「キミと空とネコと」
雪が降る街

雪が降る街1

 ←海人のイラストです☆(追記) →雪が降る街2


別に喧嘩をしてるわけじゃない。

雪夜さんの事は大好き。

付き合うまでは雪夜さんはカイくんの事が好きなんだと誤解していたボクに、「カイくんは家族として好きなんだ。でもユウは違うよ。」って抱きしめてくれて…。

雪夜さんに不満なんてないよ。

雪夜さんは動物病院を経営してて、獣医さんでとても忙しいのに、いつもボクの事ばかり気に掛けてくれる。

「仕事は忙しくないか」とか「体調悪くないか」とか「休みの日はどこかに行こう」とか…。自分の事はいつも後回しで…。すごく優しいけど、もっとボクにも我儘を言って欲しいなんて贅沢なのかな?

付き合うってお互いを思いやる事なんじゃないのかな?

それともボクじゃ我儘を言った所で無理だろうって思われてるのかな?

信頼されてない?

雪夜さんが実家を出て、購入していたマンションで一緒に生活するようになってから、雪夜さんは家事を殆ど自分でするんだ。

掃除も洗濯も。

もちろん料理なんてボクにさせた事なんて一度もない。

病院が忙しくて、夜に泊りこみをする時だって、昼間に帰ってきて、ボクの晩ごはんを作っておいてくれる。

「ユウ1人だと、スーパーのお惣菜とかお弁当とか身体に良くない物を食べるでしょ。」って…。

完全にボクは子供扱いなんだ。前からそうだったけど、今は前よりも子供扱いされてる気がする。

これじゃ、恋人って言うよりも弟だよ。

そうは思っていても、それを雪夜さんに言えない。

そんな事を言ったら絶対に嫌われてしまうもの。

好きの程度で言えば、ボクが雪夜さんを好きの方がずっとずっと大きいと思うんだ。

雪夜さんに嫌われたくない。でも、もっとボクを好きになって欲しい。

雪夜さんは誰にでも公平に優しい。

女の人に限らず、男の人でも子供でもお年寄りでも。

子供が大好きで、病院に来る子供にお菓子をあげるために、駄菓子屋さんでよくお菓子を買ってる。

雪夜さんは自分の子供が欲しいんじゃないかな。

杉野家は3兄弟だけど、付き合っている相手はみな同性。

一番上の聖夜さんが昔、結婚してたから、子供(双子の聖華と麗夜って言うんだ。とっても可愛いんだよ)はいるけど、ボクと付き合ってる限りは雪夜さんは子供は望めないんだ。

もともとボクも雪夜さんもゲイだったわけじゃない。普通に恋愛するのは女の人だった。それがどこかでひっかかってる。

ボクは雪夜さんが大好き。今までの恋愛はなんだったんだっていうくらいに雪夜さんが好きなんだ。でも、雪夜さんはどうなんだろう。

ボクがカイくんの友達だったから言えないんじゃないのかな。ボクに合わせてくれてるんじゃないのかな?

好きだって言ってくれて付き合うようになったけど、一緒に暮らし初めて、ボクの事が嫌いになってきたとか、気持ちが覚めてきたんじゃないかとか、ただの家族、弟になっちゃったんじゃないかとか。

雪夜さんに愛されている自信が持てない。

雪夜さんは優しいから、ボクを拒めないんじゃないかとさえ思ってしまって、最近のボクは雪夜さんに素直になる事が出来ずにいた。

「カイくんは響夜さんと喧嘩とかしないの?」

今日は仕事が休みでカイくんの家に遊びに来てた。雪夜さんは仕事だし、一緒にいても何だか寂しい気持ちになる事があって、それが嫌だったから家にはいたくなくて…。

「何?ユウ突然だね。喧嘩なんてしょっちゅうするよ。響夜ってあんなでしょ。脱ぎ散らかして片付けないし、掃除もしないからつい怒っちゃうんだよ。で、海人はうるさいって喧嘩になる。」

