キミが思い出になる前に

キミが思い出になる前に16

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女友達に肩を抱かれて俯いた玲奈が教室に入ってくる。泣いていたのかスンと鼻を鳴らし、ハンカチを握りしめていた。

「玲奈っ!!」

オレを囲んでいた女の子達は一斉に傍に駆け寄って「大丈夫?」などと玲奈を気遣う。

「みんな本当にありがとう。みんながいてくれなかったら玲奈どうしていいかわからなかった。ほんとに私達をカズサくんから守ってくれる?きっと邪魔されるとと思うの。でも玲奈何も言えないし、良太も優しいからカズサくんの言いなりになっちゃうと思うの。」

「大丈夫だよ。私達がちゃんと見てるから。」

「カズサくんに2人の邪魔なんてさせないわ。」

「でも…。玲奈がいないところで良太を連れて行くかも…。」

「私達がいるじゃない。そんな事許さないわ。」

「じゃ、カズサくんが良太に近づかないように見ててくれる?」

「もちろんよ。」

「あのなあ、いい加減にしろよ。オレ怒るぞ。」

「良太。玲奈の事が嫌い?今まで優しくしてくれてたのに嫌いになったから、玲奈の傍に居てくれないの?」

「別に嫌いとか言ってないだろ。」

玲奈とオレの視線がぶつかり合う。周りにいた女の子達は言う事を言って気が済んだのか、後はオレと玲奈で話し合えばいいと思ったのだろう。

「後は2人で仲直りしてね。カズサくんの事は任せておいて。」

そう言うとみんな出て行ってしまった。




「玲奈、一体どう言うつもりだ?」

静かになった教室でオレは玲奈に向き合うと、感情を押さえるように低い声で話す。

「良太。怒らないで。」

「怒らないでなんてよく言える。オレは玲奈と付き合ってないぞ。なんで付き合ってるなんて言うんだよ。なんでカズサを悪者にするんだ。」

「玲奈は良太の事が好きだから。良太の傍に居たいからじゃない。ずっと玲奈は良太の事が好きだったのに、良太はちっとも気が付いてくれなくて。玲奈、気付いてもらおうと頑張ってたのに…。なのにカズサくんが転校してきたら良太は玲奈の事を相手にしてくれなくなった。玲奈は前みたいに良太と居たいの。」

「だからって嘘はダメだろ。好きなんだったら好きだって言えばよかったじゃないか。」

「そんな事言えるわけないじゃない。それくらい好きだったんだもん。カズサくんの事を引き会いに出さなくちゃ良太は玲奈の事を見てくれないじゃない。」

「でもこんなやり方はオレ嫌いだ間違ってると思う。オレに嫌われるようなやり方をしておいて好きになってもらえると思うのか?」

「ごめんなさい。こんなやり方をした事は謝る。ほんとに悪かったと思ってる。ごめんなさい。だけど、玲奈の事をちゃんと考えて欲しいの。今までは友達としてしか見てなかったでしょ。これからは恋愛の対象として見て欲しい。考えて欲しいの。それでも玲奈の事を好きになれなかったら諦めるから。しばらくは玲奈の事だけ見て考えて。玲奈は本当に良太が好きなの。」

オレの目を見て話す玲奈の目に嘘は見えない。オレの事を本当に好きでいてくれてるのが伝わってくる。確かに今までは普通の友達としてしか見てなかった。玲奈の真剣な気持ちにはちゃんと考えて答えを出さないと玲奈は納得しないだろう。

玲奈の事を好きになれるか一緒に過ごして見て、無理なら玲奈は諦めると言っている。何もしないで断るのは失礼な気がした。

「わかったよ。ちゃんと考える。それでダメなら諦めろよ。」

「うん。ありがとう良太。じゃ、今からお試しで良太と玲奈は恋人同士ね。」

「お試しはわかるけど、恋人同士じゃないだろ。」

「恋人になるかもしれないじゃない。今から答えが出るまで、良太は玲奈の事を一番に考えてね。その間は玲奈が優先。カズサくんと過ごしてた時間は玲奈に頂戴ね。もし良太が玲奈の事を好きになれなかった時はクラスのみんなにも付き合ってないっていうから。それまでは付き合ってるって事にしておいてね。」

「わかったよ。」

勝手な言い分だとは思ったけど、どのみちこの問題を片付けないといけない。玲奈を好きになれる気はしなかったけど、恋愛対象として玲奈を見ていたら好きになれるかもしれないとも思う。

カズサのためにもちゃんと決着をつけた方がいいと考えた。この時はカズサが孤立させられるなんて思ってもみなかった。


次の日、学校に行こうと思ったら玲奈が家の外で待っていた。

「これからは一緒に行こうね。」

オレの腕を組み歩き出す玲奈を、妹の愛美が嫌そうな顔をして見ていた。愛美は玲奈の事が嫌いだからなあ。そしてその視線はオレにも向けられ、思いっきり顔を背けられてしまった。

そのまま一緒に登校し、教室に入ると窓際の席でカズサが1人で本を読んできた。いつもなら他の奴が話しかけたりしてるのに、誰もカズサの傍に行こうとしない。変な空気が漂ってるように感じる。

