「キミと空とネコと」
やさしいkissをして

やさしいKissをして40

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昨日は滝くんと会えて話が出来て良かった。滝くんの店に行こうかとも思った事もあったけど、やっぱりどこか怖い気持ちがあって行けなかった。隆耶さんが『滝が心配してる』って言ってたから気になってたんだけど…。だから昨日、滝くんがオレに声を掛けてくれて話が出来た事で胸のつかえが取れた気がする。

次の日、オレは自転車で大学に向かった。胸のつかえが取れた事もあって自転車を走らせて受ける風が気持ち良かった。空も青くて久し振りに心が晴れている気がする。こんな日は誰とでも仲良く出来そうな気がして、いつの間にか笑顔になっている。

自転車を駐輪場に止めて教室に向かっていると前から達樹が歩いてくる。下を向いててオレに気がついていない。

「おーーい。達樹おはよう!!」

達樹に声を掛けるとハッと顔を上げてオレを見た達樹の顔が無表情になった。

「ああ。おはよう。」

いつもなら笑って走ってオレの所に来るのに、今日はそのまま下を向いてしまった。

「達樹どうしたんだ?何かあった?」

「別に何もない。」

「何もない事ないだろ。今日の達樹は変だぞ。オレでいいなら話を聞くけど。」

一瞬顔を上げてオレを見た達樹はその視線を横に向ける。

「凪に聞いてもらうような話はない。じゃあな。」

視線をそらしたままオレの横を通り過ぎようとする達樹の腕を思わず掴む。

「何なんだよ。その態度。オレが何かしたのか?オレに怒ってるのか?」

「『何かしたのか?』か…。凪、昨日オレに嘘ついたよな。」

「嘘?何のことだ?」

達樹がオレを睨むように視線を合わせる。

「オレは凪は黎の事が好きなのかと思ってた。だから黎と2人きりにならないようにしてたんだ。だけどとんだお門違いだったみたいだな。凪の本命は昨日の奴なのか?昨日凪をマンションまで送ってきたハリアーに乗った男…。」

「ハリアーって滝くんの事か?何で達樹がそれを知ってるんだ?オレが黎の事を好きとかどういう事?黎にオレが構うのが嫌で黎の傍に行かないように牽制してたのか?本命って何?」

「『滝くん』って言うのか。いいよ。そんなに必死にならなくても凪が誰を好きだろうと凪の自由だからな。でも嘘つかなくてもいいんじゃないか?凪は昨日はアキさんの所に行くんじゃなかったのか?オレ達に嘘ついてまでアイツと居たかったのかよ。」

確かにアキさんの所に泊まるって嘘ついたけど、それは達樹と黎をオレが縛ってるような気がして2人の邪魔になってると思ったからだ。滝くんと会ったのは偶然だ。

「確かにアキさんとこに泊るって言ったけど、それは達樹と黎をオレが縛ってて、2人の邪魔をしてると思ったからだ。滝くんと会ったのは偶然で滝くんはオレの事を心配して送ってくれたんだ。」

「もういいよ。オレ達に送らせるのは断ってもそいつには送らせるんだろ。」

「達樹、何言ってるんだ。だから滝くんとは偶然会ったって言ってるだろ。」

「凪が何を言っても今のオレには凪の言い訳にしか聞こえない。オレ凪と一緒にいるのが辛いんだ。嫌な事言いそうだからさ。だからオレの事はしばらく放っておいてくれ。じゃあな。」

オレが掴んでた達樹の腕がスルリと抜ける。そのままオレの顔も見ずに達樹は行ってしまった。オレは固まったまま動けなくて、しばらくそこにバカみたいに立っていた。

「誤解を解かないと。」

そう思った時には達樹の姿はどこにも見えなくて…。何でオレ達樹を追いかけようとしてるんだ?何を必死になってるんだ?このまま達樹が離れてしまうのが寂しい。達樹がいなくなるのが怖いんだ。どうして?

答えはでないままそれでも一縷の望みを胸に昼休みにいつものベンチで達樹と黎が来るのを待ってたけど達樹は来なかった。

「あれ?先輩1人ですか?達樹さんは?」

「達樹は来ない。黎、オレ達樹に嫌われたみたいだ。もう友達じゃなくなったのかな。」

ポツリと呟いた言葉はオレの胸に開いていた穴をじわじわと広げていくような気がした。

「そんなはずないですよ。達樹が先輩を嫌うわけないっ!!」

「達樹が言ったんだ。オレといるのは辛いから放っておいてくれって…。」

朝の達樹との会話を思い出すと胸が苦しくて痛い。何で達樹がそんなに怒るのかわからない。オレは達樹を友達だと思ってるのに、一つの嘘で今までの関係が崩れるなんて思いもしなかった。

「何があったんですか?昨日は普通でしたよね?」

「昨日アキさんとこに泊るって言ったの嘘なんだ。達樹と黎をオレが縛っててほんとは2人で居たいのにオレが邪魔してると思って嘘ついた。バイトの帰りはタクシーで帰るつもりだったんだけど、オレが襲われた時の店の人が偶然オレを見つけてくれて送ってくれたんだけど、それを達樹が見てたみたいで嘘ついたって…。」

