「キミと空とネコと」
やさしいkissをして

やさしいKissをして45

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オレは呆然としていた。

あの日、他の男の車から出てきた凪を見て心臓が凍ったように固まってしまった。見た事のない男。なのに凪の安心している顔を見たらムカついた。オレには見せた事のない顔だった。

オレは凪の交友関係は把握していると思っていた。それほどに凪の交友関係はビックリするほど小さかったのだ。凪に魅力が無いわけじゃない。むしろ誰もが傍にいたいだろうと思える外見やかもし出すオーラを考えると凪が自分から拒否していることがわかる。なぜ、固くなに拒むのか最初はわからなかった。

偶然、凪の足の事を知り、それが凪にそうさせているのだろうという事は薄々感じていた。

そしてオレに向けられる敵意の眼差し。それが黎だった。黎の凪に対する気持ちが愛である事はすぐにわかった。それと同じくしてオレは凪への気持ちが愛なのだとわかってしまった。黎に凪を取られたくない。そう思った時にオレは凪の事を好きなんだと自覚した。

始めはその気持ちに戸惑ったが好きなものは好きなのだ。この手で触れて見たいと思うのは仕方のない事だと思う。凪を独占したい。だからオレはいつも凪の事を探してしまう。気が付くと凪を視線で追っている自分がいる。


凪を気に掛けている奴がいる事はわかっていたけど、凪自身がどこふく風で気にしてないからどこまで凪が受け入れてくれるのかわからずに何も出来ずにいた。傍に居て他の奴からガードしてたつもりだけど、黎は気持ちをお互いに知っていたから牽制しあうだけに留まっていた。どちらか先に告白する事は無いと思っていた。

なのに…。

今見た2人はどうだ。黎は気持ちを凪に伝え、2人でここに居た。オレと来たら凪の事を考えたく無くて、気のない相手とここに来ている。凪に呆れられても仕方がない。このオレが凪に好きだと告白した所で信じてもらえるかどうかわからない。

凪に接してない2週間で何があったのか見当もつかない。なによりオレは今猛烈に後悔している。何やってんだオレ。

「ねぇってば。達樹何なのよ。急に難しい顔して。早く行こうよ。次は食事してお買い物に行こう。目を付けてるものがあるの。」

どうして女ってこう物欲と見栄のはった生き物なんだろう。今日も服はこんなのにしてこないと行かないとか、『目を付けていたもの』ってオレに買わせるつもりかよ。オレ、お前の彼氏じゃねーし。「達樹ろ歩いてたら、周りの女の子が振り向くから快感」とか抜かしやがったし…。

凪に出会うまでは女の子に対してそんな事を思ったりしなかった。「可愛いなあ」なんて思ったりしてたんだ。

凪は今まで出会った事のない奴だった。いつも1人でいて、時折寂しそうにしてるのに次の瞬間には凛とした顔をあげてる。辛い事を背負っても自分で消化しようと健気に頑張ってて。心の歪んでない真っ直ぐな奴だった。

走れない事で相手を恨んで荒む様な事もせずに鬱屈していた。その相手の黎も今では前向きに受け入れている。

黎は今はオレの事を好きでじゃなくても…って言っていた。凪が好きなのは黎じゃない。だとしたらあの『滝くん』かと思っていた。

「襲われそうになった店のスタッフ」が滝くん。

襲われそうになったって…そう言えば、前に黎の家に泊まったって言ってた時、凪の様子が変だった。あの時か!!

オレって激しく勘違いして、凪に当たっていたのか。黎がオレに辛らつに言った意味がわかった気がした。

こんなオレじゃ、黎は絶対に凪を渡してはくれないだろう。でも、オレは凪の事を諦められない。黎に渡すなんて無理だ。


「ちょっと達樹。行こうよ。」

「悪い、オレもう無理だ。その甘ったるい香水も胸ヤケしそうだし、腕に胸を押し付けてくるのも気持ち悪い。オレの事なんだと思ってんの?見栄えがいいから引き連れたいだけだろ。そこに気持ちはない。わかってて付き合ってたオレも悪いけどさ。だからもう終りにしようぜ。」

「達樹、酷いっ。」

「酷いのはどっちだよ。オレの事好きでもないくせに。」

「もういいわよっ!!アンタがそんな奴だなんて。」

バチンと頬をはたかれたけど何の未練もなく、それよりホッとした。後々ズルズルされるのは嫌だった。オレは凪の事だけを考えたかったから。

このままじゃ、凪に誤解されたままだ。それに彼女がいると思ったら凪はオレから遠ざかって行ってしまうだろう。早く凪と2人で話をしないと。黎が凪を離さなくなるかもしれない。今は黎を好きでなく手もずっと傍に居たら黎はいい奴だから情が湧いて好きになるかもしれない。それは嫌だ。

