「キミと空とネコと」
やさしいkissをして

やさしいKissをして30

 ←やさしいKissをして29 →やさしいKissをして31



陵耶さんが黎と電話で話してる間、オレはさっきの出来事を思い返していた。どうしてあんな事になったのか、オレはどうするべきだったのか考えるけど、男がオレを襲うなんて想定していなかったんだから防御出来なくても仕方ない。力で負けた。男でも襲われる事がある事がショックだった。その標的にされた事も…。

タオルケットに潜り込みながら悔しくて涙がこぼれた。相変わらず陵耶さんは頭をなでたり、ポンポンとしてくれたりオレを気遣ってくれている。部屋にはオレと陵耶さんの気配しかしないから、滝くんは仕事に戻ったのだろう。滝くんにもみっともないところを見せてしまった。滝くんならアイツの思うようにはならなかっただろうなって、あの時の冷静な対応を思い出して思った。オレは世間を知らなすぎるのかな?

「凪、黎がここに迎えに来るって。」

「黎が…。陵耶さん何て言ったんですか?」

「詳しくは話してないよ。凪嫌だろう。話すなら自分で話す方がいいかと思ってな。凪が気分悪くて家まで帰れないから、今日は泊めてやってくれないかって言っといた。この事を話すかどうかは凪が決めればいい。嫌なら話さなくても黎なら何もいわないだろ。凪、黎が来るまで少し寝てろ。黎、外にいて来るのに30分くらいかかるらしい。」

「陵耶さん、オレなら大丈夫ですから家に帰ってください。奥さんも待ってると思うし。」

「バカ。そんな事気にすんな。家にはメールしといたからいいんだ。凪を放って帰れると思うか?そんな無責任な男じゃないぞ。」

「陵耶さんありがとうございます。すいません。オレが不甲斐ないから…。」

「ああ、もうっ!!凪のせいじゃない。アイツが悪いんだ。もうおしゃべりはやめて目瞑ってろ。」

あったかい陵耶さんの手の温もりを感じながら安心して目を閉じる。気が付くといつの間にかウトウトと眠ったようだ。

「こちらです。」

滝くんの声が聞こえた。

「黎、来たか。すまないな呼び付けて。本当ならオレの家かアキくんの家に泊めてやれば良かったんだけど無理でな。」

「いいですよ。オレに任せてもらえて嬉しいんです。先輩は大丈夫なんですか?」

「少し眠ったみたいだ。凪、黎が来てくれたぞ。起きれるか?」

正直起きるのが辛いと思ったけどいつまでもお店のスタッフルームを占領しているわけにもいかないし、陵耶さんを引き止めるのもはばかられた。奥さんが待っている。

オレはのそのそとタオルケットから出てソファーに座る。

「凪、大丈夫か?」

「はい。少し眠ったからマシになりました。」

「先輩、オレ車で来てるからそこまで歩ける?無理なら背負うけど?」

「ん。大丈夫歩ける。」

タオルケットをたたんで滝くんに礼を言う。

「タオルケットとソファーありがとう。迷惑かけてごめんね。」

「いいんです。大丈夫ですか?これに懲りずに又お店に来てくださいね。」

滝くんも詳しい事は言わなかった。すごくオレの事を気遣ってくれている。

「じゃ、帰ろうか。滝くんお勘定してくれ。」

「いいえ。もうレジ閉めてますので次回で…。」

「そうか。悪いな。」

きっと次に来ても受け取らないんだろうなって思った。陵耶さんと滝くんはアイコンタクトを取っていたから…。

「先輩立てますか?」

「ああ。」

そうは言ったもののまだ酔いが残っているのか、ショックから立ち直れていないのか身体がバランスを崩しそうになる。

「危ないっ!!」

黎が横から支えてくれたのでこけずに済んだ。

「先輩、無理しないで下さい。オレの肩に手を回して掴まってください。嫌って言うならおんぶか横抱きにしますよ。」

それは恥ずかしすぎるだろうと思い、黎の肩に手を回して支えてもらう。

「そうそう。凪、しんどい時は素直に甘えろ。」

ポンポンと優しく頭を叩かれる。黎も陵耶さんもタッパがあるので見上げなければならないけど恥ずかしくて顔は俯いたまま何も言えずにいた。

「先輩。帰ろう。」

黎に促されて裏から外に出るとちょうど黎の車が止まっていて助手席に座らされシートベルトを掛けられた。外で黎と陵耶さんが何か話してたけどオレに聞こえる事はなく、そのままオレは眠ってしまった。



