キミが思い出になる前に

キミが思い出になる前に28

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恐る恐る教室に戻ったけど、何も変わりはなかった。

何も変わりはないっていうのは嘘かな。高田さんの取り巻きの女の子の視線はとても痛くて、ヒソヒソと言われているのには悲しくなった。

良太はボクとは視線を合わせないようにしているような気がした。やっぱり嫌われたみたいだな。

少し落ち込むボクを後藤くんと横田くんが気にするなって言ってくれる。

他の人達は傍観するみたいで、何を言うでもするでもなかった。

それからも後藤くんや横田くんと登校したり下校したり、ボクの家に遊びに来てくれたりして2人とは友好な状態でいられた。

2人が家に泊りにくるようになって、良太を好きになった馴れ初めを話して2人にビックリされた。ボクがもともとはここに住んでいたなんてみんな知らないもの…。

「中学の時は第3中学にいたんだ。2年生まで。その時はダサい黒縁眼鏡かけてたし、前髪長くして顔隠してて、臆病であんまり人と話してなかったから…。今のボクとは全然違うかもしれない。」

「第3中学?オレ達もだぞ。もしかして会ってたかもしれないのか。」

「なんで引越したんだ?」

「親が離婚して母さんの赴任先に行く事になったからだよ。」

「じゃ、苗字違うんだ。」

「うん。その時は『三枝(サエグサ)』だった。」

「サエグサ カズサ…。」

「ん?三枝 上総?」

「マジ?オレ同じクラスだったぞ。」

「後藤ほんとか?」

「ああ。オレ三枝が転校する時に寄せ書き書いた事覚えてる。」

「え?後藤くん同じクラスだったの?」

「お互いに気が付かないなんて、よっぽどお互いの印象が変わったんだな。」

「あは。ボク良太以外の人あんまり見てなかったから…。」

「ぅわっ。カズサ、それ何気にオレはショックなんですけど…。」

「しょうがないだろ。そん時からカズサは良太の事が好きだったって事だ。」

「ちょっと待ってて。」

ボクは寝室のサイドボードから寄せ書きを持ってくる。

「えと…。あ、ほんとだ後藤くんの名前ある。」

「カズサ見せて。ブッ!!なんだよ後藤の書き込み。『どこにいても友達だ!!熱い友情は続く!!』って。どこのスポコン野郎だよ。」

「うっせーな。オレは熱い男なんだよ。」

「後藤くんらしいよ。それに友情は今も続いてる。嘘じゃない。」

「カズサ…。」

「で、カズサを変えさせた良太の言葉は…。ははは。あいつは中学の時からあんま変わってないんだな。良太らしいわ。自信を持てか…。」

「良太はカズサの事気が付いてるのか?」

「ううん。気が付いてない。」

「良太も気が付くわけないか。こんなにカズサが変わってたら。」

「いいのか?そのままで。」

「いいんだ。どんな人にも変わらない良太だから。だから…。」

「だから好きなんだな。そんなんでサヨナラ出来るのか?」

2人には良太に好きだと言うつもりはなく、思い出を集めるために戻ってきたのだと話してある。

「それが母さんとの約束だから。母さんも1人で大変なんだ。ボクが母さんを守らないと。」

「じゃ、卒業したらイギリスに行く事は決めてるんだな。」

「うん。良太に迷惑をこれ以上かけたくないし。」

「そっか。じゃオレ達は友達として少しでもカズサが良太との思い出を集められるように協力するか。」

「そうだな。」

「後藤くんも横田くんもありがとう。少しでもたくさん思い出が集まれば嬉しい。」

「ノートに書きとめてるんだよな。写真は持ってんのか?」

「え?1枚…2枚ある。」

「2枚だけかよ。しゃーねーな。オレが部活の時の良太を撮って来てやるよ。」

「ありがとう後藤くん。デジカメのメモリー買ったらお願いしようかな。」

今のメモリーには良太の寝顔と、寝ている良太に引っ付いてるボクの写真が入ってる。どこでそれが誰の目に触れるかもしれないから渡せない。良太に迷惑がかかってしまう。

「今からメモリー買いに行くか?」

「そうだな。思い経ったが吉日か。」

「横田は変なとこジジクサイよな。…ってぇ…殴る事ないだろっ。」

