「キミと空とネコと」
やさしいkissをして

やさしいKissをして85

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お風呂から上がると気持ちの良いバスローブに袖を通す。

久し振りにちゃんとお風呂で温まった感じがする。

家でもちゃんと浸かってたけど、人の温もりがあって一人でいるのと違うからかな。

お風呂から上がると温かい食べ物の匂いが漂ってきてカイトさんの所へ行くと、テーブルにはリゾットやフルーツが並べられていた。

「ほんとは今の凪くんには雪夜さんの卵粥を食べさせてあげたいんだけど、人目につくのはダメなんだよね。だからルームサービスにしたんだ。凪くんあまり食べてないんじゃない?少しは食べないと力が出ないよ。」

「カイトさん…。」

カイトさんはオレがどうして食欲をなくしているのか、さっきの事も理由を聞きたいだろうに、ボクの身体の心配をしてくれている。

「あ?雪夜さんて覚えてる?ユウの恋人。あ、ユウがわからないか。ユウはボクの大事な友達で…。」

「雪夜さんもユウさんもわかります。雪夜さんは聖夜さんの弟で、響夜さんのお兄さん。ユウさんは聖夜さんやアキさんの香りを作っている人ですよね。もしかして今のお風呂の香りは…。」

「うん。ユウがボクに作ってくれた香りなんだ。」

「いい香りでした。優しさに包まれてるみたいで安心しました。」

「さあ早く座って食べて。無理しなくてもいいから一口でも二口でも食べてごらん。少し元気が出るから。」

「はい。」

オレはカイトさんの横に座り湯気を立てているリゾットを一口口に含む。

あったかい。

知らず知らずに涙がこぼれる。

「一人でみんなを守ってたの?こんなになるまで自分を追い込んで。凪くんはバカだな。でも優しい…。」

頭を撫でられて涙が止まらない。

もう涙なんて出ないかと思ってた。

「オレは優しくなんかないです。自分のせいで周りの人が傷つけられるのを見ていたくなかっただけ。だからみんなから逃げた。」

「違うよ。凪くんは優しいからみんなを巻き込みたくなかった。守ろうとしたんでしょ。頑張ったね。」

涙を流しながらリゾットを口に運んだ。

味はわからなかったけど、すごく温かかった。

「今日はここで寝たらいいよ。といっても一つしかベッドないからボクと一緒だけど、キングサイズだから落ちることはないと思うよ。」

「オレはソファーでいいです。カイトさんがベッドで寝てください。」

「ダーメ。そんな寒そうにしてる凪くんを一人でなんか寝かせられない。怖い夢を見た時に傍に人の温もりがあれば安心するでしょ。だから今日は一緒に寝よう。凪くん、こんな時は遠慮しないで甘えたらいいんだよ。キミはまだボクからしたら子供だから。」

どう見てもオレより年上に見えないカイトさんにそう言われると不思議な気がするけど、確かにオレを包み込んでくれるような温かさがあった。

そんな時に携帯の着信音がなってビクリとする。

オレにとって携帯の着信=下條になってしまってるから身体がどうしても反応してしまう。

「ごめん。ボクのだ。」

携帯を取って相手を確認してからカイトさんは電話に出た。

「ん。今はホテルにいるよ。そういつもの部屋。ダメ。今日は来ないで。やっと凪くんが落ち着いてきたところなんだ。だから響夜が来るとすぐに怒鳴り込んで行こうとするじゃないか。それじゃ解決しないの。わかった?響夜は聖夜さんとアキに凪くんは大丈夫だって伝えて。聖夜さんのところの電話は盗聴されてるかもしれないなあ。パソコンのメールなら大丈夫かな。響夜も、他のみんなもむやみに動かないでいつもと同じように過ごすように言ってね。うん。愛してる響夜。じゃね。おやすみ。」

「響夜さんですか?オレ邪魔してるんじゃ…。」

「そんな事ないよ。響夜って頭に血が上るタイプだから釘さしとかないといけないんだ。困っちゃうよね。」

「でも響夜さんもカイトさんもお互いの事がよくわかってるんですね。羨ましいくらいです。」

カイトの薬指に光る指輪を見ながらそんな事を言っていた。

「凪くんにだってそんな人がいるんでしょ。達樹くんだっけ?凪くんは達樹くんを守ろうと必死になってる。」

「達樹は出版社に内定をもらってるんです。やりたかった仕事に就職できて…。すごく頑張ってたんです。でも…。オレといるとダメになっちゃうから…。」

カイトさんは項垂れるオレの頭を優しく抱きしめてくれた。

「今日はもう何も考えないで。ボクも携帯の電源は落とすからこのまま寝よう。今日はボクもいるからぐっすり眠れるよ。」

初めて二人でいるのに全然そんな風に思えないのは何故なんだろう。同じ痛みを知ってるみたいな感じ。

カイトさんはオレの辛い気持ちがわかるのかな。

カイトさんも辛い思いを超えてきたのかな?

カイトさんが寝間着を貸してくれる。

バスローブは足元がスースーして心許なくてもじもじしてたら寝間着を出してくれた。

「ボクもバスローブが苦手なんだ。だからホテルに泊まる時は寝間着を持ってくるんだ。予備を持って来てて良かった。」

「カイトさんはどうしてここに?」

「仕事の打合せと作品を仕上げてたんだ。」

「あ、カイトさんて書を書かれるんですよね。響夜さんのタイトルを書で書くときはカイトさんじゃなきゃダメなんだって聖夜さんから聞いた事があります。」

「うん。響夜の本のタイトルを書いたのがきっかけだったんだ。今ではありがたい事に他の依頼も増えてるんだ。」

「そうなんですか。」

「さあ、もう寝るよ。ライトは暗くしても大丈夫?」

「はい。明るいと余計に眠れませんから。」

カイトさんは部屋のライトを絞ってオレの横に来るとオレを抱きしめる。

ビクンと動くオレの背中を撫でて

「もう大丈夫。怖くなんかない。大丈夫。」

って優しい声で言ってくれる。

不思議な感覚にとらわれながらもオレは久し振りに深い眠りにつけたのだった。

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