貴方の腕の中で

貴方の腕の中で29

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朝起きると、泣き腫らした目、頭はガンガンで完全に風邪をひいていた。

熱は微熱で収まっていたし、この頃体調を崩して職場には迷惑を掛けてばかりだったので、薬を飲んで出勤する。

食欲はなく、無理やり栄養ドリンクで薬を流し込む。

本来なら、こんな体調で仕事をするのは利用者様にも悪いのだけれど、家で一人でいるとどんどん落ち込んで這い上がれなくなるので悪いと思いつつ出勤する。

いつもより一本はやい電車に乗ったのに満員で、こんな日に限って痴漢に会ってしまう。

いつもより体調が思わしくないせいか、うまくあしらう事も出来ず、気持ち悪さばかりが増してきて吐き気をもよおす。

「おっさん、何してんだよっ!!」

何も出来ず青い顔で崩れそうなボクを痴漢から引き離してくれた人がいた。

「・・・。別にオレは何もしてねぇよっ・・・。」男は開いたドアから逃げるように出て行った。

「あ・・・りがと・・・ございます。」

顔を上げる事も出来ず、とにかくお礼を言う。


「蓮。オレだよ。ひどい顔色だよ。降りて公園で少し休もう。」

「篠ちゃん先輩・・・。」

篠ちゃん先輩はボクの職場の先輩で、お互い男の人しか愛せない数少ない友ダチだった。

篠ちゃん先輩にはちゃんと『のんちゃん』て言う彼がいて(とてもふあふあで可愛い子なんだ)いつも見ているだけでいいと言うボクのことを心配してくれているのだった。

「蓮どうした?この前までは好きな人とうまくいったって幸せそうだったのに。昨日ちゃんと寝てないんじゃないのか?おまけに熱あるんじゃねーの?。風邪か?」


自販機で買ってきてくれたココアを差し出しながら篠ちゃん先輩が言う。

差し出されたココアを飲むと、ホッと落ち着く。まるで篠ちゃん先輩のようだなんて思って優しい気分になる。

「ん。熱はたいした事ないんだけど。気持ちが落ち込んでるみたい。でも、これ以上仕事で迷惑掛けたくないし、今日はフリーだから何とかやれると思う。だからお願い、みんなには言わないで・・・。」

「うーん。ほんとなら帰れっていうんだけど、今の蓮一人にしてると危なげだから仕事はオレがフォローしてやるよ。」

「ありがと。篠ちゃん先輩。」

「蓮は一人で考えすぎるからな。元気になったらオレに相談しなさい。先輩が蓮をいい方向に導いてしんぜよう。」

「あはは。篠ちゃん先輩ありがと。」

篠ちゃん先輩はクシャクシャと頭をなでると足元がぐらついたボクを支えて歩いてくれた。

ボクを元気づけるように面白い話をしてくれて、ボクはやっと笑うことが出来、篠ちゃん先輩に感謝していた。


その姿を向かいから友哉サンに見られていた事なんてボクは気づきもしていなかった。







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