「キミと空とネコと」
やさしいkissをして

やさしいKissをして81

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今日はどういうわけか忙しくもなく、22時前にはお客様はみんな帰ってしまっていて片付けも殆ど終りになっていた。

「今日はどうしたんだろうな。珍しく暇だったな。」

「平日ですしね。給料日前も関係あるのかな?」

「陵耶さんすいません電話掛けてきてもいいですか?」

「ああ。ていうかもう片付けも滝くんと2人で出来るから凪はあがっていいぜ。今日までご苦労さん。暇になったら電話してこい。」

「今日までご苦労さんて?なんか変ですよ。陵耶さん言葉の使い方。」

「だな。滝くん2人で片付けしような。よろしく。」

「いいですけど…。あ、凪お疲れ様。」

「陵耶さん、滝くんお疲れ様でした。」

オレはふかぶかとお辞儀する。心の中で『陵耶さんありがとうございました』『滝くん後はよろしくお願いします』の意味を込めて…。

?な顔の滝くんを陵耶さんが引っ張っていく。オレはもう一度お辞儀するとロッカールームに戻り携帯を取り出した。

大きな溜め息が出る。正直に言えば掛けたくない。

時計が22時をさしてオレはメモを見ながら便箋に書かれていた番号へと電話をかける。

「こんばんは。ちゃんと時間通りに電話してきていい子だね。番号もちゃんと通知してえらいよ。」

「どうせ知ってるんだろ。携帯の番号。」

「もちろん。キミの事は何でも知ってるよ。」

「オレはアンタの事知らないのに知られてるの、すごい気持ち悪いんだけど。」

「いいじゃないか。これから知っていくんだから。最初は知らない方が興味持てるでしょ。」

「いい加減にしてくれよ。何でこんな事するんだよ。オレに恨みでもあるのか?」

「あるよ。お前のせいで…。」

急に口調が変わったので少し驚いた。

「で、返事はどうなんだよ。まあ始めからわかってるけどなお前の口から聞きたい。オレにかしずく様を聞きたい。言えよ。答えは?」

「…。言う…通りにする…。」

「聞こえねーな。」

「言う通りにするって言ってんだろっ。」

「そんな言葉遣いしてもいいと思ってるのか?いいんだぜオレはお前の好きな奴がどうなろうとかまわないんだ。」

「卑怯だ…。」

「卑怯でもなんでもいいんだよ。オレは痛くもかゆくもないね。むしろ褒め言葉に聞こえるよ。」

電話の向こうで笑ってる声が聞こえて頭の血管がぶちぎれそうだったけど、ぐっとこらえる。

「あんたの言う通りにする。オレは周りの人との接触をしない。」

「そうだ。そうやって素直にしてろ。あと2日やるからあの間にあの男と別れろ。別れたら電話してこい。22時にな。」

そして一方的に電話は切れた。相手は名前すら名乗らなかった。

ツーツーと無機質な音が電話から聞こえてイスにどさっと座りこみ頭を抱えた。

「2日以内に達樹に別れ話をしないといけない…。」呟いて重い腰を上げ着替えて部屋を出ると事務室のアキさんに挨拶をする。

「アキさんお世話になりました。勝手を聞いてもらってありがとうございます。」

「凪くんお疲れ様でした。やめても仲間には変わりありませんから何かあったら相談に乗りますから遠慮なく頼ってくださいね。」

「はい。ありがとうございます。失礼します。」

アキさんの優しい言葉に涙が出た。今すぐ何もかも打ち明けたい衝動にかられるけどなんとか押しとどめて帰路につく。

マンションに帰るとベッドに寝転び達樹のアドレスを出す。

「達樹は何してるかな。ディスプレイの達樹の文字を指でなぞる。自然とあふれる涙が頬を濡らして嗚咽が漏れる。

「こんなじゃ今日は電話出来ないな。」

震える声でひとりごちるとそのままベッドに突っ伏して泣いた。

次の日は目が腫れていて自分の顔に笑えた。どんだけ泣いてんだオレってば情ない。

その日も大学へは行かずに達樹にどう話すか考えて過ごす。そして夜、達樹に電話する。明日時間を作って欲しいと。そして昼に大学近くの喫茶店で待ち合わせをした。とうとうこの時が来たんだ。

