「キミと空とネコと」
やさしいkissをして

やさしいKissをして23

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「達樹…。」

「凪、昨日寝て無いだろ。ごめんな。」

オレの横に達樹が座る。

「オレ、昨日は頭に血が昇っててほんとは凪にメールしようと思ったんだけど出来なかった。凪が寝れずに考えてしまうだろうってわかってたのにな。ほんとごめん。」

「いいんだ。そんな事は。オレも達樹と直接話したほうがいいと思ったし。オレこそ達樹に嫌な思いをさせてごめん。」

「何で凪が謝るんだよ。凪は悪くないだろ。」

「オレが達樹がピン止めをしてッて言った時にしてたら達樹は店に来る事はなかった。そしたら昨日みたいな事にはならなかった。だからごめん。」

「昨日オレとアイツが会わなかったとしても、いつかは会って同じ事になっただろう。それが昨日だっただけだ。」

「店のみんなにも迷惑をかけた。」

「それはオレもだろ。オレがアイツにケンカを吹っかけた。」

「達樹は黎の事を知ってたんだよな。何でオレには教えてくれなかったんだ?」

「あいつが凪の後輩だなんて思わなかったからな。オレって案外敵が多いんだよ。好きな奴は好きだけど、嫌いな奴には冷たいから。」

意外だった。達樹はいつも友達がたくさんで中心で囲まれていたから。嫌いな人間がいて冷たいなんてそんな事知らない…。

「達樹に嫌いな人間ているのか?いつも友達に囲まれてるし、オレにはウザイくらいに構ってくるからそんな風に思った事なかった。」

「オレだって嫌いな人間も合わない人間もいるさ。」

「そうか…。」

「凪。アイツは凪の何?後輩があんな風にオレを睨んできたりするもんか?凪の後輩なのになんで凪はアイツが同じ学校だって知らなかったんだ?バイト先で顔合わしたら話すだろ。普通さあ。」

オレは何て説明すればいいのかわからなかった。詳しく話せば高校時代の足の事故の事まで話さなければならなくなる。それを達樹に聞かせる必要があるとは思えなかった。その事故の相手である黎を見る達樹の目が変わるかもしれない。足の事をまじかで見ている達樹が黎を責めるかもしれないと思ったんだ。

達樹の前で足の痛みに意識を飛ばして病院に運ばれ、目覚めた時に心配そうにオレを見ていた達樹の顔を思い出した。あの時以来、達樹はオレの足の事を聞いてきた事はない。聞いてはいけない事だと今も思っているだろう。達樹には言っちゃダメだ。

「それはオレにもわからないよ。あの後、黎はアキさんに呼ばれて事務所に行っちゃってオレがバイト終っても出てこなくて、オレは待ってようと思ったけんだけど隆耶さんに帰るように言われたから。黎が達樹を睨む理由はわからない。」

「そうか。オレには何となくアイツがオレを睨む理由が分かるような気がするけど。」

「何だ?その理由って。」

「これは想像だから違うかもしれないから言わない。それにオレの想像してる通りならオレのライバルだから。」

「達樹の言ってる意味がちっともわからないよ。」

「凪はわからなくてもいいんだ。」

「何だよそれ…。」

「そうだ。凪これアキさんに渡しといてくれ。」

「何だよ。」

「昨日のディナーの金。アキさんは要らないって言ったけど、食事はおいしく食べたから。あの時はアキさんの言う通りにしてオレがすぐに出た方がいいだろうと思ってから出たけど、言われた時から払うつもりでいたから。」

白い封筒をオレに差し出す。オレは受け取るべきかどうか悩んだ。

「凪からならアキさんは受け取ってくれると思うんだ。オレが直接持って言ったら絶対に受け取らないと思う。だから凪から渡して欲しい。あの料理のお金だって。おいしかったから受け取って欲しいんだって言っといて。」

達樹はオレの手に白い封筒を乗せる。

「…。わかったよ。今日アキさんにちゃんと渡す。」

「ごめん。ありがとな凪。じゃ、オレ行くわ。又な凪。後輩くんがオレを睨む理由がわかったら教えてくれ。何ならオレと後輩くんを会わせてくれても構わないから。凪、今日は講義に出ないで帰って寝たほうがいい。夜からバイトなんだろ。アキさんに迷惑かけちまうぞ。じゃあな。」

