「キミと空とネコと」
やさしいkissをして

やさしいKissをして66

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次の日は達樹が宣言した通りに、ベッドの中で殆どを過ごした。だからといってずっと肌を合わせてたんじゃないよ。ベッドの上で達樹を枕に本を読んだり、達樹は達樹でオレを膝にのせて後からハグしながら一緒に映画を見たり。(達樹の寝室にはロールスクリーンがあるんだ。)

ご飯をベッドの上で食べるのは嫌だからご飯はリビングで食べたし…。

まあ引っ付いてると反応しちゃう事は当たり前でその時はしちゃったけど…。

何より一緒に過ごすことがお互いに幸せだと感じてるんだから、楽しくないわけがない。でも、楽しい時間てあっという間にすぎるのも事実で…。

「もう帰るのか凪。」

「だって明日は学校だし。帰っとかないと講義の用意とか持ってきてないし、バイトにそのままこの荷物もって行くの嫌だしな。帰るよ。」

「もう凪オレのとこに住んじゃえば?」

「バカな事言うなよ。また遊びに行くからいいだろ。」

オレのマンションまで車で送ってくれた達樹がごねだすのはいつもの事で…。

「しつこい。ここまで送って来たくせにグズグズ言うな。」

「凪は淡白だな。オレはこんなに離れがたいのに。」

「達樹は大げさなんだよ。明日は大学に来るんだろ。」

「あ、わかんねえ。卒論そろそろまとめなくちゃいけないし、明日はさして大事な講義が入ってるわけじゃないから。」

「そっか。達樹オレにかまけてないでちゃんと卒論まとめてくれよな。卒論が出来なかったら余計に会えないんだろ。」

「そうだけど…。うしっ。わかったオレ帰って卒論の資料まとめるわ。早くしあげたら旅行にでも行こうぜ。行った事ないだろ。」

「OK!!達樹の卒論が出来たらな。楽しみにしてる。」

軽くキスして達樹の車を見送るとマンションに入りポストが目についた。

「あ、達樹に手紙の事言うの忘れた。今日も来てるのかな。見たくねーなぁ。でも見ないわけにもいかないしなあ。」

恐る恐るポストを開ける。

「あれ?ない。」

入ってたのはチラシだけだった。

「やっぱ気にしすぎたんだ。ただのイタズラだったんだな。」

ホッと胸をなでおろして部屋に入る。

洗濯物を洗濯機に入れ、明日の用意をしてシャワーを浴びベッドに横になると知らず知らずに瞼が落ちて眠りにつき目が覚めたら朝になっていた。

いつも通りに大学に行き、バイトをして帰る。当たり前の日常。達樹はやっぱり大学に来なかったけど、メールで家で卒論してるって入ってたから心配はしていない。いつもはバイトが終った頃に電話かメールが来るのに来ないという事は夢中で卒論をしてるか、寝ちゃってるからだろう。

電話やメールをして邪魔するのは悪いなって思って携帯を閉じる。

何気にポストの郵便物を見るけどやっぱり手紙は入ってなくて何でも無かったんだって安心しきっていたんだ。次の日も、その次の日も手紙はなく手紙の事は忘れ掛けていた。

達樹と会えない日が多くなってきたある日。バイトから帰るとポストの郵便物を取り出し、D.Mばかりだとゴミ箱に捨てた時、玄関のドアの郵便受けに何かが入ってるのに目が止まる。

「ん?何が入ってるんだ?」

そこを開けると白い大きな封筒が出てきた。

表には『川原 凪様』のあの印刷の字。差出人は不明。切手もなし。その封筒を持つと厚みがあって重い。

怖くなりながらもはさみで封を切る。

出てきたのは6通の白い封筒で。表には『川原 凪様』後にはそれぞれに「長谷川 亜樹」「志水 陵耶」「櫻田 志希」「中原 黎」「滝 和之」そして「小野田 達樹」と印刷されている。

「どういう事?どうしてみんなの名前が?」

恐る恐るその中の一つの封を開ける。黎の封筒…。

中には黎の写真と黎の住んでるマンションの写真。そして一枚の便箋には黎の名前、住所、携帯の番号…。個人情報だ。生年月日とか、家族構成まで…。

陵耶さんのも志希のも滝くんのも同じように写真と個人情報が印刷されていた。

アキさんのには…。聖夜さんの写真も入っていた。聖夜さんの個人情報も…。そして会社の写真と住所。資本金やら業績やら…。そして会社で働いている聖夜さんの写真も…。それだけじゃない、聖夜さんとアキさんが一緒に写ってる写真も入っていた。

達樹のにも同じように個人情報と写真。

どういう事だ?何で?