「そうなんだ。でも喧嘩するほど仲がいいって言うし、思った事を言えるから喧嘩できるんだよね。それに喧嘩しても元に戻れるから喧嘩できるんだよ。」

「そうかもしれない。ボクは響夜に合わせたりしてないなあ。自然体でいられると思う。喧嘩しても響夜と別れるなんて思わないもんね。」

「あーあ。結局お惚気じゃん。いいねカイくんとこは…。」

「カイくんとこはってユウは雪夜さんと上手く行ってないの?」

「ん?ボクと雪夜さんは喧嘩なんてしないよ。喧嘩にならない。ボクが1人で怒って拗ねてるだけ。雪夜さんはボクの事をまだ子供扱いなんだ。弟ぐらいにしか思わなくなってるのかもしれないな。」

「でも一緒に暮らしてるんでしょ。」

「一緒に暮らしてるだけだよ。ボクは家の事を何もしないもん。させてもらえない。『ボクがするからユウは休んでて』って全部雪夜さんがやっちゃう。まあボクがしたところで、雪夜さん以上に出来る事ないもん。何でも雪夜さんは上手にしちゃうから。」

「そうなんだ。『ボクもしたいから教えて』って言えば?」

「言ったよ、とっくに。そしたら『ユウはいてくれるだけでいいんだ。ユウのためにするのが楽しいんだから』って…。」

「ユウ。聞いてたらそれ惚気にしか聞こえないよ。」

「ボクはしてもらいたいんじゃないんだ。ボクも雪夜さんの役に立ちたい。同等の立場でいたいんだよ。」

「同等の立場か。それはボクもわかるな。夜はちゃんと仲良くしてるの?」

「SEXしてるかって事?どれ位が普通なのかはわからないけど、全くしてないわけじゃないよ。でも雪夜さんは病院で夜も泊りこみの事が多いから。」

「そうなんだ。ユウは欲求不満なの?」

「身体がって事?」

「うん。」

「どうだろう。雪夜さんの方が欲求不満なんじゃないかな。雪夜さんはボクを満足させようとしてくれるけど、ボクが雪夜さんを満足させようとしたら、ユウはそんな事しなくていいんだって。気持ち良くなってくれたらそれでボクはいいんだって。ボクが疲れてるなって思う時は最後までしない時もあるもん。ボクはそんな時でも繋がりたいのに…。」

「そう言えばいいじゃない。」

「言えてたら、ここでカイくんに愚痴ったりしてないよ。嫌われたくないんだ。だから言えない。もしかして、一緒に住み出してボクにあきれてるのかな。何も出来ないし、甘えてばっかりだから。」

「そんな事はないと思うよ。雪夜さんて優しそうだけど、受け入れない人間に対しては冷たいと思うもん。ユウは雪夜さんにとって特別だと思うよ。」

「カイくんは優しいね。何でも出来るし。雪夜さんもカイくんみたいな人がいいんじゃないかな。」

「ユウッ!!そんな事言うならボクは怒るよ。雪夜さんが今付き合ってるのはユウでしょ。ユウにはユウにしかない魅力がある。人を癒すことなんてボクには出来ないもの。ユウとボクを比べるのが間違ってる。ユウはユウでしょう。」

「うん…。でも自信ないよ。」

話してたらガチャって玄関の開く音がして響夜さんが帰って来た。



「おっ。ユウ来てたのか?」

「響夜さんお久し振り。元気そうだね。」


カイくんと響夜さんは何も言わなくてもわかるみたいで、カイくんは響夜さんのジャケットを預かるとクローゼットにしまい、コーヒーをたてる。

「部屋着、寝室に出してあるからね。」

「ああ。ありがとな。着替えてくる。」

響夜さんが着替えて出てくる頃にはちゃんとコーヒーが出来ていて、この2人はこの2人で上手く波長を合わせながら生活してて、それが無理してじゃなく自然なんだなって羨ましく思う。

