キミが思い出になる前に

キミが思い出になる前に64

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母さん達は仕事に出掛けて、家にはハノイとボクだけ残った。

ボクは朝の片付けをして、洗濯をする。ゲストルームのシーツとか、フィオナとハノイの着たパジャマとか…。

でもビックリしたな。

こっちって洗濯機がキッチンにあるんだもん。水周りの物だから?

そう思いながらキッチンにある洗濯機で洗濯物をまわす。

ハノイと言えば、ボクの持ってきた本の中からイラスト集を選んで見ていた。

日本語は話せるけど、字は簡単なものしか読めないんだって言ってた。漢字がわからないって。よく日本人はあんなにある漢字を覚えられるもんだって言ってたけど、ボクにしてみれば英単語を覚えるのも大変だって思う。

その時、ボクの携帯がメールの着信を告げた。

琢磨からのメール。

『Xmasのメール届いた。もう友達も出来たのか?カズサ頑張ってるんだな。オレ達はカズサがいなくてやっぱ寂しいわ。でも冬休みにそっち行くからヨロシクな。」

同時に敦也からも届く。

『Xmasのメールサンキュ。カズサが楽しそうで安心した。カズママも元気そうでよかった。オレ達はあんまり変わらないな。カズサがいないのが寂しいと思うよ。後藤はバスケ頑張ってるよ。この間は試合に出て頑張ってた。その時の写メ送る。冬休みに後藤と遊びに行くから。カズママにヨロシク。』

ほんとに2人とも遊びに来てくれるんだ。

添えつけの画像を開くと、琢磨がゴールしてガッツポーズを取ってる写真とか、ボールをキャッチした時の写真とか添えつけられていた。

でもボクは琢磨じゃなくて、その奥に小さく写ってる良太にすぐに目がいってしまった。

良太だ…。

小さくしか写ってないし、少しぼやけてるけど良太だってすぐにわかった。

その写真を見ただけで胸がトクンってなる。

でもそのトクンってした胸は次にきゅって痛くなるんだ。

「カズサ?どうしたの。携帯握りしめて。」

「あ、ううん。何でもない。ハノイ何か飲む?」

「あったかい物がいいな。カフェオレ入れてあげるよ。カズサは片付けをしてくれたんだから、今度はボクがねっ。」

「ありがとう。」

ハノイがキッチンでカフェオレを入れてくれる間、ボクはそっと携帯の写メを見る。

2人が良太の事に触れなかったのはボクの事を思ってなんだろうな。でも敦也、写メに良太が写ってるよ…。

そっと液晶の良太に触れる。

もう温もりを感じる事が出来なくて切なくて。

こっちに着た時に諦めたはずなのに、ボクの心はなかなかそれを受け入れてくれないんだ。

「それ?誰の写メ?」

カフェオレを持ったハノイがボクの携帯を覗き込んでいた。

「え?あ、琢磨だよ。バスケの試合の時の写メを敦也が送ってくれたんだ。」

「へぇ。これが琢磨なんだ。カッコイイね。」

「うん。琢磨はカッコイイよ。敦也もカッコイイけど、琢磨の方が男っぽいかな。敦也はどっちかって言うと綺麗カッコイイみたいな感じ。」

「ふぅ~~~ん。敦也の写真はないの?」

「あるよ。修学旅行の時に撮ったから。見たいの?」

「今じゃ無くていい。それよりカズサ今日はどうする?どこか行きたい所とかある?」

「んーーーー。今日はゆっくりしたい。何だか疲れてるみたいでだるいんだ。」

「そうだよね。こっち来たばっかりだし、昨日はハロッズにいったり、Xmasの用意したりで忙しかったもんね。」

「ハノイは用事はないの?」

「うーーーん。別にないかな。カズサといたいし。」

そんな会話のやり取りをしていると、ハノイの携帯が着信を告げてハノイは英語で会話し始める。どうも友達みたいだ。

「I understood it. There is no help for it. I wait a minute.(わかったよ。仕方ないな。ちょっと待ってて。)」

