「キミと空とネコと」
やさしいkissをして

やさしいKissをして79

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明け方まで抱き合っていた2人が目覚めたのは昼過ぎだった。こんなに深く眠れたのは久し振りで凪の頭はすっきりしていた。

不安定だった昨日に比べると心が決まったように穏やかだった。達樹に十分に愛してもらったためか…。

「おはよう凪。」

「おはよう達樹。」

軽くチュッとキスを交わす。

「凪何かあったのか?」

達樹の問いかけに凪は唇に指をあてて「しっ」と片目を瞑る。

「その話はまた今度な。それより腹減らねー?オレ何か作るけどパンとご飯どっちがいい?」

達樹は上手くかわされたと思いながらも凪の言葉にのる。

「じゃご飯。」

「OK!!」

昨日あんなに激しく抱き合ったのだから身体はあちこちが軋んでるだろうにそんな姿も見せずにキッチンに立ってご飯を作る凪に、何度もはぐらかされていると達樹は思うのだが「後で話す」と言う言葉を信じていた。

2人で朝ご飯を食べながら凪の顔色を伺うがいつもと変わりのないように見える。

「凪これからどうする?」

「んーーー。もう昼とっくに回ってるし帰らないとな。母さん達が帰ってくるのは夜だから待ってられないし。」

「遅くなるのか?オレ車だし遅くなっても送って行くぜ。」

「いいよ。すごく遅くなると思うから。達樹は卒論仕上げないといけないだろ。」

「まあそうだけど。」

「だからこれ食べたら帰ろうぜ。」

「わかった。」

それからは卒論はどうだとか就職はどうだとか凪が1人でしゃべっているのを達樹は違和感を持って聞いていた。

ご飯を終え、帰る用意をして凪の実家を出る。

「じゃ帰ろっか。」

振り向いた凪は笑顔で何も言えなくなる。

助手席に座った凪がふと寂しそうな顔をして達樹を見た。

「凪?」

「なんでもない…。」

そのまま視線は外を向いてしまう。

達樹はそれ以上何も言わずに静かに車を発進させた。

「帰りは家まで送ればいいんだろ?」

「いや。待ち合わせした駅で降ろしてくれ。」

「何で?帰りなんだから家まで送っていく。」

「ダメだ。家まで送ったら達樹泊って行くだろ。だから駅まででいい。」

「泊らないから送る。」

「ダメだ。駅まで。じゃないとここで降りる。」

ドアに手をかけた凪の顔が真剣で本当に降りそうだったので達樹は「わかった」と言うしかない。

それからしばらく会話はなく凪は肘をついて外の景色を見ていた。「後で話す」と凪に言われて待つつもりだったが、凪の態度に不安を感じて達樹は声を掛けた。

「凪やっぱり何かあったんだろ。ちゃんと話せよ。何だかおかしいぞ。」

達樹の声に返事はなく、車を道の端に止めて見ると凪は眠っていた。やはり昨日は身体に堪えたのだろう。眉間にシワをよせて眠る凪の額にキスをし車を静かに発進させた。

「凪。凪起きろ。着いたぞ。」

達樹の声に凪はゴシゴシと目を擦りながら起きる。

「そんなに目を擦ったら傷が付くぞ。」

手を取られて夢の中から現実に戻る。

「え?ちょっ!!何でオレの家の前なんだよっ!!オレは駅で降ろせって言ったよなっ!!」

なんでそんなに凪が怒るのかわからず達樹はオロオロする。

「凪が良く寝てたから起こすのは可哀想で。」

「達樹今すぐここから車を出せっ!!早くっ!!」

激昂する凪に驚いて言われるままに車を出す。

「どこに行けばいいんだ?」

ブツブツと何かを言いながら考えている凪の顔は青く、今までに見た事もない顔をしていた。

「人の多いところに紛れるしかないか。見られてなかったらいいんだけど…。」

凪の独り言が聞こえる。『見られてなかったら?』不自然な言葉だ。誰に見られると言うのか?

「凪?」

「うるさい。考えてんだっ!!そうだ駅前のスクランブル交差点なら今の時間でも人が多い。達樹、となりの駅前まで行ってくれ。」

「ああ。」

その後の凪は考え込んでいて何を話しても反応がなかった。

駅前に着くと凪は荷物も持たずに車から降りて人ゴミの中に消えて行く。

「一体何なんだよ!?」

達樹はわけもわからずに放置されてそこから動けなくなった。今の凪に何を言っても無駄なのは一目瞭然だ。

しばらくそこで立ち尽くすが仕方がないと自分の家に向けて車を発進させる。

「凪の荷物も積んだままだしなあ。今日は無理だろうから明日にでも電話するか。」

大きな溜め息をついて一人ごちる。そして明日こそは理由を聞いてやると心に誓った達樹だった。

一方の凪はパニックに陥っていた。達樹と一緒の所を見られたかもしれない。これではわざわざ実家まで行った意味がない。

電車に乗り自分の家まで帰って来たが、周りに誰もいないか気になる。達樹に起こされた時にも確認すれば良かったと後悔の念に襲われるが終わってしまったものは仕方がない。

エントランスに入ると恐る恐るポストを開ける。

「よかった!!封筒はない。」

ホッとした凪の後に誰かが立っている気配がして凍りついたように動けなくなった。

「いい子にしてないとダメだって言ったよね。キミは耳がないのかな?それとも苛められたくてわざとやってるの?まあいいけどね。はい。お望みのラブレターだよ。」

赤い封筒を凪の手に持たせると凪の耳にふぅーっと息を吹きかける。

「ちゃあんと読んでね。返事を待ってるよ。」

その声の主は動けない凪の頬を指先で撫でるとその場から消え、凪はヘタリとその場に崩れ落ちる。

やっぱり見られてた。

力の入らない足を叩いて立ち上がると部屋に戻る。

「達樹が危ないっ!!達樹に電話しないと…。」

震える手は何度も携帯を落とし、ダイアルも押せなくてイライラする。やっと掛けられた電話にコール音だけが聞こえてきて凪は手足が冷たくなるのを感じていた。

「早く出てくれ達樹。頼む。」

しばらくコールした後で達樹が出る。

「凪どうした?」

「達樹っ!!何ともないか?怪我とかしてないか?変な奴に襲われなかった?今家にいるのか?」

電話からはパニックに陥ったような凪の切羽詰った声が聞こえて何も言えずに固まる。

「達樹っ!!ちゃんと答えろっ!!大丈夫なのか?」

「凪一体どうしたんだ?凪の方こそ大丈夫なのか?オレそっちに行こうか?」

「来るなっ!!絶対に来るなっ!!無事ならいいんだ。いいか。絶対に家に来るな。来たらもう達樹とは会わないからなっ!!」

それだけ言うと電話は切れてしまった。

凪はいったいどうしたというのだろう。気になるが家に行けばもう会わないと言われると行く事も出来ない。凪に電話をかけなおすが電源を切ってしまってるのか繋がらなかった。


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