついてボクの頭を自分の胸の中に抱え込み雪夜さんが髪の毛にキスを落とした。

「どうしてそんな事するの?」

雪夜さんから離れようと腕をつっぱるけどその力以上に抱きしめられて息が出来ないほどだった。

「ユウくん、ボクが好きなのはキミだよ。カイくんの事を愛おしいと思い始めた時にユウくんと出会った。それからカイくんと響夜の事で一生懸命なユウくんを見てて惹かれて行った。でもキミはまだ若いし、女の子との恋愛をするほうがいいと思った。杉野家の3兄妹がともに結婚しないでもいいのかとか、嫌な大人の考えだね。そうやって自分の気持ちをごまかしながら、ユウくんと会える事を楽しみにしてた。ユウくん、ボクはそんな卑怯な大人なんだよ。それでも好きだって言える?」

「好き。どんな雪夜さんでも雪夜さんだから。ボクはありのままの雪夜さんがいい。」

「そんな事を言っていいの?ボクは我儘だし、独占欲も強いよ。響夜に負けないくらいに。」

「いい。そのほうが愛されてるって実感するから。」

抱きしめていた腕の力が緩み視線がぶつかる。

そしてお互いの唇が重なり合いキスを交わした。

2人の初めてのキスはしょっぱかった。

「しょっぱいね。」

ってお互いに笑って、もう一度キスを交わす。

「ユウ、ボクはユウを愛してる。」

「ユウって呼んで欲しかったんだ。ボクも雪夜さんを愛してる。」

三度目のキスは深く、甘いキスだった。

コトンと袋からカサブランカの入浴剤が落ちる。

「あ。」

「ユウから良い香りがすると思ったらこれだったのか。」

「ん。これボクから雪夜さんにプレゼント。雪夜さんの香り。雪夜さんだけの香りを作ったの。」

「この香りはカサブランカだ。ボクでも知ってる。」

「カサブランカはボクの中の雪夜さんのイメージなんだ。」

「ありがとう。ユウ。じゃ、早速2人で使おうか?」

「え?」

「さあ、帰る用意をしよう。カップを洗ってくる。」

ボクはどうしていいのかわからずに立っていると、帰り支度した雪夜さんがボクの腰を抱き歩き出す。

「ここには2人で入れるお風呂はないからね。ボクのマンションに行こう。あのマンションに1人だと寂しくなるからあまり帰らなかったんだけど、これからはユウがいるから毎日帰ろうかな。」

「雪夜さんそれってボクが毎日雪夜さんのマンションにいるみたいじゃないか。」

「え?そうじゃないの?言ったでしょ。ボクは独占欲が強いって。」

そう言えばカイくんとアキがが響夜さんも聖夜さんも我儘で独占欲が強すぎるって言ってたけど、この兄弟はみんなそこは同じなんだ。それで少し強引。

でも、それだけボクを傍においておきたいと思ってくれてるんだと思うと嬉しい。

雪夜さんの車に乗るとカサブランカの香りが包んでくれる。

「雪夜さん、これからは夕陽が紺碧の色に染まるころも寂しくないと思う。雪夜さんが居てくれるから。」

「ボクはいつでもユウの傍にいる。ユウの帰る場所はボク。ボクの帰る場所はユウのところだよ。」

月と星が瞬く中で幸せを噛みしめる。

ケンカをする事もあるだろう。すれ違う事もあるかもしれない。だけど雪夜さんとなら幸せな時間を過ごしていけると思う。いつまでも2人で過ごしていけるように。カサブランカの香りに包まれながら…。


                                         Fin


*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨゚・*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨゚゚*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨
読んで下さってありがとうございます。過去記事にもたくさんの拍手やポチありがとうございます。それとごめんなさい。予約投稿してたのですが日にちを間違えていました!!!▄█▀█●ガーン気が付いたのが今で…((유∀유|||))ほんっとにごめんなさいです。゚(゚ `Д)ノ。゚ヽ( )ノ゚。ヽ(Д´ ゚)ノ゚。。゚ヽ(゚`Д´゚)ノ゚。ウワァァァン!!

