貴方の腕の中で

貴方の腕の中で28

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「ねぇ。ところでさー。友哉。一緒にいたかわいい男の子って、友哉の友ダチなの?」

「おお。そうだけど何?」

「ん。何か今までの友哉の友ダチとは雰囲気違うしさ、何か守ってあげたいって母性本能が疼くって言うか・・・。友哉、私に紹介してよ。」

「ええええっ。真理だけずるいよ。私もーーーー。気に入っちゃった。」

「やだね。お前らに紹介なんてしたら蓮の事、取って食っちゃいそうだしな。蓮はダメ!!」

「やだ。友哉ったら嫉妬してるみたいだよ。」

「何とでも言えよ。蓮は天使みたいな子なの。キミたちの毒牙にみすみす渡すようなことはしねぇよっ!!」

「酷い言われようだね。私達。」

「ところでさ、蓮クン遅くない?気分でも悪いのかな?」

「そうだな。オレちょっと見て来るわ。」




雪はしんしんと降り積もっていた。

蓮の頭にも身体にも薄く積もっている。

急に身震いがして、ひどく長い間ここに立ちつくしていた事に気づく。

「あっ。上着も携帯も財布も店に置いたままだ。心配かけてるよね。戻らなくちゃ・・・。」

戻りたくないけど、連絡の仕様もないから勝手に帰る事は出来ない。

何より、自分の勝手で楽しい雰囲気を壊すことは出来ない。

戻ったら、気分が悪いと断って先に帰ろう。

友哉サンとのことは今は考えたくない・・・。

ぶるぶると身体を震わせ、頭もガンガンしてきた。

雰囲気を壊さないようにちゃんとしなきゃ。

自分を奮い立たせるように頬をパンパンとたたき、身体と頭についた雪を払いのけ笑顔の練習をする。

「大丈夫。ボクは大丈夫。」自己暗示をかける。

裏口から店内に入るとトイレからあわてたように出てきた友哉サンとかち合う。

「・・・。」

思いがけずに友哉サンに会ってしまい、言葉が出ない。

「蓮!!どこ行ってんだ。ビックリするだろ。急にいなくなったら。ハァ・・・。」

「・・・ごめ・・・んなさ・・・気分が悪くて・・・外・・・いた・・・。」

やっとのことでそう告げる。友哉サンの顔は見れない。

「大丈夫か?蓮?顔色悪いな。帰ろうか。」

「だいじょ・・・ぶ。でも、ボク先に・・・帰るね・・・。」

「送るって。そんな蓮ほっとけないだろ。」

「いいのっ。一人で帰りたい!!」

強い口調で叫んだボクの声に友哉サンはビックリしたようにボクを見る。

「あっ。ごめんなさい。タクシーで帰るから大丈夫。それに女の人達に悪いよ。ボクの事はホントに大丈夫だから・・・。」精一杯の笑顔を見せる。

大丈夫だよね。ちゃんと笑えてるよね。友哉サンは気づいてないよね?

友哉サンはボクが言うコトを聞かないとわかったのか大きなため息をつくと、タクシーに乗り込むまで見送ってくれた。

「蓮、家に着いたら連絡しろ。絶対だぞ。」

ボクは返事も出来ずに頷いた。声を出すと泣いてしまいそうだったから・・・。

真っ暗な部屋に帰ると部屋が冷えてるのと、身体が冷えてるのとで悪寒で身体が震えた。

着ていた服を着替え、冷えた身体を温めるためにお風呂に浸かる。

身体はぬくもってきたけど、空っぽの心はいっそう空虚で木枯らしがふいているようだった。

取り合えず友哉サンに帰ってきたことをメールし、携帯の電源を落とす。

誰にも会いたくなかった。声も聞きたくなかった。

一人でいたかった。心は友哉サンを求めていたけど、その気持ちにも蓋をした。

一人で暗い部屋の中で泣いた。もうこれ以上涙が出ないほどに・・・。

もう消えてしまいたいと思いながらいつの間にか眠っていた。










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