オレは黎と凪を探す事にした。一刻も早く誤解を解かないと事態は悪化していくばかりだと思ったからだ。気が付くとオレは走っていた。確か黎はいるかのショップを見に行こうって言ってた。そこにいるかもしれない。

携帯で連絡を取るなんてことは頭に浮かびもしなかった。間抜けだと思うけれど凪相手ではオレは冷静ではいられなくなるんだ。

人ゴミの中を走るのは難しく、何度も人とぶつかりそうになりながら凪の姿を探す。こんなに必死なオレは正直カッコ悪いと思う。さっきの女がみたらきっと引くだろうな。でもそんなの関係ないほどに今、凪に会って話がしたいんだ。

謝って誤解を解いて、オレの正直な気持ちを伝えたい。伝えたところで凪を困らせる事になるのかもしれないけれど、これ以上自分の気持ちに蓋をして友達のフリをしていくなんて出来ないんだ。

「オレは凪の事が好きなんだ!!」

凪どこにいる?キョロキョロとショップの中を見渡すと、イルカのストラップを見ている凪を見つけた。

「凪っ!!」

オレの声に驚いて顔を上げた凪の手を掴んでオレはずんずんと人ゴミを掻き分けて歩く。どこもかしこも人だらけで静かに話が出来るところがない。

「達樹っ。痛いよ手。離せ。」

思わずスゴイ力で凪の手を掴んでたのに気が付きあわてて手を離す。

「ごめん…。」

「何なんだよ。彼女はどうしたんだよ。オレと話すの嫌なんじゃないのか?」

「ごめん。凪の事を疑ったりして。滝くんって人の事も何も知らないくせに悪く言った。」

「そうだよ。滝くんはいい人なんだ。オレの事を心配してくれただけなのに…。オレ黎のとこに行く。黙って来たから黎が心配してる。」

オレから背を向けて歩いて行こうとする凪に焦った。

背中から拒絶されてるような気がしたんだ。このまま凪を黎のところに行かせてはダメだと思った時には気持ちが声になっていた。

「凪、オレお前の事が好きなんだ。」

周りの人なんて関係ない。オレはやっと凪に本当の気持ちを伝えられたんだ。まずはここからスタートしないと凪はどんどん遠くなる。それだけはダメだ。この2週間会えないだけでも苦しくて仕方なかったんだ。だから凪、オレの気持ちに知らないフリをしないでくれ。

凪は一瞬ビクッと身体を震わせ振り返ってオレを見る。

「こ、こんなところでバカじゃないのか?」

耳まで真っ赤になった凪がオレの傍まで来て今度は凪がオレの手を引いて人ゴミの中を掻き分けて歩いて行く。

先を歩く凪の真っ赤な耳を見ながら、オレは凪に拒否されているわけではないとホッとする。まずはここからスタートだ。今までの誤解や気持ちをちゃんと話して行こう。凪に起こっていた出来事もちゃんと知っときたい。凪が今どんな気持ちでいるのかも。

友達から格上げ出来るのかどうかはわからないけど、もし好きになってもらえなかったとしてもこの気持ちは変わらない。こんな風に凪を好きになれた事を嬉しくさえ思う。焦らなくていい。今はオレの手を掴んで引いて歩いてくれる凪を愛しいと思う気持ちを大切にしよう。オレは自分が少し笑ってるのに気が付いた。

ねえ、凪。凪はオレにいろんな事を感じさせてくれてるよ。初めてのこの気持ちも、凪を心から大切にしたいという気持ちも…。今はこうして2人で居る事が幸せだと思う。凪もそう思ってくれたらいいのにな…。

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読んで下さってありがとうございます。昨日は更新も出来ずにごめんなさい。今日UPするのも怖い気がするのですが…。今日は達樹目線です。『やさしいKissをして45』ではたくさんの拍手をありがとうございました。心から感謝します。
いろんなお話を書いておられる方がいて、読んでくださる方は選べるのでわざわざ流し読みとか無理して読んでくださらなくてもいいんですよ。読んでくださる方の好きなお話を気持ち良く読んで下さいね。
私へタレなので拍手コメは閉じさせて頂きました。申し訳ありません。来てくださいましてありがとうございました☆


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