大きい封筒の中にまだ封筒が入ってるのに気が付いた。これは何も書いてない。封を開けるとそこから出てきたのは達樹とオレがキスしてる写真だった。

「これ…響夜さんの出版祝いの夜だ。あの時光ったのはカメラのフラッシュだったんだ。

オレは呆然とその場に座りこんでしまった。

今更悔やんでも仕方ないけどもっと慎重にしなくちゃいけなかったんだ。

他に何かハイってないかって探すけど、他には何もなかった。

犯人は何がしたいんだ?何を要求するでもなく送りつけてくるだけ。

オレのマンションはオートロックじゃないから誰でもマンションに入れる。

達樹と黎の所はオートロックだ。確か志希の所もそうだったはず。オレはそんな事気にもしなかった。男だし、関係ないだろうと安いところを選んだ。そんなところにオートロックなんかついてるはずもない。

オレ以外はオレが親しくしている人達ばかり。犯人はオレの交友関係も調べ上げてる。迂闊にみんなに教えたりしたら、みんなにまで被害が及ぶかもしれない。犯人が何を要求したいのかわからないんだから。オレが何かしたらみんなに何かするかもしれないと思うと、オレはみんなに言えなくなってしまった。

「これはオレが解決しなくちゃいけない事なんだ。みんなを巻き込んじゃいけない。」

オレはぎゅっと拳を握りしめる。これはただのイタズラじゃない。周りの人まで巻き込もうとしていることからも悪意が感じられる。

「これだけで終るわけがない。そのうち何か要求をしてくるはずだ。それまでは迂闊な事は出来ない。みんなともあまり接触しないようにしないと…。でもバイトは仕方ないし…。」

取り合えず、必要以外にみんなといるのはやめようと思った。バイトもギリギリに行って、終ったら即行で帰ろう。達樹と会うのも控えたほうがいいな。ちょうど達樹が卒論で忙しくて良かった。

みんなに何もなければいいけど…。

散らばった写真を一つずつ封筒に直し、他の封筒と一緒に大きな封筒へ入れる。一応警察にも届けといたほうがいいよな。きっと何かが起こらないと警察は動いてくれないだろうけど、パトロールくらいはしてくれるかもしれない。

オレは前に来た封筒もその中に入れ、明日は警察に行って見る事にした。

まんじりともせずに次の日を迎えると、さっそく警察に行く。

「うーーん。でもこれだけじゃ。何か被害があったわけじゃないんですよね。」

「そうですけど…。これだけ個人情報を普通の人が集めますか?集められますか?」

「まあ、興信所とかもありますからねえ。何か被害とか相手がわかってるならまだしも、ただのイタズラともいえませんしねえ。とりあえずお話を伺っておきます。あとはパトロールを強化する事ぐらいしか今は出来ませんね。何かあれば又教えてくださいますか。」

「わかりました。何かあれば又来ますので、よろしくお願いします。」

はあーと大きな溜め息をついて警察を後にする。思ったとおり、何かないと警察は動いてくれない。

重い気持ちのまま大学へ行き、講義を受けるが頭になんて入って来るわけがない。

夕方『Calda Casa』へ行くと滝くんがコック服を来て座っていた。

「あれ?滝くんコック服でどうしたの?」

「凪おはよう。」

「アキさん陵耶さんおはようございます。滝くんどうしたんですか?」

「じゃーーん。このコック服を見ればわかるだろ。今日から滝くんはお前の後輩だ。ここで修行する事にきめたんだってさ。」

「本当?滝くん。」

「ああ。カクテルは覚えたから、先月いっぱいであの店はやめたんだ。その後。どこで修行しようかとイタリア料理店を探して食べまくったんだけど、ここよりおいしいとこは無かったよ。だから陵耶さんの傍で修行する事に決めたんだ。」

