キミが思い出になる前に

キミが思い出になる前に22

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母さんが傍にいてくれてるからボクは安心して眠りの中にいた。やっぱり1人でいるのは寂しい。良太を見続けている事は辛いだけじゃないのかな。叶う事のない恋を追い掛けて終らせる勇気がボクにはあるのだろうか…。

夢の中でも考えてて悲しくて、切なくて、辛くて…。

こんなに良太が好きなのに…。男と言うだけで願いが叶う事はない。

「カズサ起きてるの?悲しい夢見てるのね。涙がこぼれてるわよ。」

母さんが指で涙を拭ってくれた時に病室のドアをノックする音がして、母さんは静かにドアを開けた。

「あの、突然すいません。カズサの見舞いに来たんですけど。カズサのお母さんですか?」

「ええ。カズサの母親です。ごめんね。カズサ今眠ってるの。あなたのお名前聞いてもいいかしら?」

「上村 良太です。」

「あら、あなたが良太くんなの?カズサから色々聞いてるわ。ここじゃ、カズサが目を覚ましちゃうからカフェテラスに行かない?良太くんにおばさんと話せる時間があるなら…。」

「はい。あのこれ…。」

「まあ、綺麗なお花ね。ありがとう。先に花瓶に飾るからそこで座って待っててくれるかしら?」

「はい。」

カズサの母親が花瓶を持って病室を出ていく。

ベッドに寝てるカズサは顔は青白く、また痩せたように思う。寝ているカズサの目からポロリと涙がこぼれる。

「カズサ、辛いんだよな。ごめんね。オレ何もしてやれない。カズサが苦しんでるのに…。ごめん。」

カズサの姿に胸がぎゅっと締め付けられる。

もっと早くに見舞いに来るつもりだった。だけど玲奈がいつも以上に離れてくれなくて、朝から晩まで離れなかったんだ。

「どこに行くの?カズサくんの所に行くんでしょう。玲奈を置いていくの?そんな事したら玲奈、消えちゃうよ。この世界から消えるんだから。本気だよ。」

そんな事玲奈に出来るわけないと思っていたら、カッターを取り出して自分の腕を切りつけた。幸い浅い傷で縫う事もなく跡も残らないだろうという事だったが、そんな玲奈を目の当たりにした以上、カズサの所へは行けなかったんだ。

今日はたまたま玲奈の家で親戚の集まりがあるとかで、玲奈もそこにいなくちゃいけなくてやっと来れたんだ。

痩せたカズサの頬を撫でる。涙がつつーっとオレの指を濡らす。

「オレはどうしたいんだろうな。」

未だにオレの気持ちがわからないままで、それが玲奈を不安定にさせ、カズサにとばっちりがいってるのだ。玲奈の事が好きかと聞かれると、そうだとは言えないが、玲奈を突き放す事は出来ない。

「良太くんお待たせ。行きましょうか。」

「はい。」

病院のカフェテラスは陽が降り注いでとても開放的だった。

「良太くん、いつもカズサを気に掛けてくれてありがとう。1人暮らしで寂しかったけど、良太くんが泊りに来てくれるようになって嬉しいって喜んでたわ。」

「そんな。オレの方こそ、カズサには良くしてもらってます。」

「カズサ、今学校で1人なんでしょ?」

「え?それ…。」

「カズサが言ってたの。でも勘違いしないでね。カズサはそれを苦にしてるわけじゃないのよ。もともと1人が好きな子だし、自分で時間を使えるから。カズサも平気だって言ってたし、今は後藤くんと横田くんが毎日病院に来てくれて仲良くしてくれてるから。」

「後藤と横田は毎日来てるんですか?」

「ええ。ゲームやらマンガ、本、CDなんかを毎日持って来てくれるのよ。カズサが退屈しないようにって。あの子たちも良い子ね。カズサは幸せだわ。」

「後藤と横田は毎日来てるんだ…。」

「何?どうしたの?」

「あ、いえ別に…。」

「だからね、良太くんは無理してここに来なくてもいいのよ。お付き合いしてるお嬢さんがいるんでしょ。その子はカズサと良太くんが一緒にいるのが嫌なんでしょう。」

「それは…。」

「良太くんは彼女の事が好きなのよね。だから一緒にいるんでしょう?だったらカズサに関わらないで欲しいな。だってカズサは何もしてないのに良太くんといるだけで目の敵にされてるって後藤くんと横田くんがら聞いたわ。母親としてそんな事許せない。良太くんは友達も多いんでしょ。なら、カズサがいなくてもいいじゃない。カズサにこだわる必要なんてないでしょ。」

