「キミと空とネコと」
やさしいkissをして

やさしいKissをして19

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すべての講義を終え、オレはそのままバイトへと向かう。今日は木曜日だから黎は来ない日だ。そんな事を考える自分が小さく思えて嫌になる。いつまでもこんな気持ちのままバイトをするのも疲れるし、黎もやりにくいだろう。一度、黎と真正面から話し合う必要があると思った。

「おはようございます。」

「おはよう凪くん。」

「はよーっス。」

「うわっ。何で志希がもういるんだ?ビックリした。」

「うわーーー。それオレに失礼じゃないっスか?オレだって早く来る時もありますよ。」

「いやいやないない。今まで見た事ないぞ。今日は嵐が来るんじゃないか?」

「オレ泣きたくなってきた。」

「凪くん、志希をいじめないでやってよ。そんな事言ったら二度と早く来なくなっちゃうかもしれないでしょう?」

「わあ、アキさんまで酷いよ。オレってそんなに酷いですか?」

「「酷い!!」」

「2人してハモった。オレ、黎も入ってきた事だし、先輩としてちゃんとしなきゃって思ってギリギリに来ないように目覚まし7個にしたんですよ。何とか起きれました。で、早く着たらそれっスか?悲しいです。」

「ごめんごめん。志希がそんな風に自覚してるなんて思わなくて。ほんと志希ごめんな。」

「ボクも謝ります。ごめんね志希。先輩としての自覚を持ってくれた事が嬉しいよ。志希には期待してますから。」

「2人にそう言われるとこそばゆいけど、オレ頑張ります。黎はいい奴だし、いろいろと教えがいがありそうだし、ここに来る楽しみが増えました。」

「黎くんと仕事以外でも会ってるの?」

「ええ。家が近くって言ったでしょ。休みの時に遊びに行ったり…。黎もバイトの事でわからない事があるとすぐに電話とかメールとかで連絡してくるんです。あいつなりに早くバイトの事を覚えようと勉強してるみたいです。」

「そうなんだ。黎くんは真面目なんだね。いい子が来てくれたみたいでボクも嬉しいし楽しみだ。」

黎は昔から努力家だった。サッカーでも居残り練習したり、出来ないところを何度も何度も繰り返し練習してた。そんな黎を見てたからオレも負けまいと頑張ったし、最後の試合でレギュラーに選ばれた事が嬉しかったんだ。

「凪くん?着替えないの?」

「え?ああ。着替えてきます。」

ぼーっとしてたのが気になったのかアキさんの言葉で我にかえりコック服に身を包む。達樹にもらったピンで前髪を後に止める。今日はクマにしてみた。

「あいつどんな顔してこんなかわいいピンを買ったんだろう。」

大きな男が道端に座りこんで露天の商品を選んでいる姿を想像すると笑えてきた。達樹はこんな風にオレを和ませてくれる。

「凪さん、そのピン止めどうしたんスか?」

「いつもは味気ないピンなのに、今日はクマ?」

「変ですか?」

「かわいいっつス!!凪さんに似合ってます。いいっスよ!!うわぁ、凪さん可愛い。」

「うん。似合ってる。いいんじゃない?でもそんなの自分で買ったの?」

「なわけないですよ。達樹がってこの前ここに食べにきた奴ですけど、買ってきてプレゼントしてくれたんですよ。食事がおいしかったお礼だなんて言って。」

「コック帽で隠れちゃうのが残念っス。」

「何だぁうるさいぞ。寝れないじゃないか。」

奥で仮眠してた陵耶さんが出てきてオレを見てニパッと笑う。

「何だよ。凪、彼女からのプレゼントか?そのクマちゃん。」

「違いますよ。オレ彼女なんていないですから。達樹にもらったんです。」

「ああ、凪の大学の唯一の友達くんか。よく凪に似合ってる。達樹くんは凪の事をよく見てるんだな。この間食べにきた時に凪が前髪をピンで止めてるのを見てプレゼントしてくれたんだろ?」

「そうですね。他にもネコとかウサギとかキラキラしたピンまでくれました。」

「凪は達樹くんに愛されてるんだな。」

「はあ?何でそこで愛されてるになるんです?」

「凪さんは鈍いからなぁ。」

「凪くんは純粋なんですよ。さあ、そろそろ開店の準備を始めましょうか。」

達樹に愛されてるって…。ああ、友達として愛されてるってことか。なるほど友愛って奴だな。でもそんなに言うほど達樹に関わってないと思うんだけどなあ。

「凪、仕込みするぞ。」

「あ、はい。」

考えていた事は置き去りに忙しい厨房での仕事に忙殺された。

「今日も一日無事に終わりましたね。隆耶さん。」

「ああ。ほんと無事に終了だ。着替えて帰るか。」

「そうですね。かわいい奥さんが待ってますもんね。」

「ああ。可愛い子供もな。」

たわいのない話をしながら着替え、アキさんに挨拶して家に帰る。明日は2コマ目からの講義だからゆっくり出来る。そうだ聖夜さんにもらった物の中に入浴剤があったな。あれでゆっくり風呂に浸かるか。

