キミが思い出になる前に

キミが思い出になる前に29

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良太の横には玲奈がいてカズサにこれ見よがしに腕を巻き付けて見せる。

2人で買い物でもしてきたのか良太はたくさんのロゴのついた紙袋を持っていた。狭い街だから遊ぶところもご飯を食べに行く所も限られてくるのは仕方がない。

「あら。3人で仲良くご飯食べに来てたんだ。お邪魔しちゃってごめんね。私達もデートの帰りなの。たくさん買いすぎて疲れちゃった。でも良太が荷物全部持ってくれてるの。玲奈に優しいの良太って。玲奈の服も見立ててもらったの。」

甘えるように良太を見上げて嬉しそうな顔をする玲奈。嬉しいのは本当なんだろう。良太を好きだって全身から言ってるみたいだ。そんな風にハッキリ言える玲奈を少し羨ましいと思う。

「ふーん。よかったんじゃねーの?のわりに良太はシケた顔してんな。嬉しくないのかよ。」

「後藤やめとけ。隣がオレ達で悪いけど気にしないでくれよな。そっちはそっち。こっちはこっち。」

後藤くんがボクのために言ってくれている事、横田くんが高田さんを怒らせないように言ってくれている事がわかるからボクは何も言わなかった。でも隣に良太がいると思うと変に緊張しちゃって…。

「あーあ。カズサこぼれてるって。」

気が付くと良太がいる事に気を取られてソースを服にこぼしてしまっていて、それに気が付いた後藤くんが教えてくれた。

「カズサってば案外おっちょこちょいだからな。こっち向いてみ。」

横田くんがこぼれたソースを拭いてくれる。

「ありがとう。横…?」

その時耳元で横田くんが「敦也(アツヤ)って呼んで」って囁く。

戸惑ってると早くってアイコンタクトしてきて…。

「ありがとう…敦也。」

わけもわからずに言われた通りに言う。

「どういたしまして。あ、口の横にも付いてる。」

そう言ってペロッってボクの口の横を舐めた。

「///横…///。」

「はい。カズサ綺麗になった。」

今度は後藤くんがテーブル越しにボクの顔を自分の方に向かせる。

「あーあ。カズサ反対にも付いてるぞ。」

そう言って同じように反対側をペロッて舐めて離れ際に耳元で「琢磨(タクマ)って呼んで」って囁く。

何がなんだかいっぱいいっぱいになって真っ赤になって言われた通りに言う。

「ありがとう…琢磨。」

「いいって。じゃ楽しく食事の続きしようぜ。」

何気なく隣をみると良太が気分を害したと言うようにすごく怒った顔をしていた。玲奈はそんな良太に気が付いていないのか「見た?やっぱりあの3人はゲイなんだよ。良太近寄らない方がいいよ。気持ち悪いよねー。」などと言っている。