「後藤はほっといてカズサ行こう。ショッピングモールの中に家電店あるからさ。」

「オレも行くって。放ってくな!!」

3人で夜の街を歩く。私服に着替えた2人は大人っぽくてかっこよさが倍増する。声を掛けてくる女の子もいて積極的な女の子達に驚いた。

「後藤くんと横田くんは本当にカッコイイよね。女の子達がたくさん声掛けてくるね。ビックリしちゃうよ。」

「カズサってほんとにわかってないなあ。オレ達よりカズサの方が見られてると思うぜ。ただ声を掛けて来ないだけ。」

中性的な容姿がまず目を引く。細い腰にバランスの取れた手足。カズサは背が低くて筋肉がつかないとコンプレックスに思っている身体も顔と合っていて服の下の身体はどんなのだろうと思わせる。夜の街のせいなのか毒されていないカズサの心が妙に綺麗に映る。少し俯き加減の表情が危ない色香をかもし出しているようだ。

「カズサ。遅い時間に1人で外に出たらダメだぞ。男に襲われたりしかねないからな。」

「まさか。ボクを襲う人なんていないよ。後藤くん中学の時のボクを覚えてるでしょう。その時にそんな事思った?」

「だから中学の時とは違うだろ。あんときは髪の毛で隠れてて顔わかんなかったしよ。」

「後藤の言う通りだぞ。その辺の女より綺麗からな。オレ達がいる時はいいけどそれ以外はダメだな。」

「横田くんまで…。」

「カズサの場合は女にも襲われそうだしな。」

「酷いよ。後藤くんボク男だよ。」

「でもカズサ女に手を上げられないだろ。それに女の集団は怖いぜ。」

「そんな事ないから。でも夜は出歩かないようにするよ。」

「おう。そうしろ。」

家電店でメモリーを買うと3人で晩ごはんを食べに行く事になりおいしいと評判のハンバーグ店に入る。ご飯時と重なって少し待たされたけれど3人で話してたから苦にもならなかった。

「オレサイコロステーキとハンバーグ400グラムにチーズと目玉焼きトッピングしてご飯大盛り!!」

「出た。後藤のステーキにハンバーグ400ご飯大盛り。どんだけ食べるんだよ。野菜も食え。」

「じゃあ山盛りポテトフライにシーザーサラダも頼もう。」

「バカじゃないのか?ちゃんと全部食えよ。オレは和風ハンバーグ300グラムと豚汁とご飯とサラダのセットにしよう。カズサは決まったか?」

「2人ともすごいね。ボクはそんなに食べれないから、きのことチーズのハンバーグ包みのディッシュにする。」

「ディッシュって皿の中にメシもサラダも入ってるやつだろ。それハンバーグ150グラムしかねーぞ。そんなんで足りんのか?」

「そのあとにデザートとか食べるつもりなのか?」

「これだけで十分だから…。」

「その辺の女でももっと食うんじゃねーか。」

「ま、カズサらしいっちゃらしいか。オレの分けてやる。」

そのうち注文したものが運ばれてきて、2人はボクに少しずつ自分のものを分けてくれる。

「カズサのも少し頂戴。」

「後藤意地汚い。でもそれ上手そうだな。」

「うん。おいしいよ。2人にも分けて上げる。こんなに食べれないから。」

3人で楽しく食べていると隣のテーブルに新しいお客さんが来てお互いに固まった。

「良太…。」

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~ Comment ~

ご無沙汰しておりました(^-^; 

Rin様こんにちは!ご無沙汰しておりました。でも毎日読んでましたよ♪

カズサ、後藤クンと横田クンにカミングアウトしましたね。凄く勇気が必要だったでしょう…。偉いよ、カズサ!!そしてそれをキチンと受けとめた後藤クンと横田クンは、ホントに良い友達ですね!

玲奈のどうしようもないイジメは許せないけど…。これが切っ掛けで、後藤クンと横田クンという友達が出来たことはカズサにとって良いことだったのでしょうね。

一方の良太…。カズサママからも釘を刺され(苦笑)それはそうですよね、カズサが入院してしまった原因の一端は良太にあるわけで。息子がセクシャルマイノリティーで良太のことが好きだって知っていたら、半端な態度はして欲しくないのが親心。カズサママは強くて優しくて素敵なお母さんですね!

