月と太陽がすれ違う時

月と太陽がすれ違う時24

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「で、お前は日菜太に何を言ったんだ?」

「そんなに怒らないで下さい。私は日菜太くんに流星様がどういう人なのか自覚を持って頂きたかっただけです。それに流星様は日菜太くんの事を好きなわけではないんですよね。」

「あ、ああ。」

「じゃあ日菜太くんに諦めてもらわないと困るでしょう?だから釘を刺したんですよ。」

「釘を刺されたぐらいで日菜太は気を失ったのか?日菜太はあれで頑固で強いところがある。そんな奴が釘を刺されたくらいで気を失うとは思えないが?」

「日菜太くんは身体が弱ってますから…。」

「もういい。お前は帰れ。お前がいると日菜太がよくならん。」

「でも御粥作ってませんよ。」

「いい。お前の作ったものを日菜太が食べるとは思えないからな。」

「人を呼び出しておいて…。まあいいでしょう。日菜太くんに会えた事ですしね。では私は帰ります。」

片桐を帰して日菜太の傍につく。

日菜太は額に汗をかいていた。

片桐の奴はいったい何を日菜太に言ったんだ。

さっきまで穏やかだったのにこんなに汗をかいて…。

俺はタオルをお湯で濡らすと、 汗をかいている日菜太の顔をきれいに拭う。

苦しそうな日菜太に「大丈夫だ」と声をかけながら拭くと、日菜太の顔が穏やかになって来た。

「さて御粥どうしたものか…。」

何か食べさせないと身体もよくならない。

俺はネットで調べて自分で御粥を作る事にした。

「御粥が出来上がるまでお前が日菜太を見ておいてくれるか?」

「にゃーーー。」

日菜太をラルクに任せパソコンで御粥の作り方を調べる。

俺でも出来そうなレシピを印刷してキッチンでそれを見ながら作り始めた。

「何だ簡単じゃないか。」

1.米を汚れが取れるくらいに洗って30分水につけておく。

2.厚手の鍋に入れ米の5倍から10倍のお水を入れて強火で沸かす。

3.吹きこぼれないように30分から40分煮て最後に一つまみ塩を入れ鍋の底から軽くかき混ぜる。

「どんな粥にするかは水分を調節して決めるのか。水分もたくさん摂った方がいいだろうから7分粥にするか。」

簡単に出来ると思っていた。

米をといで、水を入れて煮るだけだと…。

「うわーっ米が流れていく。どうやって流れないようにするんだ?」

炊飯器の釜で米を洗っているのだが、水が溢れてそれと一緒に米も流れてしまう。

慌てて手ですくっても手から米粒がこぼれていく。

「くそっ。」

それでも何とか米をとぎ、鍋に米と水を入れる。これは完璧に出来た。

「強火で沸かすか…。」

強火にかけるとそのうち沸騰しだしてあっという間に吹きこぼれた。

「なんだよっ。これ…。」

IHだから拭けば綺麗になるが、また吹きこぼれたらどうすればいいんだ?また拭くのか?そんな事を繰り返してたら水がなくなって焦げてしまうぞ。

「そうか火加減を弱くすればいいのか。」

もう一度鍋を火にかけ、今度は吹きこぼれないようにちゃんと鍋を見張る。

俺は40分間鍋とにらみ合いを続けた。

「最後に塩を一つまみ…。一つまみってどんな量なんだ?」

またパソコンで調べる。

吹きこぼれないように火は止めた。

「指と指で挟むのか。これくらいかな?多かったら塩辛いだろうから少な目にしておくか。アチッ‼」

鍋に腕を近づけすぎて肌が触れてしまった。

「何だよっ。もう絶対に料理なんてしない。俺は弁当で十分だ‼」

水道の水で火傷したところを冷やしながらそう決意した。

まあ多少ドタバタしたが、御粥は何とか出来上がった。

味見してみたが、それほど不味くはないと思う。

少し薄味なような気はするが、濃いよりはいいだろう。梅干しも買って来てある。

俺の火傷のところは赤くなっているが水ぶくれにもなってない。ヒリヒリするのは仕方ないか。

「にゃーーーん。」

そこへラルクが日菜太が起きたと知らせに来た。

「起きたか?大丈夫か?熱測れ。」

「流星。片桐さんは?」

「帰した。あいつがいるとお前よくならないだろう?すまん連れて来たのが間違いだった。嫌な事でも言われたのか?」

「そう。帰ったの…。別に嫌な事を言われたんじゃないよ。本当の事を言われただけ…。」

シュンと肩を落として日菜太が言うから何だか俺までシュンとしそうだ。日菜太は太陽みたいに笑っているのが似合うのに。

「37.5度。微熱と言うところだな。腹減ってないか?御粥作ってみたが食べるか?俺が作ったから上手くないかもしれないが。」

「え?流星が作ってくれたの?俺の為に?」

「他に誰の為に作るんだ?」

「食べるよ。流星も一緒に食べてくれる?一人じゃおいしくないから。」

「ああ。」

寝室に御粥の鍋と茶碗を持ってくる。

寝室で物を食べるのは嫌だが今日は仕方がない。

ラルクも今日は特別に寝室で一緒に食べる。

「うわ。紙皿じゃなくてお茶碗だ。お箸も…。」

「そんな事が嬉しいのか?」

「これ買って来てくれたんだ。嬉しいに決まってる。」

嬉しそうな日菜太の顔を見ていると買って来て良かったと思う。

「箸で食べにくかったらスプーンもある。ちょっと味は薄いが梅干しもあるから。」

「ううん。これくらいでいい。俺にはすごくおいしいよ。」

俺には物足りないが日菜太にはちょうど良かったらしい。

嬉しそうに食べる日菜太を見て何だか温かい気持ちになっていた。

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