最近はシャワーばかりでゆっくり湯船に浸かってなかったから今日は少し贅沢をしようと聖夜さんにもらった入浴剤を見る。バラの香りが2種類、カサブランカもあった。

「今日はバラにするか。」

ポトンと入浴剤を落とし湯船に浸かると日頃たまっていた疲れが取れるような気がする。

「たまにこんなのもいいな。」

ゆっくりと風呂に入り、髪の毛を乾かすとそのまま布団に潜り込む。何だか幸せだななんて思いながらオレは気持ちのよい眠りについた。


次の日、大学のキャンパスを歩いていると、後から達樹に抱きしめられる。

「おっはよ凪。今日も会えて嬉しいぞ。」

「バカ達樹離れろ。暑苦しいし恥ずかしいだろ。達樹は恥ずかしくないのか男に抱き付いて。」

オレは達樹の手を払って距離を取る。

「だって凪だもんな。抱き付きたくもなる。」

「何だよそれ。」

「てか、今日の凪なんかいい匂いがする。」

「昨日の入浴剤かな?そんなに匂う?」

「ああ、いい匂いだ。そう言えば昨日はピン使ってくれた?」

「ああ。クマの使った。みんなに可愛いって言われたけど、男に可愛いって微妙だ。」

「何で?可愛いものは可愛いだろ。やっぱ凪に似合ったんだ。早く見たいなあ。凪のピン止めつけてる姿。」

「見なくていい。」

「それはないだろ。見せてくれるって言ったじゃないか。」

キャンキャン吼える犬みたいに口を尖らせて言う達樹が面白かった。

「わかったよ。じゃあ、月曜日にくれば?何も予定がなかったらだけど。金曜日、土曜日は忙しいから無理だし。」

「うん、行く行く。月曜日だな。」

何で達樹はそんなに嬉しそうな顔してんだ?そんなに店に来たいのか。まあ、あの味に惚れちゃうのはわからないでもないけどさ。

そして土曜日。黎の来る日だなって少し緊張しながらバイトに行く。いつものように着替えてネコのピンをして出る。

「あ、凪さん今日はにゃんこだ。」

「ほんとだね。にゃんこの首についてるのが光って可愛いな。」

「な、黎。凪さんかわいいだろ。こないだ食べにきた友達がプレゼントしてくれたらしいよ。」

「クマちゃんもウサギちゃんも可愛かったけど、ボクはにゃんこが一番かな?」

「オレはうさちゃん。凪さんの可愛さ倍増でしたもん。萌えました。」

「志希に言われても嬉しくない。」

「じゃ、友達さんなら嬉しいんスか?」

「はぁ?男に言われても嬉しくないって事。あ、そうだアキさん、達樹が月曜日また食べに来るんですけど、その時ちょっとだけ厨房離れて達樹のトコ行ってもいいですか?もちろん厨房の手が空いたらですけど。」

「厨房がいいならいいけどどうして?」

「達樹がオレがピン止めをしてるのを見たがってて。学校でするのは恥ずかしいから嫌だって言ったらバイト先に見に来るって言うのでちょこっと見せるだけです。」

「ふふっ。プレゼントしたピンをしてる凪くんを見たいんだ。」

「やっぱ凪さん愛されてますね。それは。」

「だから何でそこで愛されてるとか出てくるのかわかんねーよ。」

「だから凪さんは鈍いって言われるんですよ。なあ黎も愛されてると思うよな?」

「…。オレ開店の準備して来ます。」

「何だ黎の奴。変なの?」

何だか黎、少し怒ってる?そんな風には思ったけど土曜日の厨房はいつもより忙しくて黎の様子を気に掛けてる暇は無かった。


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読んで下さいましてありがとうございます。昨日は88,888HITにいってなかったのに、今日見たらとっくに越えてて…。本当にみなさんのおかげです。ありがとうございます。
お礼企画で短編を書こうかなって思っています。『ユウよ雪夜の~』は11話になってしまいましたが、今回はほんとに短いものです。良ければ読んでやって下さい。明日の13時にUP予定です。

24日に鍵コメ下さいましたK様いつも読んで下さってありがとうございます。ユウと共鳴してくださってありがとうございます。自己完結は後悔する事になるってユウも思ってました。ユウは頑張りました。雪夜も変な意地を張っていたようですが愛する事は止められなかったようです。K様もユウのように幸せになれますように…。ありがとうございました。

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