「キミと空とネコと」
キラキラと蛍の舞う場所で

キラキラと蛍の舞う場所で1

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ボクの左手首には傷跡がある。

1度は自分で、2度目は元恋人に拘束されて逃れようとして傷跡が残った。

その2度ともボクを助けてくれたのは響夜だった。そしてボクは響夜に恋をして、響夜はボクの事を愛してくれるようになった。

本当に好きな人とするSEXを響夜は教えてくれた。

響夜はボクの一番大切で傍に居てくれる人。ボクの事を響夜全部をかけて愛してくれる人。ボクのこの傷跡さえ愛しいと言ってくれる人。

今ボクの左手首には響夜が買ってくれたお揃いの時計がはめられている。時計を外すのは響夜と一緒の時だけ。傷跡を他の人に見せたくないって響夜は言う。その傷跡はオレだけが見れるんだって…。オレだけが海人の特別なんだって…。

1度は響夜の実家で聖夜さんとアキとの4人暮らしをしたんだけど、2人きりになれないとある日響夜はマンションを購入してボクを連れだした。

いきなりマンションを買ってしまう響夜には驚いたけど、響夜と武蔵(愛猫)で暮らす事がすごく嬉しかった。聖夜さんとアキとの暮らしもたのしかったけど、響夜と武蔵と過ごす時間は何にも変えがたいものだから。

響夜はいつもボクの望むものをくれるのにボクは響夜を愛する気持ちしか返せなくて…。だから響夜が気持ち良く過ごせるようにおいしいご飯を作ったり、掃除したり洗濯したり、ボクの出来る事をするんだ。

響夜はおとついから取材旅行に行っててマンションにはボクと武蔵だけ…。2人で過ごすマンションは広すぎて寂しい。

響夜は売れっ子の小説家だ。ボクは時々小説のタイトルを依頼があれば書いている。書道家と言えば聞こえはいいけど、そんな立派なもんじゃない。でもボクなりに今の自分に出来る事をしていってる最中。これも響夜のおかげ。響夜が自分の小説のタイトルにボクの書を使ってくれたから開けた道。

もっと響夜のために何か出来たらいいのに…。何かないかいつも考えてる。

「海人、元気にしてる?今日は響夜さんはいないの?」

「母さん、ボクは元気だよ。響夜は取材旅行に行ってるんだ。母さんと父さんは元気なの?」

「ええ。元気にしてるわ。そう、響夜さんいないなら海人、武蔵ちゃんを連れて家に来ない?たまには晩ごはんでも一緒にどう?」

「ん。そうだねご飯食べに行こうかな。」

「じゃ、待ってるわね。」

「わかった。じゃ、後でね。」


こうして母さんや父さんと少しずつ家族として過ごせるようになってきたのも響夜のおかげなんだ。ボクは母さんや父さんに愛されていないと思い込んでいたのをちゃんと愛されていたんだって誤解を解くきっかけを作ってくれたのも響夜。ほんとにいくらありがとうを言ってもキリが無いくらい…。

「武蔵、今日は母さん達とご飯だから。一緒に行こうね。ひとりぼっちは嫌だろ。」

「にゃん!!」

武蔵はボクの居場所のいいところがわかるのか、そういう場所にはすぐ慣れる。普通、ネコは新しい場所は嫌がるのに武蔵にはボクの気持ちがわかるみたいだ。

響夜がいなくてボクが寂しいのを武蔵はわかってるみたいで、そんな時はボクの傍にいつもいてくれる。武蔵もボクの命の恩人。武蔵はボクのところに来てくれたから生きていかなくちゃと思ったし、響夜にも出会わせてくれたから。


「響夜、今何処にいるのかな?」

響夜はボクが不安定な精神状態だった時はずっとボクの傍にいてくれた。ボクが落ち着いてからも1人にさせないようにと傍にいてくれた。多分その間は自分の事は二の次にしていたんだと思う。だから響夜がボクに取材旅行に行きたいと言った時は寂しい半面、すごく嬉しかったんだ。響夜には好きな事をして欲しかったから。ボクが響夜の足枷になるような事だけは嫌だった。

響夜に今日は実家に武蔵と行ってくるとメールする。響夜に心配はかけたくないから、マンションにいない時は必ず行き先を言う。響夜はボクが居なくなる事をすごく心配する。前みたいに元恋人に連れ出されるような事はないってわかってても心配なんだと悲しそうな顔をするから。

メールを送った傍からすぐにボクの携帯が響夜からの着信を告げる。

「海人、メール見た。」

「うん。さっき母さんから電話があって響夜がいないって言ったら家にきてご飯食べないかって言うから武蔵と行く事にした。響夜がいないとここにいても寂しいし…。」

「ごめんな。明日の夜には帰るから。」

「ううん。いいんだ。ボクは響夜の小説好きだから、楽しみにしてるんだよ。で、明日は晩ごはんはどうするの?」

「海人の作ったものが食べたい。」

「うん。わかった。じゃ、ご飯作って武蔵と待ってるね。」

「ああ。今日は実家に泊まるんだろ。」

「うん。多分。」

「多分て…。海人、お父さんとお母さんにしっかり甘えてこい。」

「甘えるって…。もう大人だし。」

「そうだな。海人が甘えるのはオレだけでいいか。」

「うん。響夜大好き。」

「オレも海人の事が好きだぞ。じゃ、そろそろ切るな。」

「響夜の声聞けて嬉しかった。ありがとう。気を付けてね。」

「ああ。海人も気を付けていけよ。あ、痴漢よけのスプレーと防犯ブザーは忘れずに持って行けよ。」

「はいはい。ちゃんと持って行くってば。」

「携帯もだぞ。ちゃんと音が鳴るようにしておけよ。」

「わかってるってば。響夜お父さんみたいだ。」

「ぐっ…お父さん…。せめて兄貴ぐらいにしといてくれ。」

「響夜はボクの大事な人だよ。こんなに心配してくれるのは響夜だけだもん。」

「海人のお父さんとお母さんと武蔵も心配するぞ。」

「そうだね。ボクはみんなから愛されてるんだもんね。」

「そうだぞ。忘れるなよ。」

「うん。じゃ響夜明日ね。」

「ああ。明日な。」

電話を切ると切ない気持ちになる。いつもなら抱きしめられる距離にいるのに今は傍に響夜はいない。

「さあ武蔵。用意して行こう。」

切ない気持ちを明日は逢えると思う事で振りきりボクは実家に武蔵と帰った。

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読んで下さいましてありがとうございます。これは88,888HITのお礼企画で『キミ空』の海人と響夜のお話です。3話で書ききる予定です。昨日まで77,777HITでユウと雪夜のお話を書いたばかりなのに次のお礼企画が出来る事、皆さんのおかげだと感謝しています。本当にありがとうございます。楽しんで読んでもらえるようにこれからも頑張ります。私なりにですが…。


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