「キミと空とネコと」
やさしいkissをして

やさしいKissをして86

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ぐっすりと眠れた次の日、目が覚めたのはすっかり太陽が昇って、大きな窓ガラスから暖かい木漏れ日が差していた。

こんなに眠れたのは久し振りすぎて、頭がぼーーーーっと起きるのを拒否していた。

静かな部屋。

ふと周りを見渡すと誰もいない。

ここってカイトさんの部屋だよな…。

もしかして昨日のはオレの勘違いで下條の部屋?

いや、下條の部屋には行かなかった。

そうだ!下條の部屋に行かなかったんだ。約束を破った。

電話にも出ず、オレは下條を無視した。

もしかしたらここにオレがいるのがバレてカイトさんに何かあったんじゃないかと背筋が凍るような寒気を覚える。

オレの携帯カイトさんどこにやったんだろう。

頭の中は下條への恐怖でガタガタと身体が震える。

どうしよう…。

みんなに何かあったのではないかと嫌な事ばかりが頭を掠めて立っていられなくなって座り込んだ。

「あれ、凪くん起きていたの?ごめん1人にして…。って凪くんどうしたの?すごく顔色が悪い。しんどい?熱はないみたいだけど…。どうしよう…。」

「あ、あ、あ…。」

カイトさんが帰って来てくれた事に安心して、話そうとするのだけど上手く言葉に出なくて涙がこぼれた。

「ごめん。大丈夫だから。ゆっくりでいいから。もしかして起きて一人だったから不安になった?」

コクンと首を縦に振るとカイトさんが抱きしめる。

「ほんとにごめん。起きて一人だったら不安になるのわかってたはずなのにな。ボクが悪い。凪くんごめんね。大丈夫だから。」

ポンポンと子供をあやすように背中を優しく叩かれてホッとする。

「でも大丈夫かな。みんな何もされてないかな。それがすごく心配です。」

「それなら大丈夫だよ。確認したから。黎くんは滝くんと一緒にいるし、雪夜とユウも自分達のマンションに一緒にいる。聖夜のところにはアキと達樹くんがいるよ。隆耶さんとこも変わりないよ。だから安心して。」

「良かった。ありがとうございます。」

「そんなの気にしなくていいよ。ボクと響夜の事は含まれていないみたいだね。響夜にも何も接触はないみたいだ。安心した?なら朝ごはんにしようね。たくさん眠れたみたいだから今度はたくさん食べないとね。」

カイトさんはオレのために朝食を買いに行ってくれてたらしい。良く眠っていたからまだ起きないだろうと思ったんだって…。

テーブルの上にはいろんな種類のハンバーガーやらベーグルやら、肉まんとか、おでん、おにぎり、たこ焼き、グラタンと溢れるほどに並んでいた。

「カイトさんいくらなんでも買いすぎでしょ。」

「だって何が食べたいかわからないし、あんまり重いものもいやかなーとか受け付けないかなーとかこれでも色々と考えたんだよ。」

「すいません。でもオレそんなに食べれないと思う。カイトさんこんなにたべれるんですか?」

「まさか。ボクはあんまり食べないよ。でも大丈夫。もうすぐ良く食べる人が来るから。」

その言葉に持っていたおにぎりを落としてしまう。

誰かがここに来る…。

「あ、ごめん。ボクってほんとに説明が下手で。怖がらなくていいから来るのは響夜だからね。響夜にも話して力になってもらおうと思って。ボク達二人よりいい考え出してくれると思う。作家だしね。」

響夜さんだと聞いて安心した。

響夜さんなら大丈夫。

それでももう食べ物は喉を通らなくてほとんど口にしないままの朝食を終えるころに響夜さんがやって来た。

「えーーっと凪くん?オレ杉野 響夜。覚えてるよな。何か大変な事になってるんだって?聖夜も巻き込まれてるって?相手は杉野を調べてないのか?後悔する事になるよきっと。だから凪くんは安心して。ところでこのたくさんの食べ物何?ねえカイトこれオレが食べちゃってもいい?すんごい腹減ってるんだよ。カイトが今日こないとダメだなんて言うからオレ不眠不休で仕事仕上げてきたんだぜ。だからいいよな。」

「はいはい。凪くんも食べれないし、ボクももうお腹いっぱいだから全部響夜のものだよ。良かったね。」

当の響夜さんはカイトさんの言葉が終わらないうちにすごい勢いでテーブルの物を片っ端から食べていった。

「ああ満腹で幸せ。カイトごめん。まだいいだろ。1時間寝かせて。」

「もうっ。」

言い終わる頃には響夜さんはソファーに横になって寝息を立てていた。

「響夜さんて何だかすごくバイタリティーのある人なんですね。」

「うん。もうポジティブすぎてビックリするくらいだよ。でもそんな響夜がいてくれるからボクはボクでいられる。ボクも今はこうしてられるけど、昔は心が壊れるくらいの事があったんだ。でも響夜が助けてくれた。凪くんにとっては達樹くんがそうなのかな?」

