「キミと空とネコと」
やさしいkissをして

やさしいKissをして27

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隆耶さんが連れて来てくれたのは地下にあるショットバーだった。

『HIDEOUT』って隠れ家って意味かな?

カウンターは少しだけ明るいライトで照らされ、店内は座敷にテーブルとソファーという変わった店だった。でもソファーに腰掛けると家にいるようにくつろげる。店内には大型ビジョンがミュージッククリップが音無しで流れている。BGMはさざ波のように聞こえる小さなお客の会話だけ。

「何だか変わってますね、ここ。」

「だろ。でもくつろげる。背中を壁にもたせかけられるしな。ソファーがいいだろ。まあソファーっていうよりカウチに近いか。凪は何飲むんだ?」

「何がいいかなあ。」

「凪、カクテル飲むならロングにしとけ。お前カクテル弱いから。」

「そんな事ないです。オレ酒そんな弱いと思ってないし…。」

「そんな事いってねえだろ。凪はカクテルに弱いんだって。ジュースみたいだって何杯も飲んで潰れたお前を家まで送って行った事が何回あると思ってんだ。」

「うう。すいません。でもじゃあ、ショットバーに連れてこなければいいじゃないですか。」

「今日はくつろいだところの方が話しやすいかと思ったんだよ。お前なんかグルグルしてるっぽいし。」

「うっ。確かにグルグルしてるけど…。」

「滝くん、コイツにはベリーニ、オレにはジントニで。あ、ジントニにはライム入れてくれる?」

「はい。ベリーニとジントニにはライムですね。今日は1人じゃないんですね。陵耶さんがお連れ様を連れて来られるなんて珍しいのでビックリしました。」

「まあ、たまには1人じゃない時もあるさ。滝くん、ここはオレの隠れ家からあんまり他の奴は連れてきたくはないけどこいつは別なの。なんたってオレの弟子だから。」

「陵耶さん、オレ弟子じゃないし。」

オレの頭をグリグリとなでまわして言うもんだからお店の人がクスクス笑う。

「失礼しました。どうぞごゆっくり。」

「滝くんは凪と同じ年なんだぞ。昼間は専門学校に行って夜はここでバイトしてる。厨房で働かないかって1度誘ったけどカクテルの勉強したいからって振られた。」

「何の専門学校なんですか?」

「ん?料理だ。料理専門学校。」

「へえ。バイトでも勉強ってすごいな。」

「だろ。しっかり将来を見据えて勉強してる。」

オレはまだ先の事って思ってるけど、ちゃんと自分の人生を考えて勉強しているなんてすごいなって思った。同じ年なのに随分と引き離されてる感がいなめない。

「バーカ。滝くんと自分を比べてちょっと落ち込んでるんじゃねーよ。」

バシっと頭をはたかれた。

「何で考えてる事わかるんですか?陵耶さんて人の心が読める人?」

「アホか。お前は単純だからわかりやすいだけ。人の心なんて読めたら人生つまんないだろうが。」

どうぞって滝くんがカクテルを持ってくる。

「「乾杯!!」」

「で、どうして人の心が読めたら人生つまんないんですか?わかったら人生やりやすいじゃないですか。」

「人の心が見えたら、相手の望む通りに行動できるし、失敗もないし、いい人間か悪い人間かわかるだろうけど、それじゃあ正解しかしらないクイズだろ。そんなの面白いか?色々な人間に出会うから人生に色が加わるんだろうが。だから人の心なんて見えなくていいんだ。」

「そうかあ。見えたらオレは落ち込みそうだ。」

「そうそう。ただでさえニブイ凪だけど、そこが凪のいい所なんだ。何にも染まってないのがな。」

「陵耶さん、それちっとも褒めてないですっ!!」

「で、ニブイ凪が何をグルグルと悩んでんだ?」

「陵耶さんは憎いと思った相手を愛せますか?」

直球で聞くオレに陵耶さんは口に含んだジントニを噴き出しそうになっていた。

「ブッ。な、何?凪が恋愛で悩んでるのか?」

「オレが恋愛で悩むのって噴き出すような事なんですか?違いますよ。聞かれたんです。憎んでる相手を愛せるかって。オレ恋愛経験とかあんまりないから分からなくて。陵耶さん経験ありそうだし聞いてみたんです。」

「憎んでる相手を愛せるかか…。オレもそんな経験ないけど憎む事より愛が勝れば愛してしまうんじゃないのか。どんだけ憎んでるかにもよるし、その内容にもよるだろうけど。」

「憎しみより愛が勝ればか…。」

「で、黎にそれ言われたのか?」

「え?何で黎ってわかるんですか?」

「そりゃ、昨日はグルグル悩んでなかっただろ。んで今日から黎はお前の事を『先輩』って呼び出した。今日、黎と話したんだろうなって思ったから当てずっぽうで言っただけなんだけど当たってたみたいだな。凪が話する相手って達樹くん以外では黎くらいしか思い浮かばねぇもん。」

