月と太陽がすれ違う時

月と太陽がすれ違う時25

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フーフーと御粥を冷ましながら食べる日菜太を見て笑っている自分に驚いた。

俺、自然に笑ってる…。

日菜太といると感情が戻って行くように自然と笑みがこぼれている事があるのに気が付いた。

そんな時は決まって心が凪いでいる時だ。

心が凪いで笑みがこぼれるなんて久しくない。

日菜太は不思議な奴だ。

だからと言って日菜太のような好きだとは思わないが…。

「そうだ。ちゃんと泊まる事言ったんだろうな。」

「うん。あ、そうだお母さんが流星と話をしたいって言ってたのすっかり忘れてた。」

「肝心な事を忘れるな。それ食い終ったら電話しろ。俺はお前を預かる身なんだからな。」

「流星って変なとこ真面目だよね。」

日菜太の言っている事は無視し、食べ終わったものを片付けていると日菜太が自宅に電話をしていた。

「もしもし母さん?ごめんね。すっかり電話かけなおすの忘れてた。ごはん?流星が御粥を作ってくれてすごくおいしかったよ。熱も下がって来てるし大丈夫。うん流星に代わるね。」

日菜太から電話を受け取り、少し緊張しつつ電話に出る。

「こんばんは。蒼井です。」

「あ、流星くんごめんなさいね。あの子熱出したんですって?本当に流星くんには迷惑ばかりかけて…。」

日菜太の熱は俺のせいだから胸がズキンと痛む。

「いいえ。熱が下がって来てよかったです。すいません何日も自宅に帰さなくて。」

「流星くんのところなら安心よ。会った事はなくても流星くんの人となりはわかるもの。」

俺の事をそんな風に見ないでくれ。俺はそんないい人じゃない…。

胸がキシキシと音を立てている。

「流星くん?」

「あ、はい。」

「それでね、すごく厚かましいとは思うんだけど、日菜太も流星くんといるのが楽しいみたいだし、あと3日、日菜太を泊めてもらえないかしら?」

「あと3日?」

厚かましいとは別に思わないがなぜ3日なんだろうと疑問に思ったのが伝わったらしい。

「実は明日から夫婦で旅行に行くことになってて、日菜太は一人で大丈夫だって言うんだけど、心配してたの。おまけに体調もすぐれないようだし。流星くんが傍にいてくれるなら安心出来るから。無理かしら?」

確かに体調のすぐれない日菜太が1人でいるのは心配だろう。

日菜太の体調が悪いのは俺のせいだし、日菜太の両親が帰ってくるまでは一緒にいた方がいいだろう。

「わかりました。俺はいいですよ。日菜太がどうかはわかりませんが。」

「本当に?日菜太なら流星くんの傍にいたいって言ってたから喜ぶと思うわ。あの子すごく寂しがりやだから一人はダメなのよ。」

「そうなんですか。じゃこのままご両親がお帰りになるまで日菜太をここに泊めます。」

「流星くんありがとうお土産買って来るわね、日菜太に代わってくれる?」

「はい。お土産はお気持ちだけ受け取っておきます。」

日菜太に電話を渡すと俺は残りの片付けものをしにキッチンに戻った。

まったく紙皿なら捨てればいいが、陶器だと綺麗に洗わなければならない。

やっぱり俺は弁当でいいと思うが、これから3日間、日菜太がいるとなると日菜太に適当なものを食べさせるわけにはいかないだろう。ああして母親にも頼まれたのだ。おまけに体調を崩している身に弁当はきついと思われた。

「やっぱりまた御粥を作らなければならないようだな。今度は違う御粥にしよう。」

中華粥、野菜を細かく刻んで入れて卵でとじた粥、ネットで見た時に目についた粥を頭の中で思い出す。

正直俺には御粥では物足りない。

「何か惣菜でも買うか。」

「流星何ブツブツ言ってるんだ?母さんが流星によろしくって。流星ありがとう。」

寝室から顔を出した日菜太が電話機を持って来た。

「何だ?お礼を言われる事はしていないと思うが?それよりも起きて大丈夫なのか?」

「身体は大丈夫。お礼は俺を泊めてくれる事だよ。母さん達、新婚旅行に行ってないんだって。お金もなかったし、仕事で忙しかったから。駆け落ちだったらしくて…。でね今回はその代わりの旅行だったんだけど、俺が体調を崩してるの知ってやめようとしてたんだ。一人に出来ないって。でも流星が傍にいてくれるからって…。ごめん勝手に流星に聞かずに言っちゃって。」

「お前が両親を大切に思っているんだろうとは想像出来るからな。別に構わないさ。お前にはいい両親がいるんだから大事にしろ。」

日菜太は今の両親に引き取られたと言っていた。

兄夫婦だと言ってたから血の繋がりは薄い。

俺は父親に引き取られた。実の父親だ。血の繋がりは濃い。

なのにこの違いは何だろう。

日菜太は両親に愛され大事に育てられ、俺は愛されることもなく放置された。

同じような身の上でも大違いだ。

俺も日菜太のような両親に引き取られていたなら、日菜太のようになれたのだろうか?

いや考えても仕方のない事。そうではなかったのだから。

「お前もう横になれ。早くよくなってくれないと火傷が増えてしまう。」

「ん?」

「何でもない。早く寝ろって言ってるんだ。」

「あ、うん。」

日菜太の後をラルクがついていく。

ラルクがいれば日菜太も寂しくないだろう。

日菜太を羨ましいと妬んでいる醜い顔を見られたくなかった。

そうだ。俺も日菜太のように愛されたかった。

今では唯一血の繋がりのある父親に。

「流星愛してるよ」

そう耳元で言って抱きしめて欲しかった。

幼い流星はそれを望み、それは敵わない事なのだと小さいながらに絶望を味わっていた。

同じような境遇の日菜太に黒い思いが滲みそうになるのを流星は無理やりに押し込める。

日菜太は何も悪くないのだと…。


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