「キミと空とネコと」
やさしいkissをして

やさしいKissをして88

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懐かしい声が耳元でオレの名前を呼ぶ。

ずっと我慢してたけど、ずっとずっと聞きたかった声が傍で聞こえる。

声も出ず、代わりに涙が出て来る。

それは幾筋も頬を伝いポトポトとズボンを濡らした。

カイトさんが二人で話したいだろうと気をきかせ、オレにBOXティッシュを手渡すと部屋を出て行く。

ここにはオレと電話口の達樹だけ。

「凪?泣いてるのか?」

「ごめ…。達樹ごめん…。」

「謝らなくてもいい。」

「でもオレは達樹に酷い事を言った。達樹を言葉で傷つけた。」

「オレは傷ついてなんかないさ。あの言葉、オレに言った凪の方が傷ついた顔してたから、オレに向けた言葉じゃないって思ってた。凪、自分に向けて言ったんじゃないのか?」

「っ…。でも達樹に向けて言ったのは本当だから。」

「凪、お前は自分が一緒にいたらオレが家庭も子供も出来ないから身を引こうと思ったんだろ。そうしなければならない事態になって一人で考えて…。オレってそんなに頼りにならないか?オレの事は信用できない?」

「違うよ。達樹の事、頼りにならないとか、信用できないとかじゃないんだ。」

「でもカイトさんや響夜さんに頼ってるじゃないか。」

「これは偶然で…。カイトさん達に会わなかったら、もう二度と達樹とこんな風に話してる事はなかった。今頃きっとオレの精神は崩壊してたと思う。」

「そんな事態になってるなら尚更、オレを頼って欲しかった。何だかオレは悔しいよ。」

「ごめん。達樹の命にも関わると思ったら言えなかった。オレは達樹を守りたかった。達樹だけじゃないオレの周りにいる人みんなを守りたかったんだ。」

滝のように流れる涙で前が見えなくなった。

達樹がすごく悔しそうにしてるから、又傷つけてしまったのだと悲しくなる。

「ごめん達樹。オレは達樹を悲しませる事しか出来ないのかな。」

「凪…。そんな風に言うな。オレも言い過ぎた。凪が自分の事を犠牲にしてでもオレ達を守ろうとしてくれた気持ちはわかるけど、自分を犠牲にして欲しくなかった。自分を見捨てるような真似をしないでくれ。オレはそれが辛い。」

「達樹…。」

「凪身体は大丈夫か?大学で遠くから見てたけどお前どんどん痩せていくし、顔色悪いし、気になってた。黎に聞いても何も言ってくれないって言うし。バイトも辞めちゃって。」

「見ててくれたんだ。」

「オレだけじゃない。黎も見てたぞ。何を言っても凪は聞かないだろうからみんな遠くから見てたんだ。アキさんや聖夜さんも滝くんも志希もどうしてるか気にしてたんだぞ。」

「みんな…。」

「もう大丈夫だ。凪は安心してていい。今度はオレが凪を守るから。」

「達樹…。ありがとう。」

これからどうしたらいいのかよく考えて行動しなくちゃいけない。

達樹に会いたいけど今は会っちゃいけない。

オレがどこにいるのかわからない分、下條は達樹を見張っているはずだ。

「達樹、きっと達樹が狙われると思うからアキさんのところから出ないで。外に出る時は絶対に一人にならないで。お願いだから。」

「わかった。という事でオレ達の別れ話は無しだよな。」

「それは…。」

「なんだ凪はオレの事が嫌いなのか?」

「そんなわけないだろ。オレは達樹が好きだ。」

「なら問題ない。オレも凪が好きだからな。好き同士なのに何で別れなくちゃいけない?だろ。」

「達樹。うん。ありがとう。」

「じゃ、悪いけどカイトさんに代わってくれるか?」

「うん。ちょっと待って。」

カイトさんは寝室にいた。

達樹が話したいって言ってると伝え、電話を手渡すとオレはリビングに戻る。

夢を見てるみたいだ。

数日前はもう終わりだと死んだような気分だったのに、今は達樹の言葉を思い出して頬が赤くなる。

もう会う事も話す事もないと思っていた。

酷い事を言ったから嫌われたと思っていたのに、まだオレの事を好きでいてくれたなんて…。

さっきまでの涙とは違う涙が頬を伝う。

嬉しくて涙が溢れるんだ。

早く達樹に会いたい。

達樹の体温を感じたい。

達樹と抱き合いたい。

溢れる思いを閉じ込めておくなんて出来ない。

すぐにでも駆け出してしまいそうな心を抑える。

今飛び出して行っても下條を喜ばせるだけだとわかっているから。

達樹とこれから先一緒にいるためにはここは我慢しなくちゃいけないんだ。

未来を思えば我慢出来る。

ここを乗り切ればいくらでも達樹と一緒にいられる。

「凪くんいい?」

そこに達樹と電話を終えたカイトさんが入って来た。

ちょうど響夜さんも戻って来たので3人で今後について話し合う事になった。

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