キミが思い出になる前に

キミが思い出になる前に72

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家に帰って来てからも敦也の顔色はすぐれず、本当にしんどそうだった。

寒かったから風邪を引いたのかもしれない。

足元のおぼつかない敦也を琢磨がベッドに横にすると、敦也はそのまま眠ってしまった。

敦也の眠りを妨げないように琢磨とボクはリビングに降りた。

リビングではハノイが心配そうに2階を見上げてて、降りてきたボク達に敦也はどうなのか聞いて来る。

ハノイもすごく心配してるみたいだった。

ベッドに横にしたらすぐに眠ってしまったと言うと少し安心したようだけど、敦也の傍に付いてたいと言い出した。

「ハノイ、心配なのはわかるけど、一人の方がゆっくり眠れると思うよ。」

「でも傍に誰もいなかったら目が覚めた時に寂しいだろう。心細いかもしれないじゃないか。」

「そうかもしれないけど。今は1人にしてあげたほうが…。」

「いやハノイ、敦也の事頼んでもいいか?敦也の目が覚めたら教えてくれ。」

「ちょっと琢磨。」

「いいんだ。ハノイ頼んだ。」

「タクマわかったよ。アツヤが起きたら知らせるよ。」

ハノイは2階の敦也の寝ている部屋へと入って行った。

「琢磨いいの?ハノイがいたら敦也怒るかもしれないよ。敦也ってプライドが高いから琢磨ならまだしも、会って間もないハノイに寝顔見られるの嫌なんじゃないかな?」

「いや。ハノイだからいいんだ。オレが傍にいたんじゃアイツ我慢しちまうから、余計に辛いだろ。」

「え?」

「カズサはあいつの気持ち知ってるんだろ。」

「ちょ…っ?え?」

「オレ気が付いてたんだ。」

「ちょっと待って。どういう事?敦也の気持ちに気が付いてた?」

「オレと敦也ってさ、初めて会った時にお互いに気にくわなくて、嫌いだったんだよな。あ、初めて会ったのは中学3年でクラスが同じになってからなんだけどな。」

「そうだったんだ。」

「まあツルんでる友達も違ったし、オレは体育会系だけど、アイツは理系だったのもあったんだよな。お互いに気になりながらも目が合えば火花を散らしてた。」

「今の2人からは想像出来ないね。」

「まあな。ある日学校の帰り道でとなりの高校の奴らにオレの友達が金をたかられてて、オレが止めに入って喧嘩になったんだ。騒ぎが大きくなって警察まで出てきて、金をたかって喧嘩した高校生はお咎めなしで、オレと友達だけが連れて行かれそうになったんだ。

その高校生は地元の権力者の息子で、いろんなところでそんな事を繰り返してた。でもオレがそれを言ったって大人達は聞いてもくれなかった。

オレの友達とオレはそいつの家に行って土下座して謝罪したんだ。そうしないと親にさせるって言われたからな。そんな事、親にさせられないだろ。」

「ひどい。そんなの許される事じゃないじゃないか。どうして誰も何も言わないの?」

「言っても信じてもらえない。証拠もなかったしな。誰も金をたかってるところを見たわけじゃない。喧嘩をふっかけたのはオレだしな。でも中学生と高校生じゃ、体格の差がありすぎてオレはボロボロになっちまった。。そいつに一発もくらわせられなかったんだ。」

「琢磨…。」

「次の日学校に行ったら、即呼び出しで、事情を説明したけどうやむやにされて、1週間の自宅謹慎になった。」

「そんな。琢磨は悪い事してないのに。」

「そんなもんだって思ってたから怒る事も出来なかったよ。お袋が呼び出されて何回も校長に頭下げてたのが辛かった。荷物を取りに教室に戻ったら、みんなシーンとしてさ、オレを避けるようにしてて。そん頃さ、オレ高校に行くのもやめようかなーって思ってたから、その日から学校に行くのをやめたんだ。謹慎がとけてもしばらくフラフラしてたな。」

「琢磨がそんな事を思ってたなんて信じられないな。」

「その時のオレは興味のあるもんもなかったし、ただだらだらと生きてたと思う。そしたらある日、敦也が怒りながらオレの家に来て『お前は友達を守っただけなのに、悪者にされていて平気なのかっ!!すぐに諦めるのかっ!!」って殴ってきやがったんだ。

あの時はマジでビビッた。知ってっか?敦也って空手やってたんだぜ。拳が重てーのなんのって。でもな、文句言おうとしたら敦也、泣いてたんだよ。『なんで怒らないんだ。なんでわかってもらうまで話さないんだ。そんなのお前じゃないだろ』って。」

