キミが思い出になる前に

キミが思い出になる前に15

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思わずカズサにキスしていた。

何でキスしてしまったのかわからない。考えるよりも先に身体が動いてた。

カズサが泣いていて、オレから逃げるように出て行こうとして、気が付いたらカズサの手を引き寄せてキスしてたんだ。

考えて行動したんじゃなくて、無意識の行動だったからオレ自身がわかってなかった。そのキスの意味を…。

カズサに突き飛ばされて、初めて自分のした事に気が付いて我に帰る。



『何するんだよ。何してるのかわかってるの?ボクをバカにしてるの?からかってるの?玩具にしてるの?』



そう言ったカズサはすごく傷ついた顔をしてて…。

『ごめん』としか言えなかった。そりゃそうだよな。カズサだって男なんだ。男にキスされたらバカにされたと思うよな。でもバカにしたわけでも、からかってるわけでも、ましてや玩具にしてるわけでもない。どうしてあんな事したのかわからないんだ。



2度目のキス。





1度目はカズサが熱を出して寝ている時にした。あの時も気が付いたら唇に触れていた。

今日は2度目のキス。




何でキスしたんだ?




部屋の中にはカズサのカバンが置き去りになっていた。

「電話しても出てくれないだろうな。メール打っとくか。ほんとは直接謝りたいんだけど。」

そう思いながら『ごめん』とカバンを預かってる事をメールする。

どうしてこんな風になったのか。少し前は一緒に遊んだり、週末を過ごしたり楽しい時間を2人で共有してきたというのに。

一緒に過ごす時間を幸せだと思っていたのに…。



わかってる。玲奈が絡んできてからだって。






玲奈とは高校で出会った。1年の時は別のクラスだったけど噂だけは知っていた。学校で一番可愛い女の子だって噂になってたから。

直接知り合ったのは2年になって同じクラスになってからだ。

2人してクラス委員になったから自然と話す事が多くなり、2人で遊ぶ事もあった。

玲奈は確かに可愛かった。女の子らしい顔もスタイルも一緒にいて嫌な気はしなかった。オレだって男だから可愛い女の子は好きだ。玲奈の我儘も、女の子特有のものだとあまり気にしなかった。オレに無理な我儘を言ってくる事はなかったから。

玲奈はお嬢様で我儘に愛され、甘やかされてきたから気に入らない事があると我慢が出来ない。無理に我慢させると、かえって逆上して問題を大きくする事が一緒に遊ぶようになってからわかった。注意したところで聞かないし、泣き出すので今ではよほどの事がない限りみんな何も言わない。

それでも比較的オレの言う事は聞くので、何かあった時の玲奈のなだめ役はオレになっていた。

最初のうちは良かったけど正直、玲奈といるのがしんどくなってきていた。オレが離れても玲奈の方から寄ってく来るので無碍にも出来ずに玲奈の思うとおりにさせていた。

そんなある日、カズサがこのクラスに転校して来たんだ。

初めてカズサに会った時に、何かなつかしいような気がして不思議と気になった。

オレがクラス委員で世話をしだしたのが始まりだけど、カズサは一緒にいてすごく居心地のいい相手だった。話してても楽しいし、無理をせずにいられた。2人で居て話をしなくてもちっとも苦痛じゃなくて、安心して癒されるような気がした。

いつもは静かに聞き役に回る事の多いカズサだけど、クルクルかわる表情や、笑った時の顔なんてすごく可愛くて。普段は綺麗と言われるカズサがオレの前ではくつろいで素の表情でいてくれる事を嬉しく思っていた。

カズサがオレとオレ以外に見せる表情は違ってたから、カズサにとってもオレは特別な友達なんだと思ってた。

オレにとってのカズサも特別だ。他の奴らとは違うんだ。何かって言われると困るんだけどカズサは特別なんだ。他の男友達とカズサは違うと感じていた。この関係を大事にしたいと思っていた。

だからオレは玲奈といるよりもカズサを優先するようになった。当たり前だろ。しんどい相手と特別な相手なら特別を選ぶ。おまけにオレは玲奈と付き合ってるわけじゃない。玲奈の事はクラスメイトと言うだけだ。カズサといる方が何十倍も楽しい。

それが玲奈のプライドを傷付けたのかもしれない。

ある日オレの傍にクラスの女の子が複数でやって来た。

「良太くんひどいんじゃない?」

「は?何が?」

「しらばっくれないでよ!!玲奈泣いてたんだから。」

「だから?」

オレはイライラしていた。複数の女の子に囲まれてギャーギャーと言われる事に苛立ちを覚える。

「良太くんは玲奈の彼氏でしょ?」

「違うよ。オレは玲奈の彼氏なんかじゃない。」

「どうして嘘つくのよ。玲奈は彼氏だって言ってたし、今までは玲奈と一緒にいたじゃない。」

「だから?」

「だからって…。カズサくんが転校してきてから良太くんは変わったわ。」

「そうそう。玲奈の事を放ったらかしにするようになった。」

「いっつもカズサくんと一緒にいるわよね。」

「その間玲奈が我慢してたのに気が付いてないの?玲奈は転校してきたてのカズサくんが可哀想だからってずっと我慢してきたのよ。良太は優しいから無碍に出来ないんだって。私が我慢すればいいんだって悲しそうに笑ってたんだよ。」

「もういいでしょ。カズサくんだってこの学校にも慣れたわよ。あんだけ良太くんが一緒にいたんだもの。いつまでも一緒にいなくてもいいじゃない。それとも彼女を放ったらかしにしてまで一緒にいなきゃいけないわけでもあるの?」

「別にわけなんてない。一緒にいるのが楽しいからいるだけだ。友達なんだから別にいいじゃねーか。」

「わかった。良太くんじゃなくてカズサくんが無理やり一緒にいるのね。」

「そうか。良太くんは優しいから突き放せないんだ。」

「違う。」

「なんだ安心した。カズサくん玲奈が良太と付き合ってるって言ったら、良太は玲奈と付き合ってないって言ってたって言ったんだよ。ひどいよね。あんな綺麗な顔しといて嘘つくんだもんね。」

「そうそう。玲奈が嘘つくわけないじゃない。あんなにいい子なのに。」

「カズサを悪く言うなよ。カズサは嘘なんて言わねーよ。」

「いいよ。良太くんわかってるから。玲奈の所に戻ってあげて。玲奈待ってるよ。」

女の子の集団って話を聞かないよな。自分達で勝手に話を作り上げてしまうから怖い。カズサを庇えば庇うほど、カズサが悪者になっていく。

興奮状態の相手に何を言ったところで聞いてはもらえないと落ち着くまで待とうとした時だった。


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