眠れない夜を過ごし、次の日待ち合わせ場所に向かった。

緊張しているせいもあるのか気が付くと約束の時間よりも30分も早く着いていて…。コーヒーを注文して頭の中でセリフを暗唱する。もう何十回と諳んじてるので考えなくても言葉が出てくるほどだった。オレの心を伴わない言葉は言っても気持ちが動く事はなく無機質な言葉でしかないから涙も出ない。ドラマのセリフのようだ。

「凪、悪い待ったか?」

少し息を切らしながらオレのテーブルにつくとアイスコーヒーを頼む仕草に見ほれる。やっぱり達樹が好きだ。だけど今からはその気持ちを消さなくちゃいけない。オレもお代わりのコーヒーを頼む。

「で?話ってなんだ?」

「コーヒーが来てからでいい。卒論はどうなんだ?」

「ああ、あらかた書き出して下書きした。後は手直ししてまとめるだけかな。」

「やっぱり達樹は優秀なんだな。」

「何だ?褒めても何もやらないぞ。」

そこに2人分のコーヒーが運ばれてくる。

「そんなんじゃない。達樹は優秀なんだからオレなんかと付き合ってちゃダメだ。来年は就職だろ。男と付き合ってるなんてわかったら会社にいられなくなるぞ。」

「凪何言ってるんだ?」

「達樹は優秀なんだからさっきのでわかれよ。簡単に言えば別れようって言ってんだよ。」

「凪、マジで言ってるのか?」

「こんな話ふざけて言うわけないだろ。オレは達樹と別れたい。」

「何で?理由は?」

「達樹がウザくなってきた。オレ本当は女の子と付き合いたいんだ。オレだって男なんだぜ。抱かれてるんじゃなくて抱きたいんだよ。」

「え?女の子と付き合いたい?」

「達樹だってそうだろ。もともとは女と付き合ってたんだ。オレとの事は興味本位だったって後でわかるさ。オレは気が付いたから…。だから別れたい。達樹が嫌だって言ってもオレはもう達樹とは付き合わないから声をかけるのもやめて欲しい。今日はそれが言いたかったんだ。じゃ、卒論頑張って。」

「待てよ凪。オレは認めない。」

「達樹が認めようが認めまいがオレはもう決めたから。」

オレは自分のコーヒー代をテーブルに置くと立ち上がり達樹の横を通りぬけようとした。

「待てって。」

達樹がオレの手首を掴む。

「離せよ。もう達樹とは関係ない。」

「そんな一方的に言われて「はい。わかりました」なんて言えるわけないだろ。」

「じゃ達樹はオレの未来を保証してくれんのかよ。このまま達樹と付き合ってたら結婚も出来ない。家庭も子供も出来ないんだぞ。オレの一生を背負ってくれるのかよ。」

「それは…。」

「出来ないなら離せよ。」

達樹の手を振りほどいて店を後にする。

さっき達樹に投げつけた言葉は達樹とオレの未来を考えた時に思った言葉。オレは達樹さえ居ればいいけど、達樹はどうなんだろう。来年は就職する達樹。そのうち結婚したくなるかもしれない。家庭を持ちたい。子供も欲しいと思うかも知れない。その願いはオレでは叶えてやれない。それ以上のものを達樹にあげられる自信がないのかもしれない。いやないんだ。