「敦也は琢磨が悪者になった事が許せなかったんだね。」

「『お前はバカだっ』って泣きやまないからオレ困っちゃってさ。気が付いたら『ごめん。悪かったよ。今からでも証拠探しして濡れ衣を晴らす』って言ってた。そしたら敦也泣きやんでニカッて笑って『証拠ならもう集めた。証人も立てれるようにお願いしてある。』だってよ。あいつらしいと思わねー?ちゃんと勝てる準備してくれてたんだ。オレがフラフラしてる間に。友達に聞いたら、『琢磨が何もなくて喧嘩吹っかけるような事はしないっ。何かあったんだ。』って証拠集めしてたらしい。」

「ほんとに敦也らしいね。」

「おかげで誤解もとけて、その息子の悪事がボロボロ出てきて、そいつは引越してった。それから敦也とつるむようになったんだ。アイツはオレの事をよくわかってくれたし、オレもアイツの事がわかった。そうやって何年もずっと一緒にいたんだ。」

「琢磨…。」

「アイツがオレの事を見る目が違うなって感じたのはいつだったかな。いつもはすましてクールぶってるのに部活を見に来てて、ふとアイツと視線が合った時にアイツ顔を真っ赤にして、走ってどこかに行っちゃったんだ。その時は?だったんだけど、それからなんとなく敦也の視線を感じる事に気が付いて。でもな、オレ敦也の事は好きなんだけど、それは友達として好きなんだ。それ以上にはなれない。敦也もオレに気持ちを言おうとしないから、敦也も友達のままでいることを望んでるんだと思った。」

「2人とも辛かったんだ…。」

「玲奈との事も一番最初に敦也に言った。すごく酷い事をしてるって思ったけど、オレは敦也に嘘は付きたくないし、隠し事もしたくない。友達なら一番に報告するだろ。敦也はオレの一番の友達だから言ったんだ。これから先も変わる事はないと思ってる。オレはアイツの気持ちに気が付いてないふりをする事でアイツとの均衡を保ってるのかもしれないな。

今は辛くても敦也はすごく言い奴だから、きっと次に大事にしてくれる奴に巡り会うはずだ。オレって酷いのかな?」

「どうなんだろう。ボクにはわからないよ。でも敦也は琢磨は気持ちに気が付いてないって思ってる。自分の気持ちは絶対に言わない。琢磨の一番の友達でいることに決めたんだって言ってたから、今の琢磨のままの方がいいのかな?」

「敦也は本当にいい奴なんだ。ヨボヨボの爺さんになってもアイツとは付き合って行きたいと思ってるんだ。だから、オレは敦也の気持ちは知らない事に決めた。でもさ、ほんとは誰にもこれを言えなくてしんどかった。カズサに聞いてもらえて少し楽になった。カズサを巻き込んでごめんな。」

「そんな。ボクはいつも2人に助けてもらうばかりで何も返せてないんだから、聞くくらいの事ならなんでも聞くよ。2人が言えずに1人で秘めてる事をボクに吐き出す事で少しでも楽になれるならいつでも言ってよ。ボクは役に立てて嬉しいから。」

「ありがとう。カズサ。きっと敦也も同じ気持ちだと思う。カズサなら敦也の気持ちわかってやれると思うから、聞いてやってくれな。アイツ1人で抱え込むからさ。」

「うん。わかってる。琢磨もだよ。ボクでも役に立てるかもしれないから、遠慮しないで言ってね。」

「ああ。頼む。」

「2階は静かだね。まだ敦也は寝てるのかな?琢磨コーヒーでも飲む?」

「そうだな。ちょっと苦めのコーヒー入れてくれるか?」

「わかった。」

敦也は琢磨が好きなのに、一番の友達でいるために言わない事を決めた。

琢磨は敦也の気持ちに気が付いてるのに、一番の友達でいるために気が付かない事に決めた。

琢磨の敦也に対する『好き』と、敦也の琢磨に対する『好き』は違う。

良太がボクに対する『好き』と、ボクが良太に対する『好き』も違う。

ただでさえ、好きな人と好きな人が結ばれる事は難しい事なのに、男同士と言うだけでそれはもっともっと難しくなる。

『好き』な気持ちは普通の人と同じなのに。同性というだけで諦めなくちゃいけない。

今、敦也は眠りの中で幸せな夢を見ているだろうか。せめて夢の中だけでも幸せでいて欲しいと思った。

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読んで下さいましてありがとうございます。更新するのが延びまして申し訳ないです。おまけにリコメも遅れております。お返事もう少しお待ち下さいませ(;ω;*)ゴ・ゴメンナサイ

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