電話を切ったハノイが申し訳なさそうにボクを見る。

「カズサごめん。ぼく出掛けなくちゃいけなくなっちゃった。」

「いいよ。ボクは家にいるから大丈夫。」

「カズサ1人にするの心配なんだけど…。家から出ちゃダメだよ。何かあったらすぐにボクに連絡して。」

「ハノイは心配症だな。家から出ないから大丈夫だって。子供じゃないし。早く行かないと待ってるんじゃないの?」

「うん。じゃ、ボクが出て行ったら、ちゃんと鍵をかけて誰が来てもドア開けちゃダメだよ。」

「母さんかお兄ちゃんみたいだね。うん。わかった。ハノイの言う通りにするから。早く行ってあげて。」

「じゃ、ほんとに気をつけてね。あとプレゼントはそのまま預かっててくれる?」

「いいよ。じゃね。ハノイも気を付けて。」

バタバタとハノイが出て行って部屋に静寂が戻る。

こっちに来てから、ハノイがずっといてくれて楽しかったんだけど、やっぱり数日しか一緒にいない事もあって、疲れる事も確かで…。昔の自分からすれば、すぐに仲良くなるなんてスゴイ事だけど、1人になってホッとする自分もいる。ハノイには悪いけど…。

今日はゆっくり大好きな本でも見ながら過ごそうと思う。

自分の部屋ももう少し片付けたいし。

テーブルにはカフェオレが2つ。とりあえずそのうちの1杯を飲んで、もう一つを温めなおして自分の部屋に持っていって本を読みながら飲む事にした。

「あ、琢磨と敦也にメールしとかないと。今は夜だから大丈夫だよね。」

琢磨と敦也にこっちはすごく寒い事や、Xmasはお店がみんな閉まっちゃう事や、昨日の料理について書く。それといつこっちに来るのか。

母さんには琢磨と敦也が冬休みに遊びに来る事は言ってあるけど、いつ来るかはわからなかったから。母さんも琢磨と敦也が来る事をすごく楽しみにしてるんだ。

「はい、送信。」

でも2人がこっちにきてもボクは案内出来るところがない事に気がついた。

「ハロッズもハノイがいたから行けたんだし、今度ハノイに近所を案内してもらおう。」

その日はゆっくりと1人を満喫する。

場所は違っても一人で過ごす時間は好きだから退屈する事なんてない。

ただ時折、何だか大きな穴がぽっかりと空いてる気がするのを感じて知らないフリをした。

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~ Comment ~

恋しいね 

Rin様

良太が写りこんでいましたね。
離れていたって、いつも心の中に居る。
いつの間にか探しちゃってる自分が居たりして。
見つけた瞬間、ドキってなって顔伏せたりして。
上総、カワイイんんだろうな~。
今は、切ない思いしてるけど。。。


20代の頃、カナダ人とお付き合いしていたのですが、その彼も日本語話せるけど書けない読めない方でした。
ひらがな、カタカナ、漢字、難しいみたいですね。

Re: 恋しいね 

Cally様こんばんは☆

どうしてでしょうね。好きな人ってたとえ小さくても、遠くてもすぐに見つけてしまいますよね。それだけ好きっていう事。

カズサは見つけて嬉しいのと切ないのと悲しいのと…。での感情が一番だったのでしょう…。携帯を抱きしめたカズサがそれを物語っています。
顔を赤らめて俯いて、そして泣きそうな顔をしてるんだろうな。

外国の方ってそうみたいですね。話せるけど読めない、書けない。歌う人でも楽譜は読めないとかいはりますけど、そんな感じでしょうか?全然違う?(笑)

Cally様はカナダの方とお付き合いされてたのですか?すごいですね。私は日本人以外ありません((´∀`*))ヶラヶラ

Cally様コメありがとうございました☆

やっと来ました 

まだ、ココですが…
敦也はワザと良太の小さく写ってる写メを、送ったのではないの⁈
なんとなく、そんな風に思えたんやけど

続き読みます

Re: やっと来ました 

優さまこんばんは☆

いらっしゃいませ。

いいんですよ。いつでも…。来てくださるだけで嬉しいのです。

写メの事やっぱりそう思う?ムフフ…。

優様コメありがとうございました☆
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