キミが思い出になる前に

キミが思い出になる前に25

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日曜日に後藤と横田は1度家に帰り、制服やカバンなどを持ってカズサの家に泊まった。

その日の晩は3人で寄せ鍋をつつき、横田が鍋奉行である事が発覚し、後藤はいちいち怒られ、そんな2人のやり取りをカズサは楽しく見ていた。

最後はうどんか雑炊かでもめ、じゃんけんして勝った後藤が「雑炊ダーーーッ!!」と喜び、食べすぎて動け無くなって片付けも出来ず、横田にチクリと言われているのを見て噴き出したカズサを後藤も横田もニコニコして頭をなでてくれた。

片付けの後、それぞれ風呂に入り、カズサの寝室に布団を並べて寝る。

修学旅行の夜のようにしゃべり続ける後藤に、横田が突っ込みを入れカズサが微笑んでる穏やかで楽しい時間を過ごし、カズサは退院した直後だという事もあり、いつの間にか眠ってしまっていた。

「あーあ、可愛い顔して寝てるよ。」

「ほんと。こんなカズサの事をよく悪く言えるもんだな。」

「まあ、オレ達も何も言わなかったんだから他の奴と同じだ。」

「でもこれからは違うぜ。オレはちゃんとカズサの味方になる。」

「そうだな。カズサが又、倒れたりしないようにオレ達が守ってやらないとな。」

「電気消すぞ。」

「ああ、おやすみ。」

「おう。おやすみ。」

2人に見守られながらカズサは心地よい眠りの中にいた。

しっかりと眠った 次の日、カズサはさっぱりとした気持ちで起きる事が出来た。2人はまだ寝ている。

「そうだ、朝ご飯作ってあげようかな。」

いつもカズサの事を気に掛けてくれる2人のために、そっと布団を出て顔を洗い、着替えてエプロンをする。

「何を作ろうかな?昨日はお鍋だったし、朝はパンにしようかな。何かあったっけ?」

冷蔵庫を覗くと卵に胡瓜、レタスや根菜があった。

「時間あるし、ポトフ作ろう。身体に優しいし温まるし。それと…。シナモンがあったな。シナモンサンドイッチにしようかな。でもしめじとベーコンのキッシュでもいいなあ。スパニッシュオムレツでもいいかも。二人なら朝からでも食べそうだしな。」

いろいろ悩んで時間のかからないスパニッシュオムレツにした。

「ポトフ、お肉だと時間かかっちゃうからなあ。そうだっ!!母さんがジョンソンヴィルのソーセージを買って来てくれたのがあるからそれを使おう。んーーー。スモークブラッツにしようかな。」

部屋中にポトフのいい香りが漂う。 スパニッシュオムレツを焼き始めると、匂いに釣られて目を擦りながら2人が起きて来る。

「ふぁーー。カズサおはよう。」

「おはよう。」

「すげーいい匂いしてる。もしかして朝ご飯作ってくれてんのか?」

「うん。もうすぐ出来るから二人とも顔洗って着替えてきて。パジャマとかは洗濯カゴに入れといて。学校から帰ってきたら洗濯するから。タオルは洗面所に2枚出してある。」

「おう。サンキュー。横田行くぞ。メシメシッ!!」

「後藤は本当に食い気しかないのか…。」

横田くんの呟きは後藤くんには届かなかったみたいだ。肩をすくめて横田くんが後藤くんの後に続いて行った。

「さあ、仕上げにパセリを振ってっと。2人ともコーヒーでいいのかな?」

出来上がった料理をテーブルに並べ、フランスパンを薄く切ってトーストした物をパンカゴにいれて置く。

「あ、2人とも飲み物何にする?」

「オレ牛乳がいい。ある?」

「あるよ。横田くんは?」

「カズサと同じでいい。」

「ボクご飯の時はミネラルウォーターだよ。終わったらカフェオレ飲もうかと思ってるんだけど。」

「オレもそれで。食後のコーヒーはブラックな?」

「わかった。じゃ、食べようか。」

「「「いただきます」」」

「うっわっ。うめぇ。何これ?こんなん食った事ねぇ。」

「ポトフだよ。ほんとはお肉入れるんだけど、時間がないからソーセージにしたんだ。」

「このソーセージなんだ?初めて食べるけどうまい。」

「母さんが買って来たんだ。ここのジョンソンヴィルって言うんだけどおいしいでしょ。ボク好きなんだ。今日はスモークブラッツにしたけど、他にも種類あるんだよ。」

「じゃ、今度は違うの食べさせてくれな。」

「うん。」

たくさん作ったつもりだけど、あっという間に綺麗になくなった。

「カズサありがとな。うまかった。」

「ほんとにおいしかった。」

「よかった。じゃ、片付けして学校に行く?」

「そうだな、ちょうどいい時間だ。後藤、昨日は片付けもしなかったんだからお前が片付けろよ。オレ達はコーヒー飲んでるから。」

「ちっ。わかったよ。片付けはするって言ったんだからちゃんとするよ。」

「後藤くん1人にさせたら悪いよ。ボクも手伝う。」

「いいのいいの。カズサは1人で作ったんだから。オレ達には気を使わなくていいから。後藤は昨日何もしなかったからやらせればいいの。働かざるもの食うべからずだ。」

2人に無理やりに座らされて、横田くんの入れてくれたカフェオレを飲む。後藤くんには悪いなあって思ったけど、2人の好意に甘える事にした。案外細やかなところもあって、後藤くんは綺麗にシンクまで洗って拭き上げてくれる。

みんなで家を出て3人で登校する。 いつもは1人で下を向きながら歩く道を今日は3人で話しながら歩く。 空の青さが気持ち良くて心がぽかぽかしていた。

「後藤は今日は部活か?」

「ああ、今日は出ないとな。月曜日だし。横田は生徒会あんの?」

「いや、今日はないはずだ。カズサ帰りは2人で帰るか?」

「いいの?横田くんしないといけない事とかないの?無理にボクにあわせなくてもいいからね。」

「バーカ。無理になんか合わせてないって。ダメな時はちゃんと言うから。遠慮なんてすんなよ。」

「そうそう。1人で帰らなきゃいけないときだってあるんだから、帰れる時は一緒に帰りゃいい。」

「そうだね。うん、一緒に帰ろう。」

今日は帰りも下を向かずに歩けそうだ。 後藤くんと横田くんの間に挟まれて楽しい気持ちで学校に向かった。

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