「キミと空とネコと」
やさしいkissをして

やさしいKissをして87

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クリーニング屋の駐車場で車から降りて外に出る。

ホテルとは少し離れてるのか知らない街だった。

でもそんなに長い間車に揺られてた感じもしないから、近くではあるんだろうけど…。

念のためにと、目深にニット帽をかぶりなおす。

いつ下條に見られているかわからないという不安は消えなかった。

今までも、まさかと思っていても見られていたから…。

探偵の知り合いがいて見張られていた事は二人に話した。

外を歩くのがすごく怖い…。

そんなオレの気持ちがわかったのか響夜さんが頭をポンポンと叩く。

「大丈夫だから。ここには海人が車で迎えにくるから。あ、だから大丈夫じゃないか。海人の運転だからなあ。」

「?」

「海人って運転あんまり上手くないんだよ。普段はオレが運転するからね。海人にハンドル握らせたくなくてさ。まあそれが悪いんだけど…。今回は仕方なく許したけど大丈夫かなあ。本人は運転したがるんだけどどうも心配でさ。」

響夜さんがすごくカイトさんを甘やかしてるのがわかって微笑ましく思う。

お互いに信頼して愛し合って、甘やかしあって理想のカップルだと思う。

「響夜さんはカイトさんの事を本当に愛してるんですね。」

「おう。当たり前だ。一生に一人の恋人だと思ってる。残りの人生は海人と一緒だ。絶対に離れないと決めたんだ。離れて苦しい思いをするよりも、一緒にいて苦しみを分かち合う方がいいと思わないか?」

「そうですね。愛してるなら苦しみは分かち合いたいですね。」

「だろ。だから凪くんも恋人に苦しみを分かち合ってもらわないとな。」

「あ…。」

響夜さんはオレが今、一人で苦しんでいる事を言ってるんだ。恋人なら一緒に分かち合う…。達樹もそうおもっているのだろうか…。

「あ、来た。凪くんもっとこっちに来て。危ないから。」

カイトさんの運転する車はオレ達よりずっと手前で止まった。

「あれ?こんなに離れてる。ボクはもっと近くにとめたつもりなんだけどなあ。」

「海人大丈夫だったか?事故しなかった?」

「ちょっと響夜失礼だな。ボクにだって運転くらい出来るよっ‼」

「そうだったな。すまん。でもマンションまではオレが運転するよ。海人は凪くんの横に座ってあげて。」

「そうだね。その方が凪くんも落ち着くよね。響夜が横にいたら不安になるよねえ。」

「え?オレは響夜さんでもカイトさんでもいいです。」

「凪くんはいい子だね。いいよボクと後ろに乗ろうね。」

響夜さんはカイトさんの言葉に苦笑しつつ運転席に座る。

オレはカイトさんに手を掴まれて後部座席に座った。

「じゃ響夜マンションまで安全運転でね。」

「はいはい。じゃ凪くん行くよ。」

そのまま快適に車は進む。

車の中ではカイトさんと響夜さんの漫才のような楽しい会話が続いて、オレは気分も明るくなった。

二人には気を遣わせてしまっているのだろうけど、久しぶりの会話が嬉しかった。

ほどなくマンションに到着し、地下の駐車場から部屋へはエレベーターで上がる。

セキュリティーのしっかりしたマンションで、オートロックは当たり前でそのエントランスで人物確認も出来て、もちろん部屋の前でもカメラが作動している。録画もされるのでいつ誰が来たかわかるんだってカイトさんは教えてくれた。

「ここならセキュリティーは安心だと思うよ。まあここが知られないうちにカタをつけるけどね。」

「そうだな。凪くんは悪いけどしばらくここから出ない方がいいな。大学は大丈夫か?」

「はい。ほとんどは単位は大丈夫です。代返屋に代返してもらってるし、レポートとかはちゃんと提出してますから。」

「凪くん代返屋使うの?」

「正直、好きじゃないんですけど、下條が絡みだしてから行けない事多くて頼むことにしました。単位落として留年するのだけは避けたいんで。親も心配するし。ほんとは休学も考えたんですけど。」

「下條なんかのために休学なんて…。早く片づけてちゃんと大学に行こうね凪くん。」

「はい。そうしたいです。」

「じゃ凪くん、下條の知ってる事、凪くんが下條にされた事全部オレ達に話してくれるかな?」

「はい。」

オレは響夜とカイトさんに下條との出会いから今まであった事を全部話した。



「下條って奴、本当に酷い奴だね。許せないよ。自分が悪いのに凪くんのせいみたいに言っちゃってさ。」

「でもその下條って奴は頭が切れるな。簡単に行かないかもしれない。慎重にすすめないと尻尾だけを切って逃げそうだ。」

「二重人格ってとこも怖いよね。精神的に追い詰められると何をするかわからなそうだもんね。」

「はい…。」

「でも凪くん安心して。ボク達がついてるから。携帯はボク達が預かっておくね。対応も任せて。」

「はい。お願いします。」

「さて、昼ご飯どうしようか?凪くんは昨日から殆ど何も食べてないよね。」

「あ…。はい…。」

食欲がわかないし、喉を通らないから食べてなくてお腹が空かない。

「ダメだよ。お腹が空いてなくても食べなくちゃ。そうだ。御粥なら食べれるよね。雪夜さんの卵粥作ろう。」

「雪夜さんの卵粥?」

「そうそう。杉野家では病人はみんな雪夜の卵粥を食べるんだ。すごく上手くて病気なんかすぐに治っちまうんだぜ。海人もユウもアキもみんな一度は食ってるな。」

「響夜でも作れるようになったんだよ。ボクに食べさせるのに頑張って覚えてくれたの。ボクが病気の時に雪夜さんの作ったもので治るのがいやみたいで、オレのでも治るって…。」

「海人、そんな事まで言わなくてもよろしい。」

「カイトさん響夜さんに愛されてますね。」

「そうなんだ。ボクもその分愛してるけどね。」

この二人って最強のカップルだ。照れもなく言い合ってるし…。オレがいなかったらキスとかしてるんだろうなって思ったら、目の前でしっかりキスしてた。

「もう響夜ってば。凪くんがビックリしてるでしょう。」

「いやあ。海人に愛してるなんて言われちゃうとさ。もう可愛くて無理。」

「はいはい。卵ないし、響夜買って来てくれる?響夜は何食べたい?」

「オムライス。」

「オムライス好きだね。じゃ卵繋がりでボク達はオムライスにしようか。メモにいるもの書くから買って来てね。」

カイトさんは冷蔵庫を見ながらメモして響夜に渡すと「行ってくる」とカイトさんにキスして響夜さんは出て行った。

響夜とカイトさんをみてると達樹に会いたくなる。

達樹は今何してるかな?

「凪くん達樹くんに会いたくなった?」

「会いたいです。でもオレから別れようって達樹を傷つけたから…。きっと会ってくれないと思う。」

「でもそれは達樹くんを守るための嘘でしょ。」

「そうだけど、すごく達樹を傷つける言葉を言ったから。」

「声聞きたくない?」

「聞きたいです。でも…。」

「じゃ話したら?今の会話、達樹くん聞いてたから。」

「え?」

カイトさんの携帯を手渡されておずおずと耳に当てる。

「もしもし凪?」

耳から聞こえたのは紛れもなく達樹の声で、オレは涙がポロポロ流れて止まらなくなった。

「達樹…。」

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