「それは…。でも…。」

「良太くんはどうしたいの?良太くんがちゃんとカズサを守れるのならいいけど、そうじゃないならカズサに近づかないで欲しいわ。今回の十二指腸潰瘍だってストレスや睡眠不足とかいろんな要因が重なって起きた事なのよ。カズサは優しい子なの。自分が我慢しちゃうのよ。これ以上カズサを傷付けないで欲しいの。おばさんひどい事言ってるかもしれない、でも母親は子供を守らなくちゃいけないのよ。今の良太くんにカズサを守れるとは思えない。後藤くんや、横田くんがカズサを守ってくれると思うわ。だから、もうここには来ないで。カズサとは距離を取って頂戴。お願い。」

カズサのお母さんに頭を下げられて、言われてる言葉が胸に刺さって仕方がなかった。

オレはカズサに何もしてやれないどころか、オレのせいでカズサが辛い目に合ってるんだって現実を付き付けられた。見ないフリをしていた現実を…。

「良太くんはカズサの事が好き?」

「え?はい。カズサとはなぜか素のままでいられて安心出来るんです。こんな友達初めてで、大事な友達だと思ってます。」

「そう。『友達』ね。良太くんの気持ちはわかったわ。友達として大事に思ってくれるなら、カズサに近づかないで欲しい。あなたは彼女を大切にしなさい。彼女は友達じゃないでしょ。愛があるんだから。だから友達よりも彼女を優先するのは当たり前の事なのよ。気にしないで。彼女と仲良くね。それじゃ、お見舞いありがとう。カズサにはお見舞いに来てくれた事だけはちゃんと伝えておくわね。お花ありがとう。じゃあ、さようなら。」

カズサのお母さんが見えなくなってもオレは立つ事も出来なかった。

カズサに近づくなって言われた。そりゃそうだ。母親なんだから子供を守るのは当然の事。それもオレが原因なんだから。

カズサは友達だから彼女を優先させなさいって…。愛があるから友達よりも彼女を大切にしなさいって…。でもオレは玲奈よりもカズサを大切にしたいって思う。

これってカズサの事を友達以上に見てるって事なのか?

でもカズサは男だぞ。オレも男だ。男が男を好きになるなんて、そんな事ありなのか?

玲奈とキスしたいとは思わないけど、カズサの唇には触れて見たいと思う。実際に触れてしまった。

玲奈とSEXしたいとは思わないけど、カズサとはどうなんだ?カズサの白い肌に触れて見たい…。でもそう思うオレはおかしいんじゃないのか?

女の子とSEXはした。昔付き合ってた彼女と。何度もした。覚えたてでお互いに盛ってたように思う。あれが愛のあるSEXかと言われれば正直どうなのかわからない。

カズサとSEXする?そもそも男同士で出来るのか?違う、そんな事じゃなくてオレはカズサに惚れてるのか?

男が男を好きになるなんて…。話には聞いた事あるけど、オレが?まさか!!

玲奈の事があるから、優しいカズサに逃げてるだけだ。好きだとかそういう感情じゃない。玲奈とカズサを比べるなんて、オレって嫌な奴だ。ちゃんと玲奈に向き合わないとな。

カズサがどうのこうのじゃなくて、オレは玲奈を好きになれないんだから。

玲奈にちゃんと話をしよう。


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~ Comment ~

 

お・・?
自覚し始めたようですね、良太。(ククク・・・・。びみょーな笑)。

ま、悪女の深情け的な礼奈ちゃん相手ではシャイなカズサが太刀打ち出来ないの、当然かも。
そしてカズサ母の強烈パンチ。

後藤と横田も何気に良太にボディーブローしてるし。

四面楚歌の状況を打開できるか??

Re: タイトルなし 

ますみ様こんばんは☆

リコメ遅くなりましてごめんなさい…。

良太はグルグル悩みつつ、少しずつ確信に迫っていますが、受け入れるかどうか自分の中の気持ちが定まっていません。玲奈を突き放せないとか言ってるし…。玲奈の計算通りな良太…。

後藤も横田も良太よりもカズサの味方なので、カズサ母に聞かれると情報を流してるしね(笑)後藤も横田も今までの良太とカズサを見てるから、今の良太が嫌な奴に見えるのかもね。

良太は四面楚歌を乗り切れるのか…。良太が自分の気持ちを確信しない事にはね。カズサ母も今の良太では認められないからきつく言うんですよね。母だもの…。

ますみ様コメありがとうございました。
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