「ちょ、ちょっと待ってください。オレと達樹さんが2人でいたいってどういう事ですか?意味わかんないんですけど。」

「隠さなくてもいいよ。黎は達樹の事が好きなんだろ。達樹も黎の事が好きだ。それを邪魔してるのがオレじゃないか。だから…。」

「ストーーーーップ!!一体どこをどう考えればオレと達樹さんが好き合ってる事になるんです?先輩ニブイと思ってましたけど、そこまでわかんないなんて…。酷すぎますよ。」

「え?違うのか?オレはてっきりそうだとばっかり…。」

黎の言葉を聞いて昨日店でアキさんと隆耶さんに言われた事を思い出す。

「そう言えば昨日、アキさんも隆耶さんもそう言ったオレに苦笑してた…。」

「勘違いってわかってくれました?オレが好きなのは達樹さんじゃないですから。」

「そうなんだ…。」

オレは自分の考えてた事が的外れだった事に少しホッとしてた。黎は達樹の事が好きなんじゃなかった…。

「オレが好きなのは先輩ですから。高校の時からずっと先輩の事が好きでした。だから先輩を追いかけてきたんです。先輩の足を走れなくしたのはオレだから許せない気持ちがある事はわかってます。ほんとは言うつもりじゃなかったんですけど、達樹さんが先輩の傍にいるのを見たら取られたくなくて…。少しでもいいからオレの方を見てくれませんか?」

「…。黎がオレの事を好き?う…そだろ…。」

黎がそんな風にオレの事を思ってるなんて考えもしなかった。

「嘘じゃないです。オレ本気ですから。先輩を誰にも渡したくないんです。」

「そんな事を言われても…。」

「先輩が受け入れてくれるまでオレ待ちます。それまでは今まで通り、先輩と後輩でいいですから考えてください。」

「…。」

黎の事は可愛い後輩だとは思う。だけど恋愛としての『好き』とは違うような気がする。でもそれは黎の事をそう言う目で見て無かったから?意識したら変わるのか?

オレの頭の中はグルグルしてるだけで、考えはまとまらない。そもそも達樹の事を話してたはずなのに何で黎に告白されてんだよ。

「はい。この話はこれでおしまい。達樹さんの事は少し様子を見ましょう。オレからも達樹さんに話してみます。」

「ああ。頼んだ。」

「それと今日はオレもバイトの日なんですけど、先輩自転車で来たんですか?」

「ああ。」

「先輩『ああ』ばっかりじゃなくてちゃんと話をして下さい。」

「ああ。すまん。」

「はぁ。今日はオレ教授に呼ばれてるんで一緒には行けないんですけど、自転車で来てるんなら大丈夫ですね。」

「これからは1人で大丈夫だって。オレの事は気にすんな。」

「先輩の事が好きだから少しでも一緒にいたいんです。だからオレがバイトの日は用事が無い限り、一緒に行って下さいね。」

少し強引だとは思うけど、そう言えば高校の時からそうだったなと思う。オレに遠慮してたのかもしれないな。

「わかった。そうするよ。」

「ありがとうございます。これからはどんどんオレをアピっていくので覚悟しててくださいね。じゃあ、オレ講義があるから行きます。」

「じゃあな。」

黎に手を振って分かれたけどオレはそのベンチに座ったまま頭を整理しようとしていた。黎に告白された事を考えてるはずなのにいつの間にか頭に浮かんでくるのは達樹の朝の無表情な顔と交わした会話で…。どうしてこんなに達樹の事ばかり気になるのかわかりそうでわからなかった。わからないままでいたかったのかもしれない。こんな気持ちになるくらいなら…。



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~ Comment ~

 

は・は・は・はぁ~~。

思い違いって、カナシイ(笑)。
事実を知ったら達樹、脱力して地面にめり込みそうです。

でも、凪の気持ちには効果有りだったかも?
黎だって、一生懸命アピっているのに、当人は向こう向き・・・・。

頑張れ、みんな!

Re: タイトルなし 

ますみ様こんばんは☆

ははは…。凪の思い込みはスゴイですな。まあ、恋愛初心者なので。特にBLは???だから見当違いもはなはだしいのですけどね。

黎は凪から直接聞いて、凪の思い違いを知って訂正しましたが、達樹は凪が思い違いをしてた事を知らないのでまだ悶々としてそうです。

凪も少しずつ自分の気持ちに気がついているのですが、踏み込むのが怖くてわからないふりをしています。臆病なんですねえ。ま、人生の岐路ですから…。

黎は踏ん張るつもりのようですが、どうなるんでしょう?って私が言うなって(笑)

悩み悩み書いてるのがバレバレで…。どうも上手く表現出来ませぬ(`-д-;)ゞ
早く引っ付けてイチャコラしたいのですが…。

ますみ様コメありがとうございました☆
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