レストランで良太とばったり会ったカズサ達。良太が一人でレストランに来るわけもなく(^^; 良太の隣の人物は誰なんでしょ?!カズサの少ない食欲を奪う人物で無いことを祈ります…(汗)


Re: ご無沙汰しておりました(^-^; 

waka様こんばんは☆

こちらこそ、読み逃げと言うよりも見逃げ?してます(笑)

なんや色っぽ過ぎてコメよう書きませんでした。あのおいしそうに食べてはる奴…。その後は毒気にあおられたようでほーーーっと見てるだけで…。

ホルベインの色鉛筆のセットを購入しようか迷って、マーカーにも興味を持ち、コピックシリーズを見てる毎日です(笑)高すぎやわ。チャオでも高いよ。

パソコンは正月開けが値段落ちるからその時に購入予定。で、いっそのことこれを気にデジ画にしようかと…。ソフトはSAIjはバージョンUPしてないし、Win8には対応してないので、CLIP STUDIO PROを購入(妹のB.Dプレなの。11/20がB.Dでした)使えるのかと言われると、限りなく?ですが、来年チャレンジしてみます。

BLイラスト集やイラストの書き方とか、マーカーの使い方とかの本が増えてしまって(苦笑)さすがにヤバイっす。

ついwaka様にはイラストの話が…。申し訳ないです。

で、カズサですね。カズサ。だいぶ後藤と横田には救われてます。やっぱ、1人にさせたくなくて友達がいないと、カズサはどんどん落ちて行きそうなので、強い味方をしたがえさせました。

明日はもっと後藤と横田と仲良くなりますよ。ウフッ。お楽しみです。もう良太は(。・`Д・´)はぁ?(。・ˇ_ˇ・。)ムゥ…゛(`ヘ´#) ムッキーですから。

カズママの事わかってもらえてうれすい!!そうなの。そんなママにしたかったの!!waka様わかってくれてありがとう☆カズママはカズサの幸せの事を一番に考えてるからね。半端な態度するなら消えてって思ってる。傷つくのはカズサだからね。

恋する女、玲奈はまだまだ頑張るらしいです。そこが女なのよね。なまじ自分をかわいいと思ってるからプライドもあるしね。この女はほんまに性悪です。スパイス過ぎ(笑)

waka様コメントありがとうございました☆

 

わあ、出会ってしまいましたね。
良太にはもれなく礼奈が付いているから、大変!

で、ハンバーグ店でヒス起こして
「あの子はホモ!」
とか叫び出しそう・・・・怖っ。

そして良太は、後藤くんと横田くんに嫉妬メラメラ、してる?
今や良太の知らないことをたーくさん知ってるふたりだものねー(笑)。



こちらは毎日フローリングを歩く足が冷たいですよ。
最近の好みは、ジンジャ―シロップ入りのホットミルクです。

Rinさまも暖かくしてお過ごしください。

Re: タイトルなし 

ますみ様こんばんは☆

いつもありがとうございます☆

はい。思いっきり出会いました(笑)となりのテーブルってベタでしょ。自分でもそう思ったんですけど、玲奈ならそうもくろむだろうと思いました。

一応、玲奈も外では言わないようですよ。良太が不機嫌になるし、あの子何言ってるの的に見られるのはプライドが許さないし、切り札のように使いたいので関係ない人の所では言わないと計算しています。

後藤くんと横田くんはほんとにいい奴なので、カズサの救いになってますね。本人達は良太のかわりにまもってるんですけど、良太にもけしかけてます。策士です。


ジンジャーすごく出回ってますよね。山田養蜂場の蜂蜜を良く買っているので、そこからも案内が来て、ヴェーダ・ヴイといういつもハーブティを買うお店もジンジャーシロップを押してきています。

蜂蜜生姜入り紅茶もはやっているとか…。

私はひたすら最近はデトックスにとハーブティを飲んでます。

ますみ様もお風邪を召されません様にご自愛くださいませ☆コメありがとうございました☆
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