達樹がどんな顔をしてたのかなんて知らない。ニセモノのセリフなのに涙がボロボロ出てくる。でもこれで達樹の事は守れる。

22時。オレは発信歴からアイツの番号を出してかけた。

「別れたから。」

「みたいだね。いい子だ。しばらくはまわりがうるさいだろうね。キミがちゃんと対応出来るか見させてもらうよ。嘘をついて影で会ったりなんかしないようにね。オレがちゃんと別れたって認めたら電話するよ。認めるまではキミの周りの人はオレの手の中だって事を忘れないようにね。電話で連絡を取るとかもナシだよ。今すぐにみんな消しちゃって。オレの番号だけ残しといてね。あと着拒しとく事。出来るよね?会った時に携帯確認するからね。じゃ、オレの連絡があるまでいい子にしてるんだよ。」

又、一方的に切れた。

みんなの電話を着拒し携帯から削除する。いいなりになってるのは嫌だけど、みんなの身を守るためには仕方ない。

その日からオレの携帯のアドレスには誰の登録もなくなってしまった。


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読んで下さってありがとうございます。昨日は更新もせずにごめんなさい。書いては消して書いては消しての繰り返し…。
昨日はこの後、泣き言を書いてしまいまして…。あまりに情ないので消しました。読んでしまわれた方ごめんなさい。不快な思いをさせました。悩みながら書いていきます。お付き合いいただける方、よろしくお願いします☆


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~ Comment ~

題名に惹かれて。。 

Rinさん。こんばんわ。

やさしいKissをして読ませていただいています。。
題名に惹かれて。。時間も忘れてしまうくらい。。

ファミリーが(杉野兄弟やカイくん達を勝手にそう呼んでいます…笑)絡んでくれるお話は、暖かく・優しく包み込まれるような気持ちになる。。上質な毛布みたいかな。。

凪の潜在意識が疼き出すあたりや達樹への気持ちにやっと気づくあたりはじれったくて・じれったくて・・(>_<)
まっ、まさかの黎と・・Σ(゚д゚lll)いやいや、それは無いでしょう。なんて独り言云ってたりして……(笑)

黎は本当に凪をしたっていたんでしょうね。。怪我をさせてからはそこに責任が加わったのかな……
達樹に託しても尚、見守ってますよとゆうスタンスは、ちゃんと凪から卒業できた男のかっこ良さを感じた・・いい子だ黎は。なんとか滝くんと幸せになるお話をと願っていますヽ(*´∀`)ノ

雪が降る街で出てきた響夜とカイくんの結婚式のお話はここに登場していたのですね。。
相変わらずのふたり・絆が強く深くなったふたりに、また出会えて幸せな気持ちになりました☆

そして、この展開は・・・|゚Д゚)))
BARで凪を襲ったあいつがストーカーなのでしょうか???
大切な人たちを巻き込まないために距離をおき、一番大切な人を守るために嘘をつき別れを決断する凪・・切なすぎる(T_T)
達樹に云う別れる理由・・それをいわれちゃあぁ、もう何も言えないでしょう……(>_<)
屈するしか方法はないの~~~

どうか凪の笑顔を達樹に返して下さい・・・
続きが気になります・・・

気長にお待ちしていますね。。と、言いながらも頭の中は凪でいっぱいです・・・(笑)

深夜の呟きでした。。
ありがとうございました☆

Mill

Re: 題名に惹かれて。。 

Mill様こんばんは☆

お返事が大変遅くなってごめんなさい。

『やさしいKissをして』は今は休載中でごめんなさい。書いてる途中で、書けなくなるほど挫折して怖くて書けていません。でもちゃんと完結させますのでもう少し時間を下さいね。

スピンオフの話には時々本編での出来事を交えています。本編を読んでなくてもわかるようには書いてるつもりですが、本編を読んでくださったみなさんにお礼の気持ちというか、サプライズというか。ああ、これあの時のって楽しんでいただけたらなって思っています。

黎は凪の事がすごく好きでした。でも達樹を認めて身をひきました。いい男になっちゃいました(笑)
Mill様と私の感性は似てるのかもしれない。とコメを読んで思いました。どうなるかは言いません(笑)でもハピエンなので。

深夜の呟きありがとうございました☆
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