*  *  *

「先輩。着きましたよ。起きれますか?」

「…んっ…。」

「先輩。起きれないなら抱き抱えていきますけど?」

「…んっ…起きる…。」

目を擦って開けるとマンションの駐車場に止まっているのがわかる。オレはもそもそと身体を起こすとドアを開けて外に出た。

「先輩、しっかりしてください。フラフラしてますよ。」

「黎、肩貸して。何だか地面が回ってるような…。」

車の揺れのせいなのか酷く自分の足元がおぼつかないような気がする。

「先輩がオレに甘えてくれるなんて高校の時以来ですね。」

「オレは高校の時に黎に甘えたつもりはない。」

「はいはい。とにかく部屋に行きましょう。」

「ん。連れてけ。」

黎に肩を借りて黎の部屋に行く。今日の昼間にもってもう日付が変わってるから昨日か…。黎の部屋を訪れたのに又逆戻りしてる事が不思議に思えた。黎から離れようとしてたのに、黎に近づいてる事に…。

「先輩シャワー浴びたいですか?」

汗かいたから浴びたいけど、このままの状態でシャワーを浴びることは無理だと思う。

「ん…。無理…。」

「ですよね。でも着替えはしますよね。オレのしかないから大きいでしょうけど我慢してください。」

そう言ってTシャツとハーフパンツを出してくれる。

「ハーフパンツは紐でくくればいけるでしょう?明日起きてからシャワー浴びてください。オレ。風呂入って来ますんで先輩はベッドで寝ててくださいね。」

「ううーーん。オレ床でいいよ。何かはおる布団貸してくれたらそれで寝る。」

「ダメです。先輩は扁桃腺が腫れやすくて、すぐに風邪ひくんですからベッドで寝てください。」

「黎、よく覚えてんなあ。」

「先輩の事を忘れるはずがないでしょ。ベッドで寝ててくださいね。床で寝てたらお姫様抱っこしてベッドに寝かせますからね。」

黎はオレに念を押すと風呂場に消えて行った。オレは貸してもらった服に着替えるとベッドに横になる。お姫様抱っこなんて恥ずかしすぎるだろ。

黎があがってくるまで起きて待ってようと思ったのに、衝撃的な出来事に身体も頭も追いつかなかったのかいつの間にか寝てしまっていた。

目が覚めた時、オレ1人がベッドで寝ていて、黎を探すと大きな身体をソファーに無理やり押し込んで寝ていた。眉間にシワが寄っている。きっと眠りにくかったに違いないと思うと、黎にも迷惑を掛けて申し訳なく思った。

「ん?先輩起きたんですか?」

「うん。黎ごめん。オレ1人でベッド占領しちゃって…。黎の事待ってるつもりだったのにいつの間にか寝ちゃったみたいだ。」

「いいんですよ。大丈夫ですか?昨日時々うなされてましたよ。」

「え?オレうなされてた?」

「はい。『やめろ』って何度も言ってました。昨日何かあったんですか?」

ここで何もないと言えば黎は深くは聞いて来ないだろうと思った。



ランキングに参加しています。よろしければポチッと押してやってくだされば喜びます。いつもありがとうございますo(>ω<*)o

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト





総もくじ 3kaku_s_L.png キミと空とネコと
総もくじ 3kaku_s_L.png 新撰組物語
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ご挨拶
もくじ  3kaku_s_L.png 貴方の腕の中で
総もくじ  3kaku_s_L.png キミと空とネコと
もくじ  3kaku_s_L.png S.S
もくじ  3kaku_s_L.png イラスト
もくじ  3kaku_s_L.png 頂きもの☆
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 新撰組物語
  • [やさしいKissをして29]へ
  • [やさしいKissをして31]へ

~ Comment ~

 

Rinさま、こんにちは!

うーーん‥
どうしようっていうか、私は‥困りました(^_^;)
だって‥達樹くんの恋を応援してますから
黎くんは遠慮してほしいです。

ライバルだもの。
わ―――‥上手くいきませんように‥って、
お祈りしたい気分です(/_;)

これを達樹くんが知ったら‥怖いです。
接待嫉妬の炎メラメラですよ。

達樹くんも良い想いをさせてあげたいです。
勝手なこと言ってまずがおバカのたわごとと思って下さいね。

では次に参ります。

Re: タイトルなし 

ハル様こんにちは☆

ハル様ほんとに達樹が好きなんだね。ふふっ。どうしよっかなあ。なんだか達樹が人気が出ちゃっててビックリの展開なのです。ほんのお友達ぐらいのつもりだったのですが…。

黎に遠慮して欲しいだなんて(゚m゚*)プッ黎どうする?「あきらめません!!」とか言って来そうです。
達樹も幸せもんだ。脇キャラのはずだったのにね。最初のプロットでは…。やっぱり私のキャラは一人歩きがお好きなようです((´∀`*))ヶラヶラ

今は黎との絡みですが、達樹との絡みも???あるかな?

ハル様コメ゚・*:.アリガ。.ヾ(❀◕ω◕)ノ ゚・*トゥ:.。゚・*ゴザイマシタ☆
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • [やさしいKissをして29]へ
  • [やさしいKissをして31]へ