そう言って達樹はその場からいなくなった。

達樹の言う通り、講義を受ける気にもならずこのままバイトに行ったのでは、寝不足でミスをするかもしれず達樹の言う通りに家に帰りベッドに横になる。

眠れない気分のまま横になっていたがよほど疲れていたのか少しウトウトと眠ったようだ。

少し眠った事で元気になった気がする。

「バイトに行かないとな。アキさんにちゃんと謝って達樹のお金も渡さないと。」

身支度を整えてバイトに向かう。スタッフルームにはアキさんも隆耶さんも志希もいた。

「おはようございます。」

「凪くんおはよう。やっぱり目が赤い。」

「な、きっと寝てないだろうなって3人で話してたところだ。」

「凪さん大丈夫?」

「心配かけてすいません。昨日は寝てないですけど、さっきちょっと寝てるので大丈夫です。」

「ほんとに寝たのか凪。」

「はい。大学に行ったんですけど達樹に「寝てないのなら家に帰って寝てからバイト行かないと迷惑かけるぞ」って言われて今日は講義に出ないで帰って来たんです。ベッドに横になってたら少し寝てましたから身体は元気です。」

「そう。無理しないでね。凪くんは何でも自分で抱え込んでしまうからね。」

「どうせまだ自分のせいだとか思ってんだろ。」

「凪さんのせいじゃないですって。」

「達樹にもそう言われました。」

「達樹くんはいい子だな。良く凪の事を分かってると思うぜ。」

「凪くん、ちょっと事務所に来てもらえますか?お二人は開店準備をしててください。」

アキさんに言われて事務所で2人になるとイスに座りアキさんと向き会う。

「凪くん間違ってたらごめんね。黎くんはあの事故の相手なんじゃない?」

「どうして…。」

「やっぱりそうなんだ。凪くんの黎くんに対する態度が人見知りでない事はボクも隆耶さんも気が付いてたんだ。昨日黎くんと話してて、そうじゃないかと思ったんだけど、黎くんは言おうとしなかったから。」

「黎、何も言わなかったんですか?」

「そうなんだ。ボクが何を聞いても「凪さんに迷惑がかかりますから」って言ってね。「オレが悪いんです。すいませんでした。」って言うばかりで…。」

「高校の時から黎は頑固でしたから。」

「そうだね。すごく頑固だね。で、凪くんはどうしようと思ってるの?達樹くんはどこまで知ってるの?」

「達樹はオレの足の事は知ってますけど、相手が黎だとは知りません。言うつもりもないです。オレはちゃんと黎と話をしないといけないと思っています。何で同じ大学を受けたのか、もしかしたらここのバイトもオレがいる事を知ってて来たのかもしれない。黎はきっとオレに何か言いたいんだと思います。今までオレは黎の事を避けるようにしていたから。」

「そう。凪くんが黎くんと話すと決めているならそれでいいんだ。当人同士でないとわからないと思うから。」

「はい。」

「でも、凪くんが苦しい時はボクや隆耶さんに言ってね。1人で抱え込まないで。みんな心配してるんだよ。凪クンの事も黎くんの事もね。」

「はい。わかりました。あ、それとアキさん、昨日の代金を達樹から預かってて。達樹は食事はおいしかったからその料金は受け取って欲しいって。直接だとアキさんは受け取らないだろうから渡してくれって。」

アキさんに白い封筒を渡す。

「達樹くんは昨日はボクの気持ちをちゃんとわかってくれた上で料金は別だと…。わかりました。受け取ります。達樹くんにありがとうと伝えてください。達樹くんは本当にいい子ですね。」

アキさんが封筒を見ながら言う。

「そうですね。オレもアイツの事を見直しています。ウザイけどいい奴みたいです。」

「ふふっ。ウザイんですか?」

「ええ。すぐにオレを見つけて寄って来ますから。学校であんなにオレに構うのは達樹ぐらいなもんですからね。オレにはウザイです。」

笑いながら言う。

「じゃ、今日は無理しないで下さいね。厨房に戻っていいですよ。」

「はい。迷惑掛けないようにします。」

オレはアキさんに一礼すると厨房に戻った。


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