「玲奈、ちゃんとクラスの男子にはカズサくんに構わないように言っといたからね。」

「ありがとう。」

「玲奈、そんな事しても意味ないだろ。」

「良太に玲奈の事だけ考えて欲しいんだもん。答えが出るまでだよ。別にカズサくんになにかするわけじゃないよ。」

「当たり前だ。」

変にオレが言うと玲奈は逆上しそうだ。カズサに何するかわからない。

カズサは男だし、友達がいなくちゃダメだって事はないだろう。ずっとじゃない。玲奈が落ち着いてオレが答えを出すまでだ。カズサには悪いけど、これ以上ひどい事にならないために耐えてもらうしかない。そう思ってカズサを見たら、カズサがオレを見ていた。アイコンタクトを取ろうとして、オレとカズサの様子をクラスの女の子が観察しているのに気が付いて目を逸らした。

カズサごめん。少しの間だけ耐えてくれ。そのうちちゃんと話すから。玲奈の事はちゃんと片付いてからカズサに話すつもりでいた。今はオレも玲奈の状態を見ている時だし、複雑にしないほうがいい。心の中でカズサに謝る。

目を逸らしてしまったから、その時のカズサの表情はわからなかった。目を逸らした事がカズサを傷付けた事も、昨日玲奈がオレの所に来る前にカズサに詰め寄っていた事も知らなかった。

でもカズサが1人で居るのを毎日見ていると辛くなってきて…。

カズサは何も悪くないのに、オレと玲奈の事に巻き込まれて嫌な思いをしている。カズサは何も言わないけど辛いに決まっている。決着がつくまでカズサには黙っている方がいいと思っていたけど、カズサまでオレと玲奈が付き合っていて、自分が邪魔してたって勘違いしているのがわかって黙って居られなくなってカズサに話す事にした。何よりカズサに誤解されているのが嫌だった。

メールで呼び出して、会えるまでに入れ違いが合ったけどちゃんと会えて話を久し振りにしたのに、途中から雲行きが怪しくなって、最後は無理やりキスしちゃって誤解を解く事も出来なかった。オレって何してるんだよ。

オレの誤りのメールにカズサも返してくれたけど、何だか温度差があるような気がした。もう一度ちゃんと話をしないといけない。

でもオレどうしてこんなに必死にカズサに理解してもらおうとしてるんだろう。

気が付くとそこでいつも立ち止まっている。このモヤモヤした気持ちが一体何なのかわかればいいのだけれど、わからないままで…。

オレは自分の気持ちがわからずグルグルしている。玲奈の事もかわいい所はあるとは思うが、好きかと言えば違う気がする。玲奈の事を考えてるはずなのに気が付けばカズサが1人で寂しそうにしている顔が浮かんでいて…。

そんなオレの気持ちとは反対にカズサがオレを距離を置こうとしているなんて思いもしてなかった。そうして小さかったオレとカズサの間の溝が少しずつ大きくなっていってる事も気が付かずにいた。カズサの表情が日に日に沈んでいってる事も…。


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Re: タイトルなし 

鍵コメC様おはようございます。

なぜかこんな早い時間に起きてしまいました(笑)

いつも読んで下さってありがとうございます☆
今はグルグルな2人です。カズサはもとから良太しか愛してないから自分がそうなんだって自覚してるけど、良太は男の子を好きになるなんて思ってもいないから、すっごくとまどって自分の気持ちがわからない事をわかってもらえて嬉しいです(。◠‿◠。✿)ぅんぅん

ネガなカズサが心配ですが、良太が自分の気持ちを受け入れられた時に引っ張っていってくれるかなあって思ってます。もうちょっと続きますのでお付き合い下さいませ。今、中盤くらいかな?

C様は『やさしいKissをして』も楽しみにしてくださってたんですよね。中途半端でごめんなさいね。少し気持ちが落ち着いたら書きますのでお待ち下さい。ちゃんと最後まで書くつもりではいます。

C様優しいお言葉とコメありがとうございました☆

お久しぶりです 

雪の降る街 読んできました。
久しぶりにユウ君に会えて ほわほわ気分になりました。

でも、レストランのシーンでは、ユウ君の気持ちになってドキドキして、雪夜さんの事は信じているけど 一緒になって泣いちゃいました。
雪夜さんパーフェクトになんでもこなしちゃうし、好きな人に何かしてあげたいのにどうしていいかわからなくなってしまうなんて・・・
ユウ君 可愛すぎ”ギュウ~”ってハグしたくなっちゃったよ~
オムライス上手に出来て、美味しいって言ってもらえてよかったね。 
オムライス食べたくなりました。Rin様のレシピで作ってみますね。(=∩_∩=)

「キミが思い出・・・」
胸きゅん のお話ですね。今、玲奈嬢がちょっと痛いですが、女子の集団・こわいですね
ハピエンになるまで「カズサ君」応援していきます。

私、Rin 様のお話 大好きです。
ほわほわ ふかふか って気持ちになれるから
つづき読みに行ってきます。

Re: お久しぶりです 

chie様こんばんは☆

お返事が大変遅くなりまして(*_ _)人ゴメンナサイ

久しぶりのchie様に嬉しく、読んで下さってたんだなあって感激しました。
雪夜とユウは甘すぎてバカップルみたいになってしまいましたが、甘いお話が書きたくて…。『やさしいKissをして』も『キミが思い出になる前に』も甘くないので…。おかげで雪夜のユウに対する甘やかしぶりが露見してしまいました(笑)

オムライスぜひ試してみて下さいませ。でもお口に合わなかったらm(o・ω・o)mゴメンヨ

chie様が好きって言ってくださるだけで、少し気分が浮上.。;・+ヾ(♥◕ฺ∀◕ฺ)ノ゚:。・+ほかほか ふわふわって言ってもらえてすごく嬉しい☆

楽しんでもらえるように書いて行きます。でも更新出来ない時はごめんちゃい(o*。_。)oペコッ
chie様メールありがとうございました☆
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