「わからないけど、響夜さんとカイトさんを見てたら、そうなりたいなって思います。」

「じゃ、一人でなんとかしようと思うのはやめなよね。きっと達樹くんは聞いたら怒ると思うよ。それに怒る気持ちより悲しい気持ちになると思う。守られたいんじゃなくて、きっと達樹くんも凪くんを守りたいと思うだろうからね。」

「…。」

「別に凪くんを責めてるんじゃない。周りの友達が傷ついたところを目の当たりにしたら、ボクだって凪くんと同じようにするかもしれない。そんな風に精神的に追い詰めていくやり方をする下條っていう奴が許せないんだ。」

「カイトさん…。」

「下條はまだここにいるのかな?」

「カイトさんオレの携帯は?」

「そうだね。すっかり忘れてた。ここにあるよ。」

電源を入れると下條からの着歴と留守番メッセージが入りきらないくらい入っていて背中を悪寒が走る。

「内容聞くの怖い…。」

「そうだね。凪くんは聞かない方がいい。ボクと響夜で確認するけどいいかな?」

「はい。」

「それにこのホテルからも早く出ないとね。凪くんも落ち着かないでしょう。」

「はい。普通の部屋に行きたいです。でもオレの部屋は監視されてるし、実家も知られてるので行くところはやっぱりホテルしか…。」

「ボクの家に来ればいいよ。ボク今は響夜と暮らしてるんだけど、仕事場としてマンション借りてるからそこなら大丈夫だと思うよ。知ってるのはほんの一部の人だけだし。そのためにもここから無事に出ないとね。」

「ありがとうございます。」

「はぁ~~~~あ。その事なんだけどさ、リネン交換の時って大きなカートでいろんな道具運んでくるだろ。そこに入ってリネン室まで行ってほかのクリーニングと一緒にクリーニング屋の車で出るってどうだ?まさかリネンの中に人がいるとは思わないだろうし、そんなところ探さないだろう?まあその下條とか言うやつがまだこのホテルにいるかもわからないし。」

あくびをしながら目を覚ました響夜さんから出たアイデアにカイトさんと顔を見合わせる。

「響夜すごいや。それいいアイデアだね。でもオーナーさんにお願いしなくちゃ。」

「そんなに簡単にお願いして聞いてもらえるんですか?オーナーさんが一介の客の声を聞いてくれますか?」

「ああ、安心しな。ここのオーナーは聖夜の友達だから融通が利くんだ。それに凪くんの話を聞いたら、下條みたいな客は入れたくないだろうしな。ホテルで何されているか室内はわからないからな。詳しい話を聞きたいけど、ここじゃ凪くんも不安だろうから早くここから出ようか。言われた通りに凪くんの服も買って来てるから。」

「え?いいですよ。この服で。」

「ダメだよ。着て来た服なんてどこで見られてるかわからないんだよ。違う服に着換えて。」

有無を言わさぬカイトさんの迫力に押し負けて響夜さんの買って来てくれた服に着換える。

自分なら買う事のないだろう明るい色のシャツにHIDR☠GENのセーターにジャケットとカーゴパンツ。

「すごい似合うよ凪くん。響夜はさすがだね。一度しか会った事ないのによく凪くんにぴったりなの揃えられるよね。」

「そうだろ。HIDR☠GENの前通った時に凪くんが浮かんだんだよ。サイズもばっちりみたいだし良かった。」

「ありがとうございます。お金…。」

「そんなのいらないって言っても気にするだろうからなあ。そうだ凪くんはネコ大丈夫?」

「え?ネコですか?大好きですけど?」

「そうか。やったな。海人。今度の旅行の時、武蔵を凪くんに見てもらおうぜ。」

「ほんとだ。それなら安心して旅行に行けるね。ユウもアキもダメだったから諦めてたもんね。」

「それだけでいいんですか?」

「それだけって…。凪くん武蔵はオレと海人にとって何よりも大切なネコなんだ。ちゃんと可愛がって世話してくれないといけないから結構重要な仕事なんだぞ。」

「す、すいません。わかりました。誠心誠意お世話します。」

「響夜、凪くんは素直なんだからからかっちゃダメだろ。凪くん武蔵はとてもいい子だから面倒をかける事はないと思うよ。猫見知りもしないしね。」

「そうですか。よかった。」

「さあ。じゃあオレはオーナーに話をするから凪くんは出る用意をして。海人もな。海人のマンションに行こう。クリーニング屋の前で待ち合わせな。凪くんもそこで荷物と一緒に降りればいい。それまでは静かにしておいてな。凪くん一人にしないから。オレがクリーニング屋の一人になりすますから安心しな。」

「はい。お任せします。」

その後は言われたようにリネン交換で部屋にカートが入って来た時にその中に潜り込む。響夜さんがいてくれたので安心して中で息をひそめてた。

車に詰め込まれそのままホテルの外に出る。

車の中だったけど、太陽の光が差してるのがわかってホッとした。

今下條がどうしてるのかは考えないようにする。

これからどうすればいいのか、これからは一人じゃなくてカイトさんも響夜さんもいる事が心強かった。

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