「そうか。嬉しいよ。滝くんよろしく。」

「こちらこそよろしく。凪は先輩だから頼りにしてるよ。」

「オレは専門家じゃないから陵耶さんを頼ってくれよ。」

「それにしても黎は遅いですね。いつもならとっくに来てるはずなのに…。」

「ほんとだ。遅いですね。どうしたんだろ。」

「昼間に電話した時は普通でしたよ。」

そんな話をしていたらドアがあいて黎が入ってきた。

「黎っ!!どうしたんだよ。その腕!!」

7分丈のラグランシャツの下から包帯がみえてて痛いたしい。

「遅くなってスイマセン。ここに来る途中で自転車とぶつかってこけちゃって、運悪くそこにガラスの破片があって切っちゃったんです。あ、でも縫ったのは3針ほどなんですが打撲もしてて…。」

「で、ぶつかった自転車の奴は?」

「逃げて行っちゃいました。追いかけようもなくて…。」

「黎くん今日は帰りなさい。それでホールは無理です。」

「でも今日は志希も休みだしアキさんだけじゃ無理ですよ。」

「志希くんに連絡してみます。無理なら滝くんすいませんが今日はホールを手伝ってくれませんか?指示はボクがだします。難しいことなどはちゃんとフォローしますので。接客はどこのお店でも同じです。心を込めてあわてずにすれば大丈夫ですから。だから黎くんは帰って傷を早く治して下さいね。」

「そうだよ。黎無理したら治るものも治らない。黎ホールは任せて。」

「そうだぞ。黎今日は帰れ。な。」

みんなが会話してる中でオレは背中に冷たい汗をかいていた。

黎の怪我、昨日の封筒とは関係ないのだろうか?もしかして狙われた?違う偶然だと思いこもうとしたが何故だか汗が止まらない。

「凪。凪っ!!大丈夫か?顔色悪いぞ。」

陵耶さんに声を掛けられてハッと現実に戻る。黎はドアを出ていく所でアキさんが滝くんにホールの制服を渡していた。志希にも連絡してみるが、すぐには来れないだろうからそれまでは滝くんがホールに立つようだ。

「黎…。大丈夫なんでしょうか?」

「病院でちゃんと診てもらったんだから大丈夫だろ。しかし何で黎も運がないよな。こけたところにガラスの破片なんてなあ。」

そう言いながら陵耶さんは厨房に入って行った。

黎が運がなかったのか?これがもし故意だとしたら…。


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読んで下さいましてありがとうございます。ポチ拍手もめんどくさいのにありがとうございます。いつも感謝しています。

さて、文字の大きさについて、いろいろとアドバイスして頂きましてありがとうございます。どの大きさがいいのか自分ではわかりかねて結局、リア友に見てもらいました。20人に見てもらって15人が前の方がいいって事でしたので前の大きさに戻しました。ご意見ありがとうございました。リア友ちゃんたちありがとね。でもこのリア友ちゃんたちは全く持ってBLに興味のない人ばかりで私のお話も読んではくれないのさっo(`ω´*)oプンスカプンスカ!!
でも、意見はちゃんと言ってくれるからありがたいです。みんなありがとね☆また飲みに行こうねってここに書いても読まないんだった(笑)

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Re: こんばんは♪ 

鍵コメK様こんばんは☆

初コメありがとうございます。いろんな方が読んで下さってて…。こうしてコメまで頂けてありがとうです☆

ステキなお話…。ありがとう。涙が出るっ(TωT)このお話は今まで書いた中では苦悩の作品でして…。でもだからこそ書ききれば次に繋がると思って書いてます。だからステキって言われると自信になります。本当にありがとうございます。ハピエンに向けて展開させますのでお付き合いくださいませ。

あと、フォントの件教えてくださってありがとう。iPhoneはok!!ってことで(笑)情報ありがとう☆
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