最終話、すっごい長文になってしまいました。読みづらいですよね・・・(・∀・i)タラー・・・ごめんなさい。おまけにRもないし…。2回に分けようかとも思ったのですが、昨日「明日で最終話です」って書いちゃったのでこうなっちゃいました。
77,777HIT記念企画といいながら、皆様のおかげで88,888HITが目の前に来ていて嬉しい悲鳴をあげております。今度は読みきりで書けたらいいかなって思ってます。
また、お立ち寄り頂けましたら嬉しいです。ありがとうございました☆


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~ Comment ~

 

Rinさま、こんにちは!
少し間が空いてしまってすみませんm(__)m

よかった‥。

恋愛に不器用なのはユウくんだけじゃなく
雪夜さんも不器用ですね。

ストレートだったユウくんは普通に女の子と恋愛して
生きて行った方が幸せだと、
ほんとうに愛していればそう思いますよね。
奪うだけが愛じゃないから。
相手の幸福を想って身を引くのも
愛だと思います。
片思いならそれもありですけど両思いだもの~v-10

ああ‥良かった。
ユウくんが告白してくれて。
雪夜さんは放っておいたらもっと遠いところに
行っちゃったかも知れませんよね。

優しげな雪夜さんは意外に独占欲が強いんですね(^_^;)
でも愛があるから独占したくなるんです。
独占欲を覚えることができて幸せですよ。

優しげで儚げなふたりは対だととっても綺麗です。
私の脳内のふたりの姿は三日月と星のように煌めいてます(^v^)

ふたりの幸せな日々も覗いてみたいです。

次に行ってきまーーす♪

Re: タイトルなし 

ハル様♪。゚.o。((@✪‿✪【㋔】✜【㋩】✜【㋵】✪‿✪@))。o.゚。♪ございます。

ハル様お忙しいのに来て頂きましてありがとうございます。
嬉しいなあ。ほんっとに。久し振りにお逢いできた気分です。て、ハル様のコメでお逢いしてますけど(゚m゚*)プッ

ユウと雪夜もハピエンになりました。海人と違ってユウは自分から行くタイプですから。雪夜みたいに引いてしまう人にはピッタリかなあって思います。まさにハル様の考えている通りです。さすがハル様ですわ。キャラたちのことしっかり把握されている…。実は私よりもわかってるかも…。

雪夜はなんせあの聖夜と響夜の間にいましたから、いろいろと苦労してきたと思います。欲しかったものも欲しいと言えずに我慢してたところがありますので、自分の物となると独占欲が増すのかもしれません。その分ユウは大事にしてもらえる事かと思います。

今度はユウと雪夜のラブラブも書いて見たいですね。
三日月と星ですか…うーーーんいいですねぇ。次に2人を書く時はそのタイトル頂きます。どっちが月でどっちが星?

ハル様お忙しいのにコメありがとうございました☆

帰る場所。。 

Rinさん。こんばんわ。
「夕陽と紺碧の刹那」読ませていただきました☆

帰る場所っていいですよね。
笑顔も涙もぜ~んぶひっくるめて包み込んでくれるような安心感。。本当に大切な人にしか使わない特別な表現だと思います。。

強がったり勘違いしたりグルグルしてるユウが可愛い
天使とゆうより雪夜さんから見ると小動物なのかも(笑)
優しく愛されるのかな////溺愛ってイメージです////

願わくばふたりのその後も覗かせて頂けたら…
なんて思いました。。

聖夜さんの全部分かってますけどねってスタイルが心地よいスパイスですね(笑)

今宵も引込まれてしまいました☆
ありがとうございました♪

Mill

Re: 帰る場所。。 

Mill様こんにちは☆

本当にいろんな作品を読んで頂いてるんですね。ありがとうございます。

雪夜とユウはスピンオフで書いたので短編で終ってますが、そうですね、機会があればその後の2人を書いて見たいと思います。きっと今でもユウはグルグルしてるのだと思いますよ。それを雪夜は可愛いなあなんて見てるんでしょうね。

『キミ空』のお話には必ず聖夜や響夜たちが絡んでくるのでややこしい?かもです(笑)

そんなすっちゃかめっちゃかでよければいつか…。

Mill様コメありがとうございました☆
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