ボクは玲奈の発言よりも怒ってる良太が気になって仕方がなかった。

「カズサ。カズサってばどうした?」

「良太がすごく怒ってる。やっぱりボクの事が気持ち悪くて気分を害したんだ。」

「良太怒ってるんだ。ふーーん。それよりもこれからは「横田くん」じゃなくて「敦也」って呼んで。」

「オレの事は「琢磨」って呼べよ。」

「どうして?」

「友達なのに苗字にさん付けなんてよそよそしいだろ。オレ達はカズサって呼んでるのに。」

「呼べないなら仕方ないけど。」

少し肩を落として横田くんが言うから呼べないなんて言えなくなった。

「わかった。これからは名前で呼ぶよ。」

隣のテーブルが気になったけど、ずっと見ているわけにもいかないし、見ていたらもっと良太を怒らせる事になるだろうと思った。

それからは何も喉に通らなくて殆どを2人が食べてもらう事になっちゃって…。

「ほんとにカズサは少食だなあ。」

「後藤が食べすぎなんだよ。」

「た…たく…まはすごい食べるね。」

声が上擦りそうになりながらも名前で呼ぶと琢磨が嬉しそうな顔をする。

「おう。これからもカズサの食べれない分はオレが食ってやるからな。」

「後藤はカズサのを食べすぎそうだからダメだ。カズサの食べれない分はオレが食べてやるから。」

「あ…あつや…おねがい…します。」

敦也も嬉しそうな顔をしてボクを見る。

その時となりの良太がバンッてテーブルを叩いたのでボクはビクリと身体を震わせた。

「カズサ大丈夫だから。」

敦也がボクの手を握ってくれる。

「じゃ、食ったしそろそろ帰るか。カズサ送って行くわ。」

「そうだな。そろそろ行こうか。」

敦也がボクのジャケットを持ってくれて席を立たせる。

「じゃ、邪魔して悪かったな。後は2人で仲良く楽しんでくれ。」

「カズサ行くぞ。」

琢磨がボクの腰を抱くようにするから恥ずかしくて顔が赤くなった。

すれ違う時にちらっと見えた良太はさっきよりも怒ってる気がした。

店の外に出て敦也がジャケットを掛けてくれる。

「見たか良太の顔。」

「ああ。あいつ…。」

「だろ。思った通りだ。」

「うん。さらに怒ってた。ボクは完全に嫌われたみたいだ。」

「カズサ…。そんなに落ち込むなよ。オレ達にまかせとけって。悪いようにはしない。」

「そうだ。オレ達はカズサの味方だ。今は何も聞かないでオレ達にまかせてくれないか?」

2人がどういう意味で言ってるのかわからないけど何か考えがあるのかな?まあ、これ以上嫌われる事はない。

「よくわからないけどまかせるよ。でもあんまり良太のあんな顔は見たくない。心が痛い。辛いよ。」

「そうだな。カズサの事を思えばこそなんだけど、嫌われたら辛いよな。でもオレ達を信じてくれ。」

2人に悪気はないのはわかってる。

「じゃ、心が痛くなった時は2人で慰めてよ。」

「もちろん。部活で良太グッズ集めてやるからな。玲奈の持ってないレアなお宝GETしてやる。」

「琢磨ってば窃盗で捕まらないでよ。」

「そこは上手くやるって。」

「ちゃんと本人に了承を得てからもらえよ。」

「もちろん。」

「どうだか…。」

「それより敦也、敦也は琢磨の事を「後藤」って呼ぶのにボクは名前呼びなんておかしくない?友達だから名前で呼べって言ったよね。じゃ敦也も「後藤」じゃなくて「琢磨」、琢磨も「横田」じゃなくて「敦也」って呼ばなきゃ。」

「「うえぇぇぇっ…」」

「コイツの事を名前呼びなんて気持ち悪過ぎだろ。」

「罰ゲームじゃないんだから無理だな。」

「ボクには呼ばせるくせに。」

「カズサには名前で呼ばれたいんだから仕方ない。」

「いつ呼ばせようかと思ってたんだよな。いいきっかけを良太がくれたぜ。」

「本当だ。良太に感謝だな。」

「ああ。付き合ってる女の趣味は最悪だけどな。」

「琢磨。良太を悪く言わないで。高田さんだって良太の事が好きなんだよ。だからボクに当たるのは仕方がないんだ。」

「カズサ…。お前あんなにされてるのに玲奈の事を庇うのか。」

「庇うつもりはないけど、でも良太を好きな気持ちはボクと変わらないと思うから。」

「…。カズサの場合マジで言ってるからなあ。」

「わかったよ。オレ達も必要以上に玲奈の事は言わないようにする。だけどカズサに被害が及ぶ時は別だから。」

「おう。誰であろうとカズサを傷付ける奴は許さないからな。それがたとえ良太であろうとな。」

「琢磨…。」

「さあ、早く帰ろう。風邪ひくぞ。」

それからはボクの事を気に掛けてか良太の話題は出ずに、今度の修学旅行の話をしながら帰った。

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明日から2回にわけて良太目線でお話進みます。といってもここ何回か分の良太サイドからのお話になります。(/。'(ェ)')よろしクマ

昨日インフルエンザ受けてきました。めちゃ痛かった(TωT)ウルウル


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~ Comment ~

 

カズサのナイト(?・笑)二人、良太のコト、気付いて何やら企んでますね?
いい方に転ぶといいけど。。

カズサは良太の行動や視線に凹んでますが、実は・・・、ってとこでしょうか。
良太、後藤君と横田くんに見せつけられて噴火寸前。

でも、礼奈ちゃん、すごいなー。
「ワタシを誰だと思ってるの!!」的で。
良太が引いてるの、わかってないし。まあ、ナゼ自分が悪いのか、きっと一生わからないんだろうなあ。

Re: タイトルなし 

ますみ様こちらにもありがとうございます☆

良太は鈍感なのか、自分の気持ちがわかってないようですが、周りからみれば一目瞭然なのですね。とくにカズサを見守っている2人には…。玲奈は気が付いているのか、気が付いていないフリをしてるのか…。良太に気が付かせないようにしてるのかもしれません。認めたくないしね。

カズサはマイナスにしか考えられてないし、琢磨と敦也ははがゆくて仕方ないでしょうね。

玲奈は女王ですから。ええ。良太を必ずや自分のものにすると決めていますから。お試しといいつつも、このまま彼女の座に居座る気マンマンですな(笑)
良太が引いてるのも玲奈に対してでなく、琢磨や敦也、カズサにだと思ってますよ。きっと。すごい子です。

ますみ様たくさんコメありがとうございます☆
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