雪夜さんとボクにはないものだから…。

響夜さんとカイくんはいろいろと苦しい事を乗り越えて結ばれた2人だから、普通の恋人同士よりも絆が強く深いのかもしれない。

雪夜さんとボクの絆はどうなんだろう。

「カイくん、ボク帰るね。」

「もう帰るの?もっとゆっくりして行けば?雪夜さんは病院でしょ。」

「ユウ、オレの事なら気にしなくていいんだぞ。海人と出掛けてもいいぞ。」

「ううん。2人の邪魔したくないし、本屋に行きたいと思って。」

「そっか。じゃ、又いつでも遊びに来てよ。そうだ、今度雪夜さんも一緒に4人でご飯食べようよ。」

「おお、それいいな。」

「そうだね。雪夜さんにも言っておくよ。じゃ、またね。」

響夜さんとカイくんのマンションを後にして、行く当てもなく歩く。本屋に行くと言ったけどどうしても行かないと行けないわけじゃないから、ダラダラと歩いていた。

ボクはどうしたいんだろう。何を雪夜さんに求めているんだろう。

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読んで頂きましてありがとうございます。あれ?と思われた方もいらっしゃるかと思いますが『キミ思』はちょっと冬休みにさせて頂きます。休載とか凍結ではございません。その間、短編をUPさせていただこうかと思いまして、リクエストのあった『雪夜とユウ編』を3話の予定でUPします。よろしくお願いします☆

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~ Comment ~

いやん♪ 

カイくんのイラストUPされてると思ったら、お話もなんて♪
雪夜さんの役に立ちたくて悩むユウくん。。天使すぎ。

杉野兄弟のイラストも楽しみにしてる☆

Re: いやん♪ 

うみ様こんばんは☆

海人のイラスト見ていただけましたか。ヾ( 〃ω〃)ッ キャーーーッ♪

他の絵師さんにもうしわけないくらい自己満です。こんなのUPするなよーと言われないかと思いつつ、あちらの絵師さんたちに触発されて、書きたくて今はまってます。ただし、画力がないのでまるっきりオリジナルではありませんので…。絵がその時でコロコロかわる(爆)

ちょっと『キミ思』は構想練り直しというほどではないのですが、ちゃんと筋道をつけておきたいので冬休みです。その間は短編を書こうと思っていて、今日からは雪夜とユウです。

杉野兄弟のイラスト…。しばらくお待ち下さい(笑)

うみ様コメありがとうございました☆

きゃんきゃん((o( ≧◇≦)o)) 

Rinさまのイラストかわいい~
この前もありましたよね~

小説もイラストも書けるなんで素晴らしいですよね~

今日アメトーク見てて、しょこたんがイラストを上手に描くのを見ました。
志緒さんからつべ紹介されて、この前しょこたんが絵に色を付けるのみたばっかりでした。

絵が上手な人って羨ましい~

カイくんのいたすとだからカイくんのSSだと思ったら、ユウくんのSSなんですね。

相変わらずですね。
そこを意地らしいと思われるユウくんですもんね。

コメはしてなくても、毎日読んでます~

イラストも楽しみにしています。
私は響夜希望です~(我儘でゴメン

Re: きゃんきゃん((o( ≧◇≦)o)) 

蝶丸様こんばんは☆

いつもありがとうございます。本当に嬉しくて感謝いっぱいなんですよキラリo(`・ω´・+o) ぅぃ

海人のイラストなのにユウってのがいいでしょ。何となく海人を書いていて、海人は幸せだけど雪夜とユウの事は軽くしか書いてなかったし、続きを読んで見たいと仰ってくださった方がいらしたので書く事にしました。でもやっぱりS.Sなんですけど(笑)

私のイラストは全くのオリジナルじゃないので絵が書けるとは言えないんです。だから恥ずかしいのですが、あちら様の絵師様達の影響を受けて書きたくなっちゃったんです。

いつかは『キミ空』メンバーみんな書きたいと思ってたので少しずつ書いていければとは思っていますが、みなさん杉野3兄弟が見たいと言われる(爆)
ハードル高くね?と思ってます。期待しすぎないで下さい。私は美術もろくに学んでない素人ですので…。

蝶丸様は響夜がお好きなのですか?

杉野3兄弟はまとめて書くつもりです。だって3枚も書くの大変なんだもん。
お正月特別でUP出来たらとは思ってますが、みんな見てくれるのかなあ…。

蝶丸様コメありがとうございました☆

NoTitle 

はい、響夜好きっす。

Re: NoTitle 

蝶丸様もう笑ってしまいました。

あれコメ数が5?増えてる、いつの間に…と思ってみたらこれやもん(〃^∇^)o彡☆あははははっ

わかりました。蝶丸様は響夜が好きっとφ(・ω・ )かきかき

そのうちに頑張って書いてみますが、期待はしないで下さい。理想を高く持たないでねえ~~~(笑)

蝶丸様、1人部屋で笑ってる不気味さって怖いよ(爆)
質問のお返事ご丁寧にありがとでした☆
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