隆耶さんて相変わらず良く見てるよなあ。感心して隆耶さんの顔をマジマジと見る。

「凪オレに惚れんなよ。」

「ば、惚れませんよっ!!」

「まあ惚れるのもわかるけどな。オレいい男だし大人だし。」

「はぁ。隆耶さんて幸せな人ですね。そうですオレ今日昼間に黎と話したんです。このままじゃ良くないと思って。」

隆耶さんは先を促すように黙ってグラスを傾ける。オレはベリーニを一口飲んでから話を続けた。

「黎が同じ大学に来たのはオレを追ってきたらしいです。オレがアイツの前から避けるようにいなくなったから。まあその通りなんですけど…。で、同じ大学に来てオレが高校時代と違って人を寄せ付けないようにしているから声をかけられなかったのに、達樹1人がオレの傍にいることにムカついたのか達樹を睨んでたらしいです。『あの人は先輩の何なんですか?』なんて言われちゃいました。ただの友達なのに。」

「ふーん。凪は達樹くんの事をただの友達だと思ってるんだ。」

「そうですけど?友達でしょ?黎もおかしな事を言ってたな。『男同士の恋愛は認めるのに自分に置き換える事はできないんだ』とか何とか…。」

「自分には置き換えられないのか?」

「だって高校時代も男の中にいたけどそんなの微塵もなかったし、オレを好きになる男がいるとは思えないし、オレが男を好きになる?うーーーーん…。」

「はぁ。凪のそのニブさは罪だな。なのに甘えたいオーラが漂ってるし。」

「だから甘えたいオーラなんか出てませんから。オレ別に甘えたいとか思ってないです。おかわりっ。」

「凪ペース早くねぇ?」

「早くないです。隆耶さんが変な事言うから喉が渇くんですよ。ブラックルシアンお願いします。」

「バカっ。凪、何注文してんだ。ブラックルシアンってアルコール度数わかってんのか?30度はあるんだぞ!!」

「何飲もうとオレの勝手でしょ。」

「送るのはオレなんだぞ。いくら華奢なお前でも酔って正体なくしたら重いんだよ。女の子と違って。」

「女の子じゃなくてすいませんね。いいですよオレちゃんと1人で帰れますから。」

そうこうしてるうちにオレの元にブラックルシアンが運ばれてくる。

「わあ。さっきのベリーニでも思ったけどここのカクテルってすんごい上手いですね。うん。コーヒーリキュールの味が堪能出来ますっ!!」

「何でブラックを頼むかなあ。せめてホワイトルシアンにしろよ。て言っても無駄だったか。」

「何ですか?隆耶さん。」

「何でもねーよ。滝くん、イタリアン・スティンガー頂戴。」

「はいイタリアン・スティンガーですね。かしこまりました。」

やれやれと言う顔で隆耶さんがオレを見ているのも知らずにカクテルが進む。だって本当にここのカクテルうまい。

「凪、ここを気に入ってくれたのは嬉しいけど、オレ以外の奴とそんなペースで飲むなよ。」

「お待たせ致しました。イタリアン・スティンガーでございます。」

滝くんってすごく仕草がきれいだ。指の先まで神経をはってきれいに見せてる。接客のプロだなあって思う。声も心地よくてイケメンだし女の子が放っておかないだろうな。

「あ、滝くん。コイツここのカクテルがうまいって気に入ったみたいなんだけど、加減しらずに飲んじゃうタイプだから1人で来た時は2杯以上飲ませないでくれる?ちょっとコイツ危機感が皆無で困ってるんだ。」

「ちょっと、隆耶さんオレ子供じゃないですってば。」

うるせーと隆耶さんに頭をこづかれて言い返すオレ達を見て滝くんに又笑われた。

「隆耶さんが心配するのもわかります。確かに自分の魅力をわかってらっしゃらないようですね。今も視線に気がついてないですもんね。」

視線?何?って陵耶さんを見ると『はぁーーーっ』って盛大な溜め息を漏らされた。



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Re: タイトルなし 

鍵コメM様(。◕‿◕)ノ゚・✿こ♥ん♥ば♥ん♥わ✿゚・ヽ(◕‿◕。)

初コメありがとうございます。もしかして探してくれたんですよね。ほんとに来てくださるなんて…。ヽ(〃^・^〃)ノ チュッ♪M様。゚+.*(+・`ω・)9 <アリガト。゚+.*

凪はねぇ。周りに人を寄せない事でいっぱいいっぱいです。なまじそのバリアで寄ってこなかったから余計にわからないんですよ。高校時代は友達に囲まれてて守られてたんですけど、ニブイからわからない。友達の苦労も耐えなかったかと(*≧m≦*)ププッ> 初コメです。
ふふっ。M様もいいお友達をお持ちな様でよかったです。探してもらえるなんていいじゃないですか(。◠‿◠。✿)ぅんぅん

私も相当の方向音痴で初めての場所にちゃんと行けた試しがないので待ち合わせは知ってるとこにしてくれます。少しでも遅れると携帯がなります((´∀`*))ヶラヶラ

それでも車に乗っている(カーナビなし∩(´∀`●)∩アハハハ♪(●´∀`)つ彡☆バンバン)地図は読めないし…。

隆耶さんは凪がかわいくてたまらないので送るんでしょうね。年の離れた凪の兄ってとこでしょうか?え?お父さん( ̄m ̄〃)ぷぷっ!

M様、リコメが遅くなってごめんちゃい(o*。_。)oペコッ

初コメd(ŐдŐ๑)☆スペシャルサンクス☆